ベートーヴェン その3 CD(第九)
☆交響曲第9番 別表にリストあり(EXCELファイル)
- メンゲルベルク/コンセルトヘボウ 戦前のライブ録音。指揮者の主観的な解釈を徹底した時代の貴重な証言。音が貧しく細部まで聞き取れないが、おそらく楽器法も変えてあるだろうし、テンポを大幅にいじっている。解説の宇野氏が指摘しているが、第4楽章のコーダでの減速は非常に奇異である。
- フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団
このライブ録音に前後してこの組み合わせでは数年間第9を演奏したらしい。そのうちの最後の一回を吉田秀和氏が幸運にも聞くことができたと自慢話を書かれていた。自慢するのは無理ないだろう。それこそ一期一会である。丸山眞男氏の「音楽ノート」という本には、フルトヴェングラーの生演奏を聞けなかったのが生涯の悔いだと書かれていた。この録音は多くの評者が決定盤扱いして、細かい傷などには触れないのがマナーのようだが、第三楽章のホルンのソロがめろめろなのはどうしても気になってしまう。このようなネガティブな点にも評論家は触れておくべきではないか? ただこの演奏を聞くたびこの交響曲が非常に巨大な伽藍または高峰であり、多くのヒューマニズムの思念がその中で展開されているのが実感される。その他の整った演奏では、このような超絶感は味わえないことは確かだ。超絶的な指揮者が一期一会の機会に成し遂げた稀有の演奏なのであろう。
- セル/クリーブランド
吉田秀和氏の「私の好きな曲」に前記のフルトヴェングラーのものと並んで推薦盤になっていた録音である。確かに誠実にベートーヴェンの楽譜をリアライズしているが、一鑑賞者としては歌手の魅力が乏しいことと、第3楽章の変奏曲で楽譜にないテンポのおおきな揺れがあること(これははっとするような効果があるが)が少々気になるところだ。また前記の録音と比べると小ぶりだという印象は否めない。
- 小澤/ニューフィルハーモニア
後年のように意志が徹底しないせいか、磨きすぎていないせいか、線は細いが音楽の意味が伝わるような気がする。
- バーンスタイン/バイエルン放送交響楽団、他
1989年のベルリンの壁の崩壊を祝っての記念演奏会の記録である。演奏者にベルリン分割にかかわった国の出身者が集めれている。バーンスタインはあえてFreude(喜び)が人類を兄弟にするというキーワードをFreheit(自由)に変えている。もともとシラーが当時の禁句であったFrehietをFreudeにしたという説もあるようだが、例のアウシュビッツのゲートの文句を連想させ、ユダヤ人バーンスタインとしてはドイツが統一されるのは単なる喜びではないという裏の意味をこめたかのように今となっては邪推できるような気がする。
- ベーム/ヴィーンフィル,ジョーンズ、トロヤノス他(1970年)(ウィーンフィル世界の名曲 VO0-004)2002/12/01記
2001年購入。少年時代憧れだったベーム/VPOの全集盤からの1枚。久々の第九コレクション追加。このところ古楽器のCDや、往年の全集が極端な価格破壊的な値段で再発売され、すっかりまともな価格でCDを買う気が失せてしまった。9曲がたったの2000円程度で入手できる。かつては一万円以上したものなのに。おそるべきデフレーションだ。文化的価値は金銭的価値とイコールではないとは言え、あまりにもショッキングである。ところで、この演奏、アンサンブルの縦の線が合わないことが多く、聞き辛い。各セクションが自発的ゆえに合わないというのと違い、残念ながら指揮者の指揮に問題があるといわざるを得ない。美しい瞬間はあるが。
- ガーディナー
昨夜、NHK プロジェクトXで群馬交響楽団の苦闘と第九演奏が取り上げられていた。先日、ジンマンの全集を買った際にCDで第九は聴いたが、そういえば、ガーディナーの第九はあまりじっくりと聴いたことが
ないと思い、CDラックから取り出して聴き始めた。第一楽章は、古典派様式のアレグロで快速で引き締まった音楽だが、サラサラと抵抗感なく流れて要点がつかめない感じ。スケルツォはモダンオケでも快速なテンポでキビキビと運ぶことが多いので、この演奏が取り立ててユニークという感じはしない。と思いながら聴いていたら、途中で寝入ってしまった。うたた寝だ。
先日まとめて中世、ルネサンスの音楽のCDコレクションをつまみ聴きしたのだが、中に名盤と言われるガーディナーのモンテヴェルディ「ヴェスペレ」があるが、このCDも最後まで聞きとおしたことがあまりない。同じことがJ.S.バッハの「クリスマスオラトリオ」にも言える。
ガーディナーの指揮のためだろうか?(2003.10.15)
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