(10/16、スバル座)
決してつまらない作品ではない(というか面白い)のであまり悪くは言いたくな
いのだが…。馬上槍試合に迫力がなく、しかも最初のうち は同じような鎧を着
ているせいで敵味方もわからないのはなんとかなら ないものか。「グラディエ
ーター」のように燃えないのだ。お姫様、あの「私のために○○して」はないで
しょ。傲慢バカ女。逝ってよし。鍛冶屋の娘ローラ・フレイザー(『タイタス』で両
手首と舌を切り落とされた可哀想な美少女)のほ うが100倍可愛いのにヒース
・レジャーの目は節穴だ。脇のキャラクター はそれぞれ味わいがあって特にチ
ョーサーは最高に素敵なので、非常に惜しい。
「ROCK YOU」なんて邦題がついているのだが、音楽のセンスは良くない。良
かった のはシン・リジィの「The Boys Are Back in Town」とAC/DCだけで、ク
イーンの使い方なんて超ダサいの一言で泣きそうになった。後半はかなり面
白いけど、1. お姫様 2.アクションの見せ方 3.音楽の使い方 でマイナス
点と なったのだった。邦題もダメ。(というかSPEの最近の邦題のつけ方は最
悪で耐え難い)
(10/12、東劇)☆☆☆☆
実際にあったジューダス・プリーストのヴォーカリスト交代劇を元にしているとい
うことだが、音楽性は全然違う(こっちはもっとポップだ)。首になってしまった元
ヴォーカリストがゲイだったという設定は本物と一緒だけど。ロブ・ハルフォード
役のジェイソン・フレミングは笑わせてくれるし、妖しげなキャラがはまっていて
最高に良い。
実際にジューダス・プリーストのファンで来日公演にも行ったことがある私なの
で、かなり複雑な思いで見てしまった。う〜んあれでは、へヴィ・メタルのアーテ
ィストはみんなセックス、ドラッグ&ロックンロールで生きているとしか受け取ら
れないではないか。あと、元ラッパーのマーク・ウォルバーグにメタル青年をさせ
るのはかなり無理がある。長髪似合わないし。ボンクラな主人公のキャラには合
っているけど。
でも、ヘヴィ・メタルに青春を捧げた身には、かなり嬉しいところもたくさんあった。
「スティール・ドラゴン」のメンバーの豪華なことといったら!ザック・ワイルドなん
てギターの神様みたいなモンですよ。曲も有名どころを多く使っていたし、売れ
ないバンド同士の争いとか、ロック・スターの妻の苦労とか、転落して血まみれ
になったことで、コンサートが盛り上がったりとか、いろいろと笑えるネタはあっ
た。ロックに興味のない人手も十分に楽しめる、ウェルメイドな作品だと思う。マ
ネージャー役の人も悲哀を感じさせて良かったし。劇場は空いていたけど、エン
ドクレジットの途中で誰も帰らなかったのが印象的。
(9/1、三百人劇場 ロシア映画の全貌)☆☆☆☆
カルト作品として有名だが、本当に凄い。ロシアの昔話独特の恐さとともに、靄がか
かったような独特の妖しく美しい雰囲気が魅力的。魔女の美少女ぶりが凄いけど、
神学生の悪夢の3晩の描写といったら!2晩目の、棺桶に乗ってぐるぐる結界のまわ
りをびゅんびゅん飛びまわる死せる美少女も強烈だが、3晩目の、水木しげるも真っ
青の魑魅魍魎総出演の物凄さ。これは、1度見て体験して欲しいとしか言いようがな
い。周囲の人々が、魔女騒動を面白がり、本気で怯えきっているスチャラカ神学生を
笑い者にしているあたり、ブラックだわ。
(9/6、よみうりホール)☆☆☆1/2
レニー・ゼルウィガーは本当にがんばっていると思う。だけど、「ありのままの君が素
敵だったのに」という言葉をプレゼントしたい。わざわざ太らなくても良かったのに、あ
の太り方は痛々しいばかりだ。原作のファンとしては、ウィットに富み頭の回転が良
くて仕事もがんばり、素敵な友人達に囲まれた原作のブリジットが好きだったんだけ
ど。映画のブリジットは、自己肯定的なのはいいとして、ひたすら王子様の出現を待
ち望み、非常識な服装で会社に行き、そして仕事に対してもいい加減なのにあっさり
とテレビのレポーターの仕事が決まったりして、こんな人のどこに、私のような恵まれ
ないOLは共感しろというのだ。レニーの捨て身の演技とか、コリン・ファースのトナカイ
柄セーターとか、ヒュー・グラントの最低男ぶりなど笑わせてもらった点は多いけど。
(9/8、渋谷ジョイシネマ)☆☆☆
ジェット・リーのアクションは当たり前だが凄い。だけど、アップが多すぎてその凄さ
を画面で捉えきれていないし、カメラはスピードにもついていってない。こんなもので
満足してはいけないのだ。彼のストイックで真面目な男らしさという特性を活かした
キャラクター設定は良いと思うが、そもそもなぜパリへ向かったのか、全く理由がわ
からない。脚本に説得力はゼロで、チェッキー・カリョの毎度のキレたキャラクターに
