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アゲハチョウ科
大型の蝶。黒地のものが多い。ギフチョウとウスバシロチョウは特異。
●ウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)(Parnassius glacialis)
・分布=北海道(南西部など)、本州、四国
・食草=ムラサキケマン、エゾエンゴサクなど
中国地方と四国地方では限られます。本州でも沿岸部や紀伊半島には棲息しません。
年1回、4月下旬から山地帯などでは6月以降見られます。
本州では低山地から山地帯にかけて、林縁や荒れ地、耕作地周辺に多く見られます。
発生地では数多くの個体を見ることがあります。非常に緩やかに飛び、各種の花を訪れます。
日本海側やその内陸部の個体は黒く、太平洋側や四国地方の個体は白い傾向にあります。
●ヒメウスバシロチョウ(ヒメウスバアゲハ)(Parnassius hoenei)
・分布=北海道
・食草=エゾエンゴサクなど
年1回、5月下旬から6月に見られます。北海道の特産種です。
ウスバシロチョウの分布する南西部や釧路・根室方面以外に広く分布します。
比較的棲み分けが見られますが、混生地もかなりあります。
ウスバシロチョウとは腹部の色の違いなどでおおよそ見分けられますが、
雑交個体も発見されており実際は区別が難しい種類の一つです。
●ウスバキチョウ(キイロウスバアゲハ)(Parnassius eversmanni)
・分布=北海道
・食草=コマクサ
年1回、6月から7月、日本では北海道の大雪山系、十勝連峰にのみ見られる種類で、
氷河期の生き残りといわれる蝶です。
国の天然記念物に指定されています。成虫になるまで、足かけ3年かかります。
幼虫は高山植物のコマクサを食べます。
●ギフチョウ(Luehdorfia japonica)
・分布=本州(主に日本海沿岸とその内陸部)
・食草=カンアオイ類
年1回、早いところでは3月中旬から、普通3月下旬から4月に見られます。高地では5月、場所により6月に現れます。
黄色地に黒と赤の紋が綺麗な蝶です。秋田県鳥海山北部から山口県まで、
多くは日本海側に沿って分布しています。太平洋側では、愛知県や、
わずかに神奈川県、静岡県・山梨県などにも分布します。
温帯の落葉樹林帯のカンアオイ属の生育する環境に見られます。
一時的に伐採後の植林地で多数発生する場合もありますが、
二次林の利用減少や広葉樹林の放置によるカンアオイの減少により、「里山」的環境下では
数が減少傾向にあります。近年、保護運動の高まりが見られている種類ですが、
ただ採集禁止にするだけで、生息地全体の見直しを含めて保護しているところは少ないような気がします。
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●ヒメギフチョウ(Luehdorfia puziloi)
・分布=北海道(中央部から北部)、本州(東北地方、中部地方)
・食草=ウスバサイシン、オクエゾサイシン
年1回、4月より現れます。ギフチョウとはおおよそ棲み分けられており、
その境界線はリュードルフィアラインと呼ばれています。北海道では局地的ながらかなり広く生息します。
本州では青森県から福島県北部まで、中部地方は長野県と山梨県が中心です。
カタクリやスミレ、北海道ではエゾノリュウキンカなどの花を好んで訪れます。
ギフチョウより少し小さい蝶です。北海道産はssp.yessoensis、本州産はssp.inexpectaとされ、それぞれ亜種区分されています。
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●ホソオチョウ(Sericinus montela)
・分布=本州
・食草=ウマノスズクサ
当初、韓国から持ち込まれたものが増えたものと見られており、
東京都、山梨県などで見られていたものが、いまや関東地方から九州北部など全国的に広がってきています。
明らかに人為的に放たれたものです。一時爆発的に増加した所では、
次第に減少してきている所もあります。
●キシタアゲハ(Troides aeacus)
1995年に日本で始めて波照間島で発見されました。その後一時発生が繰り返された蝶です。
大型で、大変きれいな蝶です。東南アジアに広く分布し、台湾が東限となります。
台風で運ばれた個体から繁殖したと見られています。リュウキュウウマノスズクサを食べます。
●ジャコウアゲハ(Byasa alcinous )
・分布=本州(中部地方以北は低地帯)、四国、九州、南西諸島
