マーラー Gustav Mahler (1860-1911)
☆交響曲第1番 ニ長調
○小澤/ボストン響 (PHILLIPS 422 329-2) 1987年録音
同じボストン響とのDGの録音の方が全体に生気があり好ましい。1987年録音は、第4楽章だけが空元気気味に騒々しい。
○ワルター/コロンビア響 LP
いわゆる一時代を画した決定盤。
○若杉弘/シュターツカペレドレスデン 1986年6月録音。 2004年10月29日 250円
小澤征爾と並んで世界的に活躍している(していた)指揮者の一人、若杉弘が常任指揮者!をつとめていたことがある名門ドレスデン・シュターツカペレを指揮した録音。1986年頃の録音だが、当時はまだ東西ドイツが分断されていたはずで東ドイツ側だった。ソニーの録音だが、西側のレコード会社が録音する場合、高名なシュターツカペレの名に恥じないように、多くの優秀なエキストラをかき集めたという噂(C.クライバーのトリスタンの時など)だが、このときはどうだったのだろうか?私の好みな克明な録音で、あいまいさはなく、非常に透明度が高い演奏だ。確かこの組合せで、ベートーヴェンの「英雄」もあったはず。
若杉は、ケルン放送交響楽団(WDR あのショスタコ全集の楽団)でも常任を務めるなど大変活躍した指揮者だが、現在は、日本での活動が主なようだ。本人の希望もあるのだろうが、もったいないと思うのは私だけだろうか?
☆交響曲第3番 ニ短調
○バーンスタイン/ニューヨークフィル (F00G 20347/8) 1987年録音
非常に美しい演奏。このような演奏とは対極的なのが、小澤ボストンのあっさりしたお茶漬けのような演奏。
☆交響曲第4番 ト長調
○小澤/ボストン響、キリ・テ・カナワ(S) (PHILLIPS422 072-2) 1987年録音
響きや薄く物足りない。カナワのソプラノは発声に癖があうようで好みではない。
○クーベリック/バイエルン放送響 LP
マイ・ファースト・マーラー。先日実家で聞き返してみたら、記憶の中で美化された演奏とは異なっていた。第1楽章などあまり洗練されていなかった。草いきれがすると誰か評論家の評があったが、その通りかも知れない。
☆交響曲第5番 嬰ハ短調
○アバド/シカゴ響 LP (リュッケルトによる歌曲が併録)
マーラー全集の頃のアバドは、非常に精悍で、いかにも現代的な精緻なマーラーを聞かせてくれた。リュッケルト・リーダーも大変美しい。
○クーベリック/バイエルン放送響 (POCG-9286) 1970年録音
この録音は、4番に比べて非常に精緻だ。有名なアダージェットも弦楽器の音色が実に美しい。クーベリックは父親のヤンが名ヴァイオリニストで、自身もヴァイオリンをよくしたらしく、オーケストラの弦の和声が非常に美しい。マーラー以外の他の録音でもそれを感じる。
☆交響曲第6番
○セル/クリーヴランド管弦楽団 (SONY SBK 47654) 1967年10月ライヴ録音 税抜き 890円。2003.09.01購入
ライヴ録音だが、正規録音。セルの正規盤としては珍しいライヴ。第4楽章の金槌の音に特徴があるらしい。「最後の一撃」という表現が、セルファンの人が運営するサイトの題名にあった。
☆交響曲第8番
○インバル/フランクフルト放送響 (60CO-1564→65) 1986年録音
2003年、ブリリアントクラシックスからインバルのマーラー全集が超廉価で売り出された。クック版の10番も入って11枚くらいで5000円しなかったと思う。
この8番の演奏は、何だか非常に味が薄い。オーケストラが豪華に鳴らないので欲求不満になる。
○ショルティ/シカゴ響 LP
シカゴ響がヴィーンに演奏旅行した際に録音されたものだという。
☆交響曲「大地の歌」
○クレンペラー/ニューフィルハーモニア管 、ヴンダーリヒ、ルートヴィヒ(TOCE-7022)1964年録音
言わずと知れた名演奏。本当にすごい演奏だと思う。クレンペラーのスタジオ録音の筆頭にあげる人が多いようだ。歌手もルートヴィヒとヴンダーリヒで美声で名唱を聴かせる。
○バーンスタイン/ヴィーンフィル (カセットテープ)
通常アルトで歌われるパートを、バリトンのフィッシャー=ディースカウが歌っている。
☆交響曲第9番 ニ長調
○ジュリーニ/シカゴ響
この頃、ジュリーニは、この9番のほかに、ドヴォルザーク、ブルックナーなど最後の交響曲を集中して録音していたように記憶する。
○バーンスタイン/ベルリンフィル (POCG-1509/10) 1979年録音
さまざまなエピソードが生まれた伝説の客演の記録。今は絶版らしいが 柴田南雄著の岩波新書版の「マーラー」に、この客演がNHKFMで放送されたときのことが書かれていた。
☆交響曲第10番 アダージョとプルガトリオ
