読書録 1998.09
- 『嘘の裏側』アンドリュー・ヴァクス(早川書房・1998)ISBN4-15-208179-1
- バーク・シリーズの最新刊。困惑してしまった。これは何かのキャンペーンなのだろうか。もちろん、キャンペーンなのだ。ヴァクスは常にそう明言している。読者としてはキャンペーンであろうが何だろうが、作品世界が面白ければそれでいい。しかし今回は。もはや明確な敵も、爽快なカタルシスもそこには存在しない。バークシリーズはもう終わるべきなんだろうと思う。とはいえ、海の向こうではもうこの次の作品が完成しているそうだけれど。(1998.09.23)
- 『ゴースト・カントリー』サラ・パレツキー(早川書房・1998)ISBN4-15-208174-0
- ウォーショースキーシリーズではない新作。考え込んでしまった。これは何かのキャンペーンなのだろうか。作中の、右翼的なキリスト教団体ファミリー・マスターズは、実在するプロミス・キーパーズか何かのことなのだろうか。殺伐とした社会の中の救いには、奇跡を期待するしかないほどアメリカは荒廃してしまっているのだろうか。パレツキーがこのような小説を書かなくてはいけないほど、事態は深刻なのだろうか。ウォーショースキーシリーズを読んできたのは、女の人が頑張って自分の力で困難を克服し、世の中を幾分かでも改善しているところが、きちんとしたエンターテインメントとして作品になっているからであったことにいまさらながら気がつく。全く、これからあたしはどうすればいいのだろうか。(1998.09.23)
- 『方言自慢』川崎洋(小学館文庫・1998)ISBN4-09-402701-7
- 東北、中部、四国などの方言を、あまり分析的言語学的にではなく、詩人らしい言葉への慈しみを込めて紹介している。「まてしばしのねえ」「きどころね」など、親しみ深い東北の言葉はもちろんのこと、最近くらもちふさこの『天然コケッコー』(集英社・月刊コーラスで連載中)であたし的には馴染みのある、島根県益田市の言葉などの解説が興味深い。言葉が変化していくのは時代の流れで仕方がないことではあるが、TVの影響による方言の消失はあまりにスピードが速く、いたましい(秋田弁ではもったいないの意味が強い)気がする。(1998.11.15)
- 『トリエステの坂道』須賀敦子(新潮文庫・1998)ISBN4-10-139221-8
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- 『ユルスナールの靴』須賀敦子(河出書房新社・1996)ISBN4-309-01097-0
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- 『入浴の女王』杉浦日向子(講談社文庫・1998)ISBN4-06-263888-6
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- 『紅一点論』斎藤美奈子(ビレッジセンター・1998)ISBN4-89436-113-2
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- 『文庫版メタルカラーの時代5』山根一眞(小学館文庫・1998)ISBN4-09-402195-7
- まさにテクノ・マエストロ。技術ではなくて、アートの世界ではないか。内径140ミクロンの管の中を通る径130ミクロンのバネ。超LSIの生産を支えるそのちっぽけなプローブ。ISOも生産技術の標準化も、そこでは無力だ。こういう職人技が、あたしらのインターネット環境まで可能なものにしている。ありがたいことだ。(19998.09.23)
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