アミールを組み立てた後は、蛍光灯のみ点頭させ、ドアを外して蘭を置いて置きました。そして、梅雨前になってくると、昼間は時折30度を越え、夜の気温も20度を切らなくなってきます。体感的には、まだまだ、外でもやってゆけそうではあったのですが、5月の下旬にアミールを稼働始めました。正方形のスペースは意外と広く、今まで使用していたクールシステムは、今年は使わない事にしました。内部には、可動棚が3つありますから、1区画の高さは低くはなりますが4区画作ることができます。
網棚を一部外して、2区画を使えば、高さのある蘭も置くことが出来ます。いかんせん、この時期は、ディサが花芽を伸ばしてくる時期です。蘭を置いたままでも、細かく棚の位置を変えることの出来るこのシステムのおかげで、花芽の長さに合わせて棚の位置を簡単に調整できます。
しかし便利さの代償として、ちょっと問題がありました。クーラーを作働させると、クーラーの振動に共鳴して、可動棚の震える音が意外と大きく、かなり気になります。二重ガラスのおかげで、比較的防音されてはいるのですが、この振動音は室内に置く事を考えると、かなり辛いです。棚を動かすために、すべての金属パーツが固定されている訳では無いので、この共鳴を抑えるのは難しいのだと思いますが、防音の為の工夫を今後期待したいところです。外枠は、さすがに造りがしっかりしており、背面のアルミ板以外から音が出ることは無いようです。可動棚を動かす時に使う金属棒あたりが音源として怪しいかなと思っているのですが・・・。
稼働させた日は、湿度が高い日でしたので、最初、保湿の問題は感じませんでした。でも、クーラーが作働すると、急激に湿度が下がります。そこで、クーラーが作働しているときに、加湿器が作働するようにセットすることにしました。クーラー作働時の湿度低下はやや抑えられたように思いました。ケース外の湿度が70%ぐらいだと、ケース内の湿度も60〜80%に保てます。温度も、昼間23度、夜間18度ぐらいを目標にセットしましたが、コントロールボックスのつまみの目盛りは、鵜呑みにしないほうが良さそうです。
ちなみに、コントロールボックスから出ている3本のサーモスタット・センサーですが、おそらく、昼間温度設定用、夜間温度設定用、上限温度設定用の3本なのだろうと思います。3点の温度の平均をとる訳ではなさそうなので、この三本は束ねて同じところに置いておいて良いようです。センサーのところに温度計を置いていましたが、夜間温度は設定温度よりも2、3度低くなる傾向があり、昼間温度は、設定温度よりもすこし高くなる傾向があるように思いました。さらに、ケース内の温度格差も出来ますので、稼働開始直後は温度計は2〜3個は入れて、ケース内の温度変化を確認することが必要と思いました。ちなみに、この温湿度計は渋谷ハンズで\3000でした。
高湿度が好きな蘭ですが、常に高湿度だと蒸れます。しかし、送風を強くすると、こんどは乾きすぎます。ですから、高湿度で、葉っぱが揺れるぐらいの送風が良いと、よく本などには書いてあるようです。しかし、自然界では、時には強い風が吹き、時には風が止まっているのだろうと予想できます。風が止まると、水分を含んだ土や木からの蒸散で湿度は高まるし、風が吹けば、一時的に湿度は下がり、植物からの水分の蒸散が促進される。そして、植物の体内の水分の出入りも促進されるのではないか。霧の出やすい朝と夕方は、きっと風があまり吹かないだろうし、温度が上昇してくる昼間には風は出るだろう。こうゆう、間歇的な温度や湿度の変化が、植物には必要なのでは無いかと、かねてから思っていました。自然環境を、そのまま再現するのは難しいのですが、きっと間歇的な強風というのは、蘭には良いのでは無いかと想像していました。Amieleでは、温度が上がってクーラーが作働するときには、温室内の空気がかなりかき回されます。クーラーの冷たい乾燥した風が直接当たるのは、ひょっとしたら良くないのかも知れませんが、この間歇的な強風は、きっと蘭には良いのではないかと私は想像しています。しかし、最上段には、この風があまり届かないので、内気扇(もちろん、ジャンク品^^;)で補助するようにしました。
照明は、私は、最上段に自作の蛍光灯ユニットを3本追加し、各段、3本ずつ蛍光灯をセットしました。照度としては、10000Lxには満たない(だいたい5000Lxちょい)ので、ディサ栽培にはちょっと不安ではあるのですが、とりあえずこれでやってみるつもりです。マスデバリアには丁度良い照度になると思います。左は、針金を加工して市販の蛍光灯ユニットを使用するための留め金の部分です。最上段なので、上面からの防水処理は不要です。
稼働開始より一週間ほど観察していたのですが、どうも、外気が乾燥していると、湿度も低いようです。外気湿度が50%だと、内部も30%〜60%ぐらいにしかなりません。最上部には、コードを通す為の穴は開いているのですが、意外と空気の流通があるのかも知れません。加湿器だけでは、湿度が十分では無いので、対策を余儀なくされました。また、ケース内の温度差は、最上部と最下部で、だいたい5度くらい違います。
こうなれば、いっそのこと、上段は中高温種、下段は低中温種と割り切った方が良さそうです。付いていた水よけプレートは、上段の隔壁板として使用してみました。しかし、隔壁板を付けても、温度差を拡大させる事はできませんでした。下の蛍光灯の熱を遮断する効果と、下の冷気を遮断する効果が相殺しているのでしょう。むしろ、隔壁板が上段の湿度上昇を妨げているような気もして、結局、水よけプレートは外に出してしまいました。
