Dmitry Shostakovich(1906-1975)
ソビエト社会主義共和国連邦の代表的な作曲家。しかし、その生涯は、スターリン独裁に脅かされ、粛清の恐怖さらされたものだった。交響曲は、政治色が強いという先入観からか純音楽的な楽しみをスポイルされ気味である。
2003/03/01 音楽之友社「作曲家別名曲解説ライブラリー ショスタコーヴィチ」を市立図書館より借り出して来て、解説を参照しながら、改めてじっくり聴きなおそうとしている。これによると下のコメントで私が否定的に評した作品(No.2,3,11,12など)も高く評価されていて驚いた。(寺原伸夫氏の解説)
☆交響曲全集(全15曲)
○ルドルフ・バルシャイ指揮 WDR(ケルン放送)交響楽団 添付解説書
ブリリアントクラシックス 6324 11枚組み (2,890円) 2002.03.16購入
紙ケース入りのため、プラスチックケースに比べて約半分の薄さ。大部の全集はすべからくこうあるべし。
2002年春日本初出。初出最新録音で1枚300円以下という超お買い得盤。録音、演奏ともレギュラープライス盤に勝るとも劣らない水準の高さ。何ゆえこのように廉価で発売できるのか?後日、吉田秀和がザンデルリンクと比較しながら朝日新聞「音楽展望」で取り上げた(4/23 付け夕刊)。ショスタコーヴィチの生涯と作品は、ソヴィエト連邦というマルクス・レーニン主義を掲げた20世紀の実験的な国家とは切り離すことができない。この交響曲集にしても、機会音楽、映画音楽的なソ連的に浅い内容のものから深遠な内容の問題作まで範囲が広い。一度は聴きたかった作品群ではあるが、ハイドンのそれのように至福を感じさせはしない。絶えず緊張と苦味を味わわされる。なお、ケルン交響楽団は、かつて若杉が指揮者をつとめ、日本人奏者としてはコンサートミストレスの四方(しかた)恭子、首席コントラバス奏者の某氏、そして今は退団したようだが、オーボエの宮本文昭が所属するなど日本と縁の深い楽団。ギュンター・ヴァントもよく指揮をした。なお、第2楽団もあるようだ。 2002.05.11記す
●第9番 変ホ長調 Op.70 1945年8月完成、11月初演(成功)
交響曲の歴史上、第9番は特別の意味を持ってきた。それは、ベートーヴェンの第九に由来する。ブルックナーは大作第9番を完成することなく、マーラーは大地の歌に第9番を与えず、畢生の傑作第9番を完成ののち、第10番作曲中に死去した。ソ連当局は、ショスタコーヴィチの第9に多大な期待を寄せていたようだが、それに肩透かしを食らわすように、彼の第9は、重厚さ、長大さ、崇高さ、深遠さとは対極的なわずか30分に満たない軽妙な機智に富んだ作品をものした。このレコーディングは、ジャケットのデータによると、時間を掛けたものらしく、1995年7月12日から14日、同年9月14日、1996年4月26日と数回に分けて収録もしくは修正用の録音が行われたようだ。
●第10番 ホ短調 0p.93 初演1953年12月17日
1953年3月5日 ソ連の独裁者スターリン死去。スターリン治世の圧迫、悪魔的暴君スターリン、ショスタコーヴィチ自身、そしてスターリン後の希望を描くというプログラムを持つ音楽だという。粛清の恐怖に絶えずさらされていた作曲家にとって、暴君の死は、非常に意味深かったことだろう。音楽をそれとして聴くかどうかは別にして、第9番の軽やかさとはまったく異質の重苦しさが漂う曲である。●第1番 ヘ短調 Op.10 1926年作曲。
サンクト・ペテルブルク音楽院でグラズノフに師事し、その卒業作品として作曲されたもの。あのブルーノ・ワルターがこの作品を大変高く評価したとかつて何かで読んだか聞いたかしたことがあり、特に印象に残っている。
☆交響曲第5番
○レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨークフィルハーモニック (CBSソニー)
東京文化会館でのライブ。名盤として声価が高いが、LPで聴きなれたスクロバチェフスキー/ミネソタ管弦楽団に比べると面白みに欠ける。2002.05.11記す
○スクロヴァチェフスキー/ミネソタ管弦楽団 LP
ショスタコーヴィッチ入門の音盤。中学生の頃から何度も聞いた。最初は、小難しい音楽だと思っていたが、そのうち第4楽章の勝利の行進に親しみ、次第に他の楽章も耳に入ってきた。スクロヴァチェフスキーは近年話題の指揮者であるが、この録音は相当初期ものもの。全然古臭くない。なお、彼はセルのもと、クリーヴランドでアシスタントを勤めたこともあったと、本人がインタビューで語っていた。
