手芸部探訪記

2003年8月29日


ワタナベ・コウさんの手芸部に参加しました。

その時の体験記です。

おーたに::2003/10/22

Crazy Yang』Vol.2のボツ原稿です。捨てるに忍びなくひっそり掲載

 私は裁縫が嫌いだ。面倒だし、肩が凝るし、下手だし、どれを取ってもいい事がない。そんな人が何故手芸部に?いやいや、そんな人だからこそ、思い立ったら手芸部に。裁縫に対するイメージがきっと変わってくると思う。

 大阪手芸部はクロバー株式会社で開催された。受付を済ませ、本日作成する型紙を受け取る。クロバーをずっとクローバーだと思っていた事は内緒である。

 キョロキョロしながら自分の名前の貼られたミシンテーブルにつく。受付の横には、Crazy Yang(クレヤン)、ポチさんコウさんの本、手芸用品、型紙などがずらりと並び、教室にはクレヤン創刊号に掲載されていた服が展示されて いる。

 それらを見ながら歓談している人、既に作業を開始している人、ミシンを使っている人、みんな楽しそうだ。使ってる裁縫道具も、私みたいな百円均一商品の寄せ集め、しかもほとんどサラピン(新品)で〜す、なんてもんじゃない。

「この人たちは手芸部に参加すんのは何回目やろ?きっと服も何枚かは作ってはるんやろなぁ。あー、なんか私、場違いや・・・」

 いかに「超初心者歓迎」と書いてあったとはいえ、私のレベルは低すぎるかもしれない。丸一日、何ひとつできなかったら、まったく面白くなかったら、究極は仕事している方がええわって思ったら、「うわ〜」不安の渦がどよどよと押し寄せてくる。

 ミシンは一人一台あるようだが、ミシンを使うのは高校の家庭科以来。その時に作らされたスカートは出来栄えも点数も悪かった。傷心の私はどんどん裁縫から遠ざかっていった。

 最近では裁縫嫌いの名に恥じず、針を持つのは年に数回あるかどうか、アイロンに到っては何年も使ってない。着る服さえ選べば、意外にそういう生活は難しくない。

 そもそも私が何故手芸部に参加しているのか?直接的にはミシンを買ったから、間接的には「きもの」にハマったからだ。

 きものや足袋が作りたくて買ったミシン。先述の通り裁縫から縁を切ってる私だ。和裁はおろか洋裁の事もまったくわからない。何とか簡単に裁縫の事を勉強できないかと、インターネットで検索して辿り着いたのが「コウドットコム・クイックソーイング」だった。

 折しもクレヤン増刊号は「木綿の着物」。きものにハマっている私にはタイムリーな特集だ。私は即クレヤン会員になった。そして大阪手芸部開催告知。仕事のある日だったのでちょっと躊躇したものの、結局は申し込んだ。期待と不安、半々だった。

 コウさんの挨拶、スタッフの皆さんの紹介が終わり、いよいよ作業開始。
「裁断を済ませてない人は奥の教室で裁断をしてください。アイロンとロックミシンは真ん中の教室にあります。各自作業を開始してください。わからない事があったら何でも聞いてください」

 プチン。ミシンの電源を切り、別れを告げる。「今日、再び君と逢うことは無いかもしれない。さらばだ。」ミシンに別れの台詞を言ってる場合じゃない。そそくさと裁断部屋に移動した。

 裁断部屋では5,6人の方が布を裁断していた。みんなサクサク作業を進めている。私もクレヤンを広げ作業を開始するが、ついついスタッフの方に質問攻めをしてしまう。

 型紙の置き方。布の方向。待ち針の止め方。ノッチの入れ方(私はノッチは「△」に切り取ると思っていた)。情けない事に「おいおい、こんな所から説明しなくちゃいけないの?」ってな事まで聞いていたかもしれない。しかし気さくなスタッフの方は嫌な顔せず、丁寧に親切に、そして適切なアドバイスをしてくださった。嬉しかった。

「絣風かな?和調で良い感じの生地ですね」
 参加者の方から声をかけられた。誉められると嬉しい。参加されてる方の生地を見るも又たのし。みんな何を作ってるんだろうなぁ。よそ見をしている余裕は無いんだけど、ついつい見入ってしまう。