・食草=ウマノスズクサ科
年2回から3回、4、5月から9月、南西諸島では1年中見られます。
林縁、河川堤防、耕作地周辺などの明るい環境に見られます。
そよ風に吹かれながら緩やかに食草のウマノスズクサ周辺を飛びます。
宮古島産以外、南下するにつれて色調が濃くなります。現在5亜種に分かれています。
ウマノスズクサの有毒物質を体内に蓄積しているため、鳥が食べないと言われています。
●ベニモンアゲハ(Pachliopta aristolochiae)
・分布=先島諸島
・食草=コウシュンウマノスズクサ、リュウキュウウマノスズクサ
日本では、1968年より八重山諸島で見られるようになり、先島諸島(宮古諸島、八重山諸島)に棲息します。
1年中見られます。
最近では1992年に沖縄本島に定着し、また奄美大島でも見られるようになってきました。
海岸付近の林縁に見られ、ジャコウアゲハと同様にゆっくりと飛び、様々な花を訪れます。
●ミカドアゲハ(Graphium doson)
・分布=紀伊半島と四国の南沿岸部など、九州、南西諸島
・食樹=オガタマノキ、タイサンボク
本州や四国では4月下旬〜5月と7月の年2回、八重山諸島などではほぼ1年中見られます。
八重山諸島産は別亜種とされます。(奄美諸島以北と沖縄諸島以南で区分される場合もあります。)
南下するにつれ、本土産は斑紋がクリーム色、
八重山諸島産は淡い水色になる個体が多くなります。
オガタマノキの分布する照葉樹林の周辺に見られます。
また、神社などでオガタマノキが神木として植えられることが多いため神社境内で見られます。
八重山諸島ではたくさんの個体が吸水するのを見ます。
尚、高知県高知市のミカドアゲハは北限域(当時としては)であったことから国の天然記念物に指定されています。
●アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)
・分布=本州(中部地方以北は沿岸部)、四国、九州、南西諸島
・食樹=クスノキ、ニッケイ、タブノキなどクスノキ科
年2回から4回、5月から10月まで見られます。八重山諸島では1年中見られます。
市街地でも街路樹にクスノキが植えられておりよく見られます。
せわしく飛び、注意しないとすぐ見失います。
●コモンタイマイ(Graphium agamemnon)
与那国島で毎年確実に見られます。
まだ土着はしていないようです。
●オナシアゲハ(Papilio demoleus)
コモンタイマイと同じように与那国島でしばしば見られますが、
土着してはいないようです。幼虫はミカン類を食べます。
●キアゲハ(Papilio machaon)
・分布=北海道、本州、四国、九州、大隅諸島
・食草=ミツバ、セリ、シシウド、ハナウド、エゾニュウ、ハマボウフウなどセリ科
北海道の高地と本州の高地以外は年2回から4回出現し、早いところでは3月下旬から見られます。関東地方では4月から9月に見られます。
日当たりのよい環境を好み、郊外の田畑の周囲や高い山の上でもよく見かけます。
また、湿地で吸水するものを見かけます。キアゲハ以外のPapilio属はすべてミカン科を食しますが、
キアゲハだけはセリ科を食べます。セロリやパセリ、ニンジン畑などでも見られます。
●アゲハ(Papilio xuthus)
・分布=全国
・食樹=ミカン、ユズ、カラタチ、レモン、サンショウ、キハダなどミカン科の各種
年3回から数回、早いところでは3月から見られます。寒冷地や高標高地では少なくなります。
関東地方では3月下旬から10月に見られます。春型は小型ですが、夏型は大型になります。
食樹の多い人家付近に最も多く見られ、身近な蝶の代表でもあります。
●シロオビアゲハ(Papilio polytes)
・分布=奄美諸島以南
・食樹=サルカケミカン、ヒラミレモンなどミカン科
八重山諸島では1年中見られます。これらの地方では一番見る機会の多いアゲハです。
林縁や人家付近に多く見られます。よく花に訪れます。雌には雄とよく似た模様の型(T型−シロオビ型)と、
ベニモンアゲハの雌に擬態している型(U型−ベニモン型)があります。
沖縄のベニモン型は一様でなく白斑が赤斑に置き換わるものも見ますが、
ベニモンアゲハが増加してくると八重山諸島と同様の一律同じ型の個体が増えてくるものと思われます。
写真は上が雌です。
●オナガアゲハ(Papilio macilentus)
・分布=北海道、本州、四国、九州
・食樹=コクサギ、カラタチ、サンショウ類
北海道は東部には分布しません。年2回、春型は4月下旬からと夏型は7月から、北海道では1ヶ月遅れます。
山間の渓谷沿いなどに見られます。ジャコウアゲハによく似た翅形をもち、穏やかに飛びます。
