幕末の詩歌

幕末ヒーローたちの詠んだ和歌や漢詩の中から
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あ行 か行 さ行 た行 な行
は行 ま行 や行 ら行 わ行


あ行

赤根武人 <長州>
真は誠に偽りに似 偽りは以って真に似たり (




伊庭八郎 <幕臣>
雨の日は いとど こひしく思ひけり よき友は いづこなるらめ (18



入江九一 <長州>
年を経て替わらぬ梅の花の香を 手向くるさへも心愧し
客夢は浮沈す国を去る船 今宵、いずれの所にか愁眠を着く 憐れむべし弟やわずかに袂を分かつに すでにこれ兄は倒懸(とうけん)にあり (16)
語らんと 思う間もなく 覚めにけり あはれはかなの 夢の行方や(18)



天野八郎 <彰義隊>
北にのみ 稲妻ありて 月暗し (



伊東甲子太郎 <新選組・高台寺党>
残しおく 言の葉草のさはなれど いはで別るる 袖の白露
ちりぢりの 身はいかにせん けふよりは すめら宮居の 守りともがな
筆のあと 見るぞうれしき これなくば いかであづまの 春を知るべき
我が袖の 涙にやどる影ぞとも 知らでや人の 月を眺めん
心なき 人を心に思ひ初め こころ乱るる 秋の萩原
おのれのみ 深くも思ひ初めにけり うつろいやすき 花の色香ぞ
春風に吹きさそわれて山桜 散りてぞ人に惜しまれるかな (
すめらぎの 護りともなれ 黒髪の 乱れたる世に 死ぬる身なれば (
波風の あらき世なれば 如何にせん よしや淵瀬に 身はしづむとも (
こち吹くと 云ひしむかしの ゆかしけれ 今も春辺に にほふ梅が香 (
行末は かくこそならめ われもまた 湊川原の こけの石ふみ (



大鳥圭介 <幕臣>
ゑぞのうみの 深き心を 人しらで たゞしら浪の 名をばえむらむ (20



岡田以蔵 <薩摩>
君が為め 尽くす心は水の泡 消えにし後は 澄みわたる空 (



沖田総司 <新選組>
動かねば 闇にへだつや 花と水 (



江藤新平 <佐賀>
ただ皇天后土のわが心を知るあるのみ (12



か行

和宮 <皇女>
惜しまじな 君と民とのためならば 身は武蔵野の 露と消ゆとも (
空蝉の 唐織衣 なにかせん 錦も綾も 君ありてこそ (
世の中の 憂てう憂を身ひとつに とりあつめたる 心地こそすれ (



勝海舟 <幕臣>
撫安三百歳 漸く移る幕府の権 鬱気発する所無し 号泣して蒼天に問うのみ (



桂小五郎 <長州>
酔うては枕す美人の膝 覚めては握る天下の権 (
世の中は桜も月もなみだかな(
去歳(きょさい千軍我が彊(きょう)に逼る 今朝(こんちょう)孤剣(こけん)他郷に入る 浮生萬事変じて夢の如し 一片依然男子の腸(12



河上彦斎 <肥後>
君のため 死ぬる骸に 草むさば 赤き心の 花や咲くらん (



河上弥一 <長州>
後れては 梅も桜におとるらん 魁けてこそ 色も香もあれ (12
降ると見ば 積らぬ先に払へかし 風吹く松に 雪折もなし (12



来島又兵衛 <長州>
この首を とるかとらるか 今朝の春 (12



北添佶摩 <土佐>
万里の波涛 家さらに通し 数行の涙 一封書に寄す



清川八郎 <出羽>
魁けて またさきがけん 死出の山 迷ひはせまじ すめらぎの道 (
さくら花 たとひちるともますらをの 袖ににほいを とどめざらめや(



桐野利秋 <薩摩>
曇り無き 心の月の清ければ 千歳の秋も  さやけかるらん (
大熕のおとを 蟲にも聞きなして 雲井に高き 月を見る哉 (17
国のため 心くだきししづのをも やがて雲居に 名こそ聞こえむ
草枕 おもうもつらき 世の中は ただうたた寝の 夢にこそあれ
今は世に よしをあしとも 知らねども 後の人こそ 知るべきものを
つつみおく 真弓もやがて 引きしぼり うちはなすべき 時は来にけり
もれ出づる かげさやけくも 見ゆるかな 雲居の中の 秋の夜の月
雲はらひ 大内山の桜木に 花咲かすべき 時はこの時



