「鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワーク」の発足のお知らせと
被災史料救援活動への支援のお願い
鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワーク
(代表:竹永三男〈島根大学教授〉)歴史資料ネットワーク(代表:奥村弘〈神戸大学助教授〉)
10月6日に発生した鳥取県西部地震は、鳥取・島根両県を中心に多くの方々が負傷され、家屋・農地・港湾施設や交通網に甚大な被害をもたらしましたが、それまで地域で大切に守り伝えられてきた古文書や民具など歴史資料も滅失の危機に瀕しました。こうした中で、阪神淡路大震災に際して、被災史料保全のために発足した歴史資料ネットワークでは、今回の地震直後から被災地周辺の関係機関・関係者と連絡をとり、現地も訪ねて地元の研究者と被災状況の緊急調査を行うとともに、対応を協議しました。その結果、今回の地震の被災地でも地元自治体と共に、歴史資料などの文化遺産の保全救出活動を開始することにしました。
既に10月下旬から現在まで土・日・祝日を中心に、被災家屋から古文書・民具を搬出し、地元の自治体で用意された公的施設に保管する活動(鳥取県日野町等)や被災地の文化財の巡回調査(同県西伯・会見・溝口町、岡山県新見市等)を実施しました。この活動には鳥取・島根・岡山や京阪神から研究者・学生など、のべ200名以上が参加しました。こうして救出された史料等は阪神淡路大震災と同様、地元自治体が用意した施設に保管されています。
この活動は当初、鳥取・島根・岡山など地元の大学・高専や公文書館・図書館などの史料保存機関関係者が、歴史資料ネットワークと協力して始めましたが、11月23日に改めて「鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワーク(略称:山陰史料ネット)」を発足させました《代表:竹永三男(島根大学)事務局長:小林准士(島根大学)運営委員:岸本覚(鳥取大学)、山藤良治(米子高専)、内田文恵(島根県立図書館)今津勝紀(岡山大学)》。歴史資料ネットワークは、この山陰史料ネットに参加し、引き続き連絡と支援のセンターとして、全国からの募金のとりまとめや他地域からのボランティアの調整にあたっています。
今回の地震では、阪神淡路大震災に比べ、幸い人的被害は少なかったものの、空家や高齢者のみのお宅が多く、また復旧に伴なう家屋の解体撤去のテンポが速いなど、地域文化財の保全には困難な条件も抱えています。被災家屋が山間部に散在していることもあり、この活動はかなりの長期間にわたります。
皆様におかれましては、大規模災害から地域遺産を守り、後世に伝えるというこの活動の意義にご理解をいただき、救出作業や搬出史料の整理・巡回調査、被災されたお宅への紹介や情報提供など、多様な形でのご参加・ご協力をお願い申し上げます。
また阪神淡路大震災後の活動と同様、今回も、保険加入料を始め様々な経費が必要です。特に今回の被災地では、救出活動で大きな役割を果すべき大学が少なく、従って遠隔地からの参加者が多くなります。そこで、活動に参加する学生・大学院生に対しては、交通・宿泊費など最小限の補助をしたいと考えています。私どもの活動を支えるための募金をお寄せいただきますよう、併せてお願い申し上げます。
郵便振替による募金の振込先(口座を新しく開きました)
口座番号 01310−1− 10107(松江川津郵便局)
口座名称 鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料ネットワーク
連絡・問合せ先
鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワーク
〒690−8504 松江市西川津町1060 島根大学法文学部気付
TEL0852−32−6191(小林准士研究室)
Eメール junji@soc.shimane-u.ac.jp
歴史資料ネットワーク
〒657−8501 灘区六甲台町1−1 神戸大学文学部内
TEL/FAX078−803−5565
Eメール yfujita@lit.kobe-u.ac.jp
(以上、「山陰史料ネット」12月8日公開メールより転載)
緊急にお知らせします。
「鳥取西部地震の被災史料・文化財救援募金のお願い」(岡山地方史研究94号に掲載)についてHP版補足報告
