歌う銀幕スター・夢の狂宴〜構成台本
 


 
昭和50年1月19日(日) 18時30分〜21時

(於)新宿厚生年金会館(大ホール)

主催:映画スターファン倶楽部

後援:キネマ旬報

協力:東映・日活・東宝・松竹・ATG

<出演>(出演順)

菅 原 文 太

中 川 梨 絵

原 田 芳 雄

佐 藤 蛾次郎

桃 井 かおり

宍 戸   錠

石 川 セ リ

高 橋   明

緑   魔 子

あがた 森 魚

藤   竜 也

宮 下 順 子

深 作 欣 二

鈴 木 清 順

渡   哲 也

踊り
芹   明 香

丘   奈保美

山 科 ゆ り

ひろみ 麻 耶


ギター
円 山 雅 光

海老沼   裕

太鼓
坂 本 長 利

おはやし
沢 田 情 児


演奏
小野満とスイングビーバーズ

守新治カルテット

音楽
高 見   弘

構成
高 田   純

美術
井 上   功

舞台監督
川 島   陽

ポスター
島 田 荘 司

演出
長谷川 和 彦

技術スタッフ
照明
ライト・オープン

音響
ユイ・ステージ・サービス




○オープニング

     場内暗転。
     低いドラム風の音がF・Iし、次第にクレシェンドしてくる。
     それが最高潮に達して――

林(N)「(OFF)
歌う銀幕スター 夢の狂宴!(華々しく)」
T・M C・I〜(スイングビーバーズによる馬鹿馬鹿しく陽気な音楽)

     重々しく上がっていく緞帳。
     一間玉ミラーボールが下がってきて回りだす。
     地ガスリの敷かれた黒一色のステージ。
     ステージ中央、3バトンよりやや後方に陣取っているバンド(小野
     満とスイングビーバーズ)。
     ステージ中央、後中空のタイトルデザイン(9バトン吊り)
     さまざまの照明が交錯し、華やかな雰囲気を盛り上げる中、前セリ
     から出演者全員(但し、役者のみ)が上がってくる。
     けばけばしい光を放って回り続ける、ステージ上の一間玉ミラーボ
     ール。
     四尺の高さまで上りつめ、再び平面(地舞台)へ戻って静止する前
     セリ。
     セリ上げ、役者の上半身が見えだしたタイミングで始まる、出演者
     紹介。

MC(林)「(OFF)昨日の夕陽はどんなに赤くとも、今日の影を映さない。
   今日の影はどんなに長くとも、明日には届かない。だが……それでも皆
   んな忘れて日が暮れればまた、明日が来る。山のかなたの真っ赤な夕焼
   けに向かって……しのつくような雨の川べりに沿って……華麗に舞う花
   吹雪に身を埋めて……後ろ姿で去っていったスクリーンのヒーロー、ヒ
   ロインたちが今、私たちの方に向かって立っている。
   歌う銀幕スター・夢の狂宴!
   出演は舞台下手から、
   死地へ向かう女の情念を発散し続ける美学的女優、中川梨絵!
   (以下、役者たちは紹介されるたびにセリから一歩前へ出て、各々の得
    意なポーズを決める。そしてバトン後方、セリ後へ下がっていく)
   頭の真ん中サラがある。へそ下三寸何がある。いまの日活オレで持つ。
   高橋明!
   今宵限りのダンスホール、明日は異邦のつむじ風。泣いてあげましょ、
   私で良けりゃ……緑魔子!
   青年の思想が政治を支配し得た時代、維新から赤い鳥にのせたメッセー
   ジを送り続ける、原田芳雄!
   実録路線の最高峰に立つ、仁義なき男、菅原文太!
   病も癒えて、さらなる飛躍を試みる紅の流れ星、渡哲也!
   スペードのエースはオレのサイン、コルト片手の不吉な男。エースの錠
   こと、宍戸錠!
   お酒飲む人花ならつぼみ、今日もさけさけ、明日もさけ。一輪の花と一
   杯の酒に生きる永遠の不良少年、藤竜也!
   忘却とは忘れ去ることなり、そして反逆とはぶっ飛ばすことなり。
   佐藤蛾次郎!
   エロスの甘き香りにひたり、破滅の宿命を歌う女。桃井かおり!」