久坂玄瑞 <長州>
黒雲(こくうん)低くして起きず 霖雨(りんう)山川(さんせん)に泛(う)かぶ 十日嶽下に往(ゆ)く 嘗(かつ)てその巓(いただき)を見ず 大風今朝吹いて雲(くも)白雪を散らす 千仞青天を照らす 旅人快を呼び耕人喜ぶ 孤士何ぞ独り張然たる(13
神垣の みかきの梅は散りぬとも 桜かざして われ出でたたむ
ゆく川の過ぎにし人の跡とへばますら猛男も涙ぐましも(
葦辺ゆく 鴨川あたり青柳の 乱るる糸の心地して 鷺さへ知らぬ水底の 深きわたしが胸の中 たれに語ろか 聞かしようか 実に苦労の苦の世界
今は早や 都の春も時ならめ 吾家のさくら 春さきにけり
ほととぎす 血になく声は 有明の 月より外にきく人ぞなき
久方の都やいづく 白雪の 積れる山を 今日こゆるかも
龍田川 竿で渡れば 紅葉が散るし 渡らにゃ聞えぬ 鹿の声
ふるさとの 花さへ見ずに 豊浦の 新さきもりと 吾は来にけり
荒磯に よせ来る浪の岩にふれ 千々に砕くる 吾が思ひかな
夕なぎに 痛くな泣きそ 浜千鳥 なかなくきけば 都しおもほゆ
取佩ける 太刀の光は もののふの 常にみれども いやめずらしき (
十里 菜花の外 春風に野の雉鳴く 何人ぞ犢(こうし)を牽(ひ)きて至る 縄の帯短刀を横たふ (
桜花 手折りかざゝむ 武士(もののふ)の 鎧のうへに いろ香をみせて (
香を千世に 留めぬるとも 武士の あだなる花の 跡ぞ悲しき (
梓弓 はるは来にけり もののふの 引かへさじと 出づるたびかな (
荒磯に よせ来る浪の岩にふれ 千々に砕くる 吾が思いかな (
けふもまた 知られぬ露の命もて 千とせをてらす 月を見るかな (
秋の夜は かはらざらめと 殊更に うら悲しきは もちの夜の月 (
軒端の月の露とすむ さむき夕べは手枕に いのねられねば橘の 匂える妹の恋しけれ (
はかなくも 浮世の人のあだ桜 いづくの野辺に ちらんものかは (



近藤勇 <新選組>
山守の使いはこねど 馬に鞍 置いてぞ待たん 花の盛りを (



孝明天皇 
和らくも たけき心も相生のまつの落葉のあらす栄えむ (10
もののふと 心あわしていわおをも つらぬきてまし 世々のおもいて(10



さ行

西郷隆盛 <薩摩>
ふたつなき 道に此身を 捨小舟 波立たばとて 風吹かばとて (
百千の窮鬼 吾れ何ぞ畏れん 脱出す 人間虎狼の群 (
幾たびか辛酸を経て 志始めて堅し 丈夫玉砕すとも甎全を恥ず 一家の遺事 人知るや否や 児孫の為に美田を買わず(13
秋夜(しゅうや)東山(ひがしやま)の月 光輝(こうき)缺(か)け、却って明らかなり 京華(けいか)千里の客 相照らす故郷の情(じょう)(17
文(ぶん)を学びて主(しゅ)なきは痴人(ちじん)に等し 天心(てんしん)を認得(にんとく)すれば志気振るう 百派(ひゃっぱ)紛紜(ふんうん)乱れて線(いと)の如し< 千秋不動(せんしゅう)なるは一声(せい)の仁(じん)(18



