スペイン情熱のバレエGALA 

2005年9月8日、9日 東京国際フォーラムホールC

面白かったです!これで8000円はマジでお得。2回分取ってよかった!と思ったもの。
ダンサーのレベルも高いし、エンターテインメント性もあって、しかも観たことのないオリジナリティあふれる演目の数々。


1. 組曲−コルドバ、1830年代の作曲家不詳のボレロ、パーカッション、宴会
 ローラ・グレコ、マリア・ビボ、マイテ・バホ、ガラ・ビヴァンコス、ナニ・パニョス、
  ラファエル・エステヴェス
2. 「海賊」のパ・ド・ドゥ  (振付:マリウス・プティパ)
  タマラ・ロホ、イゴーリ・エブラ
3. Caught(振付:デヴィッド・パーソンズ)  
  アンヘル・コレーラ
4. パ・ド・ドゥ〜そして誰と?〜(振付:ナチョ・ドゥアト)
  タマコ・アキヤマ
5. Come again−舞台"モリア"より(振付:ゴ−ヨ・モンテロ)
  ゴ−ヨ・モンテロ
6. 黒鳥−白鳥の湖、第三幕より (振付:マリウス・プティパ)
   ホセ・カルロス・マルティネス/ラウラ・オルミゴン
7. 5つのイサドラ・ダンカン風ブラームスのワルツ(振付:フレデリック・アシュトン)  
  タマラ・ロホ
8. 白鳥XXI(振付:イゴーリ・エブラ)
  イゴーリ・エブラ
9. 調和−ムデハルより(振付:M.A.ベルナ)
 ミゲル・アンヘル・ベルナ、マイテ・バホ
10. 私なりに(振付:ヴィクトリア・エウヘニア)
  ラウラ・オルミゴン
11.粉屋の踊り ファルーカ(<三角帽子>より)(振付:レオニード・マシーン)
  ホセ・カルロス・マルティネス
12.オー・ソーレ・ミオ(振付:マッツ・エック)
  アンナ・ラグーナ
13.ドン・キホーテ パ・ド・ドゥ(振付:マリウス・プティパ)
  アンヘル・コレーラ/シオマラ・レイエス


バレエガラと銘打っているが、全部が全部バレエってわけでもなかった。というか、バレエよりフラメンコ的な演目の方が新鮮で楽しめた。

オープニングは、本に文字が書かれている映像をバックに(これは「ドン・キホーテ」なんだろう)、出演者全員がそれぞれの踊りの衣装でポーズをとっている。そして1つ目の演目の人たちを残して去っていく。かっこいい。「ドン・キホーテ」をトータルコンセプトにしたガラである。

1曲目の組曲。バレエではないのだが、クラシック・バレエのテクニックを使った踊りである。ローラ・グレコの年季の入った迫力ある踊りは、バレエ・ダンサーには決して出せないパワーとパッションがある。かっこいい…。

ジョゼ・マルティネス(本公演ではホセ・カルロス・マルティネズと表記)は素晴らしい。黒鳥は相手の方(ラウラ・オルミゴン)が、スタイルが良くて美人さん、おまけにポアントが非常に強いのに、ホール・ド・ブラや背中が堅くていまいちだったのが残念だった。だけど、それでもその端正さには満足。「三角帽子」の彼は素晴らしい。ファリヤの曲は変拍子が多くてとても踊りにくいと思うけど、かっこよかった!「三角帽子」の粉屋はカッコ悪い役のはずなおに。スターの輝きだよ。ジュテもふわっと上がっていて気持ちよい。

アンヘルは相変わらずだったけど、アンヘルらしい「コート」を見せてくれた。この作品はドキドキさせられるね、何回見ても。ストロボとのタイミングもばっちりだった。マラーホフの猫ジャンプとは違っていて(振付も違う?)、この作品でも元気いっぱい。 惜しむらくは、出口近辺が明るかったりして、ストロボが焚かれていないときでも完璧な暗さが再現できていないから、ちょっとアンヘルの姿が見えてしまうことだろうか。静止しているアンヘルを見ると、彼がすごく高いところを飛んでいるのがわかるし、アクロバティックなことも軽々とこなしていてやっぱりすごい。脚の反応も熱狂的だ。