さらに、保湿目的の為、ケースの底面には水を張ってみました。でも、水を張るだけでは十分な保湿を得る事はできません。結局、左にあるように、張った水に風を吹きつける為のファンを設置しました。水面の表面積を増やす為、そして脱臭効果を期待して、熱帯魚に使われる活性炭のパック(黒い粉が出るので、水洗いしてから使用のこと)を、ファンの下に置いています。これが意外と効果があり、外気湿度より、10〜20%高い値をキープ出来るようになりました。活性炭は、閉鎖空間によくある臭いを除去してくれるようで、空気と水の浄化に役立ってくれそうです。最上段の温度が高いのは、暖かい空気は上に行きたがる事と、すぐ下に蛍光灯ユニットがある事が原因として考えられます。最下段の温度が低いのは、冷たい空気は下にたまりやすく、底面に水を張っており、さらに、風を吹きつけることによる、気化熱効果がある為でしょう。
かなり、考えていた環境に近くはなってきました。せっかく買った加湿器の効果は、上部の湿度を5〜10%上げる程度の効果しか無かったのは残念ですが、そのまま使う事にしました。ケース外(室内)の湿度がいつも高いのは、梅雨の為かと思っていたのですが、ひょっとしたら、最近の窓型クーラーは排水しないように、出た水を放熱部で蒸散させているらしいので、そのために高くなっているのかも知れません。昼間点灯している状態の温湿度のデータは、クーラーが作動していない状態では、ケース外:25℃−63%、ケース上部:25℃−48%、ケース下部:18℃−75%。夜間消灯している状態で、ケース外:24℃−69%、ケース上部:20℃−48%、ケース下部:14℃−73%。湿度保持のために、底面のバッド&ファンが予想以上に有効で、下部の温度はむしろ低くなりすぎています。でも、ものは考えようで、これだけ温度が下がるのであれば、ちょっとぐらいの熱源なら入れても大丈夫そうです。
そこで、かねてから不安であった、ディサの光量不足を補うために、100WのHIDランプを入れる事にしました(ちなみに、ランプを入れたので花が咲いている訳では無いので、悪しからず。これらの株を昨年管理して下さっていた方々の努力の賜物です)。ランプの形状からして、効率のよい照射方では無いのですが、市販のクリップライトが使いやすい為に、このような使用法となりました。ケースの左上のものがそれです。トランスなどのユニットはケースの外に置いて、内部にはランプのみを置くことになります。それでも、写真の中段では、18000Lx、ディサの葉っぱの生えているあたりでも10000Lx近くをキープ出来るようになりました。心配していた温度上昇もなく・・・・というより、却って通常より温度が低くなってしまいました。上段は23℃、下段が14℃・・・。実は、サーモスタットは上段に設置してあります。熱源からの熱い空気は上昇して、上段の温度を上げ、それに合わせて余分にクーラーが作働するわけです。結果として下段はさらに冷やされる結果となり、温度が下がるようです。温度差の緩和には、クーラーのフィンの位置もかなり影響するようです。温度差を作りたければフィンは下向き、作りたくなければフィンは上向きが良いような気がします。今まで下を向けていた下半分のフィンを上に向けたのですが、消灯後は上段、下段共に19℃。点灯時も上段25℃−下段22℃と良い所で落ち着いてくれました。これで、ようやく、比較的強光を受けることの出来る環境を構築できました。とは言っても、おてんとうさまには敵う訳無いのですが・・。
なお、ケース内の湿度変化ですが、朝と夕方に温度が変化するときは、なぜか湿度が上昇するようです。これは、自然界の湿度変化でも同じですから、とても都合の良い現象です。朝、温度が上がる時には、その間クーラーが作働しません。クーラーの作働は湿度を下げるので、作働時間が短いということで、上昇するのだと思います。逆に、夕方、温度が下がる時にも、なぜか湿度があがります。空気内の水分量が同じならば、温度が低いほうが湿度は高くなりますから、湿度が上がるのでは無いかと想像しています。ですから、できれば温度変化はつけたほうが良いのかも知れません。経済的にコントロールボックスを買えなかった方も、可能でしたら、逆サーモ2ヶと、24時間型タイマー1つあれば、時間で温度変化をつけることのできるサーモスタットを作れると思います。具体的には、逆サーモを並列につなぎ、低温設定用の方にだけタイマーを繋ぎます。タイマーがオフの時には高温用のサーモが作動し、オンの時には、低温用のサーモが作働するはずです(机上の理論だけですが・・)。
このケース、小さな閉鎖環境なので、サーモスタットの位置などや空気の流れを少し変えるだけで極端に温度や湿度が変わります(きっと、ハーフサイズとフルサイズでもさらに違うのでしょう)。それに6月現在は、まだ、夏本番とは言えません。さらに外気温が上がって、同じ環境が持続するのかどうかは、今は分かりません。ですから、今後もケース内の温湿度計のモニターは続行する必要がありそうです。また、室内に置いている為、どうしても、部屋の温度が高くなります。今の時期は、あまり辛くは無いのですが、夏の最中には、ケースを冷やすために上昇した室温を、さらに室内クーラーで冷やさなくてはならなくなります。今年の夏は暑くなりそうです。寝室一部屋を冷やして、風邪を引きそうになった頃とは裏腹に、今度は室内で熱中症にならないように注意しないといけないのかも・・・。もちろん、蘭熱中症にはすでに罹患しているようですが(^^;)。