Keyの判定

基礎編

  では次に、さきほど覚えたMajor Keyを実際に覚えてみましょう。何度も言うと説教じみてしまいますが、これを確実に覚えることで後々の理論が、ものすんごく分かりやすくなります。特に音程の話なんかは。

  コジコジの言葉を信じて頑張ってください。

  そんなこんなで、まずは前ページのMajor Keyの中から♯1〜3つのヤツと、同じく♭1〜3つのヤツの調号の部分だけ取り出してみます。(Ex-10)

Ex-10

 →  → 
 →  → 

  どうです?何か規則性を感じませんか?

  そうなんです。この調号の♯や♭の付き方には、ちゃんと規則があるんです。

  ♯であれば、F → C → G → D → A → E というふうに。

  ♭であれば、B → E → A → D → G → C ってなカンジで規則正しく増えていくんです。

  以上を分かりやすく下にまとめてみました。(Ex-11)

Ex-11
♯系




F♯
嬰ヘ
♭系
B♭
変ロ
E♭
変ホ
A♭
変イ
D♭
変ニ
G♭
変ト

  さて、この調号の♯と♭の付き方なんですが、丸暗記するにもコツがあります。まず、最初の2つずつを覚えてしまってください。

  例えば、♯であれば最初は「F」に付き、2つ目は「C」につきますよね。そして、この「F」から「C」ってのはFから数えて4つ下の関係ですね。……「・E・D・」または「ファ・ミ・レ・」ってな感じで。

  ってことは、次の3つ目の♯もCから数えてさらに4つ下、その次の♯もさらに4つ下ということを繰り返していくんです。……「・E・D・・B・A・・F・E・……」または「ファ・ミ・レ・・シ・ラ・・ファ・ミ・……」になるわけです。

  つまり、最初の2つさえ覚えておけば、その2つの関係から3つ目以降も導き出すことができるんです。

  ちなみに、♭は♯の逆で4つずつ上がるパターンになります。……「・C・D・・F・G・・B・C・……」または「・ド・レ・・ファ・ソ・・シ・ド・……」です。

  まぁ、いずれ使っているうちに覚えてしまうと思いますが。

  さて、では今度は2つの呪文を覚えて頂きます。

(♯系) ト ニ イ ホ ロ ヘ

(♭系) ヘ ロ ホ イ ニ ト

  実はコレ、調号の♯と♭の数長調(Major Key)の関係を覚える呪文なんです。上が♯系で下が♭系。どういうことかと申しますと、例えば♯が3つのときには、「トニホロヘ」で「イ長調」になり、♭が1つのときには「ロホイニト」で「ヘ長調」となるわけです。どうです、便利な呪文でしょう。しかも、よ〜く見ると「トニイホロヘ」を逆から読むと「ヘロホイニト」という、山本山現象(ちょっと違うかな?)が起きているではありませんか。

  た〜だし、焦ってはいけません。この呪文と先ほどのEx-11を見比べてください。「嬰」と「変」が入っていませんね。ですから、呪文を唱えられるようになった上で、「トニイホロヘ」の最後の「ヘ」には嬰がつき、「ヘロホイニト」の「ロ〜ト」には変がつくことも重ねて覚えておいてください。

トニイホロ・嬰(ヘ)

ヘ・変(ロホイニト)

 

  ここでも、最後のひとつだけ「嬰」が付く場合と、最初のひとつだけ「変」が付かない場合という逆転現象が起こってますね。ふしぎふしぎ。 

  ここまでの知識をもとに、ちょっと練習してみましょう。

問題1:ホ長調(E Major Key)を書きませう。
問題2:♭が4つ付く長調(Major Key)を書きませう。

問題1の解き方。

  1. まず♯もしくは♭の付く数から。♭系の呪文「ヘロホイニト」にある"ホ"は「変ホ」になってしまうので、結局♯系の「トニイロヘ」から考えて♯が4つ付くことが分かる。
  2. ♯4つの付き方は「ファ・ド・ソ・レ」なので、それを調号として楽譜の左端に書き、「ホ」の音からホ長調(E Major Key)を書けば完成!ついでに度数も入れてみた(っていうか、Ex-9から転用した図なので)。
    <完成作品>

問題2の解き方。

  1. ♭4つは、「ヘロホニト」の呪文から、「イ」になるが、「変イ」であることに注意。
  2. ♭4つの付き方は「シ・ミ・ラ・レ」なので、それを調号として楽譜の左端に書き、「変イ」の音から変イ長調(A♭ Major Key)を書けば完成!ついでに度数も入れてみた(これまた、Ex-9の転用なので)。
    <完成作品>

しゅくだい道場

  まず、調号の♯1つ〜6つと♭1つ〜6つの付き方を覚える。次に、それぞれのKeyを考え、Ex-11を見て答え合わせをしよう。呪文を覚えていればすぐできるはずです。次に、好きな曲の楽譜を用意して調号からKeyを自力で判定し、Ex-11と照らし合わせて正解できれば合格です(注:短調(minor Key)についてはまだ扱っていないので、とりあえずMajor Keyとして判定できれば十分です)。

  そして最後に一番重要なのが、いろんな音からMajor Keyの音階を書くことができるようになること。つまり、さきほどの問題1にあたるヤツのことです。これができるとできないとでは、次の音程の話での定着度がかなり違ってきます。まだまだ入門の段階ですから、つまずかないようじっくりと時間をかけて理解してください。ここをしっかり覚えてしまえば、後からがすごく楽ですから。頑張ってください。


発展編

  え〜、ここの内容は基本編とも結構かぶるものですし、そんなに難しいことではないので、「わしゃ基本編しか読まんっ!」って方もたまには読んでみてくださいな。

  まず、先ほどのEx-11を再び見て、全く同じMajor Keyがあるのに気付きましたか?♯系、♭系それぞれ最後のF♯ Major KeyとG♭ Major Keyです。F♯とG♭って、そもそも同じ音ですもんね。

  まぁ同じKeyなんだから、ひとつしか覚えなくていいじゃないかということになるんですが、ではどちらを覚えましょうか?