     セリ前であいさつを終えた桃井が3バトン後方位置に下がる。
     そのきっかけで、ステージ中央のミラーボールが飛び、3バトンと
     吊るしの白しゃ幕が降りてくる。
     同時に大黒も降りる。
     上手、下手へはける役者たち。

T・M 〜C・O

○菅原文太

     M・ENDで、しゃ幕に映し出される菅原文太モンタージュ。
     「命半分ある限り」デモフィルムよりの抜粋。「仁義なき戦い」よ
     り数カットがフラッシュバックインサートされたもの。

S・E(O・L)群衆の罵声、文太のN。

        フィルムエンドは、拳銃を構えて正面をにらみつけている文太のス
     トップイメージ。

S・E 銃声(乱射)

     そのきっかけで、

M ?@「吹き溜まりの唄」C・I〜

     大黒飛ばし、ホリ活きの照明。
     菅原文太、ステージ下手より登場、中央に立ち歌う。(ワイヤレス
     ハンド)(フルバンド)

MC(文太)「(ハナを切るにあたってのアイサツ、お祭騒ぎをしよう、ゆっ
   くりしていってくれ……など適当に……できれば“仁義……”風に広島
   弁でしゃべるのが望ましい)……それでは去年、“実録・飛車角・狼ど
   もの仁義”で共演した、中川梨絵さんを紹介しよう!」

     文太、上手に退場。

○中川梨絵

     文太、上手へ去ると同時に鳴り響く浄瑠璃三味線の透明な音。

BGM 浄瑠璃三味線

     そのBGMに合わせて、下手から黒子に操られながら登場してくる
     中川梨絵。
     「マル秘女郎責め地獄」を思わせる人形ぶり。
     二人がステージ中央に来たタイミングで、チョーンと入る木の音。

SE 木の音。

     中央EM上がっている。
     前をはだけ気味の黒い和服、そして胸の十字架。
     木の音で、黒子は上手へ去り、梨絵は普通の所作に戻る。

MC(梨絵)「こんばんは、中川梨絵です。(以下自由に)……それでは私の
   歌“雪が降る”を聞いてください」

M ?A「雪が降る」C・I〜

     ステージいっぱいの雪照明。
     中央スポットライトの中、EMに向かって歌う梨絵。
     歌の途中、手品風に傘を出す梨絵。
     その傘をマスコットに歌を続ける。

MC(梨絵)「それでは去年の何よりの私の収穫だった映画“竜馬暗殺”での
   尊敬する共演者、原田芳雄さんに歌ってもらいます」

     EM下がる。
     その間、黒子(PA)によってステージにセッティングされる、一
     組のギターマイク&ボーカルマイク、椅子。
     セッティングの終わった時点で、原田の紹介を終えて上手へ去る梨
     絵。しゃ幕、下りる。

○原田芳雄

     ギターをかかえたラフなスタイルで、ステージ下手から登場の原田。
     ステージ中央のボーカルマイクの前に立つ。座る。
     いきなり始める弾き語り。

M ?B「プカプカ」

     ホリゾントの照明は生きている。
     スポット気味の照明。

MC(原田)「次は“早春賦”という歌を歌います」

M ?C「早春賦」〜END

MC(原田)「日活に沢田幸弘という監督がいて、オレの主演で『反逆のメロ
   ディ』という映画を作った。その映画のなかで、北海道室蘭生まれ、住
   所不定無職の非行少年ゲバ作をやったのが、この男だった。お〜い、ゲ
   バ作ーッ!」

     突然、大声で叫ぶ。

○佐藤蛾次郎

     佐藤蛾次郎、それに呼応してステージ下手から登場。(ハンドM)
     以下、二人の自由なからみがあって、

MC(蛾次郎)「それでは映画『反逆のメロディ』から“モズが枯れ木で”を
   歌います」

M ?D「モズが枯れ木で」(原田氏によるギター伴奏)

     ステージ完全暗転。

○桃井かおり

女の声(桃井)「(OFF)怖い」
男の声(原田)「怖い?」
     うんぬんのからみ。
     そのからみENDと同時に、1番ドアへ当たるライト。
     ワイヤレスマイクでスタンバイしている桃井かおりが浮かび上がる。
     ステージ地明かり。
     この間、原田、蛾次郎両氏はステージから上手へはける。
     白しゃ幕が上がる。

