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 おやま事務所だより 2007年12月号
 特定年齢層の募集・採用は「在籍者数2分の1以下」が条件
 給与のもらい方で変わる年金の受給額
 社員が自宅に仕事を持ち帰った場合の残業代は?
 パワハラ(上司によるいじめ)を初の労災認定



 特定年齢層の募集・採用は「在籍者数2分の1以下」が条件

◆改正雇用対策法の告示・通達

10月1日に施行された改正雇用対策法では、労働者の募集・採用における年齢制限禁止を義務化し、年齢制限が認められる例外規定を必要最小限に限定しました。

これに対し、厚生労働省は運用に関する告示と通達を明らかにしました。

◆改正の背景

これまで、労働者の募集・採用に係る年齢制限を行う求人が相当数あり、年長フリーターや中高年齢者など、一部の労働者の応募機会が閉ざされているのが現状でした。

こうした状況を踏まえ、これまで募集・採用に関しては年齢制限を受けていた労働者に対し応募の機会を広げることを目的として雇用対策法が改正され、労働者の募集・採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととなりました。

◆「例外規定」の条件

例外規定のうち、「技能・ノウハウ継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合」が最も多いケースと予想されています。

この規定において、その「年齢層」を「30〜49歳」に限るとともに、「相当程度少ない」を「同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が1/2以下である場合」と具体的に定めました。例えば、「○○社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集」する場合、「○○社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人」であることが条件となります。

◆提示拒否には求人受理保留も

年齢制限の理由を示さない事業主の求人に対しては、受理を保留するとしています。

また、求人の内容などについては、公共職業安定所から資料の提出や説明を求められることがあり、雇用対策法10条に違反する場合などには、助言、指導、勧告等の措置を受ける場合があるとともに、職業安定法5条の5但書に基づき、公共職業安定所や職業紹介事業者において求人の受理を拒否される場合があります。




 給与のもらい方で変わる年金の受給額

◆同じ年収でも受給額に違い!?

「同じ年収であっても、給与のもらい方次第で将来の年金受給額が変わる」と聞けば老後の一大事で、聞き逃せる話ではありません。問題となるのが、最近増えている年俸制です。

年俸制といえば、プロスポーツ選手など収入が多い人にしか関係ないと思われがちですが、最近では能力主義・成果主義導入の影響で、管理職などに年俸制を導入する企業も増えてきています。年俸制の中でも、単純に年俸を12カ月で割って毎月支払われているような場合は要注意です。

◆AさんとBさんの例

「年俸制でないAさん」と「年俸制のBさん」とで比べてみましょう。
2人とも年収は960万円、賞与は2回分で234万円です。Bさんには単純に12カ月で割って月80万円支払われたとします。

仮に、2人が今の年収で40歳から60歳まで働いたとすると、20年間分の厚生年金の額はAさんが年約107万円、Bさんが年約81万円と、Bさんのほうが少なくなります。

◆なぜこのようなことが起きるのか

この差の謎を解く鍵が、年金計算の基礎となる「標準報酬月額」です。月給60万5,000円以上は年金の計算上、標準報酬月額が62万円とみなされます。保険料はこの62万円に保険料率をかけて計算され、賞与も保険料の対象となります。

つまり、Aさんは給料と賞与の全額が年金額の算定に反映されます。しかし、給与80万円のBさんは月給62万円とみなされ、給与全額が年金計算に反映されることはなく、賞与もありません。この結果、年金額に差が生じるのです。ただ、保険料は賞与がない分、Bさんのほうが少ないのです。

◆年金収入とのギャップ

毎月の給与が多い人はどうしてもその範囲で生活を広げがちになり、リタイア後の年金収入とのギャップに驚くことになります。年収が多いと年金額も多いと錯覚しがちですが、給与が支払われるときに12等分されるような年俸制の場合は、年金額が思ったほどではないかもしれません。

2007年4月から、健康保険の保険料を計算する際の月給の上限が98万円から121万円に改定されました。月給が多い人は健康保険料が増えているはずです。ただ、健康保険料の場合はたくさん払ったからといって年金のように見返りがあるわけではありません。

年収が多い人、特に年俸制で年収が多い人は現役の時から支出管理をきちんとし、計画的に生活設計をする必要があるでしょう。




 社員が自宅に仕事を持ち帰った場合の残業代は?