このたびの鳥取西部地震に際し、歴史資料ネットワークは「鳥取西部地震被災史料救出ネットワーク」を発足させ、活動に取り組むことになりました。(詳細は上掲)現在は、特に被害の大きかった日野町周辺地区の巡回・事前訪問と資料の運び出し、資料整理などを行っています。この地域は近世には宿として、近代には鉄など各種の産業で繁栄した、豊かな歴史がありますが、日毎に進む復興の一方で歴史資料の破棄・散逸が心配されています。このため岡山地方史研究会においても、特に近隣での交流がある地域、さらには歴史研究団体としての役割を鑑みて、この活動に賛同・協力を願いました。早速多数の方から励ましの声や募金をお寄せいただきました。この場をかりてお礼申し上げます。また、気候・地理的条件により作業の長期化も予想されます。地域の豊かな歴史を守るため、どうかご協力をお願いします。
以下に、これまでの活動内容について、活動参加者から取り急ぎご報告いたします。
なお、下記のHPも合わせてご覧ください。
「山陰大地震 史料ネット情報」歴史科学協議会のHP
http://www.soc.nacsis.ac.jp/cgi-bin/rekihyo/teq/news.cgi
「山陰史料ネットのウェッブページ」島根大学法文学部歴史社会講座のHP(山陰史料ネット事務局)
http://www.hist.shimane-u.ac.jp/eq/index.html
一、活動内容
日時:土・日曜日を中心に、午前10時30分〜午後5時頃まで。
場所:日野町全域(本部は「日野町公民館」を借りています。集合場所、保管場所、など兼)
参加者:地元の公民館長・歴史研究者の方々を始め、山陰史料ネットの関係者、博物館・公文書館・図書館など各種歴史関係機関の方、各大学の院生、学生。
作業内容:巡回・事前訪問(以下「パトロール」)と資料運び出し(以下「レスキュー」)資料整理(襖の解体)など。※今後は周辺地区のパトロール、公民館内での資料整理が中心。
主な救出資料:近世・近代の古文書、民具など
注意事項:資料ネットの一員としての心得を守る。ボランティア保険に加入する、など。被災者へのボランティアを第一に、各種の活動をする。
岡山の連絡本部:岡山大学文学部日本史研究室 今津勝紀教官
〒700-8530 岡山市津島中3-1-1
TEL 086-251-7408(直通)
FAX 086-251-7350
e-mail kimazu@cc.okayama-u.ac.jp
二、これまでの活動報告(抄)
@10/22 歴史資料ネットワークのメンバーが現地入り(日野・境港・大山・伯太方面)
A10/28〜29
参加人数:48人(28日:23人、29日:25人※地元の島根の他、京都・神戸・大阪など関西方面からの参加者も多い)、作業概容(レスキュー10軒(襖134枚、ダンボール箱数十箱、その他屏風・什器類など)、問題点(救出作業は解体と競争。雨の降る中での困難な作業による疲労。JR伯備線が運休、作業後の帰還に支障。)
B11/3〜5
3日:土砂崩れにより中止。
4日:岡山県新見市千屋地区の巡回
5日:レスキュー、パトロール
C11/25〜26
25日:参加人数14名、作業概容(レスキュー2軒、整理)
26日:参加人数、27名、作業内容(史料整理、パトロール、レスキュー)
D12/9〜10
10日:参加人数:19名、作業内容(レスキュー3軒、パトロール、整理)
E12/16〜17 予定
三、マスコミ・関係団体への呼びかけ
テレビ:11月14日午前6:45放送のNHK総合「おはよう日本」(全国版)
新聞:日本海新聞、中国新聞、山陽新聞(11月29日)、神戸新聞(10月30日など)、京都新聞(11月14日)など
各歴史学関係の学会、行政機関にも呼びかけています。
四、活動に参加した感想
現地に足を運ぶことの重要性を痛感しています。この活動では、事前の訪問調査と現地での資料選定(こういう言葉は適切ではないと思いますが、止むを得ない気がします。)運び出し、さらに資料整理を行いました。救出できたもの、手遅れだったもの、様々でした。町の様子は行くたびごとに変わっています。町の人の生活・町の景観・町の資料が、毎日少しずつ動いています。直接被災したお宅でお話をうかがい、趣旨の説明やビラの配布をしました。「大事に持っとりましたが、置く所もなくなって…」「うちにはそんな古いものはないですが、近所にも声かけてみましょうか」といったお話もうかがえました。聞きにくい、聞くこともつらい場合もありますが、話してくださる方は力を落としながらもそれ以上の思いで、話してくださいました。地域には歴史が生きています。日野町に限らず、大切に受け継がれてきた歴史はできる限り伝えていかねばならないと思いました。また当面の問題として、お年寄りだけのお宅も多く、生活の再建に向けて何かの手伝いができたらそれだけでも活動になると思いました。
(文責:矢野香織)