【主な登場人物】
手代の久七 大旦那 丁稚の定吉
提灯屋 豆腐屋 甚兵衛はん 金物屋の佐助はん 森田の息子
手伝(てったい)の又兵衛 裏長屋の連中 番頭はん 杢兵衛どん
太七どん お乳母(おんば)どん
【事の成り行き】
「カラオケ」この言葉、今や世界の共通語になってるらしいです。私なん
か酒の席で余興に一つ、という経験ありますけど、カラオケだけ歌いに行っ
たという経験はありません。それがどこ行ってもカラオケボックスの一つや
二つすぐ見つけられるぐらいに数が増えて、増え過ぎて共倒れになってると
か。
これだけ多くのカラオケ屋があってカラオケ人口があって、歌うまい人そ
んだけぎょうさんいてるんか? いいましたら、これはまた別らしい。カラ
オケはうまいへたで歌うんやなく、息を吸って吐く運動、ゆや有酸素運動エ
アロビの延長みたいなもんやそうなんです。
まぁ、歌う人はそれでえぇんでしょうけど……
* * * * *
●今日ふれに回ってくれてんのは誰や? 久七かえ、あの男なら大丈夫じゃ
ろぉ。こないだ誰やったかいなぁ、定吉やったか、回らしたところが肝心の
提灯屋さんへ行くのをころっと忘れよってな、あれから向こぉの親父さんに
会うたんびに「旦さん、こないだはお知らせがございませなんだ。取り返し
のつかんことをいたしました。この次にはまた是非ともお知らせを」と、顔
見るたんびに言われたんでな、わたしゃ困ってたんじゃ。
●♪あぁ〜・あぁ〜・うぅ〜・あぁ〜〜…… あの男なら大丈夫じゃろぉ、
もぉぼちぼち帰って来る頃じゃろと思うが……、♪あぁ〜・あぁ〜・あぁ〜
■えぇ〜旦さん、行てまいりましたんで●久七ご苦労さん。まぁそこへ。どぉ
じゃ、今日の会のことぐるっと町内知らして回ってくれたんかい?■へ、町
内ぐるっとひと回りしてまいりましたんで●♪あぁ〜・あぁ〜…… 提灯屋
さんへは回ってくれたか?
■旦さんにあのこと聞ぃとりましたんで、提灯屋さんへは第一番にまいりま
したので●どぉじゃ、喜んでいたじゃろ?■えぇもぉ、何でございます、喜
ぶの喜こばんの、このご町内にお住まいさしていただくお陰で、あの結構な
お浄瑠璃がこぉたびたび聞かしていただけるとは……、何たるこっちゃろ。
言ぅてね。ご夫婦が涙流さんばかりに……
●♪あぁ〜・あぁ〜 好きな人はまた格別じゃなぁ。それで何かい、提灯屋
は来るのかい?■それがちょっとまいりませんので●♪あぁ〜・あぁ〜 何?
来ん? 何で来んのじゃ?
■へ、来たいのはやまやまでございますけれども、ひょ〜しの悪いことに三
ケ町一時(いっとき)に祭の提灯を誂えましたんやそぉで、これを明日の朝届
んなりませんねやそぉで、どぉしても親父さん今晩は夜通しをせんならんて
なことでござりまして……「旦さんのお浄瑠璃聞かしていただきたいのはや
まやまやですけれども、商いをほってまでといぅわけにもいきませず、今回
のところはよろしゅ〜お断りを申し上げてもらいたい」と、こぉ申しており
ますので。
●あぁそぉ、♪あぁ〜・あぁ〜〜 ご商売が忙しぃ、こら仕方がない。なん
ぼ好きなこととはいぃながら、商売をほってまでといぅわけにはいきゃせん
で。♪あぁ〜・あぁ〜〜 よくよくあの男は不運な男じゃなぁ。いやいや、
あの男にはまたあの男だけに、さしで聞かしてやることにしょ〜。
●豆腐屋さんへは回ってくれたか?■へ、豆腐屋さんまいりました●来るか?
