Bartók Béla(1881-1945) 

ハンガリーでは、東洋と同じく姓名の順で表記するというので、通例のベーラ・バルトークではなく、バルトーク・ベーラと表した。そう言えば、日本人のローマ字表記もSeiji Ozawaでなく、Ozawa Seijiとなるらしい。どこの省庁が発表したのだったか?さて、「時代を半世紀間違えて遅く生まれてきた作曲家と言えよう。」と評したラフマニノフとほぼ同年代の作曲家。晩年アメリカで過ごし、逝去したところまで共通。ストラヴィンスキー(1882-1971)ともほとんど同年であり、ストラヴィンスキーもそう言えばアメリカ没だった。

その時代において先鋭な「現代音楽」の作曲家であったが、いまや完全な古典となった数々の傑作を残した。今でも決して耳あたりがいいとは言えないが、ストラヴィンスキーのバレエ三部作などと並んで、現代演奏家のレパートリーに入った曲が多い。初期作を除き交響曲はなく、ピアノ・ソナタは一曲しかないが(他にソナチネSz.55はあるが)、弦楽四重奏曲という古典的な形式はしっかり踏襲している。決して破壊者ではなかった。

聴取に非常に緊張感とエネルギーを要求する作品が多く、気軽に付き合える存在ではない。しかし、今後より広く深く聴き進めたい作曲家の一人だ。2000.09.24記す。

バルトークの伝記をネットで検索していたら、ユニテリアンだという記述があった。ユニテリアンとは宗教改革から生じた小会派で、いわゆるキリスト教正統教義の父なる神、子なるイエス、そして(よくわからないが)聖霊の三位一体やイエス・キリストの神性を否定し、イエスの倫理的な教えや模範を重視している。バルトークの信仰と音楽にどのような関係があるのかは分からないが、カトリックを捨てユニテリアンを選んだという姿勢からみて、彼の内面生活に深く関係しているのではなかろうか?2003.03.05

バルトークがファシズムを避けてアメリカに亡命し、盟友だったコダーイがハンガリーに残ったというのは、このユニテリアンとの関係があるのではないか、という思いつき。


Iプロローグ

 ハンガリーの作曲家。20世紀音楽の中でもとくに独創的な作品を書いた。1881年、ハンガリーのナジュセントミクローシュ(現ルーマニアのシンニコラウ)で生まれ、母にピアノの手ほどきをうける。プレスブルク(現スロバキアのブラチスラバ)と、ブダペストの王立音楽アカデミーで音楽をまなび、1907〜34年には母校でピアノをおしえた。34〜40年にはハンガリー科学アカデミーの会員をつとめる。40年、ファシスト政権の弾圧をさけてアメリカへの亡命を決意。41年からニューヨークのコロンビア大学で民謡の研究に従事しながら音楽教師をして生計をたてた。しかし生活はくるしく、45年、白血病のためニューヨークの病院で死去。

II作品

バルトークは生前、故国の作曲家リストとフランスの作曲家ドビュッシーの影響をうけたとみとめていた。初期の交響詩「コッシュート」(1903)はリヒャルト・シュトラウスの管弦楽法の影響がみられる。

1905年ごろ、一般にハンガリー民謡とされている音楽が、じつは中央ヨーロッパの伝統的技法で編曲されたロム(ジプシー)の音楽であることに気づく。友人の作曲家コダーイと協力して、ハンガリー民謡をはじめとする民謡の体系的な収集と分析にのりだした。収集の成果はマジャール民謡2700、マジャール・ルーマニア民謡3500、トルコと北アフリカの民謡数百にのぼり、民謡集12巻にまとめられた。