も辟易。レオンの同名異曲を作ればいいってものじゃないのよ。ジェット・リーがいく
らすばらしいからといって、こんな5分で書けるようなひどい脚本の作品を褒め称える
神経がわからない。
(9/9、シネ・ラ・セット)☆☆☆☆
楽しい!ダメダメ銀行員が上司へのリベンジのためにプロレスラーになろうとすると
いう設定は、サラリーマンの心の琴線に触れること間違いなし。ソン・ガンホの憎め
ないキャラクターが、その魅力をここでも全面的に発揮。覆面をつけることで、オヤジ
狩りの若者をやっつけたり、片思いの相手に告白ができるというのも切ない。その
上、プロレスのシーンも、意外に本格的で息を呑むほどスリリング。何より、イヤミな
上司、気弱な同僚、いい味出しているジムのオーナー、勝気で可愛いオーナーの娘
など、一人一人のキャラクターがきちんと描けているのが良いし、主人公の成長ぶり
もちゃんと見えている。WWFのドキュメンタリー『ビヨンド・ザ・マット』と併せて観るべ
し。
(7/14 川崎チネチッタ)
「A.I」見ようと思って映画館へ。川崎はいつも空いているし、2館上映なので朝一で
行けばいいだろうと思っていたのだけど甘かった。立ち見の嵐なので、「パール・ハ
ーバー」見ちゃいました。というか私はそんなに観たくなかったんだけど連れが観た
がっていたんで。心配になるくらい空いていたわ。しかも年配の客ばかりで、みんな
スースー寝息を立てているし。
映画そのものは、まあ想像していたのとほとんど一緒だったので、別に腹も立ちま
せん。ま〜こんなもんでしょう、という感じ。しかし、限りなく軽い映画。3時間もかけ
ているくせに、ラブロマンスが吹けば飛ぶような話で、こいつら戦争がなくても絶対
引き裂かれているだろうと、予想通りの展開。あと、看護婦のお姉ちゃんたちは、ど
う考えても男探しに従軍看護婦になっているだろう、ほとんど娼婦と一緒じゃ、と思
ったのでありました。何しろケバいんだもの。マレーナなんて問題にならないくらい
派手。ファンデーション厚塗り、付けまつげ、そしてリップグロスに巻髪。シチリアだ
ったらリンチに遭っているかも?日本人は「欲しがりません勝つまでは」だったのに、
あれでは確かに反感買うわ。
あとやっぱりのけぞったのは「尊皇」「皇国」のノボリ…。話に聞いていたけどやっぱ
りインパクトは強烈で声を出して笑いそうになったわ。横でガキが凧揚げしているし。
すごく長いけど、ラブロマンスが本当にくそみたいなのと、戦艦が沈没するくだりが
タイタニックそっくりだったりする以外は、思ったほど退屈しなかった。でも、変な映
画。話の種に見るのはいいんじゃないでしょうか。この映画の不振でディズニーの
社長が首になったらしいし、ケイト・ベッキンゼールのギャラが激安だったり(『シュ
ーティング・フィッシュ』のときの彼女は可憐だったのに)、いろいろ笑える裏話もあ
るようだし。
(7・17、シネマライズ)
これだけ引き込まれてしまうような映画は久しぶりだった。
ストーリー自体はよくある話だが、それゆえ、寓話性、普遍性を感じる。(愛と血と復
讐の物語は、「ゴッドファーザー」やヤクザ映画に通じるものがあるのだ)ロマの歌い
い女は日本の流行歌を歌うが、ロマという民族に引き継がれてきたフラメンコに流れ
る感情は、民族を問わず、「濃い」人の体を流れる血の中に息づいているものである。
この映画ではなんといってもフラメンコが主役。主人公を演じるのは、フラメンコではト
ップのダンサー、アントニオ・カナーレスなのだけど、彼はここでは踊らない。だけど、
動きそのもの、演技そのものがフラメンコなのだ。体の不自由な少年ディエゴにだって、
踊りの血が流れている。そして、ひたすら濃い血のつながりが導く古典的な悲劇。彼
らの湧きあがる感情を叩きつけるようなフラメンコのリズムは魂を揺さぶらずにはいら
れない。
もちろん、「ゴッドファーザー」的な、洗礼や教会のシーンも印象的。原始的な祝祭性
は、脈々と続いてきた人間(ロマ、とは人間という意味だそうだ)の営みを感じさせる。
何かというと、登場人物は踊る。道の真中でも、伴奏がなくても、リズムが彼らの中に
息づいていて、いつしか踊っているのだ。
黒いスーツ、長髪、濃いい顔立ち、金のアクセサリーが似合う男たちのなんとカッコい
いことだろう!彼らの深い表情の一つ一つに、思わず吸い込まれそうになる。死地へ
赴くカコを見つめるトレスの表情と涙は目を吸い寄せて離さない。そしてフラメンコの歌
い女たちの声は、いまだかつて聞いたことがないほど凄まじい力を持つものだった。
土着性を感じさせ、体の芯を貫くような彼女たちの声は本当に凄い。この力こそが映
画であり、こういう映画を映画館で観ないでどうする、と思った。体の芯から湧き上が
ってくるフラメンコに打ちのめされてしまった。この凄さを表現する言葉が見つからない。