長岡先生語録
〜古代幻想ロマンシリーズ・単行本カバーより〜

『葦の原幻想』  奈良がとても好きで、仏像が好きで、古代史が好きで−−と、「好き」が集まってできた作品(モノ)です。でも決して「趣味」で描いたものではありません。読んでくださった方にも、好きになっていただけたら、とてもうれしいのですが……。
初版:昭和59年12月20日付

舞台は近江なのに、「奈良がとても好き」というお気持ちは充分すぎるほど伝わってきます。

『夜の虹』  先にヒントらしきことを言ってしまえば、三輪山信仰は蛇神信仰であり、虹は「竜蛇のシンボル」なのです。夜の世界に閉ざされていく旧い神々と歴史にあまり名を残さなかった人々を描(えが)いてみたかったのです。
初版:昭和60年7月30日付

「虹」という字は虫編ですが、これは虹を蛇に見立てたからだそうです。

『天離る月星』  なんとなく勢いで描いてしまった藤原不比等の虚実ないまぜての少年時代です。
 史料が少なくて、チャンとした伝記がなかなか書けないとされてきた不比等ですが、だからこそ私のような者でも空想(妄想?)をたくましくする余地もあるというものでしょう。
初版:昭和60年10月1日付

これで「勢い」とは…。以後のシリーズの中核となった作品です。

『玉(たまゆら)響』  たいていは話が決まってからタイトルができるものなのですが、これはタイトルの方が先に出てきた珍しいケース。
 字面も語感も美しい「玉響」という言葉をいつか使ってみたいと思っていたのです。
初版:昭和61年2月5日付

玉響 昨夕 見物 今朝 可戀物 (『万葉集』11-2391)

『眉月の誓』<1>  中編のつもりが長編になってしまい、ストーリーの前半の構成がモタついてしまいました。できれば次の巻も続けてお読み下さいませ。
初版:昭和61年9月1日付

「次の巻」はわずか一ヶ月後に出ていたんですね〜。

『眉月の誓』<2>  歴史に名高い「大津皇子事件」。正史ではこの事件と史がどう関わっていたかは、まったく語られていません。
 これは私なりの「こじつけ」であります。
初版:昭和61年10月1日付

個人的にはこの巻が最高傑作と思っています。

『眉月の誓』<3>  ヒゲの史は、読者の方の好悪のわかれるところですが、「史」から政治家「不比等」へとようやくその存在を確かなものとしていきつつあります。
 ヒゲの不比等も愛してやっていただきたく思います。
初版:昭和62年5月15日付

ヒゲの粟田殿も好きです、私(^^;

『眉月の誓』<4>  「眉月の誓」はこれで「完」です。でも、不比等の物語はまだ終わりではありません。権力の座を昇りつめていく「埋もれた巨人・不比等」を、いつかまた描きたいと思っています。
初版:昭和62年12月30日付

「天ゆく月船」や「昏い月」が最後でないことを祈ってます..。

『夢の奥城』  史上に輝かしい足跡を残した天智天皇の皇后となりながら、比較的知名度のひくい倭姫皇后。多くの小説や研究の対象となったポピュラーな人物よりも、こうしたあまりかえり見られないような人物像のほうにより多くの興味を持ってしまいます。
初版:昭和62年12月30日付

その乏しい史料からよくぞこれだけのドラマを....!

『月の琴』  金魚鉢のようなガラスの器を見つけたので、それに花をいけては楽しんでいる。アイリス、フリージア、百合、チューリップ、こでまり、何でも無造作につっこむ。なかなかにぎやかでおもしろい。
初版:平成元年6月1日付

この本だけ、内容にも歴史にも関係のないコメントになっています。なぜか気になります。

『天ゆく月船』  奈良朝の女帝たちの中では、比較的影の薄い元正女帝ですが、こういった人物により多くの興味を持ってしまうのは、もうどうしようもないことのようです。
初版:平成元年8月20日付

思えば氷高は、「眉月の誓」ですでに印象的でした。

『初月の歌』  万葉集のあの膨大な数の歌を編集したと言われている大伴家持。遺された歌の数々から、その青春時代を想像するのは、ひとつの楽しみでもあるのです。
初版:平成2年8月5日付

その半面、後に顕わになる政治的野心もきちんと描かれているのが流石です。

『昏い月』  奈良春日大社の万燈会は静かな祭りです。淡い月明かり照らされる飛火野、梢が濃く影を落とす長い参道、無数の燈籠に点じられる御燈−−厳かで美しい一夜です。
初版:平成3年4月15日付

「飛火野幻想」のラストがここにつながるわけですね

『春宵宴』<1>  明るいお話が書きたかったのに、なぜかあまり明るくない平安時代のお話になってしまいました。軽く楽しんでいただければ幸いです。
初版:平成3年11月25日

「明るい平安時代」が長岡先生のライフワークになりそうな、最近の作品ですが..。

『春宵宴』<2>  二話か三話のつもりが、計八話になってしまいました。ハッピーエンドのお話は、やはり描いていても気持ちのいいものです。
初版:平成4年5月15日

最後の2話(史実との照合?)はさならないつもりだったのかな、とも思います。



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