◆仕事が終わらない!


会社は残業時間の減少を目標に掲げ、職場では午後10時に強制消灯しています。しかし、仕事量が多く消灯までにはとてもこなしきれず、毎日のように自宅に仕事を持ち帰る社員がいます。このような場合、自宅での仕事に残業代の支払いは必要なのでしょうか?

◆上司の命令であれば支払いが必要

労働基準法は、従業員を週に40時間を超えて働かせる場合は、割増賃金を支払わなければならないと定めています。割増賃金は、使用者(上司など)の指揮命令下で行った残業時間を基に計算されるのが一般的です。
職場以外の仕事であっても、「消灯までに終わらない仕事は自宅に持ち帰れ」と上司が命じていたり、上司の許可を得ていたりする場合には、残業代の支払いが必要です。逆に、会社が職場以外での仕事を禁じているのに従業員が勝手に自宅で仕事をした場合、残業代を支払う必要はありません。

残業禁止命令を会社から出された従業員が、時間外労働の割増賃金を支払うよう求めた訴訟においても、東京高裁は2005年、「命令に反して仕事をしても労働時間には含まれない」との判断を示しました。このケースでは、従業員は時間内に仕事がこなせない場合は役職者に引き継ぐように命じられており、「残業なしで仕事を終えるのは不可能」と訴えた従業員側の主張は通りませんでした。

◆暗黙に残業を命じている場合は?

会社側が明確に自宅での残業を命じていなくても、残業代の支払いが必要となるケースはあります。例えば、「明日締め切り」という仕事を夕方になって従業員に大量に割り振るような場合です。

上司が暗黙に残業を命じたとみなされれば、自宅での仕事も残業代の対象となる可能性があります。この場合、普通の人が普通のペースで時間内にこなせるかどうかが1つの判断基準となります。


◆適切な労働時間管理を
「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)が提唱され、残業削減に取り組む企業は増えています。しかし、就業時間を厳格に縛る一方で仕事量が減らないなら、残業代の扱いをめぐる争いがかえって増えかねません。企業には適切な業務量管理が求められています。




 パワハラ(上司によるいじめ)を初の労災認定

◆上司の暴言を苦に自殺

製薬会社に在籍していた当時35歳の男性社員が自殺した原因は、上司の暴言にあるとして、社員の奥さんが国に対して労災認定を求めていた訴訟で、東京地裁は10月15日、原告側の請求を認め、労災であると認定しました。

◆「パワハラ」とは何か?

「パワハラ」とは、パワー・ハラスメントという和製英語の略称であり、一般的に、職場での地位を利用した上司によるいじめや嫌がらせのことをいいます。今回の訴訟は、パワハラを原因とする社員の自殺を労災認定した初の司法判断とのことです。

上司のパワハラによる被害は、退職やうつに追い込まれるケースも多くありますが、これまでは労災の対象になるとは考えにくかったのです。


◆パワハラと「指導」の違いはどこに?
上司や企業の側は、「指導」という言葉でパワハラを正当化しがちな傾向にありますが、実際にはいじめや暴言、しごきという実態が存在することもあるようです。

今回の訴訟で問題となった上司の発言にも、「存在が目障りだ」「お願いだから消えてくれ」「お前は会社を食い物にしている、給料泥棒!」といった暴言があったようです。男性社員は、上司のこのような発言によって自分を責め続け、ついには自殺願望から抜けられなくなってしまったとのことです。

言葉による暴力は、時に実際の暴力よりも人を傷つけることがあります。自分のストレスのはけ口として部下にあたっていることはないか、今一度自己の言動を見直すことも必要かもしれません。







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