パソコンによる機体設計入門 (資料) 2002.11.02
中野@長久手
最近では一家に一台的になってきたパソコンですが、ちょっとした工夫と努力で紙飛行機の設計にも使用出来ます。ここではWindows系のOSを基本に説明しています。
1.
CADとは?
パソコンを使用して作図(製図)するアプリケーションの総称です。最近では非常に高価で3Dモデリングまで可能なものが増えつつありますがフリーソフト(使用料はただ)として流通している2次元CADのほうが紙飛行機の設計には適しています。直線・円はもちろん接円やコーナー処理等に加え図形の複写や移動が自由に行えます。基本となる機体が出来ればちょっとした変更はあっという間に可能です。
代表的なフリーの2次元CADとして
作図は Jw_cad for Windows (http://www.jwcad.net/)
カラーリングは Lillcad (http://www.pluto.dti.ne.jp/~ran-yu/)
の2つを使用しています。
2.
Ppsimとは?
Vテールで有名な桝岡氏が作成された紙飛行機設計支援ソフトで、http://www.aa.isas.ne.jp/v-tails/
からダウンロード出来ます。
主翼形状、尾翼形状、胴体形状等を自由に変更して機体の設計を進めていきます。出来上がった機体の各パーツはCADで扱えるデータ形式(dxf形式)のファイルに出力できるので飛躍的に設計スピードが向上します。一連の作業に慣れれば構成決定後2〜3時間で部品図(型紙)の出来上がりです。
3.
機体の設計の進め方
Ppsimで機体の基本構成を決定します。設計の目安はハンドランチの場合
動安定余裕 15〜25(数字が大きいほど上昇時の直進性が高い。)
両立余裕 5〜8 (数字が大きいほど返りの再現性が高い)
揚力傾斜比 70〜80(数字が大きいほど滑空には有利だが外乱に弱い)
水平尾翼容積 0.95〜1.05
垂直尾翼容積 0.035〜0.040
の範囲に入るようにすれば取り合えず飛ばない事は無いと思います。
上から3項目は機体の性格を表わす指標となるため特に気にしながら構成を決定していきます。
但し、現行バージョンは張り合わせ主翼しか設計できません。前縁中空翼の場合は設計の主翼の項目のキャンバー(%)を好みで設定する必要があります。私の場合、基本構成の設計用として割り切った使い方をしています。パソコンが設計を自動でしてくれる訳ではなく煩雑な計算を瞬時に行ってくれるソフトなので「紙飛行機の基本構成の意思決定支援ソフト」的に使用しています。
※実際に作成した機体の重量を再度Ppsimに入力すると動安定余裕が変化します。私の場合は、実機で飛行特性、重量、重心位置等を確認し更にPpsim上で検討を加えて設計にフィードバックしています。
4.
Jw_cad for Windowsによる作図
4.1 Jw_cad for WindowsにPpsimで作成した機体データを読み込む方法
(1) Ppsimで作成した機体のデータをCADで読み込めるようにするためにDXF形式のファイルで出力します。Ppsimの「ファイル」−「部品図」で出てくるウインドウでCAD用DXFファイルを選択して保存します。
(2) Jw_cadを立ち上げて「ファイル」−「DXFファイルを開く」で先ほど保存したファイルを選択すれば読み込まれて画面に図形が表示されます。
4.2 作図の実際
作図を開始する前に用紙の設定を行いますが、AGケントの場合はB4を指定しておきます。
しかし、使用しているプリンターがA4対応の場合は注意が必要です。「ファイル」-「プリンタの設定」で用紙サイズを任意で設定できるので210*360横として設定します。
設定が完了したら、「ファイル」-「印刷」で印刷モードを開始すると印刷範囲の枠が表示されます。
その時に、ツールバーの右端に枠書込のボタンがあるので押します。このあと、「作図」のメニューのかなの適当なモードに移行すると枠が書き込まれるのでこの枠の中に収まるように作図を開始します。
【注意】印刷モードを開始して作図領域をクリックするとプリントアウトを開始してしまうので注意してください
Jw_cadによる作図の方法は http://papa88.no-ip.org/index.html で分り易く説明されています。
4.3 作成した図面の保存
作成した図面を保管する場合標準のファイル形式のJWW形式のほかにDXF形式でも保管しておきLillcadで読み込めるようにしておきます。
5.