M ?E「六本木心中」(BY スイングビーバーズ)

     1番ドアから後方へ進み、中央横通路を横切って、上手寄り通路を
     縦に、歌いながら歩いて上手ステージへ上り、ステージを横切って
     下手から去る桃井。
     そのきっかけで、M?EEND。
     ワンコーラス終わりのタイミングで……

N(林)「(OFF)“六本木心中”歌は桃井かおりさんです」

M ?E「六本木心中」〜END

○原田芳雄

M ?F「黒の舟歌」

     M?EENDとともに、メドレー風にブリッジされるM?F
     イントロとともに、ステージ下手から、極端な衣装替え(例えば黒
     背広上下に蝶タイ)に身を固めた原田登場してくる。
     マイク(ハンド)、ステージを自在に動き回りながら歌う原田。
     曲の進行とともに、変化していく照明。

     M?FENDとともに、ステージ上手へ去る原田。
     そのタイミングで下りてくるしゃ幕。

○宍戸錠

T・M (皆殺しの唄風ムード。トランペットによるもの)C・I〜

     ソロトランペッター(立ち姿)が、照明に浮かび上がる。
     ワイヤレスマイクを胸の辺にさした宍戸、上手より登場。
     アクションスタイルである。

N(宍戸)「殺し屋とは……云々……(決まり文句)……」

     N、ENDのきっかけで、

M ?G「黒い霧が降る町」(BY スイングビーバーズ・一番、二番のみ)

     M?GENDのきっかけで、ステージ上手、下手より登場してくるア
     クション悪役たち。

○アクション

     錠氏とのアクション。

BGM「ズンドコ節(小林旭)」C・I〜

     このきっかけで、アクション組全員がストップモーションになる。
     そのままステージ暗転。
     アクション組だけが、照明に浮かび上がっている。
     しゃ幕に写しだされるフィルム。

T  「海を渡る波止場の風」
     BGM、ワンコーラス。

N(林)「(OFF)鳴り響く主題歌とともに、さっそうと登場してくるヒー
   ロー! その時、相手役は必ずストップモーションで待っていなければ
   ならなかったのだ」

○蛾次郎

     フィルムENDのきっかけで、下手からさっそうと登場してくる、
     旭とも見紛うような扮装の佐藤蛾次郎。
     白い革ジャン、黒ブーツ、手に持ったギター。

     ギャグコーナー。
     ストロボ使用あり。

M ?H「ジョーの子守唄」(スイングビーバーズ)C・I〜

     M?HENDとともに緞帳が下がって……。

○第一部終わり

MC(いぬい)「ただいまより若干の休憩時間をいただきます。尚、この時間
   を利用いたしまして、映画スターファンクラブの構成いたしました、日
   本映画名場面集を上映いたしますので、自由な雰囲気でご覧くださいま
   せ。また、正面ロビーの方では、外れくじなしの福引きを行っておりま
   すので、まだの方はお早くお引きになるようお願い申し上げます」

     緞帳後ろで、本物のスクリーンがスタンバイされる。
     ロビーブザー。
     緞帳上がる。
     間髪を入れず映写開始される。
     名場面集。

   ?@メインタイトル
   ?Aけんかえれじい
   ?B昭和残侠伝・死んで貰います
   ?C反逆のメロディ
   ?D紅の流れ星
   ?E仁義なき戦い
   ?F濡れた欲情
   ?G八月の濡れた砂

     ?Gシーン中途、スクリーンバックに下手より石川セリ登場。

M ?I「八月の濡れた砂」C・I〜

     カラオケバック、下手EM下手で歌うセリ。

     ?IEND、下手EMのところにそのまま残るセリ。
     林美雄、下手より登場。

MC(林)「石川セリさん、歌は『八月の濡れた砂』でした。(一絡みあって)
   私、林美雄が、映画スターファンクラブおよび出演者を代表いたしまし
   て、一言ご挨拶申し上げます。
   (ややあって……)
   それでは、大変お待たせをいたしました。ただいまより第2部を開始い
   たします。最後までごゆっくりとお過ごしください」

