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 おやま事務所だより 2007年10月号
 入社後の試用期間の延長は可能か?
 「裁判員制度」スタートで企業の対応は?
 若年者の職場定着率をアップするには?
 パートタイム労働法の改正内容



 入社後の試用期間の延長は可能か?

◆当初の説明より長い試用期間はOK?

入社時に「試用期間は○カ月」と説明されたが、「もう少し様子を見たい」などという理由で試用期間が延長されるケースがあります。このようなことは法的には問題ないのでしょうか?

◆試用期間延長は労働者にとっての不利益に

入社後の一定期間、新入社員に試用期間を課す会社は多くあります。期間満了後に昇給などがある場合、試用期間の延長により、期待した額の給料がもらえなかったり、地位が不安定になったりと、労働者に不利益となります。

◆試用期間の延長は原則不可

試用期間について、労働基準法などの法律に規定はありません。試用期間は主に書類や面接では判断できない新入社員の能力や適格性などを会社が見極めるための期間とされますが、その長さは会社によって様々です。では、実際に期間延長は認められるのでしょうか。
延長する特段の事情が会社側にない限り、原則として認められません。何らかの理由で例外的に試用期間を延長する場合、必ず期間満了前に本人に告知する必要があります。

◆例外的に延長する場合もあり

労働者側の勤務態度や能力に大きな問題がある場合、例外的に期間を延長するケースがあります。ただし、延長の可能性を就業規則で明示しておくべきか否かは専門家の見解も分かれています。

不意の延長は労働者の不利益になりますので、延長の可能性や理由、期間を就業規則などで明示する必要があるとする考えがある一方で、最初の試用期間で不適合と判断されれば、会社側は解雇も可能ですが、試用期間の延長には、もう一度労働者に機会を与える側面もあるということもあります。つまり“敗者復活”という意味合いです。

◆試用期間中の解雇について

試用期間中の従業員であっても、雇用した日から14日を越えて引き続き勤務していれば、解雇予告が必要となります(労働基準法21条)。これは、いつ解雇されるかわからない不安定な状況が労働者に長期間続くことは酷であるためです。

したがって、就業規則で試用期間を「3カ月」とか「6カ月」と定めていても、雇用した日から14日を越えていれば、解雇予告制度が適用になりますので、注意が必要です。


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 「裁判員制度」スタートで企業の対応は?

◆大手企業では「裁判員休暇制度」導入を検討も

2009年(予定)に「裁判員制度」(「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」に基づき一般国民が刑事裁判に参加する制度)がスタートするのを控え、社員が裁判員に選ばれて裁判手続に参加する場合に有給休暇として扱う「裁判員休暇制度」の導入を検討している大手企業が増えているようです。

◆有給か無給かは企業の考え方次第

裁判所では、審理にかかる日数については「概ね1週間程度」との見通しを示していますが、それ以上に長引くケースが出てくることも考えられます。原則として、選ばれた国民は辞退はできません。やむを得ない理由がある場合は辞退を認められますが、その基準についてはまだ不透明な部分があります。

労働者が裁判員となるために休みを取ることは、公民権の行使として法律上認められ、仕事を休んだことを理由に会社が不利益な扱いをすることは禁じられています。ただし、有給とするか無給とするか、就業規則での規定化などは企業に任されているため、どのような支援体制を設けるかは企業の考え方次第といえます。

◆有給休暇制度創設は企業の社会的責任?

確率的に多くの社員が裁判員やその候補になる可能性が高い大企業では、CSR(企業の社会的責任)の一環として、「特別有給休暇」を創設する方向性を打ち出しているところが多いようです。人員体制に余裕のない中小企業では頭の痛い問題といえるでしょう。

◆裁判員の選出方法

1.選挙人名簿から1年分ずつ、くじで裁判員の候補者が選ばれます。名簿に載った時点で本人に通知がきます。

2.事件ごとに候補者の中からまた50〜100人程度がくじで選ばれ、裁判所に呼び出されます。

3.その中から裁判員6人を選出します。

年間で3,500人に1人が裁判員または補充裁判員になり、候補者として裁判所に呼び出される人数はその10倍とみられています。


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 若年者の職場定着率をアップするには?

◆若年者の職場定着の現状

労働政策研究・研修機構が行った「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」によると、近年、産業構造や若年者の就業意識の変化に伴い、若年者の早期離職の傾向が続いているようです。

その一方で、若年者の意識の変化だけでなく、人事労務管理の変化、労働時間管理の多様化など、若者を取り巻く職場環境にも大きな変化が出てきています。

◆若年者の退職理由は?

