死亡事故損害賠償額について

〔死亡による損害〕
  次の各項目を積算して賠償額が決定される。但し、自賠責では支払限度額3000万円の
 範囲内で、実際の損害額が補償されることになる。

 1、葬儀費
  ○認められるもの
   通夜、祭壇、喪主家の生花等、通知状、会葬礼状、会葬礼品、火葬料、埋葬費、回向、
   初七日までのお布施、戒名代、仏壇、位牌、墓石等に要する費用。
  ○認められないもの
   墓地代、永代使用料、香典返し、引出物(会葬礼品を除く)等に要する費用。

   ○認定額
   自賠責は定額60万円(立証書類不要)。但し、立証書類があれば最高100万円まで
   認められる。
   弁護士会基準は150万円が認められることが多い。
   ただし、170万円、200万円等認められた判例もあります。

 2、逸失利益
   被害者が死亡しなければ、将来得ることが出来たと考えられる収入額から本人の生活費
  を控除する。中間利息分は控除される。
 (基礎収入−本人の生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
  
     (計算例)
      ・男性
      ・死亡時年令    40才
      ・死亡時年収    500万円
      ・遺族        配偶者、子供2人

      500万円×0.7(生活費30%控除)×14.643(就労可能年数27年間)
      =51,250,500円

  ○基礎収入
     ・基礎収入額は、原則として現実収入額になります。
     ・給与所得者の場合は、事故前年の源泉徴収票の金額を基本としますが、賃金セン
      サスの平均賃金を下回っている場合でも、将来に平均賃金を上回る可能性がある
      場合は、平均賃金を採用する場合もあります。(入社間もない若年層等)
     ・事業所得者は事故直前の確定申告所得が基本となります。また現実収入が平均
      賃金を下回る場合でも、仕事の内容により平均賃金が認められる場合もあります。
     ・会社役員の場合は、労働対価の部分は認められても、利益配当的報酬は対象外
      となる場合が一般的です。
     ・家事従事者(主婦等)、学生等は平均賃金額を用います。
     ・幼児の場合は、賃金センサスによる全年齢平均賃金額を基礎とする場合が多い
      です。
     ・無職の場合は、事故時に労働能力(体力等)と労働意欲があり(求職していた
      等)、近い将来に就労していたであろう蓋然性があれば認められる場合がリます。

  ○生活費
   (自賠責基準)
     ・被扶養者がいる時   年収の35%
     ・被扶養者がいない時 年収の50%
     ※被扶養者がいる時とは、被害者が男子の場合は配偶者、未成年の子、65歳以上
      の父母のいずれかがいる場合、被害者が女子の場合は配偶者がいなく、且つ未
      成年の子、65歳以上の父母のいずれかがいる場合をいいます。

   (弁護士会基準)
    A 死亡した方が一家の支柱であった場合
     ・被扶養者1人の場合      40%
     ・被扶養者2人以上の場合   30%
    B 女性(主婦、独身、幼児等) 30%
    C 男性(独身、幼児等)     50%

  ○就労可能年数
   原則として67才までの期間に対するライプニッツ係数が採用されます。
   高齢者の場合は、67才までの年数と簡易生命表の平均余命年数の2分の1のいずれ
   か長い方を採用します。なお使用する係数にはホフマン係数等もありますが、現在の
   裁判例ではライプニッツ係数に統一されるのが一般的です。


  ○年金受給者の逸失利益
   拠出性のある年金は加算されます。
   計算式は就労可能年数までと平均余命までとの2段階となります。

     (計算例)
      ・死亡時年令 63才    →就労可能年数 9年間 (計数7.108) 
      ・年金額    月13万円 →年額156万円
      ・現実収入  月10万円  →年額120万円
      ・生活比率  40%
      ・平均余命  男性     →20年 (係数12.462)

    A 死亡から就労可能年数まで
      (実際の年金額−本人の生活費)×就労可能年数のライプニッツ係数
       (156万円+120万円)×(1-0.4)×7.108=11,770,848円
         ※現実収入があれば、加算され計算します。

    B 就労可能年数から平均余命まで
      (実際の年金額−本人の生活費)×(平均余命の係数−就労可能年数の係数)
       156万円×(1-0.4)×(12.462-7.108)=5,011,344円
         ※平均余命期間の生活比率を50%とする計算例もあります。

    A+B=16,782,192円
    

 3、慰謝料
  @自賠責基準
    
本人の慰謝料として 350万円
請求権者が1名の場合 550万円
請求権者が2名の場合 650万円
請求権者が3名以上の場合 750万円


       ※遺族の慰謝料は請求権者(被害者の配偶者、子供及び父母)の人数により
        金額が異なる。
       ※また被害者に被扶養者がいる時は、上記金額に200万円が加算される。

     (計算例)遺族3人の場合
       本人350万円+遺族750万円=1100円
    
     (参考条文)民法711条
       他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その
       財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

  A任意保険基準 ※各保険会社により多少の差があります。

被害者が一家の支柱である場合 1500万円〜2000万円
被害者が18才未満である場合
(有職者を除く)
1200万円〜1500万円
被害者が高齢者である場合 1100万円〜1400万円
被害者が上記以外の場合 1300万円〜1600万円

   
  B弁護士会基準
     (青本)

被害者が一家の支柱の場合 2700万円〜3100万円
被害者が一家の支柱に準ずる場合 2400万円〜2700万円
被害者がその他の場合   2000万円〜2400万円

    (赤本)

被害者が一家の支柱の場合 2800万円         
被害者が母親、配偶者の場合 2400万円
被害者がその他の場合 2000万円〜2200万円  

           
  以上の差で分かるように、保険会社との交渉には限界があります。
  訴訟や調停の他に、交通事故紛争処理センター等の斡旋機関を利用する選択も
  あります。

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  【参考;搭乗者傷害保険金と慰謝料】
   搭乗者傷害保険金は、搭乗者の損害賠償額から控除することはできない。
                        (平成7.1.30最高裁判決)

   ※保険会社の一部では「搭乗者傷害保険の支払があるから、その部分は賠償額から
    控除する」という見解があったが、両者は別個であることを最高裁が判断したもの。


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