監督:ペイトン・リード
出演:キルステン・ダンスト、エリーザ・ヂュシュク、ジェシー・ブラットフォード、ガブリエル・ユニオン
無敵の強さを誇るカリフォルニアのランチョ・カルネ・ハイスクールのチアリーディングチーム
「トロス」。何回も全国大会の優勝を経験しているチームのキャプテンに抜擢されたのはト
ーランス。怪我をしたチームメイトの穴を埋めるために入部してきた転校生ミッシーは、とこ
ろがトロスの振り付けは、大会に出場経験はないものの、強豪の「クローヴァーズ」の盗作
であることを指摘する。大会は目前に迫り、トーランスは大学に進学した恋人アーロンにプ
ロの振付師を紹介してもらい、資金稼ぎのためバイトに汗を流す。ととにも、ミッシーの弟ク
リフにも惹かれていくのだった…。
清く正しいヒロインが真っ直ぐに奮闘する正統派学園スポ根物語だ。とにかく直球勝負の
展開なのだけど、でもどこか新しさを感じる。まず、ヒロインを演じるのがキルステン・ダンス
トということ。彼女はこれまで『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』とか『ヴァージン・スーサイ
ズ』といった作品で、翳のある役を演じてきたし、金髪ではあるけれども、奥目の三白眼で
正当派の美人ではない。グラマーでもなく、チアリーダーを演じるようなキャラクターではな
い。だけど、この映画を観ていると本当に演技は上手なのが良くわかるし、ちゃんと「明るく
て元気で正義感の強さが取り得の体育会系娘」に見えている。思いを寄せているクリフか
ら曲をプレゼントされて、大喜びでベッドの上を踊りまわるところなんて本当に可愛らしい。
スポ根ものなんて興味ないよ、という文化系の人にもちゃんとツボを突くように作っているの
も好感。転校生のミッシーは最初のうちは「チアリーダーなんてバカみたい」というゴスっぽ
いダークな美少女だし、ミッシーの弟のクリフはスポーツに縁のないパンク青年。典型的脳
みそまで筋肉で出来ている体育会青年、実は最低男のアーロンを振って、ボンクラのパン
クスを恋人にしちゃうんだもの。アーロンに紹介されて雇った振付師が、ゲイテイスト丸出し
のとっても胡散臭い男だというのにも笑わせてもらった。
それと、チアリーダーたちの演技のすごさにも驚きで口をあんぐり。実はチアリーディングっ
て、超ハードで高い技術を要求するスポーツ。男の子も競技に参加するものであり、これが
もう体操競技顔負けのものすごい跳躍や回転が加わってのアクロバティックなもの。チアリ
ーディングを馬鹿にしていた私も思わず目から鱗。これは確かに相当練習しなければあそ
こまでのレベルには到達できまい。スポーツとしても非常に過酷なものであるにもかかわ
らず、本来は応援のためのものであるから、当然とっても華やかで観ていて楽しい。ノリノ
リの音楽に合わせて演技する様は、ミュージカルを思わせる。練習も、他のスポ根映画に
見られるように鬼コーチにしごかれるのではなく、あくまでも彼女達がひたむきに頑張って
成果を出していくので、体育会的管理主義とは無縁なのが、爽やかさをさらに増幅させる。
「トロス」の前のキャプテンが振り付けをパクってしまったライバルチーム「クローバーズ」の
面々が、敵ながらしびれるほどカッコいいのも高ポイント。彼女達は黒人やヒスパニックで
のみ構成されたチームで、親の所得層が低いため大会に出場できる資金が足りなくて、こ
れまで出られなかった。彼女達の境遇に同情したトーランスがお金を工面してくるが、「そ
んなの自分達で集めてくるわよ」と突っぱねる。決勝戦で出会ったときにも、お互いの健闘
を祈りあう。正しいライバルとは、このような2チームのことを言うのであろう!ここまでくると、
あとは最善を尽くすのみであり、優勝するかしないかはたいした問題ではないのだ。
あふれる躍動感。ちょっとだけセクシーだけどあくまでも健康的。清く正しくまっすぐで頑張る
女の子って素敵だな、楽しいな、と思わず軽い足取りでウキウキと劇場を後にできたのであ
った。