空燃比と燃調
はじめに
最近のインジェクション仕様の車は、ECUのデータを書き換える事により、燃調のリセッティングする事が容易になって来ています。又、自分でセッティングする為の器材や、データ書き換え可能なECUも一般に売っています。
ここでは、自分で燃調のリセッティングをする場合、エンジン回転数や負荷に対して空燃比をどれくらいにしたら良いのかなどの基本的な考え方に付いて説明します。
ただし、燃調はエンジンによって異なります。又同型のエンジンでも固体差により若干の違もありますし、煮詰めて行くと走るステージでも異なります。ですから、こんな時には空燃比はいくらなんて具体的には言えません。
尚、ここでお話する内容はリーンバーンエンジンやダイレクトインジェクション式エンジンなどの特殊なエンジンは除外します。(当てはまるかどうか分からないので)
燃調の概要
「空燃比とは何か」の所で一番高出力になるのはパワー空燃比である事を説明しました。では、パワー指向の燃調なら常にパワー空燃比になる様に調整すればよいのかと言うと、そうではありません。空燃比が必要以上に濃い場合は燃費が悪くなます。誰でも燃費が悪いのは嫌です。レースでも同じです。又、濃いとCO(一酸化炭素)が多く発生して環境のへの問題もあります。逆に薄いと燃費はある程度良いのですが、NOxが多くなり、出力も低下します。ですから基本は理論空燃比です。
しかし、アクセル全開時など、エンジンに多くのパワーを求める場合は、燃費や環境うんぬんよりパワー優先ですよね。ですから、この場合の基本はパワー空燃比となります。
ただし、燃料は気化しないと燃えません。又気化には時間がかかります。又、燃料は気化熱によりエンジンを冷やす役割も持っています。
これらの事から、エンジンの回転数や負荷により適切な空燃比は異なるのです。
基本的な考え方
低回転低負荷で燃料が濃いとカブリの原因になるますし、燃費も悪くなります。従ってこの場合は基本通りの理論空燃比です。
吸気した空気の量が同じでエンジンの回転数が高い場合は、回転数が低い場合と比べて気化するチャンスが短くなる為、高回転の方が空燃比は濃くセッティングしなければなりません。
加給機付きのエンジンの場合、吸気圧力が上がると、気化に必要な時間は長くなります。負荷が高い場合は、エンジン保護の為にも冷却用の燃料供給もしなければならなくなる為、エンジンの回転数が同じでも吸気量が多い場合は空燃比は濃くセッティングしなければなりません。
これらの事を考慮すると、エンジンの回転数と負荷に対する空燃比は次のグラフの様になります。
目標空燃比の設定の考え方
「運転状態のエンジンのある時点で空燃比を幾つにするのか?」、この値をここでは目標空燃比と言う事にします。
実際のセッティングは、最初に大まかに目標空燃比決め、車を走らせたり、エンジン自体をエンジンベンチにかけたり、シャーシダイナモにかけたりしながら何度も見直しして決まります。ここでは最初の目標空燃比を決める考え方を説明します。
エンジンの回転数と負荷(ブースト圧など)によりエンジンの状態(軽く流している状態とか思いっきり加速している状態とか)を考え、目標空燃比を決めます。その考え方の例は以下の様になります。
アイドリング時
目標空燃比は理論空燃比
1500回転
5速では60km/h位、4速でも45km/h位で、街乗りレベルの燃費走行。高出力は望まない状態なので目標空燃比は理論空燃比か、それより少し濃いだけで十分。もしかして、理論空燃比より少し位薄い方が燃費が良い分得かも?
3000回転で低負荷
1速や2速では速度域は低いが回転数からみれば軽い引っ張り状態、5速では高速道路速度(小排気量の車では違うけど)。高速道路巡航時はやはり燃費が気なるから、目標空燃比は理論空燃比とパワー空燃比の間の理論空燃比より。
3000回転で高負荷
1速や2速では速度域は低いが回転数からみれば軽い引っ張り状態。5速では高速道路速度。しかしブーストが高いと言う事はアクセルを開けていると言うことだからパワーが必要。目標空燃比は理論空燃比とパワー空燃比の間のパワー空燃比より。
5000回転で高ブースト。
1速、2速でもかなり引っ張り状態。5速では高速走路でも御用速度。かなりパワーを必要としているので、パワー空燃比か?。でもブーストも回転数も高いので目標空燃比はパワー空燃比より濃い目となる。
この例の様に色々なパターンを考え、それぞれに付いて目標空燃比を設定して行きます。目標空燃比を決めるのに大切な事は、エンジンの回転数と吸気量の状態からエンジンの状態をイメージする事と、空燃比の値から燃焼をイメージし、気化遅れやエンジン保護(冷却)を考慮する事です。
実際にセッティングする時は最初は少し濃い目から始めた方がよさそうです。薄いとエンジンが壊れる可能性がありますから。
ブースト圧と目標空燃比の例
加給機付きのエンジンで一般的に言われているブースト圧による目標空燃比の大まかな値をまとめると次の様になります。
低負荷 −−−−−−> 中負荷(ブースト0.0付近)− −−−> 高負荷(ブースト1.0位)−−−−−−−>
理論空燃比(14.7)−−>パワー空燃比(12.5)付近−−−−−>11.0付近−−−−−−−>10.5付近−>
加給機無しのエンジンの場合、ブースト圧は0.0がMAX(脈動効果によって少し上がる場合もある)ですが、上記の様に全開事はパワー空燃比付近と考えて良いでしょう。
ロータリーエンジンは、一回転で一回の爆発なので気化する時間がレシプロより短い為、レシプロより濃い目のセッティングになる様です。
最後に
実際のセッティングでは上記へ述べた事にプラスしてアクセル開閉度による補正や水温補正、エアコンのON/OFF状態など色々な要因を考慮しなければなりませんが、ここではそれらを省き、基本的な部分だけを示しています。
国産車の場合、ノーマルではベストな燃調より少し濃い様にセッティングされている事が多い様です。従って燃調のリセッティングを行うと、レスポンス、パワーとも良くなり燃費向上も期待できます。
燃調のリセッティングは精度の高い空燃比計が必要です(最低でも空燃比を0.1単位で測定できるもの)。又吸気量を測定するもの(ブーストメーターやエアフロメーターなど)も必要です。燃料が余り薄くなるとエンジンブローとなる恐れがあるのでセッティングは慎重に行いましょう。
燃調を変えると、燃焼速度も変わる為、点火時期のリセッティングも同時に行う必要も出てきます。又点火時期のリセッティングも同時に行う事により更なるパワーUPやレスポンスUP、燃費向上が期待できます。
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