バルトークが民謡を直接自作にとりいれていることはほとんどない。むしろ、バルカン半島とハンガリーの民謡の音階、旋律型、そして躍動的なリズムを吸収して力強い個人様式を形成した。作品はすべて調性をもつが、伝統的な手法はほとんどもちいないで、おおむね独自の手法で調性を確立している。音楽は大半が半音階主義的な手法(非和声音をもちいる手法)に依存しており、複数のメロディ・ラインがからみあい、おちついていくところに不協和音をおく、高度な対位法の技法もしばしばみられる。いっぽう、和音もつかいつづけ、ピアノや管弦楽の色彩的な音響を活用した。すぐれたピアニストとして、ピアノ練習曲も多数作曲した。150曲余りのピアノ曲を難易度順にならべた「ミクロコスモス」全6巻(1926〜39)は、作曲者の成長をあとづけた縮図といえる。同様の進歩をとる6曲の弦楽四重奏曲は、このジャンルにおいてベートーベン以来のとくに重要な作品とされる。

作品は上記のほか、ピアノ曲の「アレグロ・バルバロ」と「6つのルーマニアの民族舞曲」(1915)、オペラ「青ひげ公の城」(1911)、バレエ音楽の「木彫り王子」(1914〜16)と「中国のふしぎな役人」(1919)、「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」(1936)、バイオリン協奏曲第2番(1937〜38)、「2台のピアノと打楽器のソナタ」(1937)、「管弦楽のための協奏曲」(1943)などが有名である。遺作のピアノ協奏曲第3番は未完におわり、友人のティボル・シェルリが完成させた。

"バルトーク," Microsoft(R) Encarta(R) Encyclopedia 2000. (C) 1993-1999 Microsoft Corporation. All rights reserved.


主な作品

1904 「ラプソディ」(ピアノ用) Op.1

1905 「ラプソディ」管弦楽付き

1908 ヴァイオリン協奏曲第1番、14の「バガテル」Op.6、弦楽四重奏曲第1番Op.7

1911 オペラ「青ひげ公の城」Op.11 (B.バラーシュの台本)、「アレグロ・バルバロ」

1914-16 舞踊劇「木彫りの王子」Op.13

1915 ピアノの「ソナチネ」

1916 「ピアノ組曲」Op.14

1915-17 弦楽四重奏曲第2番Op.17

1918-19 M. レンジェルのパントマイム「中国の不思議な役人」Op.19

1921/22 ヴァイオリンとピアノのための2つのソナタ

1923 管弦楽の「舞踊組曲」 (ピアノ版もあり)

1926 ピアノ・ソナタピアノ協奏曲第1番

1927 弦楽四重奏曲第3番

1928 ヴァイオリンとピアノのための2つの「ラプソディ」、同管弦楽付き、弦楽四重奏曲第4番

1930 カンタータ・プロファーナ

1930-31 ピアノ協奏曲第2番、2つのヴァイオリンのための44の「ドゥオ」

1934 弦楽四重奏曲第5番

1936 弦と打楽器とチェレスタのための音楽

1926-39 ミクロコスモス

1937 2台のピアノと打楽器のためのソナタ (1940 同管弦楽付き)

1937/38 ヴァイオリン協奏曲第2番

1939 弦楽合奏のためのディヴェルティメント、弦楽四重奏曲第6番 

<1940年アメリカへの亡命を決意>

1943 管弦楽のための協奏曲

1944 無伴奏ヴァイオリンソナタ

1945 ピアノ協奏曲第3番(未完、補筆完成)、ヴィオラ協奏曲(未完、補筆完成)


☆管弦楽のための協奏曲 Sz.116 / 弦,打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106

○フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団 <1955,58年録音> (BMG BVCC-5045)

USAに移住したハンガリー系の名指揮者のひとり。セル、オーマンディなどこの世代のハンガリー出身者は、優れた音楽家を輩出したようだ。その時代的文化的政治的背景はどんなものだったのだろうか?オーストリアハンガリー二重帝国(1867-1918)の残照だろうか?