若年正社員(35 歳未満)の離職に困っている(「非常に困っている」と「やや困っている」)とする企業の割合は48.8%と約半数を占めました。

退職の理由は、「家庭の事情(結婚・出産・介護等)」はどの企業でも1位を占めますが、若年者の離職に対する困窮度が高い企業ほど「労働時間・休日休暇に不満」、「給与に不満」、「仕事がきつい」などの労働条件関連の退職理由が増えています。

また、「職場の人間関係がうまくいかない」は、困窮度にかかわらず、上位に位置しています。

◆企業が実施している若年者定着対策

企業が取り組んでいる若年者定着対策について、若年者の離職に対する困窮度別にみると、困窮度が高い企業ほど「上司によるフォローアップ体制を整備する」、「残業を削減する」、「女性社員を活用する」、「入社時点から成果主義人事を行う」、「人事部によるフォローアップ体制を整備する」、「採用後の配置でメンターをつける」などの対策に取り組んでいます。

また、新卒者・中途採用者ともに定着率の高い企業(定着率が「7 割からほぼ100%」)では、「企業内訓練を実施する」、「自己啓発に関する支援制度の実施」、「若者が職場で話しやすい雰囲気をつくる」、「本人の希望を活かした配置を行う」などの取り組みが上位に上がっています。

◆従業員が求める若年者定着対策は?

従業員を対象に「働き続けるために会社の施策として有効な定着対策」について尋ねたところ、新卒者・中途採用者のいずれも、「賃金水準を引き上げる」を最も有効な定着対策と考えている(新卒者42.1%、中途採用者42.8%)という結果が出ました。次いで、「休日を取りやすいようにする」(同24.3%、23.9%)、「本人の希望を活かした配置を行う」(同25.7%、21.9%)などとなっています。

現在の会社しか経験のない新卒者と実際に転職経験のある中途採用者とでは、定着対策に有効と思われる施策の認識に大きな違いはありませんでした。

その他(自由記述)をみると、「企業の将来ビジョンを明確にする」、「会社の存続に対する不安をなくす」、「尊敬できる上司の育成」、「上司が部下に対してもっと関心をもつこと」、「ノルマに対するプレッシャーを減らす」、「研修をしっかりやってほしい」、「人員不足を解消する」、「結婚・出産などの人生の大イベントや夫の転勤などの障害を乗りこえられるような制度やサポート」、「産休・育休の取得しやすい職場」、「サービス残業を絶対にさせない」、「労働組合を作る」、「男女差別をなくす」、「学歴による給与の差をなくす」などの回答がありました。


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 パートタイム労働法の改正内容

◆来年4月から施行されます

少子高齢化、労働力人口減少の状況を踏まえ、パート労働者が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されました。

施行までに、改正法に沿った対応が必要となります。以下、改正のポイントをまとめてみました。

◆雇入れの際は労働条件を文書などで明確に

一定の労働条件について、明示が義務化されます(改正法6条)。また、待遇の決定にあたって考慮した事項について説明することが義務化されます(改正法13条)。

◆パート労働者の待遇は働き方に応じて決定を

パート労働者は、繁忙期に一時的に働く方から正社員と同様の仕事に従事し長期間働く方まで、その働き方は様々です。このため改正法では、パート労働者の待遇について、正社員との働き方の違いに応じて均衡(バランス)を図るための措置を講じるよう規定しています。

具体的には、「職務」、「人材活用の仕組み」、「契約期間」の3つの要件が正社員と同じかどうかにより、賃金、教育訓練、福利厚生などの待遇の取扱いをそれぞれ規定しています。

◆パート労働者から正社員へ転換するチャンスを

正社員への転換を推進するための措置(以下の措置またはこれらに準じた措置)を講じることが義務化されます(改正法12条)。

<講じる措置の例>

・正社員を募集する場合、その募集内容をすでに雇っているパート労働者にも通知する。

・正社員のポストを社内公募する場合、すでに雇っているパート労働者にも応募する機会を与える。

・パート労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなどの転換制度を導入する。

◆パート労働者からの苦情の申出に対応を

パート労働者から苦情の申出を受けたときは、事業所内で自主的な解決を図ることが努力義務とされます(改正法19条)。

紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言、指導、勧告、紛争調整委員会による調停が設けられます(改正法21、22条)。







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