西郷千重子 <会津>
なよ竹の 風にまかする 身なからも たわまぬ節は ありとこそきけ (18



品川弥二郎 <長州>
雪と消え 花と散りても 後の世に 残るは人の 誠なりけり (17



坂本竜馬 <土佐・亀山社中・海援隊>
世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞしる (
又あふと 思ふ心をしるべにて 道なき世にも 出づる旅かな (
嵐山 夕べ淋しく鳴る鐘に こぼれそめてし 木々の紅葉 (
月と日の むかしをしのぶ みなと川 流れて清き 菊の下水 (
藤の花 今をさかりに 咲きつれど 船いそがれて 見返りもせず (
心から のどけくもあるか 野べはなを 雪げながらの 春風ぞふく (



佐野七五三之介 <新選組>
二張りの 弓引かまじと もののふの ただ一筋に 思ひきる 太刀 (



三条実美 <公卿>
九重の 御階の塵を 払はんと 家をも身をも 打砕きけり (



芹沢鴨 <水戸天狗党・新選組>
雪霜に 色よく花のさきがけて 散りても後に匂ふ梅が香



周布政之助 <長州>
月明(げつみょう)、何ぞ、唯(ただ)、武蔵の洲(くに)のみならんや 今昔(こんじゃく)光は臨む五大州 客となり来(きた)たりて能(よ)く、異域に游ばん 空しく過ごす 三十九中秋(14



相馬主計 <新選組>
さながらに そみし我が身は わかるとも 硯の海の 深き心ぞ(19



た行

高杉晋作 <長州・奇兵隊>
翼あらば千里の外も飛めぐり よろつの国を 見んとしそ 思う
<回先生曰 振猛尚余十八回>真にこれ関西志士の魁 英風早動し我邦に来たるう 霊魂なお遺憾すべし多きを 猛気更に余す十七回(
<先師かつて久坂義助を称して少年第一流という> 骨を皇城に埋めて骨さらに香る  当時、苦節、我が州を震わす  知る君が同盟の裏に卓立し  少年第一流に背かざりしを (
先生を 慕うてようやく 野山獄 (
散り行きし 花に色香は おとれとも 同し心の 散る桜花  (
ともし灯の 影ほそく見る 今宵かな (
真があるなら 今月今宵 あけて正月 だれも来る (
人間は、艱難は共にできるが、富貴は共にできない (
三千世界の烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい (
何をくよくよ 川ばた柳 水の流れを見てくらす (
おもしろき こともなき世を おもしろく (
身は棲禽(せいきん)に似て繋囚(けいしゅう)となる 心は逝く水の如く悠々に付す夜来独り怪しむ孤床の上 魂は走り夢は迷う 六十洲 (
昨夜炎を洗って涼味新たに 今朝秋立って葉声頻りなり 始めてみる林景の詩意に堪ゆるを 残月依々として影半輪 (
万物元来始終あり 人生いわんや百年の躬少なし 競名争利営々として没す 識らず何の娯(たのしみ)か この中に存せん (
わしとお前は 焼山葛 うらは切れても 根は切れぬ (
細君はまさに我が閑居に到らんとす 妾女は胸間にわずらい余りあり これより両花艶美を争う 主人手をこまねいて如何ともするなし (
内憂外患吾が州に迫る 正にこれ邦家存亡の秋(とき) 将に回天回運の策を立てんとす 親を捨て子を捨つる 何ぞ悲しまん (
神武起ってより二千年 億万の心魂散じて煙となる 愚者、英雄ともに白骨 真にこの浮世は値三銭 (
死だなら 釈迦と孔子に追いついて 道の奥義を 尋ねんとこそ思へ (
生とは我れを労するなり。死とは天の乃ち我を安んずるなり (
西へ行く 人を慕うて東行く 我が心 神や知るらん (
雪折れし 松に罪こそなかりけり 裁にし人の むくいなるらん (
自ら愧ず知君の我が狂を容るるを 山荘我を留めて更に多情 浮沈十年杞憂の志 若かず閑雲野鶴の清きに(
自ら恥ず残骸晩風に泣くを 怪しむをやめよ家を華表の上に移すを 暮朝廟前の紅を払わんと欲す (
脱出す風塵(ふうじん)の際(きわ) 酒瓶ただみずから親しむ
酔いきたりて肘(ひじ)を枕に睡(ねむ)る しらず何人をか夢みる (11
猛烈の奇兵 何の志す所ぞ 一死をもって邦家に報いんと要す むしろ欣ぶ 名を遂げ功成るの後 共に招魂場上の花となるを (15
夢は迷う 指月山頭(しづきさんとう)の月 人は東洋万里の船にあり
地中千里 黄泉の下 知らず孔翁(こうおう)如何(いかんの)の情ぞ
変檣(へんしょう)林立して雲を穿つの所 独り宝刀を撫(ぶ)して月明に対す(18



