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■リズミカルな筋肉の伸縮は血行をよくする ■老廃物が筋肉の神経を刺激する リズミカルな筋肉の伸縮は血行をよくする ![]() 肩こりを起こす直接の犯人は、くびや肩の周囲にある筋肉です。 ここは、動きが激しい部位だけに、20以上の筋肉が錯綜して走っています。 では、筋肉に緊張がつづくと、なぜ肩がこるのでしょうか。まず、筋肉が緊張したときの状態を見てみましょう。 筋肉は、一本の太いかたまりではなく、非常に細い筋繊維が数百から数千もの単位で集まったものです。その中には、血管や神経も通っています。これをまるごとおおっているのが筋膜という丈夫な袋です。 わかりやすく言えば、筋肉は、丈夫な袋の中につめ込まれたソウメンの束のようなものと考えてください。 このソウメンの束が緊張すると、一本一本のソウメンが短く太くなって筋膜の袋いっぱいに広がります。 こうなると、袋はパンパンにかたくふくれ上がります。力こぶをつくったときに、そこがかたいのは、筋肉が緊張して太くなったソウメンで袋が満杯になっているからです。 すると、筋膜の中でソウメンの押しくらまんじゅうが起こります。その圧力で、押しつぶされるのが筋繊維の中を走る血管です。 特に静脈の血管は、みずから脈を打って血液を送る動脈とちがって、血液を通すやわらかいパイプになっています。そのため、筋繊維の圧力で、簡単に押しつぶされ、ウッ血が起こるのです。 といっても、筋肉が緊張すること自体に問題があるというわけではありません。たとえば運動などを行うと、緊張の次には必ず弛緩が行われます。緊張しては休み、という動作が筋肉に繰り返されます。 これは、筋肉にとって非常に都合のよいことです。弛緩したときには新鮮な血液がドッと送り込まれ、次に緊張をすると老廃物を含む血液がしぼられるように渡されます。 つまり、筋肉の弛緩と緊張がリズミカルに行われるおかげで、静脈はみずから脈を打たなくても、血液を心臓に送り返すことが出来るのです。これを筋肉のポンプ作用と呼んでいます。 老廃物が筋肉の神経を刺激する しかし、筋肉の緊張は弛緩と組み合わされてはじめて役に立つもので、緊張だけが長時間つづくと、さまざまな障害が起きてきます。 もともと、筋肉に血管が多いのは、それだけ筋肉で使うエネルギーが多いからです。筋肉がエネルギーを生産するためには、ブドウ糖と酸素が必要です。 ところが、緊張が持続して血液の流れがとどこおると、まず、酸素が不足してきます。 すると、普通ならエネルギーに変わるはずのぶどう糖が、不完全燃焼を起こし、乳酸などのやっかいな疲労物質を作り出します。 血行がよければ、こうした物質も洗い流されてしまうのですが、緊張した筋肉では、静脈の流れもとどこおってします。そのため、ウッ血した血液の中にドブのように老廃物がたまってしまうのです。 肩こりは、筋肉のウッ血と簡単にいいますが、うっ血の中身はかなりひどいことがおわかりになったと思います。 こうなると、筋肉のエネルギー不足も重なって、だるい、重い、つっぱるなど肩こり独特の症状が現れてきます。 しかし、まだこの段階であれば、筋肉をリズミカルに収縮させること、つまり運動で血行をよくすることによって、肩こりを治すのもそうたいへんなことではありません。 しかし、ここでさらに、仕事などを続けて筋肉の緊張を持続させると、肩こりは次の段階に入ります。肩の重苦しさが、痛みに変わってくるのです。 これは、先ほどふれた乳酸などの老廃物が筋肉の中にあふれるほどたまり、筋肉にある痛みの神経を強く刺激するからです。 痛みを起こす物質は、乳酸のほか、細胞の中からでてきたカリウムイオン、あるいは水素イオン、未知の「痛み物質」とさまざまな説があり、専門家の間でも一致した回答は得られていません。 しかし、いずれにしても、筋肉のウッ血によって、たまった物質が痛みを起こすことは確かです。 こうして痛みが始まると、つい肩やくびをかばって運動不足に陥るものです。しかし、この段階で踏みとどまらないと、痛み→運動不足→ウッ血→痛みという悪循環が始まり、いよいよ肩こりも最終段階に突入します。 痛みがあると、私たち人間は、反射的に体に力を入れて痛みに耐えようとするものです。 肩こりの場合も同じで、痛みが始まると筋肉の緊張はいっそう強くなります。これに運動不足も加わると、肩の筋肉は大変長期間の緊張をしいられます。 この段階で肩の筋肉にどのような変化があらわれるかというと、酸素不足と老廃物のよどみに刺激されて、一種の炎症が起こるのです。伸縮自在だったやわらかい筋肉までもが、線維化した固い組織に変わっていきます。外からふれてみると、筋肉の一部がかたいしこりになり、ちょっと押してもたいへん痛みます。 これは「筋・筋膜炎」と呼ばれる、りっぱな病気です。 肩こりもここまでこじれてしまうと回復には時間も労力も相当必要です。こうなる前に、肩の筋肉を動かして、肩こりの悪循環を絶ち切りましょう。 |