2000年9月上旬
卒業旅行の話。初めての一人旅、初めての海外旅行、初めての飛行機。
私は飛行機が嫌いだったのよ。ジェットコースターにさえ乗らない主義だった。「ジェットコースターの事故なんて滅多に聞かないじゃないか」と思ってみても、また、他人からそのように説かれても、「いや、私が乗った時に限って落ちるのだ、事故は起こるのだ、きっとそうだ」と、心底嫌ってた。飛行機に対する思いも同じ。乗りたくなかった。
だけど友人(←1年先に就職しちゃってた)に、「Reineちゃん、今しか行けないよ、就職しちゃったらまとまった休みなんて取れないよ」と言われ、ようやく決意しました。「ポルトガルを1ヶ月かけてまわりましょう」。緊張でぷるぷるしながら準備を進めました。
麻里絵(大学同期)と亜希子(1コ下)は「スペイン旅行」を計画していた。それで、私の出発前に彼女達から電話があった:
「私達、ちょうどその頃、スペインを周ってますから、Reineさん、あなた、どっかで落ち合いましょう」
「そうだ、レネヤマさん、あなた、Sevillaまで来てくださいよ」
「時間的には、そうねぇ…合わせるとしたら…2月24日だね」
「その頃なら私達も北から南に入ってる頃だと思うから」
私は、「まぁ、22日朝にリスボンに着いて、24日夕方Sevilla入りなら……やってやれないこともないでしょう」と思って承知した。
私はリスボンになんとか着きました。
そこで全くポル語が聞き取れないことに気づいて真っ青になった。タクシーの運転手さんの言ってることがわけわからんにも程がある。日本から予約しておいたホテルに着いたが、今度はボーイの言ってることがわからない。
「何語???」と思ったら、「Is it cold?」と綺麗な英語で発音していたのだった。こっちが「ポル語で来る」と思って身構えてんのに英語なんかでしゃべってくれるなよ…。それにしても…「Is
it cold?」が聞き取れないなんて。部屋を出て行く時のボーイさんの、「おいたわしゅう…」みたいな表情は今でも忘れない。
お腹が空いたのでホテルを出たが、何も買えない。「いくらなのか」が聞き取れない。パン屋で小銭入れを見つめて呆然としてると、隣にいたおじさんが「これとこれだよ」って硬貨をつまんで選んでくれたのでやっとパンは買えた。
私は「とんでもないことに身を投じてしまった」ことを嘆いた。「こんなことなら卒業旅行なんておっぱじめなければよかった」「あと1ヶ月なんて私はきっと死む、死んでしまふ」「FIXチケットだけど、もう帰国してまへ」と。
だから、毛布を被ってフテ寝をしていた。
泣きベソです。
泣き寝入りとはこのことか。
「……は、はろぉ」とビクビク出ると、麻里絵と亜希子だった。
| 2人 | Reineちゃん?着いた? |
| 私 | (かなり弱々しく) …着いたよ… |
| 2人 | (すごく元気) あのさぁ、私達さぁ、1日早くセビージャに着いちゃったのね。もう今日着いちゃったのぉ。 それでね、Reineちゃんにも1日早く来て欲しいのよ |
| 私 | 1日早く…って… …あしっ、明日ってことっ? |
| 2人 | (快活に) そぉっ |
| 私 | あた、あたしさぁ…すっごく弱気なんだけど… …もう、街の人何言ってるかわかんないしさぁ、英語もわかんないしさぁ… …行けるのかなぁ…?行けるのかなぁ? 怖いよ、無理だよぉ (消え入るように涙声で)(これがいけなかったのだ) ……まぁ、頑張ってはみるつもりだけど… |
| 2人 | あのねぇ、私達が泊まってるのはねぇ、サンタ・マリア・ラ・ブランカ通りだから。 んとねぇ、カテドラルのそばぁ |
| 私 | 宿の名前は? |
| 2人 | (電話口でゴニョゴニョしゃべってる) わかんないや |
| 私 | わかっ、わかんないって、ちょっとっ |
| 2人 | ごめぇん、宿のカード持ってくるの忘れちゃったぁ |
| 私 | 電話番号は? |
| 2人 | 知らなぁ〜い、カード持ってきてないもん |
| 私 | あの、あのっ、それじゃぁ、宿の場所とかなんか、えっと、あの、そのっ… |
| 2人 | あぁ、ごっめぇーん、小銭なくなっちゃうや。切るねぇ |
| 私 | ちょ、ちょっと待って、待ってっ! (悲痛な叫び) |
| 2人 | サンタ・マリア・ラ・ブランカ通りだからぁ、じゃあねぇん |
| 私 | もしもしっ、もしもしっ |
| 2人 | (ツーツーツー) |
Copyright(C) Reino de Reine 2000 Todos los derechos reservados.