2001年アメリカ 監督テリー・ツワイゴフ
脚本ダニエル・クロウズ/テリー・ツワイゴフ
出演ソーラ・バーチ/スカーレット・ヨハンスン/スティーヴ・ブシェミ/ブラッド・レンフロ
●111分 アスミック・エース配給
2001年7月28日より恵比寿ガーデンシネマにて公開
http://www.ghostworld-themovie.com/
高校を卒業したばかりの女の子イーニドとレベッカは、進路も決めないまま気ままな
生活を送っていた。彼女たちは出会いを求める広告を出した中年男シーモアを呼び
出して散々待たせた挙句尾行。レコードのガレージセールをしていた彼とイーニドは
親しくなり、一方レベッカはカフェのウェイトレスとして働き始め、二人はお互いに少
しずつ違和感を持つように…。
ここまで心に痛い映画というのは初めてかもしれない。世の中を斜に見て、社会と折
り合いがつかないイーニド。周りの連中はバカとガキばっかりで、唯一仲良しなのは、
ちょっとコンサバだけど辛辣なレベッカだけ。あたしは周りの奴らとは違う、という強い
自意識はあるのに、自分の才能をどうやって花開かせていいのか全然わからない。
気がつけば、バカにしていた連中はやりたいことを見つけ、親友のレベッカは仕事を
始めて自分だけが「ゴーストワールド」に取り残されて落ち込んで行く。そんなイニー
ドの姿を思わず自分に重ねてしまう。いったい自分は何をしたらいいのかわからない、
という焦燥感に駆られ、だけど周りはバカでダサくて、この街が、ここでの生活が嫌
になっちゃっている。で、結局一番バカでダサいのは自分自身だったというオチがあ
る年頃が自分にもあった。そんな時代の自分がいとおしくてたまらない。胸がチクチ
ク痛む。
そんなイーニドが出会う中年男があのスティーブ・ブシェーミ!演じるブルースおたく。
ディープなマニアのくせにまっとうな社会人として課長代理をやっているのがイタすぎ
る。彼はとてつもなくダサくて哀愁漂っているのだけど、自分の世界をしっかりと持っ
ていて、しかも妙な自信は持たないので、いつしかやたらカッコよく輝いて見えてしま
うのだ。彼のために女性をナンパしてあげるくせに、実際に彼に恋人ができると傷つ
きまくる、イーニドの微妙で素直になれない恋心が、どうしようもなく切ない。彼女の
描いたコミック、ネクラで冴えないオタクのシーモアこそが彼女のヒーローだったとい
うくだりにはもう号泣。負け犬としか彼女の目に映っていなかったシーモアが、どん
どん素敵に描かれていくのだ。
それにしても、ソーラ・バーチがこんなに凄い女優だったとは。斜に構えていて頑固、
口が悪くデブ、ブス、メガネの奥に小さな目が不機嫌そうに光る、だけど純情な女の
子が見事にはまっている。かつては美少女だったのに、もはや退路を絶ったというか、
普通の役はできまい。髪を緑色に染めてパンクロックに合わせ妙ちきりんに踊り狂う
ところなんて、謎の生き物になってしまっていてもう覚悟を決めたな、って感じ。でも
そのダサ可愛く、シーモアと会うときにはちょっとセクシーになるファッションは素敵。
あとダイナーやスーパーに集まる奇妙な人たちは死ぬほど可笑しい。そして来ない
バスを待ちつづける老人のエピソードはリリカルで美しい。果たして、イーニドは「ゴー
ストワールド」を出て、この老人のように「ここではないどこか」へ飛び出せたのだろう
か…。
