【上方落語メモ第8集】その351

三人旅浮之尼買


【主な登場人物】
 喜六  清八  源兵衛  馬子、宿の番頭、若侍、遊女、比丘尼ほか

【事の成り行き】
 世間一般、まだ旅行が特別な行事であった時代には家族、隣近所、あるい
は自分自身にと土産物を買って帰ったものでした。そしてまた、隣近所から
もよくいただくことがありました。

 この頃はもう、一泊や二泊の旅行が日常のものとなって土産なんか買いは
しないのですが、それでも時折いただき物が届きます。たいていは日持ちの
する焼き菓子、干物の真空パック、珍味の瓶詰めなど、箱や包装の意匠を見
れば、いかにもご当地の名産品であることが一目瞭然になっています。

 何も詮索せずにありがたくいただいてしまえば心乱さずに済むものを、ひ
ねくれの混じったわたしは、どういうものか箱の裏に張られたラベルに目が
行ってしまうのです。そこには色々な情報が書き込まれていて、製造年月日、
賞味期限、原材料、販売者、製造元、そして製造元の住所。それも販売者か
ら遠く遠く遠く離れた、わたしの住所からの方が近いぐらいの住所。

 見知らぬ土地へ行くと平常の精神感覚を失ってしまい、土産物店の品物が
ことごとく意味のあるものに思えてくるから不思議です。というか、そうい
う心神喪失状態を作りだすように作られているのが土産物店の土産物なので
しょう。もっといえば、そういう精神撹乱状態を作りだすためにこそ旅行を
するのかもしれません。

             * * * * *

 我々同様といぅやつが三人連れ、大阪ばっかりで遊んでてもしょがない、
ひとつ旅でもしょ〜か、他国へ行てみたら面白かろぉ、ほなひとつ伊勢参り
でもしょやないかと「でも」付きの伊勢参り。きょう日のデモと昔のでもと
はだいぶ違いますからな、旗持って走ったり棒持って走るちゅなことせぇし
まへん。

 「でも」付きの伊勢参り、伊勢参りでもしょやないかと三人で大阪を立ち
まして、三日ほど経ちますと旅慣れてくる、足慣れてくる。懐のお金もボツ
ボツ使い慣れて、かかってまいりましたんが伊勢街道。

▲お〜い、待った待ったまった。待ったれ待ったれまったれ清ぇやん、清ぇ
やん。お前だけ先行たってしゃ〜ないやないかいな、喜ぃ公が後ろから来よ
んねや、遅れてよんねや、ちょっと待ったって待ったって。おい、喜ぃ公喜ぃ
公、早よ来い早よ来いはよこい。お前だけがグズグズしてたらどんならんさ
かい早よ来いちゅうねや。

▲おい清ぇやん待ったりぃな、お前だけ先行たかてしゃ〜ない、ちょっと待っ
たりっちゅうねん。おい喜ぃ公早いことおいで、清ぇやん待ったりっちゅう
ねん、喜ぃ公早いことおいでっちゅうねや、清ぇやん待ったりっちゅうねん。
喜ぃ公早いことおいでっちゅうねや、清ぇやん待ったりっちゅうねん。喜ぃ
公待ったり、清ぇやん早いことおいで。

■何を言ぅてんねん、おい▲どっちかがどないぞせぇへんさかい、ややこし
なんねがな■喜ぃ公、早いこと来い早いこと来い●はっはっはっ、そないヤ
イヤイヤイヤイ言ぃないな、わいもぉさっきんから足が痛とぉて腰が痛とぉ
て▲おい、ゴジャゴジャ言ぃなや、足が痛いやの腰が痛いっちゅうほどまだ
歩いてへんやないかい。

●いや、歩いて腰が痛となったり足が痛となったりしたわけやないねん▲ほぉ
「歩いてやない」て言ぅと、何ぞあったんかい?●あのほれ、夕べ泊まった
宿屋に綺麗ぇな女衆(おなごし)が居てたやろ▲夕べ泊まった宿屋に綺麗ぇな
女ごし? あぁ、何かい晩飯の時にお給仕に来たやっちゃ。

●せやせや、あれやあれや。みなお前ら名前覚えんのん早いなぁ、ちょっと
あれが来ただけでチィチィちゅうて覚えてたよぉに思うが、お前ら名前覚え
んのん早いわ。わいらなかなかな覚えられへんがな、けど別嬪だけは見たら
分かるさかいな、ほであれちょっとな、あのぉ〜……、デヘデヘデヘ……

▲アホかお前、お前らの顔でそんなことして「うん」ちゅうかい●廊下のと
こでな、袖引っ張って「イィ〜ッ」って▲妙な顔すな、向こぉは「キャッ」
ちゅうで●ほな、向こぉがここでボ〜ンッ、あいつのここ丈夫な▲感心して
るとこやないでお前、どないや?●ほいで、わいかて腹立つさかいな、あい
つに仕返ししたろ思て。

▲男だてら、振られて女に仕返してなことすな。どつき合いでもして、ケガ
でも……●そんな手荒いことはせぇへんけどな、朝顔洗いに行たらな銅(あか)
の金ダライがあったやろ、あれ一つ盗んで来たろ思て、ほなあれ係の女ごし
やさかい、あいつが怒られよるやろ思てな。ほで、金ダライ一つ持て行たろ
思てんけども、もぉ荷造りしたあとやろ、金ダライ入れるとこあれへんねん。

●「どこ入れよか知らん」思ていろいろ考えた結果、背中へ入れた、着物の
こっから広げて。ほんでその上からこぉカッパ着てな、ほな分かれへんやろ。
で、こぉ玄関のとこでワラジの紐結んでたらな、パタパタパタッと足音がし
て「まぁ、もぉお立ちどすか」っちゅうやつが居よんねん。

●「だれや知らん」思てヒョッと振り向いて見たらさっきの女ごしや「『もぉ
お立ちどすか』て、早いこと行かなんだら二人、前歩いてまんがな」ちゅう
て「まぁまぁ、そない先ばっかりお急ぎやして、向こぉ行てえぇ女ごはんが
居てはったら、わてみたいなもん忘れてしまいはりまんねやろ」そない言ぃ
よるさかいな「何の、お前みたいな別嬪の居てる宿屋忘れてたまるかいな、
帰りにまた寄るで。帰りには『うん』ちゅうてや」ちゅうたら

●「まぁ粋(すい)なお方、忘れんと寄っとくなはれや、ホンマだっせ」ちゅ
うて背中ボ〜ン……。もぉちょっとどっちかへずれてたらよかったん、真ぁ
真ん中や。背中で金ダライ、ボ〜ンていぃよった「まぁ、この人の背中鳴っ
とぉすわ」ちゅうさかいな「わいとお前と別れが辛い、別れの鐘が鳴ったぁ
んねん」言ぅたったら「まぁ粋なこと言わはる好っきゃわぁ」ちゅうて、ボ
ンボンボンッ。

●その勢っきょいでお前、金ダライ向こぉへ飛んで出てドンガラガァ〜のガ〜
ちぃよんねん「まぁ、朝から一つ金ダライが知れん思たら、この人が盗って
はったんやわ。金ダライ盗人」ちぃよるなり、さぁ手代は出て来よる、番頭
が出て来よって踏みよるわ蹴りよるわどつきよるわ、もぉ足が痛とぉて腰が
痛とぉて……

▲何をさらすねんお前、しょ〜もないことすなや。するならすると言ぅとい
てくれたら、俺らかて手伝い(てったい)よぉがあるねや。おい清ぇやんそぉ
いぅいきさつや、こいつ足が痛い言ぅとんねんさかい、ゆっくり歩いたって
くれ。

▲しかし何やなぁ、夕んべこいつの騒ぎはともかくとして、夜中じゅ〜あっ
ちこっちで笛がピィピィピィピィ鳴って、人がワァワァっちゅうてたが、あ
ら何やってんやろなぁ?