     その間、スクリーンの幕が閉まっていく。
     林とセリ、下手へ退場。
     EM下がる。



○第二部

     スクリーンバックに鳴り響く和太鼓。(BY 坂本長利)
     スクリーンが上へ上がっていく。
     ステージ上手よりに位置して、太鼓を叩いている坂本。
     各バトンに吊ってある数本のノボリ。
     ステージ中央、やや上手寄りにスタンバイしている拍子木、鉦など
     のリズム班。(沢田情児 他)
     スクリーンが上がりきったところで、下手からハンドマイクで登場
     の高橋明。
     リズム班は、赤フンに女物の長襦袢姿。
     高橋は、着流し尻からげの赤フン姿。

○ロマンポルノコーナー

M ?J「なかなかづくし」

     適当なタイミングで歌いだす高橋。
     その唄とともに上手、下手から登場してくる踊り子たち。
     芹明香、山科ゆり、丘奈保美、ひろみ麻耶 以下……。
     Gパン、コート姿。

N(林)「(OFF)太鼓は劇団変身から大いなる変身! 日活ロマンポルノ
   坂本長利! 鉦は同じく“濡れた標的”でおなじみ沢田情児!……」

     曲の進行につれて、徐々に加わっていくスイングビーバーズ。
     リズム楽器からメロディ楽器、フルバンドへと。
     フル演奏が盛り上がって、いったんM?Jが途切れる。
     ブリッジ風に鳴っているスイングビーバーズのリズム班。

MC(高橋)「ヨーシ、盛り上がったところで踊り子たちを紹介しよう!」

     リズムに乗って動いている女たち。
     紹介されるごとに、一歩進み出て客席にアイサツを送る。

MC(高橋)「ヨーシ、もう一騒ぎ、いってみるか。ソーレッ!」

     一斉にコートを脱ぎ捨てる女優たち。(嬌声とともに)
     上半身はすべて裸である。
     再びフルバンドでの、大喧騒がはじまる。
     点滅するストロボ。
     大騒ぎのステージ。

M ?J 〜END

     全員が上手、下手へとはけていく。
     ノボリはバトンの上昇とともに上へ上がる。
     太鼓は黒子によって片づけられる。
     白しゃ幕が下りてくる。
     PAによるギターマイク二本のスタンバイ。
     ステージ中央、この間地明かり。
     黒子による椅子二個のスタンバイ。
     この時同時にギター奏者二人も登場していて、勝手に椅子に座って
     チューニングなどしている。
     ギタースタンバイOK。
     下手からハンドマイクで登場の緑魔子。

○緑魔子

MC(緑)「今晩は、緑魔子です。……(以下自由に……)やさしい日本人を
   歌います」

M ?K「やさしい日本人」

     ギター奏者二人は退場(上手)→緑による二人の紹介あり。

MC(緑)「私の仲の良いお友だちと一緒に歌います。あがた森魚くん!」

○あがた森魚

     あがた森魚、ハンドマイクで下手から登場。
     緑VSあがた、からみ少々あって――。
     その間、片づけられるギターマイク二本。

M ?L「昭和柔侠伝の唄」C・I〜(カラオケ)

     M?LENDとともに、上手へはける二人。
     同時にしゃ幕が飛ぶ。
     M?LENDのタイミングとともに、場内いっぱいに響くオートバイ
     のエンジン音。

○藤竜也

     ステージ上手、下手から走り出していっぱいに走り回る単車。
     そのうち一台には、藤竜也が乗っている

TM〜BG「オートバイにふさわしい曲」

     ステージ正面に四台並ぶ感じで、整列したオートバイ。
     ひときわ大きくアクセルをふかして、目つぶしのヘッドライトを照
     らす。
     藤竜也一人を残して、三台は再び爆音とともに去る。

TM 〜END

     一瞬の静寂が、場内に訪れる。
     オートバイから降りて、ワイヤレスマイクを取り出した藤。

MC(藤)「オイ、酒持ってきてくれ!