管弦楽のための協奏曲(通称オケコン)は、クーセビツキーの委嘱により作曲されたものだが背後にはライナーらハンガリ出身者がいたらしい。バルトーク最晩年の作品。晦渋さはなく、むしろ遊戯性が含まれ、非常に一般受けする要素が強い。学生時代から愛好し、エアチェックで数多くの演奏をテープ録音した。小澤ボストンの来日公演で、この作品を生で聞いたこともある。その他ドラティ、オーマンディなどハンガリー系の指揮者がこの曲を得意としている。

☆管弦楽のための協奏曲 Sz.116

○ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団<1965/1/15&16,セヴェランス・ホール> (SONY SRCR2556)

 フィナーレにセルによる「恣意的な」カットがある(ゆるやかな「夜の音楽」の部分)が、それと気づかないうちに爽快に終わる。精度の高い名演。新しいヘッドフォンで聴くと余計音色の繊細さ、多彩さがわかる。序奏冒頭の弦楽器群や悲歌の部分など。精密さは、終曲のフガートの部分で堪能できる。併録は、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。シンフォニエッタ第3楽章には、ベートーヴェンの「皇帝」第1楽章の第1主題に似たエピソードが引用?

○クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団<1944/12/30,ボストン シンフォニーホール、放送実況録音> (NAXOS 8.110105)

委嘱者による初演時直後の放送録音。どこかに感想を書いた記憶がある(ヤフーの掲示板?)が、思いのほか鮮明な録音であり、クーセヴィツキーが常任当時のボストン響、それも第2次大戦中の悪状況下での実力を思い知らされる。初演時にすでにこのようにレベルが高く作品の魅力を引き出した演奏が行われていたとは!フィナーレは、もちろん初演版。その後、ライナー盤などの現行版に改訂されている。

併録は、同じクーセヴィツキーが委嘱したラヴェル編曲の「展覧会の絵」(残念なことにプロムナード一曲、古城、ヴィドロが欠けている)。

バルトーク 管弦楽のための協奏曲のフィナーレ

初稿(第一版)と改訂版(現行版)の違いが気になったので、クーセヴィツキー/BSO盤とライナー/CSO盤を聴き比べてみた。バルトークづいている最近だが、この曲を聴くのは久しぶり。フィナーレは相変わらず爽快な運動性をもった音楽だ。で、結局、あまり違いは分からなかった。何しろ、セル/CLOの有名なカットにさえ気が付かなかったほどだから。

ただ、ヘッドフォンで聴いたのだが、ライナー盤の以外な音質の悪さに驚いた。ステレオ録音だが、何しろ1955年のものなので、音像が不自然だし、音が微妙に途切れるように感じられるところがあるような気がする。また、フィナーレのアンサンブルも微妙にばらついている。それに比較してクーセヴィツキー/BSOの練度は大したものだ。初演直後のライヴ録音というのにこの難しそうなアンサンブルを完全にものにしている。

☆管弦楽のための協奏曲 Sz.116 / 舞踊組曲 Sz.106(全6曲)

○ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック<1972年録音> (CBS/SONY 30DC 710) 

超先鋭的な現代作曲家ブーレーズが、指揮者としてアメリカを中心に本格的に活躍し始めたころの録音。セルとは、1970年のクリーブランド管の来日公演に同行するなど、すでに指揮者としては、一流の存在だった。この録音当時は、なんとバーンスタインの後を襲って、名門ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督だった。しかし、このオケ・コンの演奏は、ライナーの熱さ、セルの精緻さ、委嘱者・初演者クーセヴィツキーの華麗な演奏に比べて、聴き劣りする。なかでは一番聴く機会のないCDだ。


☆ピアノ協奏曲第1番、第2番

○ポリーニ(p)、アバド/シカゴ交響楽団<1977/2,シカゴ・オーケストラホール>(独DG 471 360-2)

強面の曲と強面のピアニスト、オーケストラによる透徹した演奏。ただし、英文解説書にも書かれていたが、ポリーニのバルトーク録音はこれだけ。アバドもあまりバルトークに熱心ではないようだ。併録は、ストラヴィンスキーの「ペトルーシカ」からの3楽章。

☆ピアノ協奏曲第1番、第2番、第3番
    
SONY SBK87941 (\880+税)2003.10.01購入

○ブロンフマン(p)、サロネン/ロサンジェルスフィルハーモニック

米国ではグラミー賞を受賞した盤であるらしいが、再発のためか非常に簡素な解説が添付されているだけ。録音データも記されていない。第3番は、晩年様式のためか親しみやすい音楽になっている。

