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ツーリズムについて
北海道,東北,九州の皆さんは「グリーンツーリズム」と呼ぶ方が多いです。沖縄県は「エコツーリズム」と呼ぶ方が多いです。
それ以外の内陸は,エコ,グリーン,ブルーが混在しています。最近は,ここにウェルネスが入ってきています。
沖縄で「エコツーリズム」という言葉は,高校生くらいから七十代のお年寄りにまで浸透しています。
けれども,それがどういうものなのかということについては,100%は浸透していません。
「ツーリズムとは」という定義は,学術的に定められておりません。
私は個人的にある大学の観光学部の先生に師事して勉強させていただいたのですが,
その先生もツーリズムの定義は無いと断言されておられます。その先生は皆さんが言いはじめる前に,
自分が定義を作って浸透させようと思っておられたのですが,それ以前にいろいろな方が定義を語り始めるのが早かったので,
いまだに統一されていない状況なのです。
リクルートでツーリズムについて,なぜエコ,グリーン,ブルーなどと分けられて,これがさらに細分化されているのか,
検討を行ったことがあります。旧環境庁の事業ではエコツーリズム。農水省の事業だとグリーンツーリズム。
また水産庁の予算だとブルーツーリズムに、旧厚生省の事業だと,ウェルネスになります。
この話をある県庁でさせていただいたら,「うちは玉虫色ツーリズムで全省庁から予算をいただこう」という笑い話がありました。
沖縄はどういう経緯でエコという言葉が浸透したのかわかりませんが、ツーリズムと言えば「エコツーリズム」と口にされます。
国頭村で事業をさせていただいていましたら,ある方が「うちは『国頭ツーリズム』でやっていく」とおっしゃいました。
事業の中でワークショップを取り入れさせていただきましたが,その座長の久高将和さんは私財を投じて,
ツーリズムの私塾のようなものを国頭村に作っておられます。私たちの事業の中で座長を務めていただいたので,
謝金をお支払いしたのですが,その謝金すら私塾の費用に投じられ,現地で20名弱くらいの人数で勉強しておられます。
琉球新報(2000年12月24日)で取り上げられた記事の冒頭で,この久高将和さんが「エコツーリズムではなく,
国頭ツーリズムを作りたい。国頭村内にある地域資源も人も,国頭にあるものを使って行うツーリズムを国頭ツーリズムということで,
受け入れて拡げていきたい」と話しておられます。この国頭村の話は,6カ月間で12回も新聞に取り上げられました。
一方座間味村の方では,旧沖縄開発庁の予算で推進されている事業の中で,新しく産業を創るという目的で
ツーリズムや観光をお考えだったのですが,離島でエコツーリズムを行った場合,県内で他市町村と競合するという問題が生じます。
特に座間味村のような近海離島におきましては,本島内の複数の市町村とも競合してしまいます。
そこで,他の市町村とは異なるマーケットで,しかも自分たちの課題解決に対応し得る総合学習プログラムを自分の所で持ち,
受入れ体制を作ることによって,これを新しい島の産業にするということが考えられました。
ツーリズムとは何であるのかという場合に,当然地域の様々な思惑や,少なくとも経済振興を考えていらっしゃるケースが
多いと思いますが,必ずしもエージェントを通して来られる観光客や,修学旅行を呼び込むことでなくてもいいと思います。
新しい方策での総合学習プログラムの受入れを行う,場合によっては県内の高校を受け入れてもいいではないか,
という発想で新たな取り組みを推進されています。
ツーリズムのやさしい考え方
ツーリズムという言葉を使ってしまいますと,概念などややこしくなってしまいますので,
私たちは「テーマ型観光」という言葉を作りました。地域でツーリズムのプログラムを作る,
あるいはメニューを作るという話になったときに,地域の皆さんが「わからない」とおっしゃるのです。
「いいえ皆さんやさしいことですよ。見る,学ぶ,参加するという『行動ソフト』がありますよね。
行動パターンとも考えますね。『地域資源』は,皆さんの周りにこういうものがたくさんありますね。
『行動ソフト』×『地域資源』=『誘客力のあるテーマ型観光のメニュー』になるのです」
と掛け算のやさしい公式を用いていつも説明させていただいています。
地域の皆さんの前では,いつも即興でやらせていただきます。「行動ソフト(「見る」「学ぶ」「参加する」
