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■外国では通用しない「肩こり」という言葉 ■しつけの違いが姿勢のよしあしをきめる ■自分の生活を振り返ることが治療の第一歩 外国では通用しない「肩こり」という言葉 「肩こり」といえば、日本人にはごくあたりまえの症状で、頭痛や腰痛よりさらに身近なものかもしれません。 病気としてはもちろんのこと、「あの人は肩がこる人だ」とか、「レストランでの食事は肩がこって・・・」などといったぐあいに、形容詞のように使われるのも、それだけ肩こりが一般的な症状だからでしょう。 ところが、その「肩こり」という言葉が、欧米では全く通用しないのです。そのため、欧米で医師の診察を受けた日本人は、しばしば肩こりの苦痛を訴えるために、さんざん苦労させられます。 肩こりは、日本人特有の国民病といってもよいのです。 しつけの違いが姿勢のよしあしをきめる では、日本人にだけなぜ肩こりが起こるのでしょうか。欧米人にくらべて日本人は骨格がきゃしゃなために筋肉が疲労しやすいという見方もありますが、最大の原因はやはり日本人の姿勢の悪さでしょう。 欧米人は、小さいときから、食事の際の姿勢をマナーとして教え込まれます。「脇をしめて、背筋をピンと伸ばしなさい」というのは、どこの家庭でも、2-3才ぐらいから子供に必ず教えるしつけの1つです。学校では、勉強の姿勢を厳しく注意されます。 ですから、成人したときには、すでにきちんとした姿勢が生活習慣として身についているのです。 日本でも、明治時代あたりまでは、武士道精神の遺産として背筋をシャンと伸ばす習慣があったはずです。 ところが、現在では机に向かうことにはやかましくても、姿勢をきちんと教える家庭は、ごく少ないのではないでしょうか。食卓に手をついて食事をしたり、足を組んですわったり、背骨のゆがみにはどうも無関心なようです。 その結果、背骨の曲がった子供が増え、今では肩こりは小中学生にまで広がっているのです。 日本人の背骨がどれほどゆがんでいるか、それを示すよい例が側わん症です。これは、背骨が左右にカーブを描き、ひどくなると骨格がゆがんで美容上の問題がでてくるばかりか、圧迫されて内臓にまで障害の起こる病気です。すでにこの側わん症にかかっているか、その傾向のある子供が非常に多いことが、最近の調査でわかっています。 こうした子供たちは、将来必ず肩こりを起こす、いわば肩こり日本人の予備軍です。 自分の生活を振り返ることが治療の第一歩 一方、日本人の生活習慣や文化的な背景も、背骨をゆがめ肩こりを起こす、見逃せない要素です。 まず、畳の上での生活。背筋を伸ばして正座しているだけならともかく、畳の生活では、うつむいてアイロンをかけたり、新聞を読んだり、あるいは洗濯物をたたんだり、うつむいてくびを下げる姿勢がつきものです。傾きっぱなしの頭を、細いくびで支えるのは、くびの筋肉にとってたいへんな重労働です。 さらに、女性に多い横座りは背骨を大きく左右にわん曲させ、男性が好むあぐらは背中を丸めてあごを突き出す形になります。 肩こりの人にとって、和式の生活は、どう考えても不利な条件が多すぎるのです。おじぎに代表される伝統的な礼儀作法も、こと肩こりに関してはどうも分が悪いようです。おじぎは、上体を前方にかがめる姿勢です。また、目上の人に対しても、前かがみになって目を伏せるのが日本人の謙譲心あらわれとされています。胸を張って堂々と相手を正面から見つめるのは、古来、失礼な態度とされてきました。 こうした背景がいくつも重なり、前かがみであごだけ突き出す、日本人の悪い姿勢が出来あがっているのです。たかが姿勢とはいっても、その根は案外深いのです。 しかし、簡単にいえば、悪い姿勢を続けると筋肉が緊張してウッ血を起こし、肩こりの原因となるのです。 こうしていったん肩こりが起こると、肩をかばうためにますます肩を動かさなくなります。こうなると、ウッ血→肩こり→運動不足→ウッ血という悪循環が起こります。 そのため、肩こりの人は、自分は肩がこりやすい体質なのだと、頭から思い込んでいるようです。 しかし、逆にいえば、ウッ血、肩こり、運動不足というこの悪循環さえ断ち切れば、肩こりは解消できるのです。 では、具体的にどうすれば、肩こりの悪循環を断ち切ることができるのでしょうか。 病院で治療を受けるという方法もあります。それで、その場の痛みは解消できるかもしれません。 けれども、これまでお話ししたように、肩こりの原因は普段の生活の中にあります。 ですから、病院で10分か20分治療をうけるよりも、24時間の生活に工夫をするほうがよほど効果的な治療になるのです。 肩こりの人は、まず、自分の生活を振り返ること、それが治療の第一歩だと考えてください。 |