新潟県北部河川におけるプラナリアの分布

 新潟県全体のプラナリアの分布については,村山(1977)の報告があり,また,上中越地方についてはより詳しい報告もなされています。(村山・川勝) しかし,県北部の荒川以北の河川についてはこれまでのところ報告が見当たりません。そこで,今回は,特に荒川以北の主な水系と胎内川での分布調査を行ってみましたので,結果を紹介します。

(1) 調査水系
   大川水系(小俣川・中継川・荒川)  …岩船郡山北町
   三面川水系(高根川・三面川・門前川)…村上市,岩船郡朝日村
   荒川水系(荒川・大石川)      …岩船郡関川村
   胎内川水系(胎内川)        …北蒲原郡黒川村

(2) 調査期間・方法
 調査期間 : 1998年6〜8月  調査方法 : 各河川沿いの適当な地点(本流または道路に直交する支流において)で,プラナリアの分布の調査を行った。生息している場合には採集し,位置・高度・水温・pHを記録した。採集した個体は実験室に持ち帰り種の判別をした。

(3) 調査結果
@ 分布図

 [新潟県北部河川でのプラナリアの分布]
    ▲:ナミウズムシ   ●:ミヤマウズムシ  ■:カズメウズムシ


 特に、県北の大川水系や三面川水系で数多く確認することができた。また、海岸近くの中条町地本の水芭蕉群生地や、新発田市の五十公野公園の菖蒲園に流入する小流などでもナミウズムシを確認することができた。

A 分布の概要
 次ぎに,私自身が以前に調査した結果と今回の調査結果を合わせ、新潟県の阿賀北地域のにおける分布高度および水温の様子を概観してみる。
 次の各グラフは,ナミウズムシ(サンプル数13),ミヤマウズムシ(サンプル数16),カズメウズムシ(サンプル数16)の3種について,採集した場所の[平均高度±最高・最低高度]と[平均水温±最高・最低水温]を示したものである。

 [平均高度±最高・最低]          [平均水温±最高・最低]

   

 この2つのグラフより,この3種の生息条件の差をみることが出来る。
 まず,高度に関しては,今回また以前に調査した箇所が比較的低山であったということもあり,いずれの種でも平均高度はさほど高くなかった。3種の採集された平均高度を比較すると,これまでにも言われているようにナミウズムシ(101m),ミヤマウズムシ(256m),カズメウズムシ(314m)の順に高くなっている。また,平均水温でみると,ナミウズムシ(16.0℃),ミヤマウズムシ(12.6℃),カズメウズムシ(11.9℃)となり,高度と関連していることがわかる。これらの事より,ナミウズムシは下流〜中流,ミヤマウズムシは中流〜上流,カズメウズムシは上流という生息域が一般的と考えられる。なお,この垂直分布は川勝の分類による関東・東北型(J-JV-JVA-VA-A)に含まれると思われる。ただ、最大・最低値でみると、ミヤマウズムシとカズメウズムシの生息範囲はほぼ一致することがわかる。
 今回調査した山北町大川水系では,比較的河口に近い地点(河口より約10km上流,標高145m,水温12.6℃)からもミヤマウズムシやカズメウズムシが採集された。この原因としては,比較的河川が短いということや年平均水温が低いという事,河川の汚染が少ないなどの要因が考えられるのではないかと思う。ミヤマウズムシやカズメウズムシは,非常に汚染に敏感な生物であるが,今回調査してみて,大川水系や三面川水系などでこれらの生物が多く採集でき,これらの水系ではまだ汚染の度合が低い豊かな自然環境が残されているように思われた。


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