スターターモーターの異音


 

1.目的

BNR32のエンジンを始動させた時、スターターモーターの付近から不愉快な異音が発生する。異音の発生源を突き止め、修理をする。

 

2.結果

クラッチの交換を行った際にスターターモーターを取り外したので、これを機に異音の原因を探ってみた。フライホイールのリングギヤとスターターモーターのピニオンギヤには異常と思えるキズや摩耗は一切見られなかったので、異音の発生源はスターターモーターの内部だと思われた。スターターモーターを分解して目視による点検を行ったが特に異常はなく、異音の発生源を特定することはできなかった。清掃とグリスの充填で直る可能性が高かったが、以前にバッテリー上がりを起こした時にコンタクターの接点が溶着したことを思い出したので、いっそのことASSYで新品に交換することにした。新しいスターターモーターは新型の代替品であり、交換後の調子はすこぶる良好である。

登 録 後:10年7か月
走行距離:36,800km

 

3.症状

何年も前から、エンジンの始動時に異音(キャッ、キャッ)が発生していた。異音はクランキングに関連して発生し、エンジンが始動した直後の短い時間に限ったものだったが、金属同士が強く擦れ合うような鋭い音色で、やや大き目の極めて不快な音だった。

 

4.スターターモーターの脱着及び分解

スターターモーターを取り外す時は、必ずバッテリーの端子を先に外し、その後にスターターモーター側の配線を外す。スターターモーターは2本のボルトで固定されているが、奥側のボルトを取り外すのが大変だ。工具の可動範囲が狭いので、工具を選ぶ必要がある。


この写真は、手前側のボルトにレンチをかけた時のものだ。
奥側のボルトは、指先がやっとボルトの頭に触れる程度だから、工具をかけるのも勘に頼るしかない。
ボルトが抜けたら、邪魔なフロントプロペラシャフトとクラッチのオペレーティングシリンダーを取り外す。そして、知恵の輪を外すように配管類をくぐり抜け、やっとこさ取り出すことができた。


取り外したスターターモーターを分解してみた。モーターは遊星歯車式のリダクション機構付きだ。
各部の軸受けには、メタルベアリングが使われている。金属音の発生源として疑わしい部分だが、摩耗してガタがある様子はなかった。
その他の部品も入念に調べてみたが破損などはなく、それぞれのギヤにも異常と思えるキズや摩耗は見受けられなかった。

 

5.新旧の比較

購入した新品のスターターモーターは、新型の代替品だった。新型のスターターモーターと、取り外した旧型のスターターモーターを比較してみると、大きな相違点があった。


新型のモーターは一回り小さくなり、重量もかなり軽くなっている。
ちなみに、どちらも日立製である。


新型のスターターモーターは、ピニオンギヤの歯数が11枚に変わっていた。一目見てギヤが大きくなっているのが分かったので、「これじゃ使えないじゃん!」と思ったが、良く調べてみると軸の位置がオフセットされていたので合点がいった。
念のためにノギスで寸法を測ってみたところ、ギヤのピッチ円(推定)は同じ位置関係であることが確認できた。


これは、取り外した旧型のスターターモーターである。
ピニオンギヤの歯数は9枚である。


分解したスターターモーターはグリスを入れて組み直し、バッテリーを接続して回してみた。電磁石が作動してピニオンギヤが飛び出すと“ガチャン”と大きな音がするが、回転音は静かである。同様にして新品のスターターモーターも回してみたが、むしろ回転音は大きかった。
これ、マブチモーターの化け物みたいで、妙に面白い。取り外したスターターモーターの使い道は、後でゆっくり考えよう。

 

6.スターターモーターの取り付け

新しいスターターモーターを取り付ける。


この写真は、奥側のボルトにレンチをかけた時のものだ。(見難いです)
奥側のボルトを差し込むのは一苦労だった。そして、ねじ込むのはもっと大変だった。イライラが頂点に達し、肛門様が“ヒクヒク”しそうになった。
それでも、新しいスターターモーターは一回り小さいので、取り付けは多少なりとも楽だったはずである。

 

7.試運転

新しいスターターモーターでエンジンを始動させてみた。不快だった異音は完全に解消され、さらにクランキング時の音が以前と変った。回転の勢いが良くなったように感じる。大袈裟に言うと、以前の音が8ビートで、新品の音は16ビートである。車は10年を過ぎた旧車だが、クランキング時の音だけは最新の新車並になったかな?
スターターモーターは値が張るので、ホーバーホールをするかASSY交換にするか迷うところだが、新型は小型軽量で性能も高いようなので、ASSY交換が正解だったと思う。ただ、異音がしても不快感があるだけで、そのまま使っても問題はないかも知れない。

 

8.部品情報

BNR32のスターターモーターは標準仕様も寒冷地仕様と同一で、大容量の物が搭載されている。従来の物は日立製と三菱製が存在したが、いつの間にか三菱製は消滅し、日立製は1999年10月より現在の仕様に変更されたようである。

〔スターターモーターASSY〕

部品番号:23300−AA300
部品価格:¥50,500

 


2002/05/29

トップページに戻る