「ドン・キホーテ」はシオマラのキトリが超可愛い。フェッテの時の扇子の使い方ー上にあげてパッと開いて回転するのがすごく可愛い。アンヘルとの組み合わせは可愛いコンビって感じで好感が持てる。タマラ・ロホみたいにトリプルとかはいれないけどすごく安定したフェッテで、少しずつ前に進んでいっているのが面白い。
アンヘルは例によって笑っちゃうほどぐるぐる回っていたけど、ABTのときみたいな10回転以上、というのはやっていなかった(9日には10回転やったけど)。ラストのグランフェッテはまた煙が出そう、床にめり込んでしまいそうだった。どうだ!って顔をするところが可愛い。 シオマラとの目配せ、ときにはチュッと頬にキスをするのがすごく楽しそうで、見ていると幸せな気分になる。難を挙げれば全幕のときよりもずいぶんと踊りが雑なことだろうか。

「白鳥XXI」のイーゴリ・イェブラ。パンツ一丁。前半は音楽なしで息遣いが聞こえてきた。すごく体がしなやかで、背が高くて手足が長い(ついでに顔も可愛い)途中からサン・サーンスの動物の謝肉祭(というより「瀕死の白鳥」と言った方がわかりやすいか)の音楽。照明が美しい。繊細で、生っぽくて、男版瀕死の白鳥って所か。でもこれを見ると、やっぱりマシュー版のスワンを思い出しちゃう。(イェブラ自身による振付) 次のマシュー・ボーン「白鳥の湖」のザ・スワンは彼でどうかしら?

そのイェブラとタマラ・ロホの「海賊」。タマラの回転は相変わらずすごくて、シングル・シングル・トリプルのペースでずっと続けていた。しかも余裕で回っているところがすごいし軸もぶれない。イェブラはアリ役にしてはちょっと華奢だし、衣装、あれはひょっとしてイジメですか?地味な茶色いパンツでアクセサリーも頭飾りもまったくなしで、本物の奴隷みたいだった。踊りはとても綺麗なんだけど、細いので迫力があまり感じられないかも。マネージュはふわっとしていてよかった。

タマラ・ロホのイザドラ・ダンカンは薄物のピンクの衣装で、妖艶な妖精って感じの匂い立つ雰囲気があって素敵だったけど、盛り上がる前に終わってしまった感じ。フィリップ・ガモンさんのピアノ演奏も良かった。タマラはやっぱり女優だね。彼女の撒いた花びらに後でジョゼがすべっていた。

あとマッツ・エック作品も面白かった!アナ・ラグーナ最高。スペイン人の皆さんがゲラゲラ笑っていたけど、ここまでインパクトがあってしかも楽しい作品って早々ないと思う。両脇で彼女を抱えて舞台を横切ったのが、アンヘルやジョゼといった今回出演したダンサーだったというのが面白かった。まさに「オーソレミオ」らしい、太陽のような魅力のある作品で、とても幸せな気分になる。

ナチョの作品を踊った秋山珠子さんもよかった。フラメンコっぽい作品もこうやって観ると新鮮だしすごくかっこいい!ゴジョ・モンテロの「Come Again」はダンサーの身体能力の高さにびっくり。あの地を這うような、しかしなめらかな動きは見たことがない。そしてミゲル・アンヘル・ベルナ、マイテ・バホによるフラメンコ作品「調和」なんか観ている間、あまりのカッコよさにしびれっぱなしだった。フラメンコなんだけど、女性ダンサーがフラメンコの靴ですごいピルエット見せちゃうんだよ。映像で何回繰り返しても多分飽きないと思う。ミゲル・アンヘル・ベルナは、ちょっとやさぐれた60年代のロックスターって感じで、おじさんなんだけど色っぽくて素敵。

つなぎにドン・キホーテの寸劇っぽいのが挿入されるのも楽しい。脈々とセルバンデスの世界が展開され、〆に「ドン・キホーテ」のグラン・パ・ド・ドゥに持って行くという構成がうまい。
その寸劇の中でのサンチョ・パンサ役の太ったおじさんがまた踊りが上手なんだ。 凄まじいリズム感!もう一人のナニ・パニョスはヘスス・パストルによく似ている。フラメンコダンサーだということなんだけど、バレエダンサーと同等もしくはそれ以上の身体能力と優雅さ。

でも一番のヒットは観客席のスペイン人たちでしょう。とことん楽しんでいる彼らと一緒に見ることが出来てよかったって感じ。アンヘルの踊りに「かっこいいよ〜」って声援を飛ばしていたおじさんも最高でした。カーテンコールでは総立ち。見ていて幸せな舞台だった。