■それが何でござります、豆腐屋さんもご親戚に法事がおまして、油揚げ一
切を引き受けましたんやそぉで、厚揚げ、薄揚げ、飛竜頭(ひろうす)、数を
聞きましただけでとても覚えきれんぐらいの数でございまして、どぉしても
今晩夜通しをせんならんてなことでござりまして「旦さんのお浄瑠璃聞かし
ていただきたいのはやまやまでござりますけれども、商いをほってまでといぅ
わけにはいきませず、今回のところだけはよろしゅ〜お断りを申し上げても
らいたい」と、豆腐屋さんこぉ申しておりますんで……
●あそぉ、♪あぁ〜・あぁ〜 豆腐屋さんもお仕事が忙しぃ。ご商売結構な
こっちゃ。♪おぉ〜・あぁ〜 甚兵衛さんのところ■まいりました。向こぉ
はお上さんが臨月でございまして、大きなお腹でございます。お浄瑠璃聞か
していただいてる間に「ほぎゃ〜、ポコ」なんて飛んで出ますと大事(おぉ
ごと)でございますので、捻り鉢巻きでお湯湧かしたり、掃いたり拭いたり
大騒動でござりまして「まぁ今回のところだけは聞かしていただきたいのは
やまやまでござりますけれども、お断りを申し上げてもらいたい」と、こぉ
申しとります。
●……、甚兵衛さんも来んのか。♪おぉ〜・あぁ〜 佐助はん?■へ、まい
りました。金物屋の佐助はんでございましょ。頼母子ができとりまして、講
元でございまして、初回が貰いになってますんやそぉで、貰いになってる初
回を不参するといぅわけにもまいりませず「旦さんのお浄瑠璃まことに結構
でござりますけれども、今回のところだけはよろしゅ〜に」と、このよぉに
申しとります。
●♪おぉ〜・あぁ〜 森田の息子はどぉしたんじゃ?■へ、仕事のことで京
都の方へ行ったはりますので。お母さんはこないだうちから熱でござります。
心残して京都へ行かはったんでございますが、お母さんのおっしゃるには今
日は向こぉへ泊まりになる様子でして、息子さんは京都、お母さんは病気と
いぅよぉなことで「今回のところだけはよろしゅ〜お断りを」と、こぉ申し
ております。
●♪おぉ〜・あぁ〜 手伝(てったい)の又兵衛はどないしてます?■観音講
の導師をいたしておりまして、今晩どぉしてもそっち行かななりませんので
「旦さんのお浄瑠璃まことに結構でござりますけれども、今回のところだけ」
と申しておりますので。
●……、♪おぉ〜・おぉ〜 裏長屋はどぉしてます?■何でも人が一人死に
まして、みんなで夜伽(よとぎ)をしとりますので「まことに結構でございま
すけども今回のところだけはよろしゅ〜お断りを」と、こぉ申しとります。
●……。今日は一体誰が来るんじゃ?■さよぉなわけでござりますんで、ご
町内は一人もお越しやおませんので●♪ぉぉ〜・ぁぁ〜 ちょっと前へ出な
はれ。お前さん年は何ぼになるのじゃ? それやったらのっけから「ご町内
一人もお越しやおません」とひと言で済むやないか。たとえ一人でも来るの
か知らん思たら、誰も来ん……
●♪おぉ〜・あぁ〜 まぁ、しかたがない……。用のある人を首に縄を付け
て引っ張って来るちゅうわけにいきゃせん。しかしながら、家(うち)もあれ
だけ支度がさせてあんねん、このままやめてしまうといぅわけにもいきゃせ
んで。そぉか、今日はうちの店の者(もん)にだけ語って聞かせるとしょ〜か。
■わッ、それがまことに辛いので●辛い? 何が辛い?■あら……。いえい
え、わたくしが、と違いまんので、番頭さんがえろぉ辛がってはりますので
●何で番頭が辛がらないかん?
■夕べ(ゆんべ)のことでおます。お得意さんのお相手でよぉさんお酒を呑み
はりましてね、ご番頭だいたい呑まん方でございますから、朝から「頭が痛
い、お腹が痛い」言ぅたはりましたけれども、持病の癪(しゃく)が出まして、
えらい苦しみよぉでございまして。お勤めの方、昼間は一生懸命やらしても
らいますが、晩の方は旦さんのお慰みの方でございますので、できましたら
養生のために、と先(せん)から休んではりますので。
●番頭どんは体の具合が悪いのか……。杢兵衛(もくべぇ)どんはどないした?
■杢兵衛どんは何でございます、脚気でございまして●脚気で浄瑠璃が聞け
んかい?