■へっへっへっへっ……、あら、わいや▲え?■あら、わいや▲「わいや」
て、お前また何ぞやったんかい?■はっはっはっ、ちょっとな▲ちょっとや
ないで、きのうの騒ぎは……。何があってん?■「何が」て、きのうお前、
お前らが飯の前にちょっとこんなことするっちゅうさかいに、おら知っての
通りにこんなことせぇへんやろ、まぁお前らのこれに付き合ぉてんのも何や
し、それで先ひとり飯食ぅっちゅうのもいかんさかい思てな、風呂行たんや
がな。

▲おぉ、そぉいぅとお前ひと足先、風呂行たなぁ■ほんでお前、ひとりでな、
風呂へ入ってたら、後ろの戸ぉガラガラッと開けよってな「ちょっとあんた、
流しまひょか」と、こぉ夫婦気取りで声をかけたやつがあるやないかい「こ
らありがたい幸いや」と思たさかいな「よっしゃ、流してんか」って手拭渡
しかけたんや。

■向こぉが手拭受け取ろぉとする、俺が渡そぉとする、目ぇと目ぇがバタッ
と合ぉた「まぁ、人違いやわ、照れくさ」ちゅうてバタバタっと行てしまい
やがんねん「人違いやわ、照れくさ」て、あっち行けるやつはえぇで、あと
に残された俺はどないなんねんおい。

■そんなもんオモロないがな、ひとりでおちおち風呂入ってられるかい。風
呂飛んで出て部屋へ帰って来(こ)ぉと思て廊下歩いてるとシクシク腹やがな。
シクシク腹っちゅうやつは昔からよぉ言ぅやろ「シクシク腹は何とかのもと」
ちゅうさかいな、こら早いこと行かなんだらどもならんと思て、お決まりの
ところへ飛び込んだ。

■で、こぉやって、あそこは暇やさかいなぁ、じっとこぉつくぼってるとな、
戸ぉの外でヒソヒソ話が聞こえんねん「まぁ、あんたどこに居てなはってん、
さっきお風呂場やと思てわたいお風呂場行てえらい目に遭ぉたわ、恥かいて
しもたがな。あんたどこ居てなはってん?」「わいかい、二階の八畳に居て
たがな」

■「まぁ、二階の八畳。あんな広いとこにひとりやったら鼠に引かれるで」
鏡餅みたいに言われてよるやつが居よるやないかい。おらどんなやつや知ら
んと思てな、どこぞ覗くとこないかいなぁ思たけど開けるわけにいけへんや
ろ、あっちこっち探してると小ちゃい節穴があったさかい、これ幸いと覗い
て見たら、女さっきの風呂場手拭の一件もんやがな。

■相手の男がな、色の白い鼻筋が通った目のパッチリしたえぇ男や、髭の剃
り跡の濃い。ムカムカして来たがな、なんぞこぉえぇ情報はないかいなと、
なおもこぉ聞き耳を立ててるとな「まぁ、二階の八畳みたいな広い広いとこ
ひとりやったらあけへんやないか」こない言ぅたら「ひとりやあれへんがな、
わい友達と二人連れや」言ぅとんねん。

■「まぁ、お連れさんと二人やったら、今晩わたいが行こ思たかて行かれへ
んやないかいな」「心配しぃな、相手の男は酒が好きや。酒塩でドンガラ痛
めてボ〜ンと寝込んだ時分に上がって来たらえぇやないかいな」「そんなこ
と言ぅたかて、いつ頃寝はるや分かれへんやないか」「幸いここに笛がある
さかいにな、二本ある、一本お前が持ち一本俺が持つわ、お前が下で支度が
できてこれから上がって行こかと思た時分にやな、この笛をピ〜ッと吹かん
かい。俺の方が都合が良かったら二階でピ〜ッと笛吹くさかい。笛のねと笛
のねが合ぉて逢引するちゅな、粋(いき)なもんやないかいな」

■「まぁ、粋(すい)なこと。忘れたらいきまへんで、確かに一本笛預かっと
きまっさかいに」「忘れるもんかいな、晩になんのん待ってるで」「頼んまっ
せ」ちゅうて二人が分かれた。俺、それ聞くなり飛んで出たったビャ〜ッと。
ほんで表行てな「番頭この辺にオモチャ屋ないか?」ちゅうたら「何しなは
る?」言ぅさかい「笛買うねん」「笛やったら買ぉて来たげまっさ」言ぅさ
かい「そぉか頼むで」言ぅて天保銭放り出したった。

■そら向こぉの宿屋の番頭、気の利くやっちゃ。笛一箱買ぉて来やがってな、
一本しか要れへん一箱もあってもしゃ〜ない思たけど、ここが思案のしどこ
ろや思てな、頭……「毛ぇと何とか要るとき使え」っちゅうやないか、奥に
な百人組が泊まってたやろ、阿波の道者。あそこへ行たってんやがな、番頭
みたいな顔してな。

■「えぇ、こんにちはお泊りさんでありがとぉございます。実はこの、お泊
りいただきましたんは大変ありがたい幸せでございますんやが、この辺には
ちょいちょい怪しぃ護摩の灰が徘徊いたしとりまして、そぉいぅ者が当家へ
泊まりましても、泊まりました節には商売でございます、すぐに分かりはい
たします、ご迷惑おかけするよぉなことはございませんが。今夜、護摩の灰
が泊まってるてなこと皆さんに口でお知らせいたしますと、こらまたあとあ
と祟りが恐ろしゅ〜ございます。そぉいぅときは用心のために手前どもの方
で笛をピ〜ッと吹きますので、お客さまがたの方で起きてるでぇといぅしる
しに、笛をピ〜ッと吹いていただきとぉございます」こぉ言ぅたってん。

■「おぉそらえぇ考えや。わしらここに百人居てんねんさかい、笛百本置い
といてくれ」「へぇ、かしこまりました」そこへ百本、あっちへ三本、こっ
ちぃ十本、五本、七本とズ〜ッと宿屋じゅ〜、笛配って歩いたってん。抜か
りなく一本だけ置いといた、この一本懐へ忍ばして晩になんのん待ちかねて
な、下の布団部屋へ隠れて待ってたってん。

■ほたらな、女ごし二階のことが気になるとみえてな、早めにそこら片付け
事しやがってな、顔粉も塗たくり回しやがって、盆つくろぉてな、梯子段、
二、三段トントントンと上がりやがって「二階の八畳や言ぅたはったけど、
二階の八畳もぎょ〜さんあるけど、どのお部屋や知らん。そぉそぉ笛吹いて
みよ」ちゅうてピ〜ッと吹きやがったんや。

