落語家・三遊亭楽春の落語豆知識 「真打」


落語は庶民に愛されて育った楽しく面白い日本の伝統芸能です。

落語は庶民の暮らしの中で起こる人間の喜怒哀楽を表現しています。

寄席太鼓・三味線の出囃子の音が鳴り、家号や亭号が書かれた芸名の寄席文字のメクリがめくられ、
落語家が前座・二つ目・真打と順番に代わる代わる高座に上がり登場します。

羽織には噺家それぞれの家紋があります。扇子や手拭が演技によって様々な形に変わっていきます。

落語の中では登場人物が生き生きと動き回り、暮らし、生活しています。

落語のストーリーには起承転結があり、物語の最後にはオチ(落ち)がつきます。

落語の基礎知識や落語の雑学を知れば落語がもっと楽しくなります。

落語とは?と感じたとき、落語家・三遊亭楽春の落語豆知識が落語の魅力への入り口になれば幸いです。


「真打」

落語家として一本立ちし、一人前として扱われるのが真打(しんうち)です。

前座・二つ目で真剣に修業して、噺のネタも多く、実力もつき、
たくさんのご贔屓もできると、いよいよ真打に昇進ということになります。

真打披露パーティを開くため、ご贔屓さんが多くいないと成り立ちません。

そして真打披露興行を行うため、演題(落語のネタ)がたくさんないとトリは務まりません。

「師匠」という言葉は真打ちの敬称で、前座・ニツ目の位の人を師匠とは呼びません。

また真打でなければ、自分の弟子を取ることも、人に稽古をつけることも許されていません。

真打昇進は、早い出世もあれば、なかなか昇進できない人もいますが、
概ね10〜15年ほどはかかります。

これも当人の頑張りにより大きく差が出る場合があるのです。

真打は噺家の最終目標ではなく、一本立ちした「真の出発点」と言えるでしょう。

「真打(しんうち)」あるいわ「真打ち(しんうち)」のいわれには、いくつか説がありますが、
そのひとつに、真打とは「芯を打つ」から来ているという説があります。

今のように多くの娯楽施設がある時代と違い、江戸の人の楽しみは「芝居」と「寄席」でした。
昼は芝居で夜は寄席、といわれたぐらいです。

特に寄席は、各町内に一つあるという繁盛ぶりでした。

今のように電気が無い時代、寄席の照明は百匁ローソクという太くて大きな物が使われていました。

ローソクの芯は、燃え続けるうちに、灯りがぼんやりとすすけてきます。
このローソクの芯を切り落とすとパッと明るくなります。

芯を切るのは看板芸人のみに許されていた特権です。
ただし「切る」は、「縁が切れる」など、縁起にさわるので「打つ」と置き換えました。

そこで、その看板芸人を「芯を打てる、シン打ち」と呼ぶようになりました。

その後、ローソクの「芯」が「真」の字に変わったようです。

これが諸説ある中のひとつです。



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