「出会う」「作る」「ひたる」「癒される」)の中から一つ好きなものを言って下さい」。
「地域資源(「自然資源」「農林漁業・酪農」「食文化」「無形資源」「イベント」「人的資源」「温泉」「名所旧跡」)
で好きなものを一つ言って下さい」。そして即興で私がメニューにして答えるのです。
「簡単でしょ」という話をいつもさせていただいております。
この公式はリクルートの研究チームで作ったものを,旧運輸省観光部がそれをまとめて全国に配ろうと言って下さいまして,
調査事業で冊子となって全国に配られました。その公式に当てはめて,メニューを作った例(資料1/省略)ですが,
素材のお茶は「やんばる茶」のことです。右縦1列にあるようなメニューが作れます,という説明に使っております。
ツーリズムの効果
2年前にツーリズムの効果が実際にあるのかと議論が活発に交わされました。先進的に早くから手掛けておられた,
農水省のグリーンツーリズムに早くから関わられた先進地の話です。農水省の予算については,
10分の10でいただけるのではなくて,農家も何割かの負担をします。そして,農家民泊をされたり,
農家レストランをされたりするのですが,悲しいことに経営がうまくいかない方が出てこられたのです。
「あそこは夜逃げするほど収支が厳しかったのかな。結構お客さんは来ていましたよね」
という話が私たちにも入ってくるようになりました。そこで効果を調べてみようということになりました。
デメリットですが,ズバリ申し上げまして,家族4人で生活していける程儲かるとは思えません。
メリットは,農家民泊や農家レストランを展開した結果,家庭では次の3つのこと,おじいさん,
おばあさんに新しい出番が生まれる。後継者が生まれ,家や土地を残すことができる。ちょっとした副収入が期待できる。
以上が考えられます。
地域社会では次の4つのこと,気がつかなかった地域の良さを発見する。自分達の暮らしを情報発信することで自信が生まれる。
農村集落が残り,集落消滅を食い止められる。他産業を連携することにより,地域産業への波及効果が生まれる。
以上が考えられます。となるとこれは町おこしではないかという結論をリクルートでも持っております。
最近では,各方面で「ツーリズムは町おこし」と言われるようになりました。ツーリズムは,
一事業主が進めるものというよりも,地域が面展開で進めるものではないかと思っております。
とても優秀な大学生が,熊本県小国町に「地域インターン生」として入られました。その学生たちが10名くらいで,
日本全国を自分たちの足で回って取材してまとめたレポートを抜粋したのが資料2(省略)です。
資料2「農家民泊の場合」の網掛けの部分をご覧下さい。農家民泊を行った場合の年間利益は71万円です。
次に農家食堂の場合です。農家食堂は,農家喫茶や農家レストランとも言われています。
必ずしも農家という呼び方でなくてもいいのですが,先進事例が農水省の予算のグリーンツーリズムでしたので,
ここでは農家という名称が付けられています。資料2「農家食堂の場合」の網掛け部分をご覧下さい。
農家食堂の年間利益は53万円です。
次にインストラクターの場合です。できれば10ポイント,少なくても5ポイントくらいの平均値で出せればと思っていましたが,
いい事例がありませんでした。そこそこの年間営業日数で稼働したインストラクターの数字を私共で掴めておりません。
そこで,平均的な事業の中で設定されている,低価格の想定で仮定を出してみました。
インストラクターによる年間利益は48万円です。
農家民泊や農家レストランをされて,成功していらっしゃるところ,今も順調に経営が続いているところのほとんどは,
ご主人が日々に一定の収入があるケースが多いようです。役場の企画課長の奥さんが農家レストランをされていたり,
地元有名企業の課長の奥さんが農家民泊をされているのです。つまり,生活費が別途で確保されていて,
奥さんが副業として農家民泊や農家食堂を行って続いているのです。これを一家総出でやりますと,
1年間で70万円や50万円の利益ではとても食べていけません。このような理由で,
悲しいことですが夜逃げせざるを得ないというケースを招いたのではなかろうかと思うのです。
それでは,初めにツーリズムを進めるときに,どのようなことを想定しておけばいいのかということをお話します。
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