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(サッカー部関東大会出場の垂れ幕の下がった校舎 1999年8月) |
2.川崎の菅生地域と菅生中学校 川崎市宮前区、それは”田園都市”と呼ばれる東急田園都市線に沿って、元陸 軍の「溝口演習場」跡(1942年から45年、 5.8平方キロという広大な敷地)に、 戦後急速に開発された住宅地が、その中核をなしている。東京都宮前区と称して もおかしくない都心に直結するベッドタウンであり、川崎市内最大の人口増加地 域であり、駅周辺にはマンション群が立ち並び、駅前には進学塾に通う子どもた ちが夜遅くまで途絶えない。 |
【自然】 向ヶ丘地域の北側は、生田緑地、県立東高根森林公園等の多摩丘陵の一角に位 置する川崎市内最大の緑の保存された地域であり、沿って流れる平瀬川(多摩川 支流)の源流も菅生にあり、川を活かした街づくりが進められている。 【歴史】 古くは縄文・弥生時代の遺跡が数多く発掘されており、鎌倉武将の活躍のあと や、鎌倉古道、源氏ゆかりの地など、歴史の舞台にも登場するが、その後は、江 戸の近郊農村として静かに佇んでいた。 【地域環境の変化】 この地域が注目されるようになったきっかけは、近くの東名高速道路川崎イン ターに直結する丘陵を切り開いてトラックタ−ミナルと倉庫群を配置する「川崎 流通センタ−」建設計画であった。この計画に反対する運動が、新しく住民にな った周辺自治会から起こり、「川崎北部の緑を守れ」を合言葉に緑と生活環境を 守る運動は急速に広がった。 流通センタ−計画は見直され、緑豊かな川崎中央卸売市場北部市場として、川 崎西北部と横浜市の一部の台所を支えている。また、「宮前区民祭」の会場とし ても区民に愛されている。 地域の中央に、聖マリアンナ医科大学が創設され、川崎北部の医療センタ−と しての役割を果たすことによって、東急田園都市線と小田急線の中間に位置する この菅生地域は、周辺各駅に延びる放射状の交通を確保することになり、近郊住 宅地としての開発を一層進めることになった。 【地域経済】 近郊農業(野菜、植木)も宅地化の進行にともなって、急速に農業経営として の領域を狭めているが、地主としての影響力は依然として大きい。一方、川崎中 央卸売市場北部市場や、物流基地群、聖マリアンナ医科大学が地域経済の中心に 変わり、それらの関連住民と東京のベッドタウン住民が量的には大勢になってい る。そうした住民を消費者とする大型店の進出など急激に地域経済は変容してい る。 【地域の緑と生活環境を守る運動・活性化運動】 流通センタ−反対運動などの緑と生活環境を守る運動は、その後、平瀬川の改 修の親水広場化プランや、桜植樹運動(平瀬川流域まちづくり協議会)などとし て受け継がれている。また学校教育においては、生徒の環境を守る運動への参加 や、環境教育の特徴ある実践がある。 また、宮前市民館菅生分館を中心とする活発なグル−プ活動や、歴史を受け継 ぐ菅生神社の祭礼におけるイベントなど、住民の自主的な運動は地域に根を張っ ている。 【菅生中学校】 こうした菅生地域の中央に位置する菅生中学校は、菅生小学校、稗原小学校の 二つの小学区で構成される創立27年のまだ若い学校である。 表1に示すように、地域内の住宅の増加にもかかわらず生徒数は減少傾向にあ る。また、この地域は、地元中学校への進学指向が強いが、徐々に減少傾向にあ ると言える。しかし、「荒れ」の激しかった直後の平成9年度を境に、幾分持ち 直している点は、興味深い。 |
| 12年度 | 11年度 | 10年度 | 9年度 | 8年度 | 7年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 菅生中学校入学数 | 155 | 150 | 133 | 152 | 144 | 178 |
| 中学校/小学校 | 92% | 91% | 88% | 87% | 92% | 98% |
| 小学校卒業数 | 169 | 165 | 151 | 174 | 156 | 180 |
表1 中学校区の小学校卒業数と菅生中学校入学数
学校の状態としては、校内暴力や極端な「荒れ」はないが、不登校、茶髪、生
徒の喫煙、刑事事件など、それほど多くはないとは言え問題が発生する普通の学
校であるが、先生方、生徒会、PTAを始め、地域の方々の協力によって、一時
の「荒れ」を克服し、豊かな学園生活を創りだしている。
菅生中学校は、
1)地域・家庭との連携活動として、地域の方々の協力を得て
1年生 「地域を学ぶ」(地域の施設などを調べる)
2年生 「地域で学ぶ」(職業体験・ボランティアなど)
3年生 「地域に学ぶ」(地域の先輩の話を聞く)
と継続して学習できるように進めています。
また、家庭と連携を深めるために「公開授業参観期間」の設定や「家庭訪
問」の復活を行っています。
2)心の育成活動として教育相談週間の実施や、校則・体育着・通学かばんな
どを生徒・先生・保護者の参加で決めていくための学校生活等検討委員会
を開いています。
3)感動体験活動として部活動の試合・発表会や練習への保護者の見学の促進
体育祭・文化祭では、実行委員会を組織して生徒が議案書づくりから手が
けて取り組んでいます。
こうした試みは、まだ、公開授業参観への参加が少ないとか、学校の考え方を
伝えるチラシがなかなか保護者のもとに届かない、インタ−ネットを自由に使え
る環境が実現していない、環境の整備が遅れているなど問題も数多くあります。
しかし、学校の雰囲気が変わってきたと受け取る地域住民も多くなってきており
子どもたちの生き生きとした中学校生活へと着実に成果をあげています。
PTAは、こうした学校運営の積極的な面を支援しながら、一層実りあるもの
とするために、父母の視点からの問題提起と、学校づくりの共同を行ってきまし
た。 |