○セル/クリーヴランド (1958年録音)
セルのマーラー録音は少ないが、これは貴重な1枚。非常に美しい演奏。
☆交響曲全集 (大地の歌を除く全交響曲、第10番のアダージョを含む)
○クラウス・テンシュテット ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(LPO) <1977-1986> CC25-2778〜92 15枚組み
(2003年6月購入 5000円)◆これまで、CDでは2番、6番、7番が欠番だったが、これで全部揃ったことになる。中古書店で格安の値付けで売っていたもの。第1巻から第4巻まであるが、解説書は第1巻にしか入ってなく、曲目も巻をまたがって収録されているので、全集を買わないと中途半端になるのに書店では別々に1250円の値段付けだった。3枚から4枚収納されていうのに。組ものも1枚ものも一曲なら1250円がレギュラープライスになっている。演奏の感想は日々雑録の2003年6月ごろを参照。一言で言えば、十分満足のいく解釈、演奏、録音。先日の朝日新聞の演奏時評に、伊東?という音楽評論家が、ハイティンクが指揮したPMF(パシフィックミュージックフェスティバル)オーケストラによるマーラーの第9番を題材に、ハイティンクという最もヨーロッパ的な指揮者と東洋系の若者がほとんどのオーケストラの微妙なずれを指摘していた。これはつとに感じていた小澤のマーラーとテンシュテット、バーンスタインのマーラー演奏の微妙な差と共通する問題のような気がする。東洋人が西洋音楽に深く取り組めば取り組むほど見えてくる見えないが大きい壁の存在。
◆マーラー全集と言っても、ブリリアントレーベルのインバル指揮フランクフルト放送響の激安全集やその他メジャーレーベルでも輸入ボックスセットが激安で入手できる昨今、かつてのフルプライス盤を中古で安く揃えてもそれほど絶対額としてはお得感はないが、昨日近所のブックオフを覗いたら15枚もの37500円のテンシュテット指揮ロンドンフィルのマーラー交響曲全集(大地の歌は収録されていない、10番アダージョは収録)が揃っており、トータル5,000円で入手できた。
昨夜1番と2番を聞いた。すでに惜しくも故人となったテンシュテットだが、一時期活発に活躍していたころはFM放送などでベルリンフィルなどによく登場し、熱い指揮ぶりが印象に残っていた。
CDで聴く彼のマーラーも熱気が感じられる。もともとそういう音楽ではあるのだが、1番と2番のフィナーレの演奏には私も興奮した。しかし細部や音響に惑溺することなく、全体の見通しがいい。アバドの精緻なマーラー、小沢のスタミナ不足のマーラー、バーンスタインの細部に凝った耽美的なマーラー、乾燥したインバルのマーラー、クーベリックの細部に拘泥しない健康的なマーラーなどなどあるが、テンシュテットの盤は、録音があまり明快でないのは惜しいが、よくバランスが取れている。その後調べて見ると、テンシュテットは「大地の歌」もロンドンフィルとスタジオ録音しているようだ。また、いくつかのライブ録音も残している。
昨夜は、第6番「悲劇的」と第8番の第1楽章を聞いた。第8番は、ショルティとシカゴ響がヴィーンで録音したLPとインバル/フランクフルト放送響のCDで聞いてきた。ショルティのはほとんど聞く機会が今となってはないが、インバルのは時折聞く。しかし、欲求不満が大きかった。前にも書いたが、音質がどうもざらつき気味でスケール感や熱気に欠ける。有機的な一体感というより、無機的な疎外感を覚える。まだ第1楽章のみだが、テンシュテットのものは、そのような不満を補って余りあるもののように感じた。主題を明瞭に提示、再現しているので形式がよく把握できるし、合唱が結構オンマイクなので音響も豊か、熱気もある。GOOGLEなどで検索してみると日本語サイトでもテンシュテットのマーラーを特集しているページがあった。吉田秀和氏が、同時期に出たレヴァインのとテンシュテットの第9番を比較してレヴァインを評価したという記録もあり面白かった。
この土日で第4番を聞いた。私のマーラー入門曲で、クーベリックのLPで楽しんだ曲。その後小澤/BSOのCDが発売されたときにすぐにもとめたのだが、これが隔靴掻痒の演奏で、小澤への不信感のきっかけともなった。テンシュテットの4番は、クーベリックのほど明快ではないが、小澤のほど神経質ではない。第1楽章は低弦の鳴りがあまり良好ではないが、テンポの切り替えは見事。全体的にはおっとり型で、しばらく聞いていないクーベリックに似ているような気もする。この曲に限らず、テンシュテットのメロディーの歌わせ方は一番しっくりする。
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