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マンティコア Manticore

◆インドの人食い怪物
マンティコアはマンティコラ、マンティコラスなどとも称されるインド生まれの怪物です。森林に住処を構え、しばしば人間を襲ってはその肉を喰らいます。もちろん実在しない、架空の怪物なのですが、プリニウスやアリストテレスといった著名な学者たちによって、しばしばその生態が報告されてきました。
プリニウスの「博物誌」によれば、この怪物はエチオピア(今のアフリカ北東部)に棲む存在で、櫛のように噛み合う3列の歯とライオンのような大きな身体、サソリのような尻尾の持ち主だとされています。目は灰色(もしくは青色)、身体は血のように赤く、尻尾の先には無数のトゲが生えています。このトゲの先端には致死性の毒があり、しかも着脱可能と来ているので、ぶん回すだけでも強力な武器となります。この「武器」は何度でも再生が利きますので、迂闊に近づくと再びその攻撃を受ける羽目に陥ります。


◆マンティコアの起源
マンティコアがどのような伝承を元にし、どのような経緯で作られていった怪物なのかは、あまりよく分かっていません。紀元前4世紀ごろ、歴史学者クテシアスの歴史書「インド誌」に突然登場して、その存在が知られるようになりました。
恐らくは、インドやマレー半島に棲息していた人食いトラの伝承が、架空の怪物という形を取って遙か遠いギリシアに伝えられたのではないかと思われます。マンティコアという名前も「人食い」を意味するペルシャ語Martiya-Khwarに由来するもので、この言葉はベンガルトラを差す言葉としても使われます。
あるいは、沙漠や森林に潜む危険性を、あえて架空の怪物に仮託することで、人々にその恐ろしさを思い知らせようとしたとも考えられます。人を食う虎と、毒で人を殺すサソリは、当時の人々にとって最も分かりやすい「脅威」の形であったことでしょう。
なお、この怪物は、人々を襲うときその肉のみならず、骨も服も荷物も全部囓り尽くして、一切の痕跡を残しません。だから、村から誰かの姿が消えれば、それはマンティコアのしわざであるとされました。


◆マンティコアのイメージ
マンティコアはグリフィンやユニコーンほどではないものの、しばしば姿の美しさから紋章に使用された怪物のひとつです。フランスの作家ギュスターヴ・フローベルは、1874年に「聖アントワーヌの誘惑」という小説を発表しましたが、その中に登場するマンティコアは、瘤状の尻尾を持っていました。以降、マンティコアと言えば瘤状の尻尾を持つものというイメージになっています。
心理学では、この怪物は冷徹な合理主義者を表します。人間性と獣性を併せ持ち、その先に控えるものをすべて囓り尽くしてしまうというイメージから来るものでしょうか。



■亜種・別名など
マルティコラス/マンティコアス/マンチュア





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