ルル・オン・ザ・ブリッジ Lulu on the Bridge


監督:ポール・オースター
出演:ハーヴェイ・カイテル、ミラ・ソルヴィーノ、ウィレム・デフォー、
    ジーナ・ガーション

わたしは小説家としてのオースターは大ファンだ。けっこう読みにくい小説だ
と思うのだが惹かれてしまう。「シティ・オブ・グラス」「鍵のかかった部屋」
などのニューヨーク 3部作、それにノスタルジックで不思議な感じの青春小説
「ムーン・パレス」は個人的にかなりはまった作品。
オースターらしさというのは、ちょっと不可解で摩訶不思議、悲劇なんだけど
ファンタスティックで余韻が残る、そんなイメージだ。

この映画もそんな感じに仕上がっている。まず、タイトルがいい。想像力をか
き立てられる言葉を選んでいる。
サックスを演奏中に流れ弾に撃たれてミュージシャン生命を絶たれたジャズプ
レイヤーのハーヴェイ・カイテル。殺された男の荷物から拾った青く光る美し
い石を通じて、女優志願の娘、ミラ・ソルヴィーノに出会う。恋に落ちた二人
の間の、禅問答のような不思議な会話がいい。「ルル」の役を得てアイルラン
ドに彼女が旅立ち、彼は謎の男ウィレム・デフォーに監禁される。ウィレム・
デフォーが一体何者なのかもよくわからないし、エピソードの繋がりがわかり
にくいところもある。結末を見て、裏切られたような思いをする人もいるかも
しれない。

でもおとぎ話っぽくて、ちょっとせつなくて、映像もきれいで、何となく心に
残る作品だ。これまでになく生き生きとしたミラ・ソルヴィーノも、沈んでい
るけどたまにすごくいい顔を見せるハーヴェイ・カイテルも魅力的。

オースターの小説を理解できない人には、この映画も魅力的には思えないと思
う。普通の映画の文法とちょっとちがうけど、雰囲気を楽しむには魅力的な作
品だ。

ビッグ・ヒット 

ジョン・ウー製作総指揮のヒップホップ・アクション
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 監督:カーク・ウォン
 出演:マーク・ウォルバーグ ルー・ダイヤモンド・フィリップス
    チャイナ・チャウ

SUMMARY ──────────────────────────────

凄腕の殺し屋でありながら人が良いメル(マーク・ウォルバーグ)は女性にも
めっぽう弱く、婚約者や愛人からせっかく稼いだお金をむしり取られている。
組織の仲間のシスコ(ルー・ダイヤモンド・フィリップス)が、ボスに内緒で
立てた日本人富豪の娘ケイコ(チャイナ・チャウ)誘拐計画に、気が進まない
ながらも金に困って荷担する。しかしながら、ボスは実はケイコの名付け親で
あり、彼女の父がボスに通報したことにより、彼らは大ピンチに陥る。そして
誘拐計画の発案者シスコが仲間を裏切ったことにより、メルは大変な窮地に!

◆ REPORT ─────────────────────────

こうやってあらすじだけを紹介すると、裏切りの交錯する陰惨な話のような気
がするけど、とんでもない。この映画は、爆笑どころがてんこもりのアクショ
ン・コメディなのだ。

メル(マーク・ウォルバーグ)は本当にいいやつだ。バカがつくくらいいいや
つで、シスコには「俺が死んだらクルーザーをやるよ」と言われて取り分を
チョロ任されたり、愛人に貢いだら別の間男に金を持って行かれるし、ユダヤ
人の婚約者の両親のためにレシピと首っ引きでユダヤ料理を作ったりする。殺
し屋のくせに「僕は誰にも嫌われたくないから、彼女たちと別れられない」と
真剣に悩む様はおかしい。この話は、彼が単なる優柔不断な「イイ奴」から脱
皮する成長物語とも言える。