ブロンフマン
http://www.cc.rim.or.jp/~hironov/Pianist/Bronfman.html
http://www.operacity.jp/concert/2002/020616.html
イェフィム・ブロンフマン(ピアノ) Yefim Bronfman, piano
世界の一流指揮者、オーケストラから次々に指名を受け、今、最も充実した活動を展開するヴィルトゥオーゾ・ピアニスト。その素晴らしいテクニックとリリカルな音楽は、世界中で聴衆を魅了している。1958年旧ソ連タシケント生まれ。91年エイヴリー・フィッシャー賞受賞。室内楽にも積極的でスターン、マ、ズーカーマン等と共演。レコーディングはソニー・クラシカルと専属契約を結び、ソロ、スターンとのデュオの他、97年サロネン指揮ロサンゼルス・フィルとのバルトーク協奏曲全集がグラミー賞を受賞した。

録音データはRecorded : 1994/10/17,18 , Californiaとのこと。

このブロンフマン 長野のアスペン音楽祭の公開コンサートで聞いたことがある。セミナー参加の学生オケの卒業演奏をバックにしたもので、モーツァルトのハ短調だった。チョーリャンリンという中国系のヴァイオリニストも来ていた。

☆ヴァイオリン協奏曲第1番 Sz.36、第2番Sz.112
    
NAXOS 8.554321 (\790+税) 2003.02.26購入

○ジェルジ・パウク(Vn),アントニ・ヴィトゥ指揮 ポーランド国立放送カトヴィツェ交響楽団<1997/12/13-15>

ハンガリー出身でロンドン在住の名ヴァイオリニスト(といってもYAHOOで紹介されるまで知らなかった。2/25の朝日新聞夕刊に浜離宮朝日ホールでのパウクのリサイタル予定の記事が掲載、結構来日しているらしい)。この2曲の協奏曲は、なかなか入手できず、以前Y市の中央図書館でスコアを借りて視聴覚室で五島みどり、メータ/NYPのCDを聞いた。ミドリの演奏よりパウクの方が力が抜けていて自然体の演奏で、うるささがない。ヴァイオリンはストラディヴァリウスの名器を使用とのこと。

☆ヴィオラ協奏曲 NAXOS 8.554183 (\790+税) 2003.02.26購入
    ピーター・バルトークとパウル・ノイバウアーによる改版、編集版(1995)
    ティボール・シェルリーによりオーケストレーションと完成版(1949) Sz.120
    2つの映像 Op.10 Sz.46
    ティボール・シェルリー ヴィオラのためのラプソディー

○ホンメイ・シャオ(Va) ヤーノシュ・コヴァーチ/ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団<1997/4/6-13>

この曲は、以前よくFM放送をエアチェックしていた頃、ベルリンフィルの演奏会の放送で取り上げられたのを録音。確かヴォルフラム・クリストのヴィオラ、マゼール指揮だったと思う。中国出身(上海音楽院)のシャオ女史の演奏は、非常に音色が透明で美しい。ヴァイオリンに比べてヴィオラは野太さ、無骨さ、たどたどしさが感じられがちだが、まったくそのような欠点がない。

バルトークの同僚シェルリーのラプソディーはまさにラプソディックで楽しめる曲である。


☆弦楽四重奏曲 全6曲 

現在もっとも親しんでいるのが第4番、特にエネルギッシュな第5楽章が気に入っている。昨晩、1年越しでようやく入手したジュリアードSQの1963年録音のCD(このCDはコストダウンのためか、盤面が真っ黒で1、2の大きな文字とCD番号等の記号が印刷されているだけで曲目、演奏者情報がまったく入っていない!)で第4番の全曲を聞いた。

昨日書いたコメントでは、刺激的な音色だと書いたが、ハンガリーSQ,ABQを聞いた後から思い返すとそうでもなく、線的な絡み合いがよく聞き取れる演奏だった。これまでのCDでは全曲を続けて聞くことが多かったので、第5楽章は勢いだけで聞いてしまっていたが、こんな起伏のある曲かと改めて感じた次第で、恥ずかしい。