■いえ、聞けんといぅわけやございませんねやが、旦さんのお浄瑠璃、足を
投げ出して、ひっくりがえって聞くいぅわけにまいりませず、やっぱりお行
儀に座ってんなりまへん。長い時間お行儀に座るのは足にいきませんねやそぉ
で、できましたら養生のために、と最前から休んでおりますので。
●太七(たひち)はどぉした?■太七どんは眼病でございます●眼病? 眼病
ちゅうと目と違うのかえ? 浄瑠璃は耳で聞くねで。耳さえ達者ならそれで
えぇのと違うのか?
■素人考えにはそのよぉに思いますが、医者の方からいたしますとこれが違
うちぃますなぁ。浄瑠璃ほど目にいかんものはないんやそぉでございます。
ことに旦さんの浄瑠璃は目に毒、と申しますのがお上手でおますさかいなぁ、
どぉしても聞ぃとりますといぅと悲しみを催します。悲しみを催すと涙を催
す。またこの浄瑠璃の涙がほかの涙と質(たち)が違うんやそぉでございます。
「しばしの間は浄瑠璃だけは決して聞かんよぉに」といぅ医者からのきつい
お達しでございます。
●お乳母(おんば)どんはどぉした?■何でございます、血の道がどぉとかで
二、三日前から伏せっております●久七(きゅ〜ひち)、お前はどぉや?■わ
たくし……、わたくしは、町内ぐるっと一回りしてきましたんで……●そら
分かったぁる。誰もそんなこと聞ぃてやせんがな……。おまはん、どこぞ体
悪いのかえ? 達者かえ?
■どこぞ体が悪いのかとおっしゃいますと……、わたしはまぁ……、因果と
達者で●「因果と達者?」もぉちょっと前へ出なはれ。人間体が達者ならこ
んな結構なことありゃせんじゃないか「因果と達者」とはどぉじゃ?
■結構でございます……。わたくしが聞かしてもらいます。わたしが聞かし
ていただいたらそれでえぇんでございます。ことは丸ぅ納まるのでございま
す。こぉいぅことになるんやないかと思うことは今朝方から予感はございま
した。わたくしは風邪ひとつ引いたことのない達者な体でございます。もし
ものことがあると思いまして、国許に手紙も一本書いてございます。大丈夫
やろと思います……。さぁ、わたくしが聞かしていただきます。旦さん、やっ
てもらいまひょ。
●泣かいでもえぇやないか……。お前さん方、わたしの浄瑠璃を聞くのが嫌
やと……。あぁそぉか分かりました。そぉじゃそぉじゃ、そぉじゃろ。そぉ
でなかったら皆がみな病気になったり、用がでけたりするわけがない。いま
初めて気が付きましたぞ「わたしの浄瑠璃を聞くのが嫌じゃ」と、こぉ言ぅ。
●情けない人じゃ。お前さん方いつでも聞かしてやるで、何とも思てないの
じゃろが、世の中に浄瑠璃ほど結構なものありゃせんのじゃで。昔の名人、
上手といわれた作者が悲しぃとこは悲しぃよぉに、勇ましぃとこは勇ましぃ
よぉに、あぁでもないこぉでもないとこしらえ上げたもんじゃ。
●あの本を素読みにしてさえもありがたいといぅのに、そこへわたしが節を
付けて……、え? その節が邪魔? 誰や? 言ぅことがあったらこっち出
て来て言いなはれ。わたしゃ下手じゃ、下手じゃ!★当たり前じゃ。
●わたしゃ素人じゃで。何々太夫といぅ名前が付いてお給金たくさんもろて
語ってるのとは違うのじゃ。じゃから、皆さん方から木戸銭びた一文もろた
ことがありますか? いつも無料で、ただで、その上こちらから色々ご馳走
をして……、なに? これで木戸銭とったら盗人より悪い? わたしゃ下手
じゃ、下手じゃ!★当たり前じゃ。
●わたしゃ素人じゃ、浄瑠璃といぅものは難しぃんじゃで。あれだけの浄瑠
璃でも紙三枚でも高いとこへ上がって、語れるもんなら語ってみなはれ。な
に? 下で聞けるもんなら聞ぃてみぃ……? 分かりました。わたしが浄瑠
璃さえ語らなんだら、それでえぇのじゃ。わたしゃもぉ浄瑠璃は語りません、