  それについては、一応こんな目安で考えてください。つまり、Jazzなどの管楽器が偉そうにしてるジャンルではG♭で、PopsやRockなどのギターが偉そうにしているジャンルではF♯で覚えてください。

  理由をお話しましょう。まず、トランペット・サックス・トロンボーンなどの管楽器の多くでは、Cの音を吹くと実際にはE♭やB♭の音になるんです。ですから当然、C Major Keyを吹いているつもりでも、外ではE♭ Major KeyやB♭ Major Keyが鳴っているわけです。CがE♭になるものをドイツ音名を使ってEs(エス)管、同じくB♭になるものをB(ベー)管と呼びます。

  つまり、ピアノやボーカルが弾いている実際のKey(Concert Keyといいます)とは違う譜面を用意しなければならないことになります。例えば、Concert KeyがE♭ Majorのときには、Alto Sax(Es管)の人にはC Majorの譜面を渡さなければいけません。以下に、それらを簡単にまとめてみました。色が白・からに近づくほど演奏するのがキツいことを表しています。

Concert Key
(♯4)

(♯3)

(♯2)

(♯1)

(0)

(♭1)
B♭
(♭2)
E♭
(♭3)
A♭
(♭4)
Es管の譜面 D♭
(♭5)
F♯
(♯6)

(♯5)

(♯4)

(♯3)

(♯2)

(♯1)

(0)

(♭1)
B管の譜面 F♯
(♯6)

(♯5)

(♯4)

(♯3)

(♯2)

(♯1)

(0)

(♭1)
B♭
(♭2)

  ご覧のとおり、Concert Keyで♭が2つ、3つなんてときは管楽器にとっては痛くもかゆくもないんですが、逆にConcert Keyで♯が2つ、3つとなるとかなり危険な香りがしてきます。「うわっ、これ♯がいくつ付いてんだぁ!?」って嫌がられるかもしれません。ですから結論としては、管楽器にとってはConcert Keyが♭系の曲の方が演奏しやすいということなんです。

  では、今度はギターが偉そうにしてるジャンルでの話。ギターを弾いたことがある方ならご存知でしょうが、ギターの弦は低い方からE、A、D、G、B、Eという音に調律されています。そして、左手の指で弦を押さえずに弾くと開放弦といって、これらの音がそのまま出ます。まぁ、そんなにたいした違いでもないんですが、開放弦を多く使えた方が左手で弦を押さえる回数が減るので、演奏は楽になるんです。特にフォークソングっぽいコードを弾くときには。

  ってなわけで、また表を作ってみました。Major Keyに含まれている開放弦の音です。

Concert Key
(♯4)

(♯3)

(♯2)

(♯1)

(0)

(♭1)
B♭
(♭2)
E♭
(♭3)
A♭
(♭4)
開放弦 E A  
  B E
E A D
  B E
E A D
G B E
E A D
G B E
E A D
G B E
E A D
G   E
  A D
G    
    D
G    
     
G    

  あとは、実際にギターでコードを弾いてもらえれば分かると思います。同じT度、W度、X度のコードをA Major Keyで(A、D、E)って弾くのと、B♭ Major Keyで(B♭、E♭、F)って弾くのと、どっちが楽かすぐに分かるはずです。結局、ギターにとっては♯系の曲の方が弾きやすいということになります。

  さて、そんなわけでG♭ Major KeyとF♯ Major Keyの使い分け方を知って頂きましたが、もういっちょ行きましょう。今度は基本編でも触れたKeyの判定の仕方の別バージョンです。

  こいつの面白いところは、イタリア語と英語の頭文字の偶然の一致です。早速みてみましょう。

  まず、楽譜の先頭についている調号の一番右のヤツを見てください。そして、それが付いている音を確かめます。(Ex-12)

Ex-12

  この例の場合、一番右はGの音ですね。

  そうしたら今度は、その調号の種類によって以下のように考えてください。

ラットは

ャープは

  つまり、さっき見付けた一番右の♭が付く音をファとして「ファ・ミ・レ・ド」と下がり、ドにあたる音(主音)を見付けるんです。主音が分かれば、何Major Keyなのかが分かりますよね。(Ex-13)

Ex-13

  この場合はD♭(調号により♭がつくことに注意)が主音になりますから、D♭ Major Keyということになります。

  一応、もうひとつだけ練習しておきましょう。今度は♯で。

  ♯の場合も一番右の調号に注目し、今度はそれをシとして「シ・ド」と上がって、主音にあたる音を見付けるんです。結果はE Major Keyということになりますね。(Ex-14)

Ex-14

  とにかく一番右の調号に注目し、それが♭なら「ファ」、♯なら「シ」とみなして、そこから主音にあたるドの音を見付けるというのが一連の流れです。