 午前中は裁断で終わった。布を切ったものの、どれがどこのパーツなのか、どんな風に繋がっていくのか、いまいち想像がつかない。これからこの布切れ達がどんな風に変わっていくんだろう?お楽しみはこれからだ。わくわく。

 お昼は昼食をとりながらみんなでお喋り。布屋さん情報、クレヤンの話、今まで作った服の話・・・。もっと話を聞きたかったなぁ。
 昼食を食べ終わると、三々五々、作業に戻っていく。出会いもまた手芸部の楽しみのひとつだと思う。またどっかでお会いできるといいな。

 さて、昼の部のはじまりだ。昼からの作業の第一は、接着芯を布に貼り付ける所からはじまった。アイロンを使うのは何年ぶりだろう?緊張する。そして教えていただきながら、ひとつひとつ作業を進めて行った。

 アイロン定規、ロックミシン、ステッチ定規、ループ返し、どれも初めて使うものばかり。それぞれの道具は使ってみて初めて「へ〜、便利なモンだなぁ」と実感した。

 特にロックミシンは嬉しかった。
「ロックミシンで何ができるのか?普通のミシンとどう違うのか?」
それらは、常々疑問に思っていた事だった。よもや自分の技量でロックミシンを触らせて貰えるとは!密やかにロックミシンはベテランしか使えないもんだという刷り込みがあった。

 そして、ついにミシンとの再会。十数年ぶりのミシンだ。恐る恐るフットペダルを踏む。ミシンの右端の丸い所(はずみ車?)をクルクル回した方が速いんとちゃうか?というスピードで、まずはポケットが付いた。たったそれだけの事なんだけど、とてもとても嬉しかった。
「私が初めて付けたポケットだよ!」

 余談だが、これからミシンの購入を考えている人は、手芸部に来て一着服を縫ってみるといい。そうすれば自分の欲しい機能がわかり、購入のポイントが見えてくると思う。

 リッパー君が登場する事もあったが、その後、とんとん拍子に作業は進んだ。クレヤンを読んだだけでは、今ひとつピンと来なかった文章が目の前で繰り広げられ、実行されていく。一枚の布だった物が、裁断され、バラバラだったパーツが繋ぎ合わされる。目の前で布が服に変わっていく姿を見るのは、とても興味深く、面白かった。

 周囲では続々と「できあがりました〜」の声が挙がる。そうかみんな完成していってるんだ。すごいな〜。そして「着てみてコール」。どうやら完成作品の試着、お披露目は恒例行事らしい。着替えてきた参加者の方をみんな拍手で出迎える。
「いいなぁ。次はあんなのも作ってみたいなぁ。」

 ちなみに、今回私が作っているのはクレヤン創刊号のアロハシャツ。自分ではプラモデルの初心者が大阪城(1/200スケール)に挑戦しているようなものだと思っていた。
「まぁ裁断までできたらええほうやろ」
予想に反し、私の大阪城は片方の袖を付ける所までできていた。

 裁縫が嫌いで、ボタンが取れたら、全部取っちまうか、ボンドで付けちゃえ、裾が落ちたら、両面テープで貼っちゃえ〜と思っていた私が、ここまでできるなんて・・・、感慨無量。クイックソーイング、侮りがたし。いやいや、これはコウさんやスタッフの皆さんのご尽力の賜に違いない。大感謝なのだ。しかも最初の憂いはどこへやら、楽しく、飽きる事無く、あっという間の一日だった。

 手芸部に参加して、少し裁縫に自信は付いたものの、やはり裁縫は苦手だ。面倒な所もある。でも服を作る事は、楽しく、面白かった。

 そして参加してみてわかった。裁縫は布から服を作る物作りなのだ。物を作る事は大好きなのに、どうして裁縫を敬遠していたんだろう?今まで勿体無い事をした。

 家に帰って片方しか袖の付いてないアロハシャツを羽織ってみた。嬉しい。知らずと顔がにやけてしまう。アロハシャツが出来上がったら、次は何を作ろう。今度こそ、きもの?足袋?長袖のシャツ、チャイナ・・・野望は広がるばかり。

 私の服作りははじまったばかりだ。


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