カメラに使われているシャッターは大抵の場合、二つの方式に分けられる。一つは昔からある比較的原始的な方式に属するレンズシャッター。もう一つはライカの登場から一般的になったフォーカルプレーンシャッターである。
この2つの方式はそれぞれに長所と短所を併せ持つ。
レンズシャッターには、シンクロスピードというものは存在しない。つまりストロボを使用する際は、そのストロボの閃光時間以下のシャッタースピードであれば問題は無い。ちなみにハンディーストロボは1/5000秒以下の閃光時間であり、大型ジェネレータータイプでも1/1000秒よりは短いといわれている。
しかし弱点もある、その機構故に、1/1000秒以上の高速シャッターが切れないのだ。
次に挙げるフォーカルプレーンシャッターはその問題を解決するために登場した方式である。
このフォーカルプレーンシャッター、最初は横走りのものが圧倒的に多かったため、速いシンクロスピードが使えなかった。それからシャッタースピードの最高速の上限が低く、高速で移動する動体の撮影は困難である事が多かった。
初期のフォーカルプレーンシャッターは1/1000秒であり、レンズシャッターの上限速度1/500秒より一段高速なだけで、シンクロスピードの問題を考えるとメリットは少なかった(レンズシャッターは全速シンクロスピードなのに対しこの場合のフォーカルプレーンはおおむね1/60秒以下である)。
これは当時の技術力も関係していて、横走りの布引き幕一枚で機能を実現していたと言うのもある。つまりこれ以上の複雑精緻にして安定的な機械を作れなかったのだ。
先の事情があるため、縦走りのシャッター幕は、ずいぶんと遅い登場となった。そして横走りシャッター幕が実現していた1/2000秒の最高速を超えて縦走りのメリットが出てくる1/4000秒での高速でしかも安定した動作を繰り返すためには高度な加工が必要だ。
フィルムの開口部を見る限り、横36mmに対し縦24mmであることから、縦にシャッター幕を走らせれば当然高速化を実現しやすい。しかし、カメラ自体の構造的制限やそこから導き出される複数枚構造のシャッター幕を安定動作させるための高度な加工精度、そして高速化による耐久性が必要となるなど、ハードルはいくつも立ちはだかる…。
特に35mm一眼レフカメラの場合は開口部の上にペンタプリズムがあるので横走りの機構をそのまま組み込めない。そこで開口部の右左側にコンパクトにして駆動機構を組み込むことになる。そして安定した動作と高速化に対応した耐久性向上のために開発に時間が掛かっている。
市販モデルで初めて縦走りシャッターで1/4000秒と1/250秒のシンクロスピードを達成したのはミノルタのα9000であった…。