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- 『地を這う虫』高村 薫(文春文庫・1999)ISBN4-16-761601-7
- 名もない市井の男たちの、しかし不屈な魂。(1999.05.31)
- 『トルコの幸せな食卓』細川直子 写真◎江口保夫(洋泉社・1999)ISBN4-89691-386-8
- トルコの家庭料理を通して、トルコの生活や文化、政治的・経済的背景などを教えてくれる。写真も装丁も美しい。冷蔵庫の野菜室が一杯になっていないと不安なあたしなんかには、羨ましい野菜の豊かさだ。味も濃いんだろうなあ。(1999.05.31)
- 『黄金を抱いて翔べ』高村 薫(新潮文庫・1990)ISBN4-10-134711-5
- 銀行の地下に眠る金塊をいかにして盗むか、という、ミッション・インポッシブルな計画。6人の男たちの哀しい実像。ディテール描写の凄さに、圧倒的に終わりまで読まされてしまう。どきどきして、犯罪が成功するように祈りながら。これがデビュー作というのだから、これはもう。(1999.05.31)
- 『わが手に拳銃を』高村 薫(講談社・1992)ISBN4-06-205648-4
- 『李歐(りおう)』の元になったサスペンス。当然、仕掛けの緻密さや心理描写の緊迫感は不足しているが、大阪のあの(どの?)辺のにおいを描きたかったんだなあ、というあたりが十分伝わってくる。(1999.05.31)
- 『訊く』中島らも(講談社文庫・1999)ISBN4-06-264534-3
- らもさんがその道のプロにあれこれ「訊く」対談集。らもさんの興味の広さや話の面白さが堪能できる。中でもらもさんが自分の自殺衝動について、かかりつけの精神科医と話しているリアルさが白眉。しかしその、その道のプロというのはみんな凄いっすね。(1999.05.31)
- 『李歐(りおう)』高村 薫(講談社文庫・1999)ISBN4-06-263011-7
- でるたさんお薦めの書。「男の子向けのおもちゃも女の子向けのおもちゃも取りそろえてますよ」とのことで読んでみたのだが、ええもう、ヤられてしまいました。もうイきっぱなしです。高村薫は読んでなかった(スパイものや刑事ものにそそられなかった)のですが、今更ながらあれこれ買って読み始めております。さて、『わが手に拳銃を』を下敷きに文庫書き下ろしした本書。雑誌のインタビューなどで著者は、やおい読者について、どうしてそんな受け方をするのかと不思議がっていたが(出版社ははっきり狙って売ってると思いますけどね、少なくとも『李歐』については)、やおい者ではない(と取りあえずいっておく)あたしにも、男と男の友情の官能的な描写は相当来るものがある。李歐かっこいいぜ。15年間、別れ別れのまま、共に相手の夢を見ながら、ハードな日々を暮らしながら、それでも。ラストは相当緊張しながら読んだ。よかったああいうエンディングで。ところで、この小説から連想するのは吉田秋生『BANANA FISH』のアッシュと英二だが、今にして思えばあれは相当甘かったな。高村薫は甘くない。(1999.05.23)
- 『フリーダムズ・チョイス−選択−』アン・マキャフリイ 公手成幸訳(ハヤカワ文庫・1999)ISBN4-15-011270-3
- 『フリーダムズ・ランディング−到着−』の続編。キャテン人がエオス人の傀儡だとわかったところまでが前作だったけど、今度は遂に謎の「ファーマーズ」が姿を現す。相変わらずぐいぐいと読者を引き込むストーリー・テラーぶりだが、主人公のクリスが次第に存在感が薄く、というか、あまり行動の人ではなくなってきたようだ。おまけに子供まで生んじゃうし。ええと、どうやって作ったかというのはネタバレになるので内緒。(1999.05.23)
- 『白木蓮(マグノリア)抄』花郁 悠紀子(秋田文庫・1999)ISBN4-253-17467-1
- 花郁悠紀子の『白木蓮抄』が文庫で出た。大半のカラーが再現されていず、もったいない。亡くなってかれこれもう20年近く経つとは。21歳でデビューし26歳で亡くなったひとの作品の、完成度の高さにあらためて驚く。解説は妹・波津彬子。(1999.05.11)
- 『パソコンは猿仕事』小田嶋 隆(小学館文庫・1999)ISBN4-09-416661-0
- 文章がね。面白いんですよこれがね。電車の中でのPHS使用に関する話なんかWEB雑文の味わい。でもどうにも論理の筋道といい文章といい毒が効いており、ハズレがない。面白い。あたしらのちょい上の世代だが、大学入った頃にマイコンチップが出たという世代なんで、パソコンへの意識という点では相当違う。パソコン黎明期への哀愁つか。あたしら大学入ったらもう研究室にはパソコンがあってみんな普通に使っていたもの。まあ、今どきの子は、物心ついたらゲーム機が家に普通にあったりするわけだけど。(1999.05.23)
- 『なぜ人はニセ科学を信じるのか』マイクル・シャーマー 岡田靖史=訳(早川書房・1999)ISBN4-15-208212-7
- 目指すのは健全な懐疑主義だ。科学的な思考、仮説検証を重んじ、トンデモ本を見わける眼。でもそれがなんと困難であることか。頭のいい人だと思っていた同僚が、雑談中ホロコーストの話になったら、いきなり「あれってユダヤ人の陰謀なんでしょ」と、ぼくって物知りでしょの顔でいうので驚愕したことがある。マジですか〜。陰謀史観は勘弁して下さいよ〜。陰謀史観をネタにして面白がるんならまだしも(そうか?)。でもこの本を読んで一つ驚いたことがある。ホロコーストはあった、しかし石鹸についてはどうやらデマらしい(少なくとも今に至るに科学的証拠はない)。このことについても疑わなくてはいけないのかも知れないが。やれやれ。でも、希望は捨てまい。(1999.05.23)