新型インフルエンザ治療上の注意

1.診断について
■38度以上の高熱および咳鼻水があり、関節痛その他の全身症状があれば、インフルエンザが疑われます。
顔色不良・呼吸が荒い・意識障害などが無く、全身状態が良ければ、慌てて受診する必要はありません。冷静な対応をお願いします。
新型インフルエンザでは、迅速診断の陽性率は4-6割と低いため、検査は補助的なものと考えてください。診断には検査よりも、周囲の流行状況と本人の症状が重要です。検査が陽性でも元気があれば安静だけで軽快することが多いし、検査が陰性でも症状が重ければ、タミフルなどを投与する場合があります。
■検査をするタイミングは、38度以上の熱が出てから12時間以上(新型では24時間以上)48時間以内が最も正確です。症状が重ければ早めに検査することありますが、元気なら発熱翌日の検査で十分です。また、家族にインフルエンザ患者がいるなど、濃厚な接触歴があれば、検査を省略することがあります。

2.抗インフルエンザ薬(タミフルおよびリレンザ)の使用について
■タミフルは内服薬、リレンザは吸入薬で、どちらもインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。タミフルは1歳未満児への安全性・有効性は確立しておらず、10歳以上の未成年者には原則として使用しないことになっています。ただし、厚生労働省は、新型インフルエンザの重症化予防の観点から、10代へのタミフルの投与を妨げるものではないとしています。リレンザは5歳以上で吸入できれば使用できます。
■タミフル(リレンザ)を使用すると、使用しない場合に比較して平均で1日熱が早く下がると言われています。しかし、周囲へ感染力のある期間は短縮されませんので、集団生活に戻る前に必ず医師の診察を受けてください。
■抗インフルエンザ薬の副作用の疑いとして、意識障害、異常行動、幻覚などの精神・神経症状が報告されています。疑わしい症状が見られた場合、服用を中止し、医師の診察を受けてください。インフルエンザそのものが同様の症状を起こすことのある疾患であり、症状だけで区別することは難しい場合があります。
■タミフル(リレンザ)によりインフルエンザ脳症を予防できるかどうか、よく分かっていません。
■インフルエンザは元々自然治癒することが多い疾患です。体力があり全身状態が良ければ、全ての患者さんにタミフル(リレンザ)が必要な訳ではありません。
※異常行動に備えて、インフルエンザにかかりはじめの少なくとも2日間は、こどもを一人にしないようにしてください。
※最低でも5日以上の安静が必要です。解熱後48時間を経過しないと感染力が残っています。集団生活に戻る前に診察を受けてください。

3.一般的な治療法について
■安静と水分補給:「寝て治す」基本を大事にしましょう。
■咳、鼻水などの症状に応じた対症療法を行います。
■合併症を起こしていない限り、抗生剤は無効です。解熱剤の使いすぎで悪化する可能性もあります。
■ご希望の方には漢方薬で症状を和らげたり回復を早めたりする治療法もあります。


【インフルエンザ治療開始後の注意事項】 平成19年2月28日 厚生労働省
万が一の事故を防止するための予防的な対応として、特に小児・未成年者については、インフルエンザと診断され治療が開始された後は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあることから、自宅において療養を行う場合、
(1) 異常行動の発現のおそれについて説明すること
(2) 少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することが適切であると考えられます。

【緊急安全性情報の指示】添付文書の改定 平成19年3月20日 厚生労働省
【タミフルカプセル75】
1.本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
2.10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、@異常行動の発現のおそれがあること、A自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。
3.インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチン療法であり、本剤の予防使用はワクチン療法に置き換わるものではない。

【タミフルドライシロップ3%】
1.本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
2.10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、@異常行動の発現のおそれがあること、A自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。
3.本剤の予防効能での使用は推奨されていない。


おひさまこどもクリニック

PC用リンク
Wikipedia
医薬品・医療用具等安全性情報 No.202

インフルエンザ治療に携わる医療関係者の皆様へ
タミフル服用後の異常行動について(PDF)

2009.11.10改訂 (2005.3.18初版)