美しいミサイル



輪の裏で
小人の群れを掴み
握り潰す
手の端から
零れる体液を頬に塗ると
始まりと終わりの境界を見ることのない
私たちが
夕日を捕らえ
夜に
引きずり込んでいく
えりくすま、えりくすま、
妊婦は
怯え
その下腹部を潰し
美しいミサイルが
私たちを突き抜けていく

視界の端を
何かとても嫌なものが通り過ぎる
小人はそれを認めず
お互いの手と、手を、
潰れるまで握り合う
えりくすま、えりくすま、
貫かれた私たちの欠片が小人となって
とてもきれい、と囁き合い
夜空で砕かれるすべての私たちを見上げながら
輪の裏で
弔いのための祈りを紡ぐ
えりくすま、
どうかこれ以上
強くなりませんように
弱いまま
生きていられますように
えりくすま、えりくすま、
美しいミサイルの
破片もまた美しい

    ※

ニュースでは
どこかの、国と呼ばれるものの空
美しいミサイルが
美しく到達し
また別の私たちを貶める
るーまてっく、るーまてっく、
月はなく
空は暗く
夜は黒く
私たちが打ち上げる美しいミサイルは
ブラウン管の向こうにあり
標的は
耳鳴りのする方向に

始まりと終わりの境界の見えない
輪の裏で小人が焼かれ
火葬場は
骨を孕み
るーまてっく、るーまてっく、
たなびく煙が
美しいミサイルを
美しく覆い隠す

目線を落とすと
小人が群れ
踏み潰しながら
祈る
あれは
いつか私たちが打ち上げた
美しいミサイル
睦みあう瞳と、瞳、のように
手の潰れた
小人を焼き尽くす
るーまてっく、るーまてっく、
私たちが打ち上げる美しいミサイルが
ブラウン管の向こうに到達し
また別の私たちの
小人が生まれる

    ※

潰す者は幸いなり
潰す者は幸いなり
輪の裏で
貫かれた私たちの欠片が
下腹部に到達して

涙なく泣く日々が続いていました。その姿は
笑っているように見えたのかもしれませんが、
私以外の物は皆、私を見ることはないため、
その姿を見るのは私自身だけだったのだと思
います。空から何か、灰のようなものが降り
始めると、その度に私は全身を何か無数の針
のようなものに貫かれる感覚に襲われます。
そしてその直後、その無数の穴という穴から
まるで心太のように私は押し出され、地面に
落ちる前に発火し、消えていくのです。無数
の激しい痛みによって私は輪郭のみ残され、
発火し、消えていった私以外の私も、そのよ
うに、潰されていくのです。

めれっせん、めれっせん、
美しいミサイルが
私たちの輪郭を作り
妊婦は怯え
その下腹部を潰す
輪の裏では
誰もが落下しているので
落下していることに
誰も気づかない
潰す者は幸いなり
潰す者は幸いなり

めれっせん、めれっせん、
あれは
いつか私たちが打ち上げた
あの美しいミサイル
ただ、在りますように
ただ、生きていますように
弱いまま
生きていられますように





07/1/5







滲んでいった夜について



まっすぐな帰り道が見えなくなると
穴という穴からノームが這い出て
ら、るほ、ら、ら、るほ、
ダークダークノームダーク。(あれるっちぇんど)
君たちの手に掴めるものはわずかしかない
ら、るほら、らる、ほらら、るほ、
本当にわずかしかないんだよ
驚くほど何も知らない君たちにとって

世界は(世界さえ危ういのだが)
目を閉じている場所にこそあって
君、君たち。(あれるっちぇんど)
君たちの目の前に広がるこれは
世界ではないのだよ
夜が(夜というものがあるのならば)
どれほどの暗闇で満たされていたとしても
(ら、るほ、ら、ら、るほ、)
君、君たちの夜は
さらに果てしない暗闇なのだろう
その君の、君たちのわずかな温もりが
黒く染まっていることも知らずに
(ら、るほら、らる、ほらら、るほ、)
君たちはいつも這い出て
(ほら、ら、らるほら、ら、るほ、)
こんなふうに、ほら
世界さえ危ういというのに

あれるっちぇんど
夜はアスファルトの歪みのなかで煮え立ち
もう膝まで蝕まれている
君の、君たちの夜がもう
果てしなく広がり続けるのならば
僕は僕の目を見開いて
世界ではない場所を
(ら、るほ、ら、ら、るほ、)
もう、あけわたしてしまおうか
夜は世界を知らずに
驚くほど何も知らない君たちを産み続ける
君たちが見える場所はすでに近く
ら、るほら、らる、ほらら、るほ、
まっすぐな夜が
(ほら、ら、らるほら、ら、るほ。)
世界を拒絶している

そしてもし夜というものがあるのならば
ノーム。君たちは僕に見えない
決して見えないのだよ
もし夜というものがあるのならば
ノーム。君たちはいつまでもいないのだよ





06/4/9







私たちの河は海に届かない



私たちはとても弱いので
ときどき何かを殺めたりもする
ぬばたまの真夜中に潜む
声を持たない涙のように

私たちはとても怖くて
目を瞑って過ちを繰り返す
陽光のまぶしさが作る
白い闇を前にして
絶壁の一歩手前で
扉を開けてしまう

体が震えるときは
心も震えている
私たちはとても愚かなのでそれを
他の場所からもたらされたもののように扱う
私たちから生まれた
その震えをそのように
扱ってしまう
ことに気づかず
いつまでもそれは生まれ続ける

私たちは知らないうちに
歌を口ずさむことがある
それは誰かへの祝福であり
同時に誰かへの呪いとなる
歌に
罪はなく
私たちは口ずさみながら
石を投げてみたりする
どこかで血が流れて
それを悔やんでも
殺めたものは殺められたまま
いつまでも戻ってこないのに
私たちは赦されないまま
何かが終わるのを
いつまでも待ち続けている





06/2/27