■二階のやつが目ぇ覚ましよったら事壊(ことこわ)しやろ、目ぇ覚まさんあ
いだにと思てな、俺が下の布団部屋でピィ〜ッと吹いたるとな「まぁ、二階
やと思たら下で鳴ったぁるわ。お連れさんがまだ寝ててやないさかいに、下
のお部屋で待ってくれたはんのかしら」トントントンと下へ降りて来やがっ
て「下のお部屋どこやろ」とピィ〜ッと吹きやがった。

■今度の音で二階の男目ぇ覚ましやがってな、二階でピィ〜ッと笛吹いてけ
つかんねん「まぁ、下やと思たらやっぱり二階やったんかしら」二階へトン
トントントントン、ピィ〜ッと吹きよる。俺が下でピィ〜ッ「二階やと思た
ら、やっぱり下かしら」下へトントントントントン、下でピィ〜ッ、二階で
ピィ〜ッ、下でピィ〜ッ、二階でピィ〜ッ。ピィ〜ッ、トントントントン、
ピィ〜ッ、トントントントン、ピィ〜ッ、トントントントン……

■その音聞ぃた百人組が目ぇ覚ましよってなぁ「お〜い、さっきんからピィ
ピィピィピィ笛が鳴ったるで、さては護摩の灰が泊まってるに違いない。お
い、さっき番頭が言ぅとった通り笛吹いたろか」「吹いたれ、吹いたれ」ピィ
ピィピィピィ、ピィピィピィピィ、ピィピィピィピィ、ピィ〜〜〜〜ッ。

■そら、宿屋じゅ〜笛が鳴り出したもんやさかいな、女ごしビックラこきや
がって階段の上から足すべらしてダンダンダンダンダン、ギャァ〜ッ。さぁ、
みなが出て来る「どないした、どないした?」納まりがつかん。わしもしょ
がないさかい飛んで出て「まぁまぁまぁ」の百ぺらぺんも言ぅて納めて、さぁ
寝よと思たら……、ハハハハッ、夜が明けた。

▲しぃないな、そんなことお前。おら、何や知らんと思うさかい、夜通し寝
てへんねやがな。喜ぃ公やみな可哀想ぉに「火事や、火事や」ちぃやがって、
布団担いであっちゃ走ったりこっちゃ走ったりしとぉるがなこいつ。挙句の
果てに金ダライの始末やないかい。そんなん言わんと辛抱してゆっくり歩い
たってくれ、お前半分こいつのんかぶってんねんで。

▲おい喜ぃ公、そぉいぅ事情や、こいつかてみなやってんねんや、ご互いさ
んや辛抱して歩き、辛抱して。いや、もぉちょっと辛抱したらな、馬なと駕
籠なと何なと乗せたるさかいに。心配すな、馬か駕籠か何なと乗せたる●ほ
なあの、馬か駕籠か何なと乗せてくれる?

▲乗せたる、乗せたる。しかしなぁ、この辺の馬方ちゅなもんは筋こいさか
いなぁ、生半可なことではどんならんで。あッせや、こぉしょ〜。馬の応対
は俺に任しとけ、お前ら二人とももの言ぅな●言ぅな言ぅたって……▲さぁ
せやさかいにやなぁ、そこんとこ道中の洒落をすんねん。

●「道中の洒落」て何や?▲道中の洒落、つまりやなぁ、お前は唖(おし)の
真似せんかい●わいもの言えるわ▲言えるとこ、オシの真似すんねやないか。
で、清ぇやん、お前聾(つんぼ)になったって■わい聞こえるで▲聞こえると
こをツンボの真似すんねやないかい。ほで、応対は俺がするわ、乗り前が決
まりして馬に乗ってしまう。ツンボが聞こえる、オシがもの言ぅちゅなこと
してみぃな、馬方ビックリしよる「あぁ、さすが大阪の人や、洒落が面白い
なぁ」これが道中の洒落や。

●はははぁオモロイなぁ、やろぉ〜やろ!▲そぉいぅことなったらお前、声
が大きなんねん。分かったなぁ、もの言ぃなや。ツンボやで、オシやで、分
かってるな。さッ、ひぃふのみっつ(ポンッ)

 悪い相談といぅのはじきにまとまりますもんで、約束した方はそれでよろ
し。こんなとこへ向こた馬方、暗剣殺(あんけんさつ)に向こたよぉなもんで
すなぁ。こらもぉ馬引っ張って出て来たさかいちゅうたって、乗ってくれる
気ぃないとこへ出て来るんでっさかいに。

 「ドォドォドォドォ、ドォ、ド畜生。長い長い面さらしてコラッ、スネが
曲がってるわい」あないえげつのぉ言わんかてよさそぉなもんですけどなぁ、
馬つかまえてド畜生やて、ド畜生に決まってます。あんなもん人間の籍へ入
れへんねんから。

 「長い長い面して」あのねぇ、わたいねぇ馬の丸顔ちゅなもん見たことな
いわたい。しまいに言ぅことなかったら「スネが曲がってる」ちゅうて怒っ
てまんねん。スネ曲がってるさかい歩けんまんねんあれね、シャンコシャン
コとこぉ。あんなもんスネ延べつけやってみなはれ、歩かれしませんであれ。

 馬かてあない言ぅたったら可哀相ぉな、馬かて優しぃ扱ぉたれ。優しぃん
やったら日本じゅ〜で京都のご婦人が一番優しぃやろ、京都のご婦人に馬引っ
張らしたら、馬かて喜んで歩くやろ。なかなかそぉはいきまへん。

 京都のご婦人、だいち女のひと手綱一つ握るかてグ〜ッとこぉはいけしま
へんで、女のひと何でも可愛(かい)らしぃに下からチョイつまんで「しゃ〜
い、しゃ〜い。せぇだいお歩きやしたらどぉどすえ、お畜生はん。まぁ〜ま、
長い長いお顔おして、見とぉみや、おみ足(あ)曲がっとぉすがな」馬「そぉ
どすかぁ」こら具合が悪い。やっぱり馬使いはいぃますと「ドォドォドォドォ
ドォ」っちぃますと馬歩きますが、

★おぉ〜い客人よぉ、客人よぉ。そこの三人者ぉ、馬ぁどんなもんじゃな?
■あぁあぁあぁ、あぁあぁあぁ★何じゃ、みょ〜な声じゃなぁ? いや、馬
はどんなもんじゃなちゅうとりますがな■へへぇへへぇへへぇへへぇ★目ぇ
ばっかり剥いとるなぁ、あんた。耳が遠いのかな?■へへぇへへぇへへぇへ
へぇ……、ツンボや。

★何じゃ、言ぅたよぉな気がするがなぁ。あんた、ちょっとも聞こえんのか
な?■へへぇへへぇへへぇへへぇ……、ちょっとも聞こえんツンボ★聞こえ
とるんじゃがなもし、なぶりっこなしにしてもらいたいでなぁ。そっちの方、
そっちの方、あんた応対どぉじゃな? あんた馬ぁどぉじゃな?

