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オーケストラとの出会い

 このところ、ほとんど毎週日曜日チェロをかかえて伊豆フィルに出かける。せっかくの休みだというのに。たまった仕事も、家事もほうり出して。一体何に取りつかれてしまったのだろう。

 もともと音楽は好きだったが、ピアノを少し弾くくらいで、弦楽器とは全く縁がなかった。それが伊豆フィルの第1回演奏会を聞いて以来、何がなんでもオーケストラの中でいっしょに音楽を作ってみたくなった。第1回の定演の詳細はもう覚えてないが、「演奏がすばらしかった」というより、全員が楽しんで、和気あいあいとやっている様子が印象的だった。英語に excited という言葉があるが、まさにそれで、指揮者も、楽器を弾く人も、まわりでそれを支えるスタッフも皆の心がウキウキわくわくしているのが感じられた。「トライアングルでもいいからやってみたい。」と思った。(トライアングルなら出来るような気がしたのだ…)

 トライアングルがチェロになったのは、「初心者で、スケールから練習しているグループがある」と外岡さんから聞いたためである。いっしょに始める仲間がいれば、一人で始めるよりは楽しいに違いない…20年計画でやろうと思った。定年になって暇が出来たから、さあ何かを始めようとしても、それでは遅い。今から始めておけば、そのころには音楽もあって、いっしょに楽しむ仲間もいて、その上チェロだって少しは良い音が出るようになっているかもしれない。

 家で練習を始めると、猫がまず逃げ出し、夫も、黙って2階に避難することが多い。一人で弾いていると本当にうんざりするような音だ。それが、練習に出かけて、ほかの楽器に囲まれると、不思議と私のチェロでさえも音楽の一部になったような気がして実にいい気分で楽しい。単なる錯覚であることは間違いないが、その「錯覚」のために、まだまだ伊豆フィル通いが続きそうである。

――伊豆フィルニュース「わくわく」第8号より

(続)


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