Lillcadによるカラーリング(彩色)
5.1 LillcadにJw_cadで作成した図面を読み込む
(1) 起動するとまず用紙設定のダイアログが出てきます。とりあえず作成した図面が入る用紙サイズを選択します。AGケントでしたらB4サイズ横でスケールは1:1にしてOKボタンを押すと立ち上がります
(2) 「ファイル」−「開く」で読み込むファイルを選択しますが、この時にファイルの種類をDXF Filesを選択すれば、さきほど保存した機体ファイルが表示され選択できるようになります。
(3) ここで、起動の時と同じダイアログが現れます。同様の設定でOKボタンを押すと、「縮尺を自動で計算しますか?」と聞かれるので「はい」を押します。
5.2 カラーリング専用レイヤーの作成
レイヤーとは背景となる絵に人物とかタイトル文字を書いた透明フィルムを重ねて一枚の絵にするような場合の透明フィルムにあたるものです。
機体の図面データ(背景図)に文字用のレイヤー(1枚目の透明フィルム)とか色付け用のレイヤー(2枚目の透明フィルム)を重ねることによって文字や色を他の部分に影響が出ないようそれぞれ勝手に変更できるようになります。
全てを同じレイヤー(一枚の紙やフィルム上)で書いても見た目は同じにできますが色を変えたり消したりしようと思った時に主翼の外形線までもが消えてしまったなんて事を防げます。
(1) 「レイヤー」―「レイヤーの挿入」で属性には全てチェックを入れて属性名を入力してカラーリング用のレイヤーを挿入します。
(2) 図面の右下に新しく挿入したレイヤー名が増えているはずです。このタブをクリックするとカラーリング用のレイヤーと図面用のレイヤーを行ったり来たり出来ます。
5.3 カラーリング&文字入れ
カラーリング専用のレイヤーに移動して、着色する範囲を「ツール」-「多角形」-「ポリゴン」で指定します。
この時、ツールバーの鉛筆マークの色を無色にしておくと刷毛マークで指定の色で指定範囲の内側が塗られます。
5.4 作成した図面の保存
図面の保存はDXF形式ではなく「ファイル」-「名前を付けて保存」でLillcad file形式(*.lcd)で保存すれば、カラーリングも含めて保存できます。
5.5 プリントアウト
カラーインクジェットプリンターで印刷した場合は、ラッカー仕上げの時でも色滲みせず綺麗に仕上がりますが、カラーレーザープリンターの場合、トナーが流れてしまうようです。
ここでは、A4対応プリンターを例にしていますが、A3対応プリンターの場合はケント紙のカットは不要です。使用しているプリンターに合わせて作図しないと、印刷の時あわててしまうので注意してください。
(1) プリンターの設定
最初に「ファイル」-「プリンタの設定」で、プリンターの設定を行います。通常のA4サイズ対応プリンターの場合、短辺は210mm程度のケント紙しか印刷できませんが、長辺は任意の寸法まで印刷可能なものが多いので210*360の範囲で作図しておけば、AGケントを少しカットすれば直接印刷できます。
お使いのプリンターによって設定は異なりますが、通常、刷倍率の設定が出来るので忘れないように100%指定しておきます。
プリンターの設定が終わるとLillcadの画面に赤点線で印刷領域が表示されるので図面が全て枠内に入っていることを確認します。
(2) 印刷
カットしたAGケント紙をセットし「ファイル」-「印刷」で印刷開始です。