●あぅあぅあぅあぅ、あぅあぅ★あかんのかな?●あぅあぅあぅあぅ▲馬子
さん、えらい気の毒なけどなぁ、こいつあかんねん、ものが言われへんねん
★あぁそぉかな、さっきんからおかしな具合じゃと思とったら、ものが言わ
れんのか、気の毒になぁ。ちょっとも言われんのかい?●あぅあぅあぅ……、
オシや。

★なぶってもらわんよぉにしぃたいなぁ。真ん中の方、あんたさっきチラッ
ともの言ぅたな。あんたツンボやオシじゃ言わせんでな、あんた応対しょ〜
で、馬ぁどんなもんじゃ?▲「どんなもん」て、そんなもんやないか、お前
引っ張ってて分からんかい★いやぁ〜、馬の形聞ぃとるわけでねぇでな、馬ぁ
差し上げよかな言ぅとりますで。

▲ほぉら、えらい力やなぁおい。それこぉ差し上げるか? いっぺん見(め)
して★そぉじゃないで、馬ぁ買ぉとくれちゅうでな▲要らんわ。おらこれか
ら伊勢参りすんねやさかいな、そんなもん買ぉたかて連れて歩かれへん、飼
葉代だけでも高こつくわ、やめとこ★いや、そぉじゃありゃせんで、馬ぁ乗っ
とくれんかなちゅうで。

▲はじめからそない言ぃいな、乗ってくれなら乗ってくれと。で、どこまで
何ぼで行くっちゅうねん?★そぉじゃなぁ、今日じゅ〜に宮川越すに越せん
こともないが、それでは日が暮れるでなぁ、明星の宿は三田屋三郎兵衛あた
り玄関横付けとしてどぉじゃな▲はぁはぁなるほどなぁ、明星の宿三田屋三
郎兵衛玄関横付けか、おいどないする?

●恐い馬やなぁ、あんな恐い馬、わい嫌や▲何でや?●「何で」て、せやな
いか三田屋三郎兵衛で玄関ヒョコチャゲルちゅうてるやないか▲「ヒョコチャ
ゲル」やない、玄関横付け、ちゅうねやがな。何ぼか聞ぃてみよか、何ぼで
行くな?★そぉじゃなぁ、お客さま方、旅慣れてられるよぉすじゃでよぉけ
なこと言ぅてもしょがなかろぉで、御ん手でどぉじゃな?

▲「御ん手」御ん手高いなぁ、御ん手高いわ。鬼手で行ってくれ★わしゃ長
年馬方やっとりますが「鬼手」ちゅな符丁聞ぃたことないがなぁ、鬼手ちゅ
うのは何ぼじゃな?▲お前の言ぅてる御ん手わい?★さっきからして見せと
りましょ〜が、片手をばかたどりまして五百で行こかちゅうとりますで。

▲あぁそらやっぱり高いわ、鬼手で行てくれ★鬼手ちゅうのは何ぼですい?
▲鬼手ちゅうのはなぁ、鬼の手は知ってるか知らんか、知らんか知ってるか、
知らんか知らんけどねぇ、この指が三本しかないねん。で、三百でどや?

★五百のものを三百にはならんで、もぉちっと何とかしとくれ。バンとしと
くれ▲そぉか、三百はあかんか。ほたらなぁ、ちょっとお負けして鳥足、鳥
足やなぁ、鳥足いこか鳥足★「鳥足」ちゅうのは何ぼじゃ?▲指が三本のと
こへちょっとこの蹴爪が付いてるやろ、三百一文でどや?★そんなこと言わ
んと客人、何とかほかにないかなぁ★「ほかにないかなぁ」て、ほかに……、
お城に追手ちゅうのがあるわなぁ、襖に引き手、御茶屋にやり手、旦さん乗っ
て、そらまぁ置いて♪

★なぶってたら、張り倒す(はったおす)で、このガキャ!▲ウワァ〜ッ、逃
げ逃げ逃げぇ〜ッ……

             * * * * *

●痛いなぁおい、そない走らしないな、足が痛い腰が痛い言ぅてんのに▲辛
抱せぇ辛抱せぇ、あんなもんは瀬踏みやないかい。な、あない言ぅたらたい
がい分かるやろ、どっからどこまでどのぐらいやといぅ相場があるやないか
い、そいつをこっちが聞ぃといたら応対がし易いちゅなもんや。

▲あとは俺に任しとき、馬は何ぼでも来よんねん。ほれほれほれ、向こぉの
方からでも、ほら向こぉの方からでも、どっからでも馬ピョコピョコピョコ
ピョコ歩いてるわ。あんなんが来よったら何ぼでも乗したるさかい心配しな
●そぉか、ホンマに乗してくれるか?▲大丈夫や俺に任しとけ。

★おぉ〜い客人よぉ、馬ぁどぉじゃな?▲ほれ来よった来よった……。おぉ
乗らんこともないけどなぁ、今日じゅ〜に宮川越すに越せんこともないがそ
れでは日が暮れるでな、明星の宿泊まり三田屋三郎兵衛玄関横付けと。何ぼ
で行くんやい?★こぉ〜ら、客人旅慣れてなはるなぁ。よぉけなこと言ぅて
もしょ〜がなかろぉ、佐々木でどぉじゃな?

▲佐々木? 佐々木ねぇ、佐々木高いなぁ、佐々木高いわ。加藤はんで行て
もらおか★加藤はんのぉ、加藤はんちゅうのは何ぼじゃい?▲お前の言ぅて
る佐々木ちゅうのは何ぼじゃい?★知らんと値切ってなはんのかな、佐々木
さんの紋は四つ目でな、四つ目をかたどりまして四(し)百でどぉじゃ言ぅと
りますで。

▲それみぃ、さっきよりちょっと下がったぁるやないかい……。おい、それ
でもやっぱり高いわ、加藤はんで行ってくれ★加藤はんちゅうのは何ぼじゃ
い?▲加藤はんはなぁ加藤清正、蛇の目の紋やろ、穴あき一枚でどないや?
★穴あき一枚? なぶってたらはったおすで、このガキャ!▲逃げぇ〜ッ!

             * * * * *

●痛た、痛た、痛い。おいおい、そない走らしなっちゅうのに、乗せたるっ
ちゅうたやないか▲黙って歩け黙って、見てみぃ清ぇやんケラケラ笑ろて面
白そぉな顔してるやないか、お前だけや言ぅてるのん。段々だんだん安なる
て●安なる、安なる言ぅけどお前、値段が下がってんのは、わいらが走るさ
かいに近こなってるのんと違うか?

▲アホラシもない、安なったらえぇねや安なったら。馬ぁ何ぼでも来よる、
来たら乗したるさかい辛抱し★おぉ〜い客人よぉ、馬ぁどぉじゃな?▲ほれ
来よった、こんなもん何ぼでも安なんねんて、あれ応対したる……。おい、
馬乗らんこともないけどなぁ、あのなぁ明星の宿泊まりやえぇか、三田屋三
郎兵衛玄関横付け、何ぼで行くねん?