高杉マサ子 <長州>
文(ふみ)見ても 読まれぬ文字は おほけれど なおなつかしき君の面影 (17



寺島忠三郎 <長州>
関の戸は 雲やとざさん 五月雨の 今朝吹く風を 君は何方へ (14
武士のみちこそ多き世の中に たゝ一すちの やまと魂(13
道々も さぞかしやらん 五月雨の 雲は東(あずま)も ふるさとの雲(13
言の葉も 盡きざりにけん 五月雨も 我も東へ 行きて待つべし(14



武市半兵太 <土佐謹皇党>
肝胆もとより雄大 奇機おのずから湧きいづ 飛潜す誰か知るあらん ひとへに龍名に恥ぢず (
思ふこと 晴るるしるしや 富士の根の かかる雲なき 夢を見しとは(13
夜色沈々として雨脚軽し 悽然(せんぜん)涙を催して夢成り難し 杜鵑(とけん)窓外に何事をか陳(の)ぶる 亦囚人をして慨情(がいじょう)を増さしむ(13
この梅の 花をば君の 面影と 思いかへして 眺め暮らさん(15
集(つど)ひして 語りあはなん 二年(ふたとせ)の つもる憂きをば むかしにぞして(15
逢ふことの ならぬ此身(このみ)と なりぬれど こころの逢ふぞ うれしかりける(15



田中寅蔵 <新選組>
いづかたも 吹かば吹かせよ この風よ 高天原は まさに吹くまじ (



藤堂平助 <新選組・高台寺党>
益荒男の 七世をかけて誓いてし ことばたがわじ わが大君のため (



武田観柳斎 <新選組>
我も同じ 台(うとな)やとはん ゆくすえは 同じ御国に あふよしもかな (15



な行

中山忠光 <公家・天誅組>
おもいきや 山田の案山子 竹の弓 なすこともなく 朽ちはてんとは (14



中島登 <新選組>
世の中にくまなく照らす 秋の月 月さへしばし 雲にかくれん (



中島三郎助 <幕臣>
われもまた 花のもとにと おもひしに 若葉のかげに きゆる命か (18



中岡慎太郎
春山は青く、海水は碧(みどり)なり 文字関頭(もじかんとう)咫尺(しせき)に扼(おさ)ふ 煙霞(えんか)三月、好風景 却って悲しむ 寿永興亡(じゅんえいこうぼう)の迹 数隊の倡妓(しょうぎ)は諸嬪(しょひん)を擬(なぞら)え 玉簪金釵(ぎょくしきんさい)は先皇と拝す 孤客(こきゃく)、涕(なみだ)によって見ること能はず 即(すなわ)ち、是れ當年(とうねん)の舊宮粧(きゅうきゅうしょう) 而来(じらい)天下、幾変革ぞ 曽(かつ)て皇威の太古に復すること無し 今に至るまで六百八十年 碧水(へきすい)青山(せいぜん)猶(な)お依然(いぜん)たり (16



野村望東尼
まごころを つくしのきぬは 国のため 立ちかへるべき ころも手にせよ (



は行

服部武雄 <新選組・高台寺党>
たづぬべき 人もあらしのはげしくて ちる花のみぞ おどろかれぬる (



人見勝太郎 <幕臣・遊撃隊>
琴となり 下駄となるのも 桐の運(20
真心の あるかなきかは屠り出す 腹の血潮の色にこそすれ



林忠崇 <請西藩・遊撃隊>
幾万の奸兵、海陸より来る 孤軍防戦、骨堆を成す
百籌運尽き、今日に至る 好し 五稜郭の苔とならん (18



橋本左内 <福井>
二十六年、夢の裡(うち)に過ぐ 平昔(へいじゃく)を顧り思えば、感ずることますます多し 天祥の大節、かつて心折れんや 土室にてなお吟ず 正気の歌 (15



