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育毛最前線

 身体を形づくっている細胞のうち、あるものは絶えず新陳代謝を繰り返しています。つまり一定期間の寿命を終えた細胞は死滅し、若い細胞が分裂増殖し、絶えず新しい細胞が作り出され古い細胞に取って代わることで成体の働きが支えられています。この様に新陳代謝を行う生体組織は幹細胞系組織と呼ばれ、血液、皮膚、毛等があります。

 この組織では新陳代謝を続ける為活発に増殖する細胞集団から、分化し終え成熟した細胞集団迄、いくつかの異なる集団に分けることができます。ところが、もっと前に控えている親玉とも言える未分化の細胞があります。この細胞を成体幹細胞といい、この細胞はあまり分裂をしないことが普通で、必要なときが来るまで、未分化の状態で控えています。

 この様に新陳代謝の親玉ともいうべき成体幹細胞が存在することが判ってきたのですが、未分化の為、その数が極端に少なく、存在する場所は不明でしたが、毛根に存在するとされる幹細胞については、急速に研究が進んでいます。

 約十年前から、皮脂腺の下で立毛筋の付け根あたりのバルジと呼ばれる部位に幹細胞があるのではないかと提唱されていましたが、そのことを聖マリアンナ大学の大島博士とフランス高等教育院のバランドン博士等が、1本1本の毛根を切り分け、どの場所に新しい毛根を作る能力が存在するのかを調べる実験を行い、証明し、2001年発行の米科学誌セルに発表しました。
 両氏らの研究は、上記の長年の論争に終止符を打っただけではなく、同じ細胞が表皮、汗腺、皮脂腺のすべての皮膚関連臓器を再生する能力(=多能性)を持つこと、すなわちこれが成体幹細胞であることも証明し、大きな衝撃を与えました。
 両氏の研究によって、ケラチノサイトと呼ばれる毛根形成細胞が成体幹細胞の一種であることが証明されると共に、成体幹細胞としてはその存在する場所が初めて明らかにされたのです。

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さらに、米ロックフェラー大学のハワード・ヒューズ医学研究所のチームがマウスを使った実験で幹細胞を発見し、マウス実験で幹細胞により毛が再生できることを実証し、2004年発行の米科学誌セルに発表しました。

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 このように、幹細胞が毛髪、表皮、汗腺、皮脂腺の分化を司り、しかもその場所は毛乳頭ではなく、バルジにあるということが明らかになり、毛髪や皮膚の再生医療に明るい未来が見え始め、育毛剤の作用機序も改めて大きく見直しを計る時代となってきました。

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