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脊髄性麻痺って何…

 脊髄性麻痺の原因は?

脊髄が原因でおこる麻痺の原因には,次のように多くのものがあります。

1.外傷(けが,交通事故,転落事故など)脊椎の骨折・脱臼を伴う場合と伴わない場合とがあります(脊髄損傷)。
2.腫瘍が脊椎や脊髄にできた場合。
3.脊髄にいく血管がつまった場合。
4.脊髄の炎症。
5.脊髄への圧迫(靭帯の骨化症・椎問板ヘルニア・変形性脊椎症など)。
6.その他の病気(先天異常・脱髄性変性疾患・代謝性疾患など)。

いずれにしても、一度破壊された脊髄組織は、骨や皮膚・肝臓などと違い、もとにもどることはありません。そして、知覚や運動の麻痺は何らかの形で続くことになります。(最近では再生医療という分野の研究が進められていて治らないとは断言できませんが、とても難しく時間も必要なようです。



 麻痺とそのレベルとは?

よく、医師や当事者同士の話の中で「麻痺のレベルはTh 5です」などというのを聞かれたことがある人もおられると思います。これは、脊髄のレベルのどこが損傷されて生じた麻痺かを表現していて、これを麻痺のレベルといい麻痺のレベルは、正常に働く一番下の髄節の名前で呼びます。
たとえば、第1胸髄の機能までが正常であれば第1胸髄損傷(Th 1のレベルの脊髄損傷)
と呼ばれるわけです。

頚髄・腰髄・仙髄では筋肉の麻痺でレベルが決められますが、胸髄から腰髄の上部の麻痺では対応する筋肉の麻痺がはっきりしないので知覚(感覚)の麻痺でレベルを決めます。
脊椎.のけがと脊髄の麻痺のレベルが違うこともよくあります。

また四肢麻痺と対麻痺という言葉も耳にすることがあると思います。
四肢麻痺とは、頚髄のレベルの障害でおこった麻痺で、上肢と下肢の両方に麻痺のある場合です。
対麻痺とは上肢に麻痺がない両下肢の麻痺の場合をいい、胸髄のレベルより下の障害でおこる麻痺のことです。



 麻痺は回復するのでしょうか?

これは、髄の破壊が「完全」か、「不完全」か、いい換えれば脊髄が完全にやられているか、部分的かによって決まります。完全にやられていれば麻痺は残りますが、部分的であれば一時的な麻痺で終わり機能がもどる可能性があります。

現在いわれていることは、麻痺が24時問以上続くようならば、脊髄の破壊は完全で、将来回復する可能性はきわめて薄いのです。しかし、24時問以内に部分的にでも回復があれぼ、脊髄の破壊は不完全で、もう少し回復の可能性はあるといわれています。

少し具体的にまとめてみると
1.けがをしてから2年問はいくらかの変化がおこることがあります。
2、けがの直後には脊髄のやられた範囲を決めることができ、運動や感覚の麻痺をおこした部分は、このやられた
  範囲の広がりによって決まります。
3.脊髄の破壊がひどければひどいほど、回復の機会は少ないといえます。
4.麻痺が「完全」であれば回復の可能性は非常に少なくなります。
5.麻痺が長時問続いていれば回復の可能性も非常に少なくなります。
6.麻痺の回復するスピードが遅ければ、完全回復は望みにくくなります。
7.脊髄の損傷の後の変化は、けがをしてから最初の3か月問でほぼ終わります。ですから、身体障害者福祉法
  による、身体障害を認定する場合には、麻痺がおこってから6ヶ月の時点、またはそれからあとで診断書が書
  かれます。



 手術をして麻痺をとることができるできますか?

残念ながら手術によって麻痺を回復することはできません。(しかし、最近ではES細胞や幹細胞などの働きが研究され再生医療という分野の研究が進められています。遠くない将来、不可能が可能となることもあるのではないでしょうか。)


 ではどうして手術をするの?

1.骨折や脱臼でもとの位置からずれた場合に、もとの位買にもどして脊髄の位置や血液の循環をより良い状態
  にする。
2.壊れた骨や腫れ(浮腫)などによる脊髄への圧迫を取り除く。
3.頭や上半身を支えるために、ぐらぐらしている脊椎をしっかりとした状態に固定し、早くリハビリテーションが行え
  る状態にする。

つまり、手術は骨(脊椎)を整えるために行われるのです。



麻痺は、最初のうちはだらっとした(弛緩性)麻痺ですが、しだいにこわばった(痙直性) 麻痺となることがあります。
また、何かの拍子に膝が延びたり曲がったりふるえたりすることがありますが、これは反射(自動的・不随意的運動)といって、麻痺が回復してきているのではないのです。この反射を痙性と呼ぶこともあります。
不完全で少しずつ回復した場合でも一度麻痺がおこると、その後に「痙直性」が強くなりいろいろな程度で運動のしにくさが残り、動きがぎこちなくなることがあります。
これを不全麻癖の状態といいます。

残った機能レベルでリハビリテーションのゴールをだいたい予想することができます。
第6頚髄損傷C6のレベルの脊髄損傷)までは日常の生活に人の助けが必要です。
第7頚髄損傷C7のレベルの脊髄損傷では車いすを使って人の助けがいらない人と,そうでない人とにわかれます。
実際の生活で歩けるのは第4腰髄損傷L4のレベルの脊髄損傷のレベルということになります。



麻痺の回復を期待するなといっても無理なことで、誰でも心のうちでは回復を期待する気持ちは強くあります。
周りからは回復するしないにかかわらず、できるだけ早く麻痺という障害を持ったままでも社会生活にもどることのほうが、入院生活を続けていくよりも重要なことだといわれますが、そんなおりこうさんのように全てを受け入れることはできません。
頭で理解できても体かいうことをきかないのですから・・・。

心については別の機会にまとめたいと思います。