山陰史料ネット活動への参加を通じて ・鳥津亮二(岡山大学院生)


 鳥取県日野町内の被害状況を把握するための巡回調査中のこと。とある家のご主人が「この家はもう明日解体するから中のものは全部運び出しました。必要なものは安全なところに移したんじゃけど、そこのダンボールの中のものは置き場所がないから今から捨てに行こうと思ってたところです」とおっしゃる。「ちょっとそのダンボールの中を見せていただいてよろしいですか?」とお願いし、見せていただくとなんとそこには近世後期の鉄生産に関する古文書の山。私たちが驚いているとご主人は「こんなものだったらまだまだあるよ」と言い、さらに古文書の詰まった木箱を2つも持って来られました。もし、その日に私たちがこのような活動をしていなかったらこれらの史料は人目に触れることなく確実に「死」んでいたのです。

 しかし、このように史料が救済できた例はほんの一部にすぎません。大多数のお宅は「まず今の生活が第一だから古いものを残そうなんていう気が回らない」といって古いものは家屋の解体・整理時に処分されてしまいます。「もう少し早く来てもらえたらよかったのに。もう古いものは全部焼いてしまったよ」と言われたときには何とも言い難い悔しさを覚えます。しかし、いくら悔やんでも「死」んだ史料は生き返りません。私たちが直面しているのは莫大な数の史料が「死」んでいっているという現実です。私は現地に足を運ぶたびにこうした事態の深刻さとこのボランティア活動の重要性を痛感します。

山陰史料ネット活動の様子


写真1 日野町の様子
日野川の静かに流れています。ビニールシートをかぶせた家があちこちに見られます


写真2 作業の様子(日野町)
12月10日に史料救出を行いました。※山陰史料ネット記録より


写真3 解体予定の家(日野町)
11月5日に史料救出を行いました。※山陰史料ネット記録より

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