★そぉじゃなぁ、よぉけなこと言われやせんでなぁ、まぁ晦日(みそか)で行
こかなぁ▲晦日? 晦日あかんなぁ、晦日あかんわ十五夜で行こか★わしゃ
十五夜ちゅな聞ぃたことないがなぁ、十五夜ちゅうのは何ぼじゃな?▲お前
の言ぅてる晦日ちゅうのん何ぼやねん?★知らんと値切っとらすかいな、晦
日っちゅうのはなぁ、三十日じゃで三百でどぉじゃなちぃますで。

▲三百? ほれみてみぃ、さっきよりまた安なったぁるやろな……。三百、
高い高い。十五夜で行てもらお★十五夜ちゅうのは何ぼじゃ?▲十五夜ちゅ
うたらたいがいお月夜やろ、な、月夜に釜抜くちゅうさかい、釜抜かれたと
思てただで行け★ただで行けるかいこのガキャ、張り倒すで!▲ほぉ〜れ、
逃げ逃げぇ〜ッ……

             * * * * *

●痛いっちゅうのにもぉ、あんなんばっかりやがな。どないなったぁんねん
おい▲心配しな心配しな、乗せたる乗せたる。馬ぁなぁ〜んぼでも出て来よ
んねん。だいたいなぁ、あぁいぅホンマもんと言ぅたらおかしぃが、商売に
してる馬方ちゅうのは高こついてどんならん。ここらへんの百姓が片手間に
馬引っ張って出て来よる、馬にこの豆を積んだりなんかしてな、在所へ運ん
だ帰り馬っちゅなんがある。そぉいぅのんに乗したら、そぉいぅのんは安い。

●そんなもんどないして分かんねん?▲そぉいぅやつは「うま」言ぃよらん
「おま、おま」っちぃよるさかいな、言葉で分かんねん●そぉか、そんなん
来たら乗してくれるか▲乗したる乗したる、なぁ清ぇやんそないしょやない
か。もぉちょっと辛抱し。

◆おぉ〜い客人よぉ、オマどぉじゃなぁ?▲ほれ、来よったやろ。あぁいぅ
のん、あぁいぅのんがえぇねや……。おい、乗る乗る、今日じゅ〜に宮川越
すに越せんことないがなぁ、それでは日が暮れるさかい三田屋三郎兵衛、玄
関横付けと、明星の宿泊まり。それで行こやないか、何ぼで行く?

◆そぉじゃなぁ〜、まぁ、おらも商売でやってるんではねぇでがんす、今も
あっちの宿場までなぁ、豆のカス運んだ帰りでがすで、行きしは豆のカス積
んで行たで、帰りは人間のカス積んで帰るべぇかと……▲え、えらいホゲタ
やなぁおい、ほぉらエゲツナイ言ぃ方しやがんねん。何ぼで行くねん?

◆そぉじゃなぁ〜、ジバセンももらうか●襦袢や言ぅとるで、今度は俺に応
対さして、お前にいぅといたらまた走らすやろ、わいに応対さして……。お〜
いッ、襦袢高い、襦袢高いパッチで行ってくれ◆変わった人が出たなぁ、パッ
チちゅうのは何ぼじゃ?●パッチちゅうのはなぁ、二本の足突っ込むさかい
な、二百で行けちゅうてんねん。

◆おぉ二百かな、よぉがすで、行きますでな●「よぉがす、行きます」て?
▲アホかお前「よぉがす、行きます」て、お前のそのパッチちゅうのはえぇ
わいな、向こぉの襦袢ちゅうのん何ぼや聞ぃてへんやないか●ハハハッ……、
おい、襦袢ちゅうのは何ぼや?◆ややこしぃこと言ぃなはんなおまはん、襦
袢じゃありゃせんですが、ジバセンと申しましてな土地の言葉で二百のこと
でがんす。

▲ちょっとも値切ってへんねやがなおい、アホやなぁ。値段決めてんさかい
乗らなしゃ〜ないがな……。おい済まんすまん、こいつはこぉいぅおかしげ
な男やねん、値段応対した以上は乗してもらうで、三人いけるかいな?◆三
宝荒神(さんぼぉこぉじん)頼んまっそ。背ぇの高いお方、あんた真ん中に乗っ
とくれ。で、そっちのちょっと小さいお方、横へぶら下がってもらうでな。

●やめや、おら。おらねぇ、そら大阪に居てたら色の黒いのんと背ぇの低い
のんとはよぉ言われるで。そら諦めてるでおら。諦めてるけど、何も旅来て
までなぁ、そんなもん横へへんばり付くて何でやねん。大阪へ帰ったらやで、
みなが「おい喜ぃ公、旅行て馬乗ったか?」「いや、源さんが乗りよったけ
ど、おら横へへんばり付いてた」そんなん言えるかい、おらやめや。

▲アホなこと言ぃないな、三宝荒神ちゅうてな、みな横へぶら下がるっちゅ
うのは向こぉの形容や、つまりこのちゃんと乗れるよぉにしてくれんねや、
畚(ふご)で●あそぉか、ほなそれでもえぇわ◆客人、話がまとまったら乗っ
とくれ。背の高いお方、あんたからこっちこっち、さぁさぁ……

◆ケツ押しますでな、乗っとくれや。イヨッとしょと■あぁ、こらやっぱり
喜ぃ公の言ぅ通りや、この馬やめといた方がよかったでこら。こら具合悪い
わ、馬子さん◆具合悪いかな?■具合悪いてなもんやないで、この馬頭ない
がな◆ハッハッハッ、客人、そら後ろ向けに乗っとるんじゃ■あぁこら後ろ
向けか、どおりでこらおかしぃな思てん。この馬、首筋から屁ぇこくのんか
いな思たがなおら。こら具合悪いわ、どないしょ?

◆「どないしょ」て客人、乗り直しとくれ■乗り直してなことでけへんがな、
ほなこぉしょ〜か、ケツ持ち上げるさかいなぁ、下で馬回してくれ◆おんな
じじゃがな、そんなことしたって。乗り直しとくれ、えぇかな、イヨッとサッ
と■ハハハハッ、今度は首があった◆あらいでかいなもし。あとのお二人さ
ん乗ってくれたかな、やりますでな。ハイ〜ッ、ハイ〜ッ……

■おい、えらいケッタイな具合やで。この馬何や知らんガッタンコンコン、
ガッタンコンコンと、おらこないしてお辞儀ばっかりしてんならんやないか。
そらこないお辞儀してたら前から来る人に失礼(ひつれぇ)がのぉてえぇやろ
けどねぇ、こら具合が悪いで。何でこないなんねん?◆あぁ客人、勘弁したっ
てくれ。この馬、片一方(かたいっぽ)足が短いんでな。

■片一方足が短いのんか、これ。えらい馬乗ったなぁ、そらまぁ辛抱せんこ
ともないけどねぇ、ほで何かいなこの馬、斜交い(はすかい)に斜交いに歩い
て行くで。この斜めになったぁんのはどないなんねん?◆あぁ客人、この馬ぁ
なぁ、片一方目が悪いんでがんす■片目で片足か、おい。丹下左膳みたいな
馬乗ったでおら。しかし何じゃろねぇ、こないして片一方目が悪て片一方足
が悪いてきたら、この馬これ大人しぃんやろねぇ?