この後ハンガリーSQの第5楽章を聞いたが、比較して聞くと意外にも生々しい音色と迫力に驚いた。これは1961年の録音(私の誕生年だ)。モチーフの受け渡しも明快だし推進力もある。

最後にアルバン・ベルクQの録音を聞いた。前の2つに比べると角が取れた演奏。弦のデリケートな音色はよく出ている。これだけを聞けばバーバリズムは十分にあるのだが。また線的な面よりも響きの溶け合いが前面に出ているのか、モチーフの受け渡しのダイナミックな躍動感が少し不足。

結論的に言うと、ジュリアードの演奏を聞くことによって、その他の演奏の特徴に気づき、特にハンガリーのを再評価したいと思う。ジュリアードの演奏は啓蒙的で分かりやすいのかも知れない。

タイミング比較 2004.03.20 NEW!

○ハンガリー弦楽四重奏団 Hungarian String Quartet(Ungarisches Streichquartett)

独DG 457 740-2 (2枚組み) 2000年秋購入。

メンバー: Zoltán Szekely(1Vn), Michael Kuttner(2Vn), Denés Koromzay(Va), Gabriel Magyar(Vc)

1961年6月、9月 ドイツ ハンブルク ベートーヴェンザール

バルトークと親交があり、ヴァイオリン協奏曲を委嘱したり、ルーマニア民俗舞踊をヴァイオリンとピアノの二重奏に編曲するなどしたゾルタン・セーケイが第1ヴァイオリンを務める。聴きとおすには根気がいる難曲である。録音はステレオ初期で非常に古いが、ドイツグラモフォンの誇るORIGINAL-IMAGE BIT-PROCESSING(OIBP)のためか、非常にクリアーでヘッドフォンで分析的に聴いてもまったく不足のない音質にしあがっている。

アルバン・ベルクQの演奏と何度か聴き比べてみると、ハンガリーSQの方が音程が甘いように感じる。確信はないのだが。特に第5番あたりでそれを感じた。そのため、余計に難解な曲に聞こえるのかも知れない。しかし、これはアルバン・ベルクQの方が不協和音を美しく響かせ過ぎとも言えるかも知れない。むずかしいところだ。その意味でもジュリアードQの第2回目のCDと聴き比べてみたい。

○アルバン・ベルク四重奏団 

EU EMI 7243 5 75652 6 (2枚組み) (\1,090+税) 2003.02.26購入

メンバー: Gunter Pichler(1Vn), Gerhard Schulz(2Vn), Thomas Kakuska(Va), Valentin Erben(Vc)

<1983-1986 セオン福音教会>

ハンガリーSQのCDを購入以来何度かチャレンジしてきたし、横浜の市立中央図書館で宇野氏などが推薦していたタカーチュカルテットCDも聞いたけれど、なかなか耳になじまない。今夜は給料日で仕事帰りに廉価で入手できるというジュリアードカルテットの60年代の画期的録音を購入しようと横浜駅近くのタワーレコードへ出かけたがそれはみあたらず(HMVか新星堂ならあったかも)、替わりにこの名盤が何と1000円ちょっとで売っていたので買ってしまった。初出時は9000円(1枚3000円の3枚組み)くらいしたのではないか?たしかに20年近くは経過したが、自分など「同時代」の録音としていつもCD屋の棚で見かけて、買おうか買うまいかの候補だったのでつい最近の演奏という感覚だ。それが、2枚組みに編集されたとはいえ、たった1000円ちょっととは!

試みに4番を聴き比べてみたが、ABQのほうが残響が多めの録音。音色の多彩さ、かすかなフラジオレットなどはこの演奏の方がまさっているが、第5楽章フィナーレのリズムの切れは、ハンガリーSQの方に一日の長があるような印象だ。ともあれ、これらの難曲、聴き比べの楽しみができた。

ネットサーフィンをしてみたが、曲目の解説をしているページがほとんどない。トライしてみようか。

 

○ジュリアード弦楽四重奏団 

SONY(FRANCE) 5062312 (2枚組み) (\1,390+税) 2003.09.01購入

メンバー: Rober Mann(1Vn), Isidore Cohen(2Vn), Raphael Hillyer(Va), Claus Adam(Vc)