生涯、浄瑠璃は語りませんぞ。
●その代わり、今からちょっと町内回ってきなはれ「すぐ家空けてくれ」と
提灯屋へ行きなはれ。当たり前じゃ、浄瑠璃の人情の分からんよぉな人に家
は借って欲しぃことはないのじゃ。豆腐屋へ回んなはれ、向こぉもおんなじ
こっちゃ、豆腐屋へ家貸しといたら火の用心が悪い。
●何じゃて? 甚兵衛さんのお上さんが臨月。あの女ごぐらい子どもを生む
のを好きな女ごもないなぁ。先月生んでまた今月も……。手伝いの又兵衛が
観音講の導師? 何が観音じゃ「ちょっと大きな仕事を請け負いましたんで
ご融通を」わたしが一度でも嫌な顔をしたことがありますか。何がためにあ
の男に金を貸さんならんねん、こぉいぅ時に浄瑠璃の一段も語って聞かそ思
やこそ貸したぁるねん。観音がありがたいねんやろ、これから観音に金貸し
てもらいなはれ。
●裏長屋も裏長屋じゃ、今日らみたいな日に人が死ぬやなんてじゃらじゃら
した「死人持って宿替えせぇ」言ぅてきなはれ。お前さん方もそぉじゃで、
うちの店に居ったら嫌な浄瑠璃の一段も聞かんならんのじゃ。すぐに暇出し
ます。今晩中に荷物まとめて宿ごと引き取っとぉくれ。そぉ〜か、そぉ〜か、
わたしゃ生涯、浄瑠璃は語りません。御簾(みす)やみんな引きちぎれ、見台
踏みつぶせ、あぁ心地が悪い、悪い、わぁ〜〜ッ……!
* * * * *
旦さん、もぉ大騒動でございまして、そんなこと言わしといては大変やと
いぅので、気の利ぃた若いもんが町内を一回りいたしまして……
▲へ、行てまいりました●いぃ〜〜、家を空けると言ぃましたか?▲それが
何でございます、提灯屋さんへまいりまして「実わ……」と言ぃかけますと
「これからお宅へ行かしていただきますところで」何しに?「何しにて、旦
さんのお浄瑠璃の会お断りしまして、仕事にかかりはかかったものの、さて
旦さんがいま時分あのお浄瑠璃をどの顔でどの声でお語りになってるかと思
うと、そっちへ気がシュ〜ッと行ってしもて提灯の字を反対向けに書いたり
なんぞして、お上さんに『バカ』ちゅうて叱られて『そない気になんねんやっ
たら、お浄瑠璃聞かしてもらいなはれ』ちゅうて、隣町(となりちょ〜)へ仕
事回してしもて……」ちゅうて提灯屋の親っさんまいっとります。
●……(ひ、一人でも来たか)……、行かんちぃなはれ▲え?●演らんちぃな
はれ。お前さん方どぉ思てるか知らんが、浄瑠璃といぅものはこちらが演り
ましょ〜、そちらが聞きましょ〜、双方の気持ちが合ぉてえぇ芸ができます
のじゃ。人の気をこんだけ悪さしといて、いま時分一人ぐらいが現れて浄瑠
璃が語れると思うか。
▲それから何でございます、豆腐屋さんへ回ろと思いましたら途中でばった
り会いまして、どちらへ?「これからお宅へ行かしていただくところで」何
しに?「何しにて、旦さんのお浄瑠璃のお誘いお断りしまして仕事にかかり
はしたもんの、六角形の薄揚げこしらえたりしまして、お上さんに『アホ』
いぅて叱られて『それなら代わりの職人入れたらよろしぃがな、あんたお浄
瑠璃聞かしてもらいなはれ』言ぅて、これから行かしていただくところで」
▲豆腐屋さんの親っさん言ぅとりましたで「攝津太夫、越路太夫いぃまして
も会期中ならお金出したらいつでも聞ける。ところが旦さんのお浄瑠璃だけ
は気の向いた時やないとお語りにならん。いわば名人芸、一度聞き逃したら
生涯の損失……、好っきゃ」言ぅてまいっとります。
●……(二人来たか)……、豆腐屋の親父、あら人間が偏屈じゃ。偏屈じゃが
話は分かる。あの男とは交際を結んどいた方がよろしぃ▲それから手伝いの
又はんがまいっとります「観音講の導師してるがために旦さんのお浄瑠璃の
お誘いをお断りせんならんことになんねん。観音講やなんかケツくらえ、ケ