◆ハハハッ、お陰さまで大人しぃことはこの上ないでがんす。時々もの驚き
はするがのぉ■ほぉ、ものにビックリすんのんかい?◆あぁ、こないだもな、
前を犬が道横切りました。それに驚いたか、手綱振り放して突っ走りました
がな、わしも追っかけはしましたが向こぉは四(し)本足でこっちは二本足で、
追いかけても間に合わんで、うちぃ帰って昼寝しとりました。しばらくする
と、ポックリポックリポックリポックリ、おのれのうちは知っとりますで。

■なるほどねぇ、馬もちゃんとおのれの家知ってるて可愛(かい)らしぃもん
やねぇ。しかし、その時は都合よぉお客さんが乗ってなんだわけやな◆いや、
客人は乗せとりました■乗せてたんか、ほぉ……、ほで何かい、そのお客さ
んも乗せたまま帰って来たんかえ?◆いや、馬の背中見ると客人は乗っとら
んのでな、どぉしたんじゃろと思て探しに行きましたら、向こぉの谷ぃはまっ
て死んどりました。

■えぇかいなおい、こぉら物騒な馬やなぁ。けど、そんなことはたまにしか
ないねやろねぇ?◆そぉじゃ、たまじゃ、日にいっぺんずつじゃなぁ■ほで
何かいな、日にいっぺんずつて、今日はもぉ済んでるか?◆そぉじゃなぁ、
このお天気さんのあんばいではボツボツ始まる頃……

■降ろしてくれ、降ろしてくれ◆冗談じゃ冗談じゃ、いやぁこんなこと言ぅ
てますと、思わん旅がはかどるもんでがんすなぁ、退屈しのぎでがんす。ハ
イ〜ッ、ハイ〜ッ(ブルル〜ッ)、ハイ〜ッ(ブルル〜ッ)ドォドォドォドォ、
ド畜生、さっきの立て場で豆よぉけ喰ろたと思たらブゥブゥブゥブゥ、ド屁
たれさらして、気ぃ付けさらせ客人の前で。客人、相手は畜生じゃ勘弁したっ
とくれな。

●ヘヘェ〜ッ、何を怒ってんねん?◆「何を」て、馬が屁ぇこきさらすちゅ
うて怒っとりますんじゃ●なるほど、馬が屁ぇこいたて怒ってのん。そら馬
が可哀相なわ◆可哀相なか?●可哀想な、今の屁ぇは俺や◆おぉ、客人よぉ
大きな屁じゃのぉ、えぇ加減にしとくれよ。ハイ〜ッ(ブルル〜ッ)、ハイ〜ッ
(ブルル〜ッ)

◆客人よぉ、えぇ加減にしとくれんかいのぉ●今度のは、馬や◆どっちか分
かりゃせんがな。客人よぉ、えぇ加減に頼んますでのぉ、ハイッ、ハイ〜ッ、
ハイッ、ハイ〜ッ▲しかしなぁ馬子、こないして乗してもろてんのはありが
たいけど、何やなぁ、前見てるとぎょ〜さん阿波の道者か百人組か笠並べて
行きよるなぁ。で何かいな、あぁいぅのがやっぱり旅よぉしよると、馬も儲
かるやろなぁ?

◆ところが客人、そんなもんではねぇでがんすなぁ、あぁやって唄歌ぉて賑
やかに行きますで、あれにつられて歩く人が大勢でがんす▲そぉかいなぁ、
そぉ言ぅとそんなもんかも分からんなぁ。しかしそぉなってくると、阿波の
道者百人組ちゅなお前らにとっては仇(かたき)みたいなもんやなぁ◆仇と言ぅ
ては大層なが、そんなもんでがんしょなぁ。

▲おい、すると何か、あの道者の百人組ちゅうのは仇同様と、お前らそぉ思
てるわけやな。オモロイ、この馬向こぉ行く道者の中へバァ〜ッと走り込ま
そやないかい◆そんなことしたら客人、ケガ人が出るで?▲出るもんかい、
勢っきょいよぉ行ったら、向こぉがかえって避けよるやないか。オモロイ行
こ、やってみやってみ。

◆そぉかなぁ、そらやってみりゃ面白いかも知れんがの。おらも業腹だで、
ひとつやるか▲やろやろ、やろやろ◆ほたらわし、掛け声かけて走りますで、
客人にこのムチ渡しますでな、これで馬の尻っぺた叩いてくれるかな▲よっ
しゃ、心得た。そのムチこっちかし、いくで、ハイヨォ〜ッ……、ハイ〜ッ、
さぁさぁさぁさぁ、危ない危ない危ない、退いた退いたどいた……♪

             ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

◆熱い〜ッ……、客人よぉ、こんな馬の上で、揺れてる馬の上でタバコ吸ぅ
ちゅな無茶じゃ、火ぃがここんとこへ入った▲ハッハッハッ、えらい目に遭
わして済まなんだ。しかしオモロかったなぁ、こない言ぅてると思わん道が
はかどる◆はかどるどころじゃないで客人よぉ、しかしまぁ何じゃかんじゃ
言ぅとりますうちに明星の宿じゃ、ほれここが三田屋三郎兵衛でがんす。

▲あぁここが三田屋三郎兵衛か、ほんだらここで降ろしてもろたら結構、オ
モロかった。駄賃は余分に渡すさかい頼むで。おぉ〜いッ、三田屋三郎兵衛、
泊まったるぞぉ〜ッ★賑やかなお客さまで、へぇへぇへぇ、どぉもお泊りあ
りがとぉさんでございます。どぉぞお通り、どぉぞお通りを、何人さんで?

▲何人さんちゅわれるとつらいけどなぁ、始終三人や★さいでやすか、おい、
お〜いッ、ボヤボヤしてんねやあれへんがな、ぎょ〜さん大勢さんでお泊り
やがな、四十三人さん。風呂何して魚も余分に買ぉて飯すぐ炊くよぉ……、
ありがとさんで、さっそく広間空けさせます。今おすすぎを持ってまいりま
すで。お笠を預からしていただきまひょか。

▲へ、何や?★いえ、お笠を預からしていただきまして、笠を表へ吊らして
いただきます、あとから来る方の目印に▲あとから? あとからて、そんな
もん誰も来ぇへんで★へ? あんさん方そこに三人さん▲そやそや三人さん
★で、あんさん方三人さんは宿取りさんでおまして、あとから四十人さんが
▲あとから四十人? 知らん!