<1963.05.07&08:No.3, 10&14:No.6, 15&16:No.4, 21&24:No.2, 09.18&20:No.1, 23&26:No.5>

小冊子はフランス版、CDはMADE IN AUSTRIA. 「塔」通い何回目かでようやく入手できた。

バルトークの1番は、ハンガリーQ、ABQでも何度も聞いているのだが、今回が初めて聞くような気がした(記憶力がどうなっているのか)。2番は、スケルツォというか、激しい民俗舞曲的な楽章が印象的。ジュリアードQはここの奏者が相当巧く、声部の絡み合いなどの表現にあいまいさがない。

ジュリアードで【バルトークの第4】を全曲聞きなおした。漫然と楽譜を音にしているのではなく(このような難曲を漫然とはできないだろうが)、曲の構造を明確に伝えようとしている演奏だと思った。各楽章の仕組みがよく分かる。他の録音を繰り返し聞いてきたので、耳慣れたこともあるのだろうが。吉田秀和「私の好きな曲」バルトーク 夜の音楽を読んでいたら、この曲をバルトークの作品中、傑作と称える記述を読み、我が意を得たりと思った。

 


☆ピアノ作品集

アレグロ・バルバロ Sz.49

チーク地方の3つのハンガリー民謡 Sz.35a

15のハンガリー農民歌 Sz.55

ソナチネ Sz.55

民謡による3つのロンド Sz.84

ミクロコスモス Sz.107(抜粋)

6つのブルガリア・リズムの舞曲(ミクロコスモス第6巻より)

○バラーシュ・ソコライ(ショコライ) ピアノ <1989年録音> (NAXOS 8.550451)

シフ、ラーンキ、コチシュ等と同世代のハンガリーのピアニスト。ミクロコスモスは抜粋。店頭でみたが、NAXOSはソコライではなく、ヤンドーにピアノ作品全集をゆだねたようだ。

 

☆バルトーク ピアノ作品集

 ミシェル・ベロフ 1976年4月,6月  (EMI CLASSICS TOCE-3525 MADE IN JAPAN) 1650(税抜き)

愛読書の吉田秀和「私の好きな曲」にバルトークの「夜の音楽」があり、それを聞きたくて購入。ちょうど、吉田氏推薦のベロフ盤が購入できた。すでにNAXOS盤のソコライの演奏で、15のハンガリー農民歌と6つのブルガリア舞曲は所有しているが、この「夜の音楽」を含む「戸外にて」とソナタ、ポピュラーの6つのルーマニア民族舞曲が収録されている。ベロフの演奏は、非常にクリアな音色とわかりやすい解釈で、ソコライのものより聞きやすい。「夜の音楽」は、本当に不思議な音楽である。虫や鳥の鳴き声、聖歌?が交錯する。

 

☆シゲティ&バルトーク ライヴ・リサイタル

 ヨゼフ・シゲティ(Vn)、ベラ・バルトーク(Pf) 

1940年4月13日、ワシントン国会図書館でのライヴ録音 (VANGUARD CLASSICS COCQ-83796 MADE IN JAPAN) 1200(税抜き)
 ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」
 バルトーク ラプソディ第1番 Sz.86
 ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ
 バルトーク ヴァイオリン・ソナタ 第2番 Sz.76

バルトークのピアニストとしてのぬきんでた実力を実証する貴重なライヴ録音で、盟友シゲティとのデュオというのも凄い。これは以前参加していたBBSで話題になっていたもの。「夜の音楽」のCDを探していて偶然見つけた。ライナーノートによると、バルトークがファシズムを避けてヨーロッパからアメリカに亡命する直前の慌しい時期に訪米した際のリサイタルの記録だという。アセテート盤録音からの復刻だが、雑音も少なく、シゲティとバルトークの緊張感に満ちた音楽を味わうことができる。聞きなれた「クロイツェル」やドビュッシーのソナタで比較すると、バルトークの腕の冴えがよく分かる。シゲティも壮年期であり、技術的にも間然とするところが無い。ラプソディはハンガリー風の聞きやすい曲。バルトークの2番のソナタは相当の難曲。


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