☆ピアノ協奏曲第1番(ピアノとトランペット、弦のための)Op.35
同第2番ヘ長調Op.102
交響曲第1番Op.10
ミハイル・ルディ(Pf)、マリス・ヤンソンス指揮ベルリンフィル、ロンドン・フィル(ピアノ協奏曲第2番のみ)
ピアノ協奏曲No.1&交響曲No.1:1994年6月、ピアノ協奏曲No.2:1997年4月
(EMI CLASSICS 7243 5 75886 2 MADE IN THE EU) \990(税抜き)
ディズニー映画「ファンタジア2000」(DVD)の中でアンデルセン原作の「錫の兵隊」がアニメーション化されており、その音楽がショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番だということで、子ども達が原曲を聞きたがり、廉価盤を探して購入した。ただ、指揮者はマリス・ヤンソンス、オケはベルリンフィルで、おまけに交響曲の第1番もついており、大変なお徳用盤だった。ルディ(ラディ?)は、ソ連生まれで、ロンティボーで優勝したのち、フランスに亡命したのだという。アニメ化された曲は耳馴染みになったが、ピアノ協奏曲はこれからだ。交響曲第1番は、バルシャイ盤との比較をしてみよう。
☆弦楽四重奏曲全集(全15曲)
○ルビオ・クァルテット Rubio Quartet ブリリアントクラシックス 6429/1-5 5枚組み (\1,990+税) 2003.02.26購入
通常のプラスチックケース入り。英文解説書付き(ルビオクァルテットの紹介。曲毎の解説)。
ベルギー出身の弦楽四重奏団。イギリスの通称「ルビオ」(赤髪)氏の製作した現代楽器を使用していることが団体名の由来とのこと。
録音:2002年4月から9月 ベルギー Church in Mullem
奇しくも交響曲と同じ曲数の弦楽四重奏曲。昨年話題になったバルシャイの交響曲全集に続いて、今年はやはり新録音初出の弦楽四重奏曲全集の登場である。交響曲全集の極端な安値には比べるべくもないが、それでも1枚400円程度。なお、このクァルテットは、この録音の前にも別レーベルでショスタコーヴィチの四重奏曲を何曲か録音しているらしい。
まだ第1番を聞いてみただけだが、先の世代のバルトークの同じジャンルの作品が、鑑賞上も難曲揃いなのとは違い、平明な作風である。ただ、ショスタコーヴィチが自分の個人的な思いをこのジャンルに託したということなので、番号が進むにつれて「粛清」の恐怖などがまざまざと書き付けられているのを聞くのかも知れない。
多くの作品の初演団体であるベートーヴェン弦楽四重奏団の録音は残っていないのだろうか?
- ハ長調 Op.49(1935) CD5
まだ内面の吐露という状態ではないのだろう。非常に平明で明るい。20世紀の曲らしくない。
- イ長調 Op.68(1944) CD1
近代的な響きはするが、バルトークに比べれば、よほど耳に馴染みやすい。第1ヴァイオリンが活躍。フィナーレの変奏曲はロシア的なメロディー(民謡的)をテーマにしている明快なヴァリエーションである。
- ヘ長調 Op.73(1946) CD2
- ニ長調 Op.83(1949) CD4
- 変ロ長調 Op.92(1952) CD3
- ト長調 Op.101 (1956) CD4
- 嬰ヘ短調 Op.108(1960) CD2
- ハ短調 Op.110(1960) CD1
この作品群のなかで屈指の傑作という世評の作品。暗い暗いと脅かされるれるが、それほどではない。しかし、第1楽章と、第4楽章、第5楽章(フィナーレ)がLargoという構成は異様だ。嘆きの歌の連続という風情。
- 変ホ長調 Op.117(1964) CD2
- 変イ長調 OP.118(1964) CD4
- ヘ短調 Op.122(1966) CD3
- 変ニ長調 Op.133(1968) CD3
- 変ロ短調 Op.138(1970) CD1
Adagioの単一楽章で約20分かかる。不協和音や、バルトークピチカート的な効果音も奏され、これぞ暗さの極致である。- 嬰ヘ長調 Op.142(1973) CD5
- 変ホ短調 Op.144(1974) CD5
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