マーク・ウォルバーグはカルヴァン・クラインの下着のモデルとして有名にな
り、「ブギー・ナイツ」では30センチの巨大ペニスを持つポルノ男優に扮し
たくらいだから、体つきはいいし、ラッパーだったということもあって(元
ニューキッズ・オン・ザ・ブロック)リズム感が良く、アクションシーンの体
のキレも最高。そして、ジョン・ウー製作、香港出身のカーク・ウォン監督だ
から冒頭のマフィアのアジトでのアイディアに満ちた撃ち合いや、ビデオショッ
プでの対決シーンなども切れ味良くまとめられている。

しかし、やっぱりこの映画の魅力は、全体にちりばめられたユーモアのセンス
でしょう。緊張感あふれる突入シーンのさなかもコーヒーブレイクしてしまっ
たり、オナニーネタで盛り上がる殺し屋仲間たち。ケイコの父の富豪は、大手
電機メーカーの社長なのに映画に投資して破産、というのはどこかで聞いたよ
うな話だし、その映画の失敗の原因がまた笑えるのだ。彼はオペラをバックに
ハラキリまで演じようとしたりする。そして、一番おかしかったのは、メルが
どんな大ピンチの時でも、延滞してしまったレンタルビデオの「キングコング
2」のことをひどく心配していること。彼のいい人ぶりも象徴しているのだ
が、なんだか身につまされる。
途中で仲間を裏切るシスコを演じるルー・ダイヤモンド・フィリップスのキレ
方も強烈でおかしいし、婚約者のアル中の父親の人種差別ネタ爆発のスピーチ
も爆笑もの。

軽いタッチで描かれており、何かが残るような映画ではないけれども、入場料
分は十分楽しませてくれてニコニコ顔で帰れる、そんな映画だ。

アルマゲドン Armageddon

監督:マイケル・ベイ
出演:ブルース・ウィリス、ベン・アフレック、リブ・タイラー、
   ビリー・ボブ・ソーントン、ピーター・ストーメア、スティーブ・ブシェーミ

ニューヨークに彗星が落下し、甚大な被害が出た。調査の結果、地球をめがけ
て巨大彗星が接近しており、このままでは地球に衝突し人類は滅亡してしまう
ことがわかる。地球を救うことのできる唯一の可能性は、巨大彗星に深い穴を
掘り、核弾頭を埋め込んで爆発させることにより軌道をずらすことである。かく
して世界中から、石油採掘の達人である荒くれ男たちが呼ばれ、万が一の人
類生存の可能性に賭けることになる。

良くも悪くもアメリカの映画だなぁって感じの映画だ。3時間もの長尺を見せ
られ、その上緩急の全くない演出、クライマックスの連続みたいな代物だった
せいか、風邪が悪化してしまった。とにかく、長すぎる。もっとエピソードを刈
り込んでくれないと。音楽も始終ガンガン鳴っていてうるさかった。

制作側としては、ブルース・ウィリス、リブ・タイラーの親子の結びつきに、
リブの恋人ベン・アフレックがからみ、父が娘の恋人に「後は頼んだぞ」と任
せて我が身を犠牲にする、というプロットで泣かせようとしたのだろうけど、
彼らのの演技には全く感激できなかった。あまりにもミエミエというか・・。

脇役は意外といい味を出していた。特にビリー・ボブ・ソーントンのNASA技官
には宇宙に行けなかった者の哀感が感じられて評価できる。「アポロ13」の
エド・ハリスに比べると相当頼りなく感じられるが。

残りの部分は、ほとんど「バカ映画」に近いノリだ。きっとビデオで大勢で見
れば、突っ込みどころが盛りだくさんなので大いに盛り上がることができるだ
ろう。科学的な考証はいい加減を通り越していて、よくもまあこんな破天荒な
ことを考えたものだと呆れてしまうが、でも、そこが面白いと言えば面白い。