★「知らん」て、今あんさん方、四十三人やと▲違うがな、わいとなこいつ
と向こぉと、どこへ行くのでも三人「おい、風呂行こか」三人「よし、旅行
こか」三人「おい、便所行こか」三人。始終、三人★魚買いな、何? もぉ
買ぉた。米よぉけ……、洗ろたもぉ? 風呂、沸かした? 常日頃、するこ
と遅いおそいのにこんなときだけ早いねん、えらい損や。あぁ〜あッ、三人
さんでおますか。

▲えらい妙な顔したなぁ、三人で悪かったらよそ行こか?★ちょっと待っと
くなはれ、三人さん結構でやす、結構でおます。この上よそへ泊まられてた
まりますかいな……、どぉぞどぉぞお泊りを、どぉぞお通りを、ありがとぉ
ございます、こちらへ●ふぇ〜いッ ♪伊勢はぁ〜……

★大きな声……、どぉぞお静かに●おい、妙なこと言ぃなや「どぉぞお静か
に」て、お通夜やあれへんしな静かにするぐらいなら泊まったりするかい、
何ぬかしてけつかんねん。おい、部屋どこや部屋?★どぉぞこちらへ、どぉ
ぞこちらへ▲気にしてなや、こいつらみんなちょっとぐらいパァ〜やさかい
な。いやいや結構けっこぉ。

▲ほんで、何や、よけは呑まへんねん膳の上でなちょっとこんなことするさ
かいに、ひとりはよぉ呑めへんねんあいつはよぉ呑めへんねん。夕んべもあ
いつだけ先、風呂入りよったぐらいやさかい、お銚子二本ほどで結構、膳の
上へ付けといて、じきに持って来てくれるか。

■ふぇ〜いッ、ホコリまみれや。風呂入ろ風呂★風呂、沸かしとります。もぉ
入れるとは存じますが■ほな、わい先風呂入らしてもらお▲先風呂入るか?
あんだけ暴れ回ってきたんや、腹減ってるで■ん〜、せやなぁ、そぉ言ぅと
腹減ってるなぁ。風呂やめ飯(まま)先★へぇ、でわお膳をすぐ運ばして……

■やっぱり汚れてるなぁ、風呂入ったあとでキュッと食た方がうまいよぉに
思うなぁ★はぁはぁ、と、お風呂の方へ先?■腹減ってたら、風呂へつかっ
たときに浮くかも分からんなぁ★と、やっぱりご膳の方先に?■こぉしょ〜、
あのなぁ風呂行くわ、とにかく。で、風呂場へお膳持って来て。で、風呂場
へお膳浮かして食お。

★そんなこと、できやしませんので■でけんか? ド不器用(ぶっきょ)な宿
屋やなぁ。ほなこぉしょ〜、飯(めし)先しょ〜。ほんでここで飯食ぅわ。ほ
んで風呂桶をここへ持って来てもらお、ほんで頭からガブッとかぶして……
★そんなこと、できやしませんで。

■そぉかでけへんか、ほなしゃ〜ないなぁ。どぉする? お前らやっぱり呑
むのんか、ほな俺先風呂行くわ。ほんでお前らチビチビ呑んでて、そのうち
風呂から上がって来たら三人一緒に飯(まま)食たらえぇやないか。きのうと
おんなじ段取りや、すっくりそのままやなぁ。番頭はんそぉいぅ都合やよろ
し頼んまっせ。ほな先風呂行って来るわ……

▲あいつ一人だけ呑まへんちゅうのはなぁ段取り悪いご互いに、一人だけあ
んなんが混じってるだけでシンドぉてかなんねや、おんなじよぉにちょっと
やってくれると都合がえぇんやけれども。せやないかいな……

■うぁ〜いッ、ワッ!▲どないしたんや?■く、く、首付いてるか?▲「付
いてるか」て、声が出るぐらいやったら、首付いたんねやないか。どないし
てん?■ビ、ビックリしたがなお前、いま風呂行こ思て下降りて行ったやろ、
ほたなぁ、下の廊下のとこにな襖、こんだけほど隙間が開いたぁんねや。

■人間気になるもんやろ、ガラッと開いてるとなると覗くっちゅう気がせん
しな、ピシャッと閉まってると開けてまで覗こちゅう気はせんけど、細い隙
間ちゅな気になるもんや覗いて見たんや。侍や侍や、若い侍や、それがなぁ
綺麗ぇな女ごネキ座らしてな「一夜たりとも妻は妻、もそっとこれへ」「あ
れぇ〜ッ」ちゅうて身悶えてけつかんねん。

■おら、こらえらいオモロイ段取りなったなぁ、前へ乗り出そ思たら襖バサ〜
ンとこけて、中へころこんで入ったんやがな「一夜たりとも借り受けたれば
武士の城郭、それへ何ぞや、無断で入るとは……」言ぅたさかい、パ〜ッと
飛んで逃げて来た。あらどぉいぅ都合になったぁんねん?

▲「どぉいぅ都合になったぁる」ちゅたって知るかいな。けど何やなぁ「一
夜たりとも妻は妻」ははぁ〜、こらお前、浮かれ女ちゅなもん買ぉてんねや
なぁ■何やそら?▲浮かれ女、お戯(じゃれ)と言ぅてな一夜の伽(とぎ)をし
てくれる女が居てんねや。

■うぉ〜ッ、わいらもそれ買お〜ッ。そんなもんわい買うで、わいわ。もぉ
風呂もやめ飯もやめ、それを買う▲変わってるねぇ、お前わ。しかしまぁ、
そぉ言われてみるとここしばらくご無沙汰やなぁ、あの手にわ。さっきの番
頭呼んでいっぺん応対してみよ……(パンパンパン)番頭はん(パンパンパン)
番頭はん……

★お呼びでおますかいなぁ▲お呼びや、お呼びや、大変にお呼びやねん。い
や、こいつがな、こんなこと言ぅたら何やねんけどな、ここらにな、な、な、
な、な……、居てるか?★お若こぉございます、お若こぉございますいなぁ。
いえいえ、さっそく調べますで少々お待ちを……

★えぇ、申しました。申し付けましたんですが、まことに不調法なことに今
宵は道者百人組の方がお泊りとかで、手狭になっとります、へぇ。一人もと
いぅわけやございませんねんけど、お三人さんはちょっと回りかねると……

■三人あかんのん? 三人、あかんのん? 三人さんはあかんと、何ぼかい
けるわけ?★へへへッ、えぇ〜なんでやす、三人さん揃わんこともございま
せんねんけどな、あのぉ〜、一人だけご婦人が。あとのお二人さん、お比丘
(びく)さんでご辛抱願いましたら、ありがたいんでやすがなぁ。

■お比丘さん? お比丘さんて何や?★へぇ、比丘尼(びくに)と申します。
頭(つむり)を丸めておられまして……■うわぁ〜ッ、尼はんか? はぁはぁ
一人だけあるわけ? おい、一人あんねんて、あとこれや(ツルツル)……、
いこか? いくか? いこ。おい番頭はん、これでもえぇちゅうてるわ。

★恐れ入ります、へぇ。けどなんでやす、どちらさんがどちらさんといぅこ
とになりましてもいきませんし、クジといぅのもあとで恨みつらみがあると
いきまへん。こぉしまひょか■そぉしょ〜、そぉしょ〜★まだ言ぅとりゃし
ませんので▲早よ言ぅて、早よ言ぅて、どないすんねん?

