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「病は気から」とよくいいますが、これは私の主人の母の話です。
母は高血圧で、長い間苦しんでいました。
性格も神経質で几帳面なところがあり、いつも手元には血圧計がありました。
体調がおかしいと感じたら、即、血圧を測ることができるようにです。
ご存知のように血圧というものは、そのときの気分でも上下します。
血圧の数値をあまりにも気にしすぎると、神経が過剰に昂ぶって、
血圧が高くなることだってあるそうです。
ですからあまり神経質にならないほうがいい、
血圧計を忘れるくらいのほうがかえって血圧にはいいのだと、
主人が口をすっぱくして諭してみるのですが母は一向に聞き入れませんでした。
「病院へ駆け込むのが手遅れになっては、後の祭りだから・・・」
母はいつもこう答えて、血圧計を抱えていました。
そして外出時に何かあると危ないので、できるだけ外出も控えて、
家に引きこもった状態を続けていました。
そんなある日、母にとあることでまとまったお金が入ったのでした。
年金生活のため、それまでつつましく暮らしていた母ですが、
心の中ではちょっと薄くなった自分の毛髪のことを気に病んでいたのだと思います。
そのお金で、思い切ってかねがねほしいと思っていた
高価な「カツラ」を買ったのでした。
ヘアースタイルが決まると、おしゃれをしたくなる気持ちは、
女性ならよく分かる気がしますよね。
カツラを買うと同時に、母はおしゃれもお化粧も若返って (当時75歳でした)、
友達や叔母たちと連れだってそわそわ外出までするようになったではありませんか。
そして、叔母たちにカツラを見せては嬉しそうに自慢をしているのです。
主人と私はあまりの義母の豹変ぶりに、あっけにとられる始末です。
そして気がつくと、いつも手放さなかったあの血圧計は・・・
なんとベッドの下に放りこまれていたのでした。
母の血圧はこのカツラがきっかけで低下していき、
最後は正常値近くまで戻りました。
「カツラが血圧降下剤より効いたね」と主人がからかうと、母も大笑いです。
「病は気から」という言葉は本当なのだと、そのとき私たちは思いました。
そして特に女性にとっては、
おしゃれを楽しんだり、自分が美しくあることが、心の健康にとても大切であり、
心の健康は体の健康に大きく影響を与えるのだと痛感したのでした。
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