話の腰を思いっきり折っていたが、個人的にはピーター・ストーメアとスティ
ーブ・ブシェーミ(「ファーゴ」コンビ)の怪演ぶりは、悪ふざけが過ぎた気もす
るが好き。あんな地獄みたいな彗星の上で核弾頭の上にまたがってショッ
トガン撃ちまくる演技はブシェーミにしかできない。あと、ブルース・ウィリス
に石油採掘の荒くれ男たちが、それぞれの個性を表している場面で呼ばれ
るシーンは面白かった。宇宙でも、この半分でも彼らの個性が発揮されてい
れば良かったのだが、カット割りが細かすぎて誰が誰だかわからず、いても
いなくても同じような状態になってしまっているのが非常に残念。

最期の時を迎える各国の人々を映した映像では、イスラム圏のモスク、フラン
スのカフェ、上海の光景など、なんだかステロタイプ丸出しなのは笑えた。時
差があるはずなのに、みんな昼間だったし。

感動するぞ、と構えずにツッコミを入れまくるのが正しい鑑賞法といえる映画
だろう。Asian Female Touristとして松田聖子も出ているし。

パッチ・アダムス Patch Adams


監督:トム・シャドヤック
出演:ロビン・ウィリアムズ(パッチ・アダムズ)
   モニタ・ポッター(カリン)

あらすじ

パッチ・アダムスは精神病院の患者だった。彼は自殺未遂を繰り返したあげく、自ら
望んで入院した。しかし、同室の患者と仲良くなり、彼を笑わせることによって自分
自身も救われたという経験から、医者を目指しすことになる。
かなり年の行った医大生となった彼は、本来低学年の学生は許されていない病室
への出入りをするようになり、小児ガンの子供たちや死を目前にしたような患者たち
を笑わせ、人気者となる。彼の持論は「笑いが、病気を治す」「医者の仕事は生きる
喜びを与えることだ」。そして、仲間の医大生たちと貧しい人のための診察所まで作
り、美しい医学生カリンと恋に落ちる。しかし、権威主義的な学部長とは対立を深め
ていき、そして悲劇が・・・。

患者に幸福感を与えることによって患者の不安感が和らげられ、治癒力を高めるとい
う理論を持つ医者パッチ・アダムズは実在の人物なのだそうだ。今も彼は健在で、実
際に貧しい患者のための無料の病院を建設しているという。

そういった実在の人物を演じるのがロビン・ウィリアムズ。彼が医大生を演じることに
ついて違和感を感じなければ、きっとこの物語にはまれるはず。この役を演じるには、
ちょっと年を取りすぎているような気もするし、真面目で美しい女子学生と恋に落ちる
ことについても説得力がないような気がする。だけど、人を笑わせる才能については、
ロビン・ウィリアムズが誰よりも持っているということは否めない。権威主義の医者たち
が集まる学会の準備を任せられたパッチが、大学の入り口を、脚を広げた女性の股を
かたどったものにしてしまうなんてことをやっても許せてしまう。患者を喜ばせるために
彼がする、体を張ったギャグの数々も、笑いを誘われるとともに、とても暖かい気持ち
にさせられる。

彼がなぜ自殺癖を持つようになってしまったのか、あのようなつらい思い出があるのに、
あんなに明るくて強い人になれたのか、カリンはなぜ男性恐怖症になってしまったのか、
その辺の説明がちょっと足りない。だから、せっかくの感動的な物語の興がちょっとそが
れてしまうきらいがある。
この物語は、同じくロビン・ウィリアムズが主演した「いまを生きる」と雰囲気が似ている
のだが、感動的な実話、そして彼の名演のわりには、ちょっと脚本が弱いため、惜しい!
というレベルにとどまってしまっているのが残念。でも、感動できること、泣けることは保
証する。

鳩の翼  Wings of a Dove


監督:イアン・ソフトリー
出演:ヘレナ・ボナム・カーター(ケイト)
   アリソン・エリオット(ミリー)
   ライナス・ローチ(マートン)
   シャーロット・ランプリング(モード)

ヘンリー・ジェイムズの小説の映画化、舞台は20世紀初頭のイギリスとヴェ
ニスとなると、堅苦しい文芸大作の匂いが漂いますが、この映画は、生々しい
感情を扱った作品でスピーディで現代的な演出がされており、退屈することは
ありません。メロドラマというよりは、もっと毒を含み、愛の恐ろしさを感じさせ
てくれます。

