「子どもたちに 子ども時代を」(聴講メモ)   講師:秋葉英則先生(大阪教育大学教授、心理学)   2006年3月19日(日)鹿屋東地区学習センター  1.居場所を失った子ども こだま→ひかり→のぞみ(スピードアップ)、インターネットなど、世の中の 変化が激しいため、これまで誰も予想しなかったようなことが起きている。子 どもにとって不自然な状態が持続しており、予想しなかった子ども問題が起き ている。 学校の先生にもハズレはあるが、その先生とずっと付き合う訳ではない。しか し、親にハズレた子どもは、一生もの。悪いことに、ハズレの親ほど自分はア タリだと思い込んでいる。 子どもが人を殺す事件は、家庭や学校で起きている。家庭も学校も子どもたち にとって安らげない場所である証拠。 大阪教育大学で、学生の2割が留年している。全国どこも同じような状況。 実習の単位を取れないために、保育士などの資格を取れない学生が増えている。 理由は、挨拶ができない、遅刻する、約束を守れないこと。家庭で教えるべき 大事なことを教えられず、勉強ばかりして育ってきたため。 就職しても、3年以内に辞める若者が6割もいて、その多くがフリーターになっ ている。30歳以上で6か月以上引きこもっている者が50万人いる。職場でうつ 傾向の労働者が増加しており、産業医の重要な仕事になっている。 重大な犯罪を起こした子どもたちの共通点 1)思春期(12〜17歳) 2)件数に男女差がない 3)学校をサボっていな い 4)成績はトップクラス 精神鑑定の結果は、自己愛性(自己中心性)人格障害。親からは「手のかから ない子」、友人からは「怒ると怖い子」、先生からは「そんな子には見えなかっ た」と言われる(教師に問題が見えていないことも問題)。人間はストレスが 溜まると、うつになるか攻撃的になるかどちらかなので、攻撃的になった結果、 事件を起こしてしまった。 なぜ「手のかからない子」になったのか?それは、親が手をかけてやっていな いから。子どもは手がかかって当たり前。子どもが帰宅したら「お帰り」としっ かり声をかけてやること。小中学生に「勉強しろ」と言う必要はない。大学生 にこそ「勉強しろ」という必要あり。 大学生の子どもに週1回、親が電話して言うべきこと 1)飯をしっかり食っているか?何を食っているか? 2)勉強しろよ 3) 将来は親の面倒を見てくれよ  2.子どもに居場所をとりもどすために ・子どもを真に守る 能力主義教育が導入された頃、「新幹線教育反対、教育は各駅停車でなければ ならない」と言われていたが、最近はそのような声は聞こえなくなった。そし て、子どもたちがいろいろな問題を起こしている。 ・子ども時代の重み ルソーの「エミール」に見る子ども観、発達の段階を時代で表現した。 0歳:自然の時代、1-12歳:理性の眠りの時期(自然の時代)※ 13-15歳:理 性の時代、16-18歳:力の時代、19歳以降:幸福の時代  ※注:幼児や児童には、勉強よりも体を動かす遊びや労働(お手伝い)を教 えた方が良いという意味 人生には節がある:青春、朱夏、白秋、玄冬(五行説) 1,3,5,7,19,33,42,60歳のそれぞれの節目を大切に。”七五三”や”こどもの 日(子どもの日ではない)”を祝ってやれ。鯉幟を揚げてやれ。玄冬は玄人の 意味がある。節目節目をしっかり生きて、人生の玄人になって欲しい。 ・子どもたちの視点 子どもは偉大なる模倣者である。模倣に値する大人に出会えなかった子どもは 大人になれない。 自己愛と他者愛:愛されて育った子どもは自分を愛することができる。自分を 愛する子どもは他人を愛することができる。愛されなかった子どもは他者を排 除する。 教育は直接法より間接法が良い。親は子どもに「将来世話になるからよろしく」 とはっきり言え。あてにされたら、子どもは「しっかりせなあかんな」と思う もの。  3.今こそ、学童保育をすべての子どもたちに 人は人に惚れて人になる。人は人の輪の中で人になる。学童保育は日本に特有 の制度。「放課後」なのだから勉強はしなくて良い。異年齢の集団で、しっか り遊んで、人間関係を大事にするように育って欲しい。 質問:ゲームをどう位置づけたら良いか? ゲームを禁止しなくても良いが、ゲームだけでは困る。古い伝統的な遊びを大 人が教える必要がある。テレビも見せないことはできない。見せ方の問題。