     上手からポーズをとりながら、酒を捧げ持ってくる黒子。
     酒を手渡して、オートバイを引きながら去る。
     酒を一杯呑んで、おもむろに語る藤。

MC(藤)「(客への語りかけ、適当にあって)じゃあ、不良少年だったオレ
   が、練鑑ブルースでも歌おうか」

M ?M「ネリカンブルース」(BY スイングビーバーズ)

     M?MENDのきっかけで、ガラリと変わる照明。

M ?N「花一輪」

     ワンフレーズごとに変わっていく照明。(スイングビーバーズ)

○日本映画へのオマージュ

     M?NENDのきっかけで下りる白しゃ幕、大黒。
     藤、下手に退場。
     完全暗転。
     スクリーンに映し出される、加藤泰果物名場面。

   ?@タイトル(東映任侠映画果物名場面)
   ?Aタイトル(明治侠客伝・三代目襲名)
   ?Bシーン
   ?Cタイトル(沓掛時次郎・遊侠一匹)
   ?Dシーン
   ?Eタイトル(緋牡丹博徒・お竜参上)
   ?Fシーン

     この間、しゃ幕後ろではスイングビーバーズがはけて、守新治カル
     テットがスタンバイする。

     スクリーンENDのきっかけでC・Iするバンド演奏。

M ?O「命半分ある限り」

     モダンジャズ風にアレンジされているM?O
     ステージ下手から、着流し姿で登場してくる菅原文太。
     中央Eマイクで、M?Oを歌う。

     M?O中途、ドライアイスが漂いだす。
     M?OENDとともに、上手から登場してくる傘をさした和服の女。
     宮下順子である。

BG「緋牡丹博徒」

     文太と宮下、中央EMのところで鉢合わせをする。
     
文太「ご同業の方とお見受けしてお尋ねいたします。仁義略させていただきま
   す。姐さんは、もしや藤純子さんと仰いませんか?」
宮下「いいえ、私は……(パッと顔を見せ)宮下順子です」
文太「その順子さんが、今日はまた何の用で」
宮下「今日は、お寒いなかをおいで下さいましたお客様方に、ミカンでも召し
   貰おうと思って。ほら、こんなに沢山……」

     黒子が抱えているみかん箱。

文太「それでは、アッシもお手伝いさせていただきましょう」

     手に手にミカンを放り投げる二人。

文太「(それが終わって)では、参りましょうか」

     ウンと頷いた宮下が、やさしく文太に傘をさしかける。
     そのきっかけで、OFFで流れていたTMが盛り上がる。

     仲良く上手へ去りかける二人に、突如立ちはだかる高橋明以下の悪
     役たち。
     明、着流し姿で、手には長ドスを構えてすごんでいる。

     再び、中央EMのところへ下がっていく二人。

高橋「ヤロウ、待ちな!」
文太「何だ、テメエたちは!」
高橋「オレか? オレはな……(パッともろ肌脱ぎになる)」

     下には鮮やかなイレズミ(シャツ)。

     きっかけをつけて後ろを向くと、イレズミの背中に日活マークが、
     仰々しく貼ってある。

高橋「日活の(悪役の一人がマルKマークを指す)高橋明よ!」

     再び前に向き直って、

高橋「(順子に向かって)このアマ、東映とイチャイチャしやがって。おい、
   ヤキ入れてやれ(子分どもに)」

     喚声とともに文太、宮下にぶつかっていく悪役たち。
     二人にものの見事にぶちのめされ、上手へ転げていく。

悪役「(そろって)ヤロウ!」

     再び態勢を立て直して、中央へ突進していこうとする。
     その時、OFFでそれを止める声。

宍戸「待ちな!」

     下手から登場してくる宍戸錠。

宍戸「オメエら、東映だ日活だなんて、下らねえことでいきがってる時じゃね
   えぜ」
高橋「何イ」
宍戸「オレをみろ、ちゃあんと」

     上着の片方裏にマルKマーク、もう片方に東映三角マーク。

宍戸「日活!(指さして)東映!(指さして)ちゃあんと両方に出てるじゃね
   えか! この女だってそうだぞ。お前、日活とピンクにも出てる。文太
   だってそうだ。お前、東映、松竹、新東宝と渡り歩いてるんだ。ま、お
   互いに仲良くしようじゃねえか。な、おい」