よくツツジなどの花を訪れます。
●クロアゲハ(Papilio protenor)
・分布=本州、四国、九州、南西諸島
・食樹=カラスザンショウ、ユズ、カラタチ、各種ミカン類
東北地方北部には分布しません。通常年2回、春型は4月中旬からと夏型は7月から、
八重山諸島では周年見られます。低山地の渓流沿いに蝶道をつくります。
また食樹のある人家付近に見られ、都市部の市街地でも見られます。盛んにユリなどの花を訪れます。
奄美諸島以北と沖縄諸島以南の2亜種に分類されます。沖縄八重山亜種では特に雌の赤紋が発達する傾向にあります。
●ナガサキアゲハ(Papilio memnon)
・分布=本州(関西以南)、四国、九州、南西諸島
・食樹=各種ミカン類
本州では年3回、4月下旬以降見られます。九州では数回発生し、
南西諸島では冬季を除き周年見られます。南方系の蝶ですが、
先島諸島では稀です。主に関西以西で見られますが、現在静岡県や関東地方でも定着してきています。
ムラサキツバメと共に温暖化の影響のひとつと見られます。
南に行くに従って、雌の下翅は白くなります。
パピリオ属ではオナシアゲハと共に尾丈突起がありませんが、稀に有尾型が
見られることがあります。
●モンキアゲハ(Papilio helenus)
・分布=本州(関東以南が中心)、四国、九州、南西諸島
・食樹=カラスザンショウ、ミカン類
年2回から3回、関東地方では5月からと7月下旬以降に見られます。
東北地方でも暖かい福島県、宮城県の太平洋側に見られます。
ほかのアゲハ類に較べて少し遅く出現します。
飛んでいると淡い黄色い紋が白く浮かんで見えます。蝶道をつくって次々に飛んでくることがあります。
盛んに花を訪れ、また路上で給水する姿がよく見られます。
●カラスアゲハ(Papilio dehaanii)
・分布=北海道から鹿児島県の屋久島、種子島などを除くトカラ列島まで
・食樹=コクサギ、カラスザンショウ、キハダ、ハマセンダン、ミカン類
年2回から3回、春型は4月下旬(北海道では5月下旬)から、夏型は7月から現れます。
カラスアゲハは島嶼により変異が大きく、6亜種に分かれていましたが、
「日本産蝶類標準図鑑」(白水隆著)ではミトコンドリアDNAによる系統解析などの結果から、
カラスアゲハを、奄美諸島・沖縄諸島産をオキナワカラスアゲハ、
八重山諸島産をヤエヤマカラスアゲハとして別種としたので、本ホームページでも別種としました。
本州などでは低山地の渓谷沿いに見られ、雄はしばしば集団で吸水をします。活発に飛び、
ツツジ、ヤマユリなどの花に訪れます。
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●オキナワカラスアゲハ(Papilio okinawaensis)
・分布=沖縄諸島、奄美諸島
・食樹=ハマセンダン、カラスザンショウ
沖縄本島では食樹のハマセンダンが南部で少ないため、北部に多く見られます。
カラスアゲハに比べ飛び方はやや緩やかで、よく花に訪れます。
オキナワカラスアゲハについては以前から独立種として扱われることもありました。
原色日本蝶類生態図鑑(昭和57年発行)ではすでに区別していましたが、異論も多く、
カラスアゲハの沖縄亜種としての扱いも多く見られました。
年数回、沖縄諸島では春型は2月中旬から現れ、以後10月いっぱい見られます。
尚、奄美諸島に産するものはオキナワカラスアゲハの奄美亜種(amamiensis)とされました。
奄美諸島産の雌は、後翅表の赤斑が発達してよく目立ちます。
●ヤエヤマカラスアゲハ(Papilio bianor)
・分布=八重山諸島(石垣島、西表島、波照間島、与那国島など)
・食樹=ハマセンダン、カラスザンショウ、ミカン類
2月より数を増し、12月まで見られます。好んで花を訪れます。
カラスアゲハの中でも、全体に暗い緑色をしています。
●ミヤマカラスアゲハ(Papilio maackii )
・分布=北海道、本州、四国、九州、大隅諸島
・食樹=キハダ、カラスザンショウ、ハマセンダンなど
年2回(九州では3〜4回)、春型は4月(北海道では5月)から、夏型は7月から現れます。
普通、比較的高い山の渓谷沿いや林道などに見られます。関東地方平野部などでは見られません。
また、九州南部や種子島・屋久島では植樹ハマセンダンのある海岸付近でも見られます。
カラスアゲハと同様に地面に降りて吸水する姿が見られます。
光沢のある美しい翅を持っています。特に北海道産の春型は美麗です。
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