インレットホースの破裂


 

1.目的

BNR32のエンジンが走行中に突然パワーダウンした。原因を突き止めて修理をする。

 

2.結果

インタークーラーのインレットホースが破裂したために、吸気が漏れて過給圧がかからなくなったのが原因であった。破裂したインレットホースを社外品のアルミ製パイピングキットに交換し、エンジンが正常になった。

登 録 後:8年7か月
走行距離:32,900km

 

3.症状

2速フルスロットルで加速中、エンジンの回転数が8,000rpmに達する少し手前で突然「ボンッ!」という破裂音と共にパワーダウンし、そのまま失速した。その後、ターボの過給がまったくかからなくなった。

 

4.原因の探求

異常発生時の状況から、吸気系のホース抜けが容易に想像できた。そのまま走行して家に帰り、ホース類を目視で点検した。バンパーの穴からインタークーラーのインレットホースを見ると、ゴム製のカバーが少しズレているように見える。アンダーカバーを外し、車体の下からホースを点検した。


インレットホースのゴム製のカバーを止めるクランプが、いくつか外れてなくなっている。カバーの継ぎ目が開いているのが分かるだろうか。


ホースバンドを緩め、車両からインレットホースを取り外した。ホースが破裂し、その時の衝撃でカバーのクランプが吹き飛んだようである。


取り外したインレットホースを詳しく調べてみると、ホースの中央が裂けて開いているのが分かった。内部のメッシュが露出し、奥の方で亀裂が内側まで達していた。
ターボの過給圧を上げてホースが抜けたという話は時々耳にするが、このように破裂する場合も頻繁にあることなのだろうか。


ホース本体とカバーを分離してみると、カバーの内側には遮音材が付いていた。幸い、遮音材を吸い込んだ形跡はなかった。

 

5.部品交換

純正品の強度不足に加え、他のホースも経年変化で劣化している思われるので、社外品の4本セットのアルミ製パイピングキットに交換することにした。


これが、取り外した純正品のホースである。右から2番目が今回破裂したホースだ。
重量を測定してみると、4本合計で4.5kgであった。


これが、今回取り付けたHKSの純正形状のパイピングキットである。外観はメッキ仕上げだ。
重量を測定してみると、4本合計で4.3kgであった。純正品よりわずかに軽い。


交換作業は予想以上に苦戦した。コツが分かれば難しい作業ではないが、2度とやりたくない作業だ。
右に見えるのはレゾネーターである。


ホースを取り外したついでに、インタークーラーの中に手を入れてみた。内部はホースと同じように全体にオイルが付着していたが、オイルが溜まっているようなことはなかった。悪いエンジンオイルを使用すると蒸発量が多くなり、ブローバイガスと一緒に吸気に入るため、インタークーラーにオイルが溜まることがあるらしい。
左に見えるのはリサキュレーションバルブである。


交換作業終了後のエンジンルームはこんな感じだ。

 

6.なぜホースが破裂したのか

ターボの過給圧を約1.0kgf/cmに上げていることが主原因であると思うが、インレットホースの強度不足も原因にあると思う。純正品のインレットホースは2重構造で、中間には強度を上げるためにメッシュが入っている。さらにホースの外側は、遮音材が付いたゴム製のカバーで包まれている。破裂したホースを調べてみると、成形時の加熱不足か加圧不足か分からないが、メッシュを挟んだ2枚重ねのゴム材料がしっかり溶着していなかったようで、ゴム材料が剥がれて内部のメッシュがズレてたるんでいた。過給がかかる度に膨張し、耐えきれずに最後には破裂したのだろう。
また、ターボエンジンであっても運転状況によっては瞬間的に負圧がかかる領域もあり、ホースには大気圧によって潰される力もかかるはずである。つまり、運転状況により負圧と正圧が交互にかかる場合があり、吸気系のホース類には想像以上の力がかかるのではないかと思うのだ。この場合、潰れる力に対しては、メッシュでは役に立たないであろう。特に、長いホースは潰れやすいはずだ。今回破裂したのは、やはり1番長いホースだった。
ターボの過給圧を上げた場合は、吸気系のホース抜けを防ぐためにホースバンドを増し締めするのが常識だ。しかし、今回のように1.0kgf/cm
程度の過給圧でホースが破裂したという話しは聞いたことがなく、珍しいケースではないかと思う。

 


2000/06/26

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