     と、積極的に中央EM、文太、宮下に混じり、悪役たちにも中央に
     集まるよう指示。
     結局、参集する全員。

宍戸「それよりお前たちなあ、オレたちの本当の敵はもっと別にいるんだ。今
   そいつをここに呼ぶから、とっくりと痛めつけてやるんだな」
高橋「本当の敵」

     客席の方を見ながら、

宍戸「そうよ。おーい、深作欣二イ、鈴木清順!(客席へ)」

○監督コーナー

     その呼び出しに呼応して、客席から鈴木清順、下手から深作欣二、
     両監督が登場してくる。

文太「おお、これは良い。それじゃさっそくお客さんにごあいさつをしてもら
   おうか。のお、作さん」

     文太と一瞬からんだ後、客席に短いアイサツをする深作。

深作「(アイサツ)」
宍戸「それじゃこっちは、鈴木清順監督にアイサツをしてもらおうか」

     錠と一瞬からんだ後、客席に短いアイサツをする鈴木清順。
     今年は映画が撮れそうなのかどうかなど……。

文太「それじゃ、こうやってわしらも歌うたったんだから、両監督にも歌って
   もらおうか。なあ」

     高橋以下悪役連が、いたく同調する。
     両監督、相談して、

深作「それでは“檻の中の子守唄”“赤とんぼ”を歌います」

M ?P「檻の中の子守唄」(深作欣二)

M?PA「赤とんぼ」(鈴木清順)

     M?Q進行とともに、歌に加わっていく役者たち。
     歌が終わって、両監督、役者たちは下手に去る。
     暗転。
     大黒、下りる。
     しゃ幕に映し出される映画『東京流れ者』の数シーン。

○渡哲也

M ?Q「東京流れ者」C・I〜(カラオケ)

     客席1・9ドアから登場(ワイヤレスマイク)も渡哲也。
     上手寄り通路をワンコーラス歌い終わるタイミングで、ステージへ
     上がる。
     雪照明。

     この間、守新治カルテットはけて、スイングビーバーズがスタンバ
     イしていく。

MC(渡)「(適当にあって)望郷子守唄を歌います」

M ?R「望郷子守唄」C・I〜(フルバンド)

     客席から女性客二人を呼び上げる渡。

MC(渡)「(二人とのからみ、プレゼントなどあって)では、二人の方と一
   緒に“くちなしの花”を歌います」

M ?S「くちなしの花」C・I〜

     ※この時、萩原健一あるいは梶芽衣子が加わる可能性あり。
     女性客との合唱。

M ?S 〜END

     女性客と握手、客席へアイサツをして下手へ去る渡。
     女性客も客席へ戻る。
     客席1・9番ドアから一斉に練りだす樽ミコシ。

○フィナーレ

     揃いのハッピに身を固めた出演者全員。
     ミコシは中央通路を横切り、上手側通路を貫いてステージに上がり、
     中央で練る。
     鉦、太鼓、その他の景気のいいリズム。
     ステージ、客席と一緒になった大騒ぎ。
     一通り練ったあとのミコシ、ステージ上に静置され、全員が並ぶ。
     適当なタイミングで、林、下手より登場(ハンドマイク)。
     中央に立つ林。

MC(林)「本日はお寒いなか、うたう銀幕スター・夢の狂宴においでいただ
   きまして、まことにアリガトウございました。これをもちまして本日の
   コンサートはすべて終了でございます。なお、出演者の方々および主催
   者一同、お寒いなかを駅までお帰りになるのはお客さまにお気の毒とい
   うことで、一杯ずつ酒を召し上がって身体を温めていただいてからお帰
   り願おうということに相談がまとまりまして、四斗樽を用意いたしまし
   た。それでは本日の出演者を代表いたしまして、渡哲也さんに鏡割りを
   していただきます。では……」

     哲也、樽の前に進み出て木槌を手にする。
     渡哲也による鏡割り。
     全員による拍手。

MC(林)「見事に鏡が割られましたところで、それでは、今後の日本映画の
   ますますの繁栄を祈りまして、全員で手を締めたいと思います。菅原文
   太さんに音頭をとっていただきましょう。菅原さん、どうぞ……」

     文太、一歩前に進み出て手締めの音頭を取る。

文太「それでは手を締めさせていただきます。日本映画の将来の繁栄を祈って。
   ヨーッ(等……)」

     手締め。
     それが終わったタイミングで、C・IするT・M(BY スイング
     ビーバーズ)

     出演者全員がアイサツを送るなか、緞帳が下りる。
     カーテンコール。

T・M 〜END

MC(いぬい)「(OFF)本日はどうもアリガトウございました。中央ロビ
   ーの方でお酒を用意してございますので、お帰りにどうぞお召し上がり
   になってくださいませ。お寒いなか、どなたも気をつけてお帰りくださ
   い。アリガトウございました……」





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