福原越後 <長州>
中原に賊を逐(お)うて、気、鷹揚(おうよう)たり
獵狗(りょうく)烹(に)らるる時にこの殃(わざわい)に罹(か)かるる
愁思(しゅうし)、徒(た)に逾(こ)す三閲月(えつげつ)
頽齢(たいれい)まさに盡(つ)きんとす五旬(しゅん)の霜
體(たい)は痩せるを知りて食に甘み無し
鬚(ひげ)は撚(よ)るに足れども 詩、章を調(ととの)え難し
嘆かわしきかな 邦家何れの日にか定まらん
忠誠は一貫す 鉄心の腸 (15



平野国臣 <福岡>
憂国十年 東走西馳 成否は天に在り 魂魄地に帰す (15
いとをしみ 悲しむあまり捨てし子の 声立ち聞きし 夜もありけり(17



藤本鉄石 <備前岡山 天誅組>
八咫からす 導よかし大王の 事しいそしむ 御軍の為 (16



土方歳三 <新選組>
たとひ身は 蝦夷の島根に 朽ちるとも 魂は東の 君や守らむ (
報国の 心を忘るる 婦人哉 (
梅の花 壱輪咲ても 梅は梅 (
春の草 五色までは 覚えけり (
しれば迷い しなければ迷わぬ 恋の道 (
叩かれて 音のひゞきし なづなかな (
玉川に鮎つり来るやひがんかな (
鶯や はたきの音も ついやめる (
公用に 出てゆくみちや 春の月 (
白牡丹 月夜月夜に 染めてほし (
来た人に もらいあくびや 春の雨 (
水音に 添ひてききけり 川千鳥 (
早き瀬に 力足りぬか 下り鮎 (
おもしろき 夜着の列や 今朝の雪 (



ま行

松平容保 <会津>
幾人の 涙は石にそそぐとも その名は世々に 朽じとぞ思ふ (20



前原一誠 <長州・萩の乱>
今日、高楼の上 酒、雪華に満ちて香る 故人の宅を訪れんと欲すれども いかんせん世上多し (20



松本奎堂 <刈谷・天誅組>
君がため 身まかりにきと 世の人に 語りつぎてよ 峰の松風 (16



や行

山県有朋 <長州・奇兵隊>
呉竹の 世のうきふしの 杖の笠 おもひたつ身の うれしかりける (
谷つづき 梅咲きにけり 白妙の 雪の山路を 行く心地して (
なき人の 魂のゆくへを つげがほに をちかえりても 啼くほととぎす (
ひさご酒 君がすすめし ありさまは 目にも耳にも なお残りけり (



山本八重子 <会津>
明日の夜は いつこの誰か 眺めむらん なれし大城に のこす月影(20



山内容堂 <土佐>
摂州(せつしゅう)、用武(ようぶ)は論ぜずとも可なり 唯だ喜ぶ 伊丹の酒の甘からぜるを 醇醪(じゅんろう) 吾もまた京口(けいこう)に求む 常に待つ 軽風(けいふう)の南より吹(14



安富才介 <新選組>
早き瀬に 力足らぬか 下り鮎(19



吉田松陰 <長州>
箱根山 越すとき汗の 出やせん 君を思いて ぬぐい清めん (
夢路にも かへらぬ関を 打ち越えて 今をかぎりと 渡る小瀬川 (
★ 身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留めおかまし 大和魂 (
親思ふ こころにまさる親ごころ けふの音づれ 何ときくらん (
吾頬は 桜色にぞなりにけり 春来にけると 人や見るらん(18
此程に 思定し 出立ハ けふきくこそ 嬉しかりける(20



吉田稔麿 <長州>
わけのぼる 麓の道は多けれど 同じ高根の 月をこそ見れ (18



吉村虎太郎 <土佐>
★ 吉野山 風にみだるるもみじ葉は わが打つ太刀の 血煙と見よ (
桜樹(おうじゅ)いまだ開かず 楊眼(ようがん)嬌(きょう)たり 決心(けっしん)友(とも)を呼び酒(さけ)終宵(しゅうそう) 一家一国焉(いずくんぞ)患(わずら)う 宜(よろ)しく本朝をして本朝たらしむべし(13
曇りなき 月をみるにもおもふかな 明日はかばねの上に照るやと(14

   
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