★えぇ〜、下で支度が整いますと「只今から上げます」と声をかけますで、
上の方で行灯を消していただきまして、真っ暗な中で一人ずつ上げます。お
客さまがたの方も、どれが当たったこれが当たったとお思いにならずに、そ
のまま手を引っ張ってお引けになっていただく。明けの朝までは、どなたが
どなたとどぉなったか分からん。と、これなら恨みつらみなしに……

▲おっと、オモロイ! それでえぇか、分かった、よし。ほなそぉいぅこと
に決めるさかいに早いこと段取りしてや、早いこと頼むで。

 さぁ、待ちや焦がれております。下の方では支度が整ぉたとみえて「お二
階の、ボツボツ上げますでな」「よっしゃ、心得た。行灯消すで(ふぅ〜ッ)」

             ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

▲こっちですよ、こっちですよ……、暗いですから気ぃ付けてや。こっちこっ
ちこっち……、わたし、どぉぞどぉぞどぉぞ……、えぇ〜、大変にねぇ失礼
なことをするよぉですが、ちょっとだけ……

■一人片付いたな、いまの具合では、どぉもあれはこれ(ツルツル)やったよぉ
な気がすんねやなぁ。今度こっち、こんどこっち、わたし……、大きな女や
なぁ……

●二人とも、音無しの構えやな……。ちゅうことは、俺とこは……、ありそぉ
な……

             ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 ガラッと夜が明けました。

▲あぁ〜あ、アホらしなってきた。清ぇやん、清ぇやん、お前とこえらいゆっ
くりやなぁ。毛ぇがあんねやろ、あんねやろ?■あるかい。お前とこわい?
▲あったら、こない早よから起きるかい■ないのん?▲ない■ほたら何か、
喜ぃ公やな。俺もお前もないちゅうことは喜ぃ公があんねんであいつ、うま
いこといきやがったなぁ。喜ぃ公、喜ぃ公。

●フェ〜ッ■毛ぇあったか?●ん、ない■「ない」て、お前、みな寄れみな
寄れ……。ないねぇ▲うまいこといきやがったなぁ「暗がりにせぇ暗がりに
せぇ」て、向こぉの作戦やで。三人とも坊主抱かしやがんねやがな。ほぉら
腹立つなぁ、けどまぁしゃ〜ないがな、ひと晩でもお世話になったんや。

■ちょっと待ってちょっと待って、わいなぁ、こぉいぅ行動に移ったきっか
けになった下の侍、あいつどないしとんのや見てこぉ▲要らんことしな、要
らんことしぃな。今度おかしなったら首飛ばされるで■気になるさかい見て
来る、ちょっと待っててや。

             * * * * *

■行って来た、侍落ちついとんで。あっちとこはなぁうまいこと行ったとみ
えてな、女が髪撫ぜつけて前座るのん待ちかねたよぉにな、何か紙に包んだ
もん出して「些少なれども、簪(かんざし)なと買ぉてくりゃれ」言ぅことが
違うなぁ「些少なれども、簪なと買ぉてくりゃれ」俺もむかつくさかい、あ
の通り真似したろと思うねん、金わいに払わして。

▲そら、誰が払ろたかてかまへんけどもや、お前払うのん。ほなまぁお前に
ひとまとめにするけどもや……■こぉ紙に包んで……、おい、そこに三人並
んでくれ、三人並んでくれ。俺が払うねんさかい……「一夜たりとも妻は妻」
言えてるやろ、な。

■些少なれども、簪なと買ぉてくりゃれ★あのぉ、せっかくでっけどお客さ
ん、簪買ぉても……■油なと、買ぉてくりゃれ★油買ぉたかて付けるとこが
あらしまへんがな……


【さげ】
■お灯明なと、上げてくれ。


【プロパティ】
 酒塩(さかしお)=料理に使う塩で味を整えた酒。
 ドンガラ=奴柄(どがら)=からだ。
 護摩の灰=旅人を脅したり、だましたりして金品をまき上げる者。ありが
   たい護摩の灰と称して押し売りをしたことからの名という。
 盆=うなじ。
 筋こい=一筋縄では行かない。一癖ありそうな。
 唖(おし)=話しことばを発することができない状態。また、その人。
 聾(つんぼ)=耳が聞こえないこと。
 暗剣殺(あんけんさつ)=九星(きゅうせい)方位のひとつ。その年の五黄と
   相対する方位で、最も凶とする。
 言ぃいな=言ぃ(命令)+いな(強調)。「言ぃないな」ではないところに注
   目。
 宮川=三重県南部を流れる川。大台が原に発し北東流して伊勢湾に注ぐ。
   上流に原生林で知られる大杉谷がある。長さ91km。
 明星の宿=三重県多気郡明和町明星。伊勢街道、斎宮と伊勢のほぼ中間あ
   たり、近鉄山田線「明星」が最寄。
 三田屋三郎兵衛=三重県多気郡明和町上野に三田屋跡が残る。
 瀬踏み=ある物事をする前に少し試してみること。川を渡る前に瀬の深さ
   を調べてみること。
 佐々木の紋=「佐々木裁き」の佐々木信濃守の紋が四つ目紋。
 穴あき=一文銭? 天保銭なら=公称百文(実際のレートは若干下回る)。
 天保銭=楕円形をした大型の穴あき銅銭。表面に「天保通宝」裏面に「當
   (当)百」という文字と花押が刻印してあり銭百文と等価とされたが、
   一文銭4〜5枚を使い密鋳されたものが多く出回ったことから、実際
   には百文以下で取引された。それで、少し足らない人間を「天保銭」
   とからかったという。1両=4千文、1両が4万円として千円。
 月夜に釜抜く=大阪いろは歌留多の「つ」。月夜のような明るい夜でも気
   を抜いていると釜を盗まれてしまうことがあるから用心せよ。
 ホゲタ=ほおげた。頬骨。転じて悪口、口の悪いことの意。
 三宝荒神(さんぼうこうじん)=仏・法・僧を守護するという神。俗に不浄
   を嫌うことから火の神にあて、かまどの神としてまつる。神仏習合に
   よって生じ、修験者がつかさどることが多い。荒神。
 形容=物事のようすや性質などを他のものにたとえて言い表すこと。
 畚(ふご)=縄のひもを付けたワラ製のカゴ。棒の先などにかけて物を担い
   運ぶのに用いる。含籠の義。
 立て場=馬引きが馬に餌をやったり、自分が飯を食ったりした所。
 業腹=非常に腹の立つこと。
 ねき=横。
 浮かれ女=歌や踊りで客を楽しませ、また色も売った女。遊女。
 伽(とぎ)=つれづれを慰めること。また、その人。おとぎ。寝室の相手を
   すること。また、その人。
 比丘尼(びくに)=定めの戒を受けて正式に僧となった女子。尼僧。尼。び
   くにん。
 音源:露の五郎 1973/01/14 落語百選(OBC)
 特別謝恩:Yさん、資料聴取させていただきありがとうございました。

 「東の旅」シリーズ
  東の旅発端七 度 狐鯉津栄之助うんつく酒 → 
  常太夫義太夫軽  業軽業講釈三人旅浮之尼買 → 
  軽 石 屁矢 橋 船宿 屋 町こぶ弁慶三 十 石


【作成メモ】  ●参 照 演 者:main=露の五郎 sub=*  ●main高座記録日:1973/01/14  ●音  源  名:落語百選(OBC)  ●ファイル公開日:2004/10/17  ●江戸落語相当:*  ●更  新  日:2004/11/07  ●リクエスト数:rakug351  ●注 意 事 項:内容を削除、追加、改訂している部分があります。           記録日のmain演者によるさげを採用しました。

GO TOP   前ページ   次ページ   落語目次