(あらすじ)
20世紀初頭のロンドン。上流階級の娘ケイト(ヘレナ・ボナム・カーター)
と貧しい新聞記者マートン(ライナス・ローチ)は愛し合っていた。しかし、
ケイトの父は阿片窟に通ってすっかり落ちぶれ、彼女は叔母のモード(シャー
ロット・ランプリング)を後見人としている。モードは、ケイトに嫌味な貴族
の男と結婚しろと迫り、貧しいマートンと結婚することなどもってのほか、と
言う。
そこへ現れたのがアメリカ娘のミリー(アリソン・エリオット)。明るくて屈
託のない彼女に、ケイトは惹かれ、すっかり仲良くなる。やがて、ミリーが余
命幾ばくもなく、しかも大金持ちだということをケイトは知る。そこで、ケイ
トはミリーとマートンを近づけようと画策し、ミリーの誘いに応じて3人は
ヴェニスへと旅立つ。

◆ REPORT ─────────────────────────
ヘレナ・ボナム・カーターの演じたケイトという女は、よく考えてみたらなくひどい
女性なのだけど、決してそれを感じさせないばかりか、彼女には思いっきり感
情移入してしまいます。阿片窟の中の父を見て、自分に課せられた運命の残
酷さに必死に抵抗し、情熱のままに生きているその生き様には惹かれるもの
があります。だからこそ、この情熱と嫉妬という感情の恐ろしさを感じさせてく
れるのが、この映画です。

冒頭、地下鉄の中で出会った二人が抱き合う場面。地下鉄の中で視線が絡み
あい、お互いを追いかけ、エレベーターの中で求めあう、その激しさ。阿片窟に
いる父親に会いに行き、自分の過酷な運命を嘆く場面。閉鎖的な上流階級社会
の中で、行き場のない情熱を燃やしている生々しい女を感じます。

アリソン・エリオットのミリーは、死期が迫っているのに、一生懸命生き、愛
そうとしているところにケイトもまた惹かれます。本当にこんな天使のような
女性がいるのかは疑問ですが、死に間際、ケイトの策略に気がついていたにも
かかわらず、「愛していたわ、あなた方二人ともを」とマートンに言い残しま
す。薄い衣装が死の匂いを漂わせながらも妖しく美しく、彼女のことを愛して
いたわけではないと言っていたマートンも、もう彼女の幻影から逃れることは
できなくなります。

夜のヴェニス、異国の熱く妖しい空気の中、カーニヴァルの中での生き生きと
したミリーと初めて本当に彼女に嫉妬したケイト。あまりにも生々しい感情を
見せつけられ自分がケイトになったような気がしました。そして、最後のベッ
ドシーンの寒々とした空気と冷え切った二人の目のクローズアップ。愛という
ものの持つ、すべてを破壊し尽くしてしまう恐ろしい力をひりひりと表現して
います。
ケイトはミリーの財産を手にすることもできず、マートンとは結婚できたとし
ても彼の中での、ミリーとの美しい記憶、死んでしまったからには決して年を
取ることもなく年々美化されていくミリーへの思いに勝つことはできないとい
う地獄が待っています。   

でも、きっと自分がケイトだったら、同じことをしてしまうのではないか、観
るものにそう思わせるところが、この映画のすごさです。

ヴァンパイア 最期の聖戦 John Carpernter's Vampires

わたしは怖いものは苦手だ。絶叫系のジェットコースターも苦手だしホラー映
画はもっと苦手で極力観ないようにしてきた。怖いシーンは思わず目を覆って
しまう。でも、この映画は意外と楽しめた。

