おやま事務所だより
| 2007年3月号 |
| 1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法 |
| 「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は? |
| 企業も派遣社員も知って得する「紹介予定派遣」制度 |
◆年休取得日の賃金は?
1年単位の変形労働時間制を導入し、1日の所定労働時間が異なる場合は、年休取得日の賃金として、その日に予定された時間分を支払わなければならないのでしょうか。
◆年次有給休暇に対する賃金の支払方法
年次有給休暇に対する賃金の支払方法としては、次の3種類があります。
1.平均賃金
2.通常の賃金
3.健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額
このうち、どの支払方法によるかは当事者の自由とされています。しかし、あるときは上記1.の方法をとり、別のときは2.の方法をとるなど、社員が年次有給休暇を取得する都度、使用者が恣意的に選択することは認められません。
1.または2.の支払方法をとる場合は、採用した支払方法を就業規則その他これに準ずるものにあらかじめ定める必要があります。また、3.の支払方法をとる場合には、三六協定の場合と同様に過半数労働組合(ない場合には労働者の過半数代表者)と書面協定を結んで、就業規則に定めておく必要があります。
◆「通常の賃金」による支払いの場合
パートタイム労働者などの時間給制による労働者の通常の賃金の計算方法については、「時間によって定められた賃金は、その金額にその日の所定労働時間を乗じた金額」であることが定められています。
また、1年単位の変形労働時間制の場合で、時間給制による労働者の年次有給休暇の賃金を通常の賃金の方法によって支払う場合については、「各日の所定労働時間に応じて算定される」とされています。
したがって、パートタイム労働者が、年次有給休暇を取得した日に4時間の所定労働時間が設定されていれば4時間分の賃金を、6時間の所定労働時間が設定されていれば6時間分の賃金を支払わなければなりません。
一方、正社員のような完全月給制の労働者に対して1年単位の変形労働時間制が実施されているケースでは、年次有給休暇取得日に通常の賃金を支給する場合は、年次有給休暇取得日の所定労働時間が長い場合も短い場合も月給額をそのまま支払うことになります。
◆賃金について
2006年の1人当たりの平均月間現金給与総額は、規模5人以上の事業場で前年比0.2%増の33万5,522円となりました。
現金給与総額のうち、所定内給与は0.3%減の25万2,810円、所定外給与は2.5%増の1万9,790円、特別に支払われた給与は1.1%増の6万2,922円となっています。物価変動の影響を除いた実質賃金指数は0.6%減と2年ぶりに減少しており、企業業績の好転が賃金上昇に結び付いていない実態を裏付けた格好になりました。
企業規模別にみると、従業員数30人以上の企業が0.8%増となった一方、5〜29人では1.1%減となり、小規模企業ほど賃金が抑えられています。
◆労働時間について
2006年の1人当たりの平均月間総実労働時間は、規模5人以上で前年比0.5%増の151.0時間でした。
総実労働時間のうち、所定内労働時間は0.3%増の140.3時間、所定外労働時間は2.6%増の10.7時間となっています。
総実労働時間を就業形態別にみると、一般労働者は0.7%増の170.1時間となり、パートタイム労働者は0.3%減の94.8時間となりました。
◆雇用について
2006年の常用雇用の動きをみると、全体では事業所規模5人以上の事業場で前年比1.0%増え、3年連続の増加となりました。一般労働者は0.9%増、パートタイム労働者は1.4%増です。
パートタイム労働者は残業時間が1.8%増に留まる半面、所定外給与は6.6%伸びています。労働需給のひっぱくにより、時給が上昇傾向にあるためとみられています。
主な産業別にみると、製造業1.0%増、卸売・小売業0.4%増、サービス業1.6%増となっています。
◆紹介予定派遣制度による社員採用が増加
厚生労働省の調査によると、紹介予定派遣制度(派遣社員として一定期間働いた後に条件が合えば派遣先企業がその人を直接雇用する制度)を利用して正社員などに採用された人の数が2005年度に1万9,780人となり、前年度を85.6%上回ったそうです。紹介予定制度で企業に派遣された人の数は約3万3,000人で前年度比69.4%増となっています。
働く側にとっては職場の雰囲気などを見ることができ、企業側にとっては派遣社員の能力などを見極めてから雇用できるというメリットがあります。
◆企業の認知度はどの程度?
紹介予定制度は、従来の採用方法では見つからない優秀な人材を獲得する有効な手段として企業に定着しつつあります。しかし制度を実際に利用したことのある事業所は全体の約4.7%にすぎず、また、制度自体を知らない事業所も約55%となっています。
しかし、今後利用を検討している事業所は約18%あり、認知度が上がれば今後さらに制度の利用が広がっていくとみられています。
◆制度利用を希望する人も多い
派遣社員に対する調査では、紹介予定制度を知らない人が全体の約65%と過半数を占めています。しかし、制度を知っている人約35%のうち、制度を利用したいとする人は約半数の48%います。
◆制度のメリットをうまく活用
未経験の仕事に就きやすく、派遣期間中に業務の適性を判断できるなど、求職者にとっても大きな魅力がある制度ですが、全員が直接雇用されるわけではありません。企業から断られるケースも多くあります。
労使ともに制度の特徴を理解して、制度のメリットをうまく活用していきたいものです。
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