ツくらえの観音や」言ぅて。放り出してまいっとります。
▲又はん言ぅとりましたで「旦さんのお浄瑠璃、そら、お素人衆のことでお
まっさかいに上手下手といぅことになったらお玄人の人にかなわんか分から
んけれども、旦さんにはお玄人の人にはない旦さん独特の声といぅか、色と
いぅか、艶といぅか、何とも言えんもんがある……、好っきゃ」言ぅて、こ
れもまいっとります。
●……(三人来ればこっちのもん)……、手伝いの又兵衛、下方(したかた)を
たくさんに使こてるとは言ぃじょ〜身薄いもんじゃで、家賃やみなあんまり
きつぅ取り立ててやらんよぉに、おだやかにしときなはれ▲それから、裏長
屋が一統まいっとりますので。
●裏長屋は人が死んだんと違うのか?▲へぇ、いっぺん死んどりましてんけ
れども、ちょっと注射しましたところあとへ戻りまして、旦さんのお浄瑠璃
が済みますまでちょっと一服●あ、アホなこと……▲そぉして皆さんまいっ
てられますんで、たとえ一段でも聞かしてもらうといぅわけにまいらんもん
でおまっしゃろか?
●いやいや、それがそぉいぅわけにいきゃせんのじゃ。わしが最前「生涯浄
瑠璃は語らん」と言ぅたのが聞こえんかったか? え、はっきり聞こえまし
た……? 久七、お前の立場は苦しかろぉ、皆さん方がどぉしてもといぅ気
持ちは分かるぞ……。ほな、こないしょ、生涯語らんといぅのはやめよ、ま
た日を改めてといぅよぉなことを言ぅても恐らく承知なさらんじゃろ……
●困ったことになったなぁ……、何? 芸惜しみ? それ言われると辛いなぁ
わたしゃ聞ぃてもらいたいんじゃが……、何じゃ? どぉしてもひと声聞く
まではこの場をあとへ寄らんと? 皆さん方がおっしゃる……、皆も好きじゃ
なぁ……
●ほんなら、機嫌直して語ることにしょ〜か。
* * * * *
【上方落語メモ第1集】その十九「寝床(下)」に続きます。
【プロパティ】
飛竜頭(ひろうす)=がんもどき。ひりゅうず。崩した豆腐に、刻んだゴボ
ウ・ニンジン・アサの実・昆布などを加えて丸め、油で揚げたもの。
古くは麩・こんにゃくなどを揚げたものを称した。
頼母子=頼母子講:金銭の融通を目的とする相互扶助組織。組合員が一定
の期日に一定額の掛け金をし、くじや入札によって所定の金額の融通
を受け、それが組合員全員にいき渡るまで行うもの。鎌倉時代に信仰
集団としての講から発生したもの。頼母子。無尽講。
手伝い(てったい)=てつだい。土木の雑務を業とする雇い人夫。上方では、
建築土木請負師およびその徒弟を総称して「普請方」といい、これを
大工・左官・石工・手伝に区別している。
観音講=観音の徳を講讃する法会。観音の信者の集まり。
導師=法会に際して、集まった僧の中心となり儀式を行う僧。唱導師。
夜伽(よとぎ)=お通夜(つや)などで夜通し起きていること。また、通夜。
のっけ=最初。初手。
よぉさん=たくさん。ぎょ〜さん。
癪(しゃく)=胸や腹のあたりに起こる激痛の総称。さしこみ。
御簾(みす)=すだれ。とくに、室内用にふちを装飾布でかがってあるよう
なものをさす。
一統=一つにまとめた全体。一同。
音源:1980/11/30 枝雀寄席(ABC)
【作成メモ】
●参 照 演 者:main=桂枝雀 sub=林家染丸
●main高座記録日:1980/11/30 ●番 組 名:枝雀寄席(ABC)
●ファイル公開日:1996/09/14 ●江戸落語相当:*
●更 新 日:2004/10/17 ●リクエスト数:
●注 意 事 項:内容を削除、追加、改訂している部分があります。
記録日のmain演者によるさげを採用しました。
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