献血ささやき

1999年5月26日-30日

なお、文中の名前、団体名は一部フィクションです。


 ずっと、献血がしたかった。

 私はもう16歳ぐらいには抗生物質漬で、献血なんてとんでもないって身の上だったのだ。その原因はニキビなんだけど、昨年ぐらいから徐々に減少の傾向にあり、今では不摂生をしない限りは発生しないようになった。長年通いつめた皮膚科をとんずらして、ぼちぼち一年。今はもう薬に頼った暮らしはしていない。ふっふっふ、ついに長年の望みを叶える日が来たのだ!

第1ラウンド:5月25日

 意を決して献血ルームに足を運んだ。献血ルームは5時30分まで。おーたに到着時間5時50分。しおしおと献血を断念する。負け犬である。

第2ラウンド:5月26日

 会社の友人、アンリシャルパンティエ公爵は献血経験者だ。どうやら一緒に足を運んでくれるらしい、レッツ再チャレンジ。梅田の1ビル1Fの献血ルームへGO!

 くどいようですが、献血ルームは5時30分まで。我々の到着時間は5時34分。が、4分ぐらい何とかならんのか!と思うのが人情。が、どーにもならんかった。負け犬である。

 私の誠意は?善意は?なんだか「もう受け付け終わってますから!」って、軽くあしらわれたのも癪に障る。ホントに愛の献血のなのか?むくむくと湧き上がる疑問。

第3ラウンド:5月27日

 リベンジである。更衣室で一緒になった、たいやき王妃を置き去りにアンリシャルパンティエ公爵と私は走る!到着時間は5時25分。勝ちだ。

 「今からでしたら全献血のみになります。」

 「はい」

 問診表にふにゃふにゃと記載。問診でアンリシャルパンティエ公爵が帰ってくる。

「どしたん?」

「昨晩、薬を飲んだんですよ。市販薬だったら良かったんですけどねぇ」

 アンリシャルパンティエ公爵、落ちる・・・。

 私は問診はクリア。そして血液検査。

「うーん、微妙なところですね。機械で計ってみましょう。」

「おーたにさん、問診へどうぞ。今回は献血はご遠慮いただきます。」

 おーたに問診へ。じーさん先生、飴をなめとるぞ。飴を出そうとするじーさん先生に

「飴、なめたままで結構ですよ」と、わたし。下手に出す方がきしょいわい。

「すみませんねー。あー、おーたにさん、血液比重が11.7なんですよ。献血は12.0からなんです。これは決して不健康だからというわけではありませんから。」

「はぁ・・・」

「成分献血だったらできるんですが、もう今日は終ってますからねぇ」

 おーたに、落ちる・・・。今回も負け犬である。

「おーたにさん、はい。これを今度献血される時、持ってきて下さい」

 貰ったモノは謎のバーコード。献血手帳くれないんだったらくれないんで良いのだけど、このバーコード、いつまでも持ってられないよー。しかもなんかすごーく事務的。なんとなく、ここでは献血したくないなぁって思ってしまった。どこも同じなのかなぁ?

第4ラウンド:5月29日

 今日は我が家でお好み焼き。わーい。たっぷりお腹一杯食べた後、アンリシャルパンティエ公爵、たいやき王妃と一緒に再度献血ルームへ。今日はたくさん食ったし、イケルのではないかと甘い期待(いや、そういう問題じゃないんだけどねー)。

 てくぽく歩く。今日は良い天気だよ。受付にて、またもや時間が遅く、全献血のみである事を宣言される。アンリ公爵(長いから省略ぢゃ)諸チェック、クリア。たいやき王妃、機械チェックの後、クリア。私?わたしは?なんか謎のバーコードのせいで手続きに手間取るおーたにであった。なんか、役に立たないバーコードくれるんじゃない!ぷんすか!

「おーたにさーん」

「はい」

「だめだった。ごめんなさいね。ジュースだけでも飲んでいってね。」

「はい。(しおしお〜)」

負け犬である。

 ふと献血ルーム雑記帳がある。二人を待つ間、ぼんやりと眺める。

・今日はー献血にきたけどー、血圧でひっかかりました。なんでやねーん

・ひまなので献血してます。オレだけかなぁ。

・予防接種を控えた子供に、注射は怖くないよーって見せようと献血に来ましたが、出来ませんでした。

・旅先でふらりと献血ルームに行くのが楽しいです。土地によって雰囲気が違います。

・kinki kidsのポスターもらったー。うれしー。でも献血はできませんでした。

・友達の○子と来ました。○子も私も検査落ちしました。BAT、○子は同じ名前の人と看護婦さんが名前を間違えて、今献血してます。(これってやばいんちゃうん???おーたに)

 なんか受付のおねーさんが、赤いボールペンと持ってきてくれた。

「今回は残念でした。また来て下さい。ジュース、飲んでいって下さいね」

 はい、また来ます。次は必ず献血してみせます!と眼に星をまぶして(キラキラ)言いたくなった。やはりこうでなくてはいかんのでは?1ビルの献血ルームの対応っていかがなモノかと思うぞ。ジュースのジの字も言わなかった。はよ、帰れと言わんばかりだったものさ。ぶー!

 公爵、王妃ともども、袖をまくりあげ、

「ほーれほれほれ、これが献血の証だよーん!」

などと、私に腕の針痕をみせつける。ふん、わしだっていつか必ず・・・。

第5ラウンド:5月30日

 明けて翌日。外は上天気。今日は友人宅にて子守などをさせて貰う予定だったが、お姫様のご機嫌が麗しくなく、取りあえず延期に。

 昨日、いつか必ずと誓ったが、いつかはいつまでもやって来ない。思い立ったが吉日。そうだ。昨日だって、成分献血は・・・

つづく


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