魔鬼が素手で人間を撫で斬る描写がちょっとプライベート・ライアン的だった
のがちょっとこわかったけど、あそこまでやってくれると爽快。ほかのヴァン
パイアたちもなんだかイイ感じ。地面の中からニョキっと出てきて、Gメン7
5みたいに並んでスローモーションで歩いてくるところなんて、かっこいいよ
うなバカみたいな。(一緒に見たオットは「ショッカーみたい」と評していた)
とてつもなく強い魔鬼はすごくカリスマ性があって素敵。十字架もニンニクも
まったく効かないしちょっとやそっとではくたばりそうもない。

クライマックスは砂漠の中での「七人の侍」みたいだし、ジェームズ・ウッズ
は悪魔の儀式のいけにえにされそうになるし、スタイリッシュなんだけど笑え
るというか、真面目に観ていいのか笑い飛ばすのがいいのか一瞬迷ってしまう。
この現代に、砂漠の街でヴァンパイア達に囲まれて、枢機卿が大真面目に悪魔
降臨の儀式やっているなんて、悪い冗談にしか見えないんだな。

ウェスタンぽい音楽のクレジットもジョン・カーペンターになっていて、雰囲
気を盛り上げている。ニューメキシコの乾いた風の中に、湿り気のあるヴァン
パイア達が湧いて出てきそうな感じ。男の友情で締めたラストといい、意外と
さわやかな余韻が残る、面白い映画だ。

フェイス FACE

監督:アントニア・バード
出演:ロバート・カーライル、レナ・ヘディ、デイモン・アルバイン

ロバート・カーライルは本当にいい俳優だ。ハンサムではないが表情がとても
繊細で表現力がある。同じアントニア・バード監督の前作「司祭」では、ライ
ナス・ローチ演じる司祭のゲイの恋人役を演じていた。今回の役はギャングの
リーダー格だ。彼はイギリス人の労働者階級の男を演じるとぴたりとはまる。
ある意味、「フル・モンティ」にも通ずるところのある作品だ。

「俺は今、35歳だ。24までは堅気だった。もし、まともに働いていれば、倍の
金は稼げただろう」。彼の演じるレイは、単なる悪党ではなく、共産主義の運
動に敗れ、仕方なく始めたものだ。もともと社会に対して割り切れない思いを
持っていた彼が、裏切りに遭う。刑務所で知り合った仲間たちと武装強盗をし
て成功したのは良かった。が、得られたお金が予想よりはるかに少なかっただ
けでなく、メンバーそれぞれの取り分が奪われていた。レイは金を取り返すた
めに奔走するが、さらに仲間たちは一人ずつ殺されていくのだった。犯罪者と
はいっても、一人一人に人生があり家族もいるのに・・。

レイは昔風の男で仲間たちを信じていたのに、組織は内部抗争を重ね、ある者
は殺され、ある者は破れかぶれになって警察と対決し、自滅する。自分よりも
ずっと年上の仲間の娘は汚職警官によって麻薬漬けにされてしまう。さらに生
命の危険や警察の手もレイに迫る。長く続くイギリス国内の長い不景気のせい
で、まともな職に就くこともできない。本当に割り切れないことばかりが彼の身
に起こる。そんな彼の味方は、「あなたのことを恥じたことはなかったわ」と息
子を信じる共産主義運動家の母親と、その運動の仲間である恋人だけ。

取り巻く状況がどんどん悪くなり、苦しむ彼の様子。最終的に街から逃げ出す
とき、待ち合わせた恋人と出会えなさそうで泣きそうになる表情。絶妙だ。こ
んなに最悪の状況でも、生きていればきっといいこともある、そんな彼らの未
来を信じたくなってくる、救いが感じられる終わり方だ。

骨太のドラマなのだが、音楽が少々うるさすぎる気がする。いかにもUKロッ
ク的な音楽(「ブラー」のデイモン・アルバインも出演している)は似合って
いるし、強盗の場面でのクラッシュの「ロンドン・コーリング」もはまってい
るのだが、せっかくの寂寥感漂う画面を台無しにしていることが多い。共産主
義の運動をやっていたという設定も面白いのだが、案外生きていない。でも、
レイの生きざまには引き付けられる。ロバート・カーライルの演技によるとこ
ろが大きい。