これでよいのか日本外交 創価学会と外務省との深い仲

■『創価学会インタナショナルの実像』(段勲著:リム出版)の「SGIと外務省」編のご紹介。
 【注】『創価学会インタナショナルの実像』が出版された直後に、前レバノン大使だった天木直人氏が講談社から『さらば、外務省!私は小泉首相と売国官僚を許さない』(2003.10.18刊)を出版した。外務省キャリア官僚による外務省内部の告発本として大きな反響を呼んでいる。段勲氏もまた『創価学会インタナショナルの実像』の「SGIと外務省」の章のなかで、創価学会員官僚の行状、創価学会と外務省との違法性と違憲的な関係をリアルに明かしている。段勲氏は天木氏が触れていないテーマを取り上げたものであり、天木氏の著作と合わせて、段氏の「SGIと外務省」レポートを読むと、外務省の腐敗の構造がより具体的立体的に把握できる。日本の今後の外交を考えていく上で、極めて有意義な解明なので、その下りを紹介しよう。

 【SGIと外務省】
 
 外務省官僚が機密費をネコババして「競争馬」を買った、愛人の「豪華マンション」を購入したといった、同省官僚たちの底無しの金銭スキャンダルが噴出した二〇〇〇年。外務省はかつてない批判の矢面に立たされ、ついには御用になって幾人かの同省官僚が塀の中に落ちた。
 東京・世田谷区内に、同省の独身寮がある。長く務めた同寮の元管理人の話によると、寮の住人たちは、いずれも難関の国家試験をパスしたエリート中のエリート揃い。確かに語学に優れ、頭も切れるが、なぜか“奇特”の人が多かったという。深夜、部屋で“一人”で「椅子取り合戦」に夢中になっている人や、共同風呂の中で脱糞をする、ふとどきな入寮者もいたようた、
 ある夏の夜のこと。開けっぱなしにされた二階の窓から、外に唸るような声が漏れてきた。最初は歌かと思ったが、耳をすまして聴くと、どうもお経のようである。それも「南無妙法蓮華経」という題目を唱える声だった。後日、くだんの声の主の部屋に入る機会があった際に、仏壇や、束ねてあった聖教新聞などを見て、熱心な創価学会員であることが分かった。
 宗教に鷹揚な管理人は、他の住居者に迷惑をかけなければ、若者が信仰を持つとはなかなか感心とばかり、温かく見守った。が、困ったのはこの人物の悪い性分である。時々、二階の窓なら外に向かって放尿していたという。温厚なさすがの管理人も、これには注意した。
 人数は明らかではないが、大臣官房文化交流部長を務めるHのほか、外務省OBでは、文化交流部文化第二課長職を務めた遠藤乙彦公明党代議士など、創価学会員の外務省官僚が相当数いる。実際、同省内に、「大鳳(おおとり)会」という学会員だけの組織も存在し、その絆もまた深い。むろん職業が官僚であっても、どのような教団組織に所属し、信仰活動に従事しようとも自由である。ただし、一般社会や国民への奉仕を原則にする公僕は、職務を利用し、特定組織や信奉する教団に利するような行動は慎まなければならない。
 国会でも、質疑(一九九六年四月一日、衆議院・予算委員会)されたことがあるが、SGIが外務省を“私物化”しているような文書が発覚したことがある。
 第一章でも少し触れたが、ここで詳しく述べてみよう。
 一九八八年一月六日、「The SoKa Gakkai」と印刷された学会の事務専用用紙に書かれた文書が、同会のH事務総長名で、小和田恒・外務省官房長宛てに出された。内容は、SGI会長の池田大作が香港並びにアセアンなど三カ国を訪問するので、便宜を図ってくれという要請書である。国会でとくに質疑されたのは、この文書の中の次の下りだった。
 「各国大使館、総領事館におかれましては入国、出国の際の空港内の特別通関等の便宜供与を宜しくお願いします」
 特別通関とは、外交用語の一つで、出入国手続きを一般の旅行者等と違って特別に優遇すること。つまり、別室で入国管理局の職員がチェック(簡易通関)したり、代理人が通関の手続きをするといったもの。一般には、大臣組がその対象になる。要するに創価学会は外務省に、池田一行の出入国を大臣級の扱いにしてくれと、厚かましい要請をしたのだ。これは、宗数団体が国に特権を求めているもので、もし、これを外務省が認めるとしたら、
 「いかなる宗数団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」 という、憲法二十条に完璧に抵触することになる。要請側に、弁解の余地はない。しかも、この回文書には、ほかにも由々しき問題が横たわっていた。
 「……シンガポール大学図書贈呈式に出席の予定
 2月10目、シンガポール大学に対し、日本研究の目本語図書469冊、英文図書111冊を寄贈します。……その他、今回訪問の4カ国、地域のそれぞれの日本人学校に創価学会より教育機材を贈呈することになっています。
 チェラロンコン大学図書寄贈呈式に出席の予定(バンコック市)
 2月2日、チェラロンコン大学に対して、日本研究に関する英文図書1000冊及び日本語図書100冊を贈号します。
 ……なお、1984年6月に日本研究に関する日本語図書894冊を贈呈しており、今回は第二回目の贈呈となります。
 ……舞踊集団「菊の会」公演に出席の予定
 クアラルンプール開都16周年を記念して、2月6日、ムデルカ・ホール(PWTC)にて「菊の会」公演が行われます。これにはマハティール首相夫妻も出席する予定です(観客3000人)
 主催はマレーシア文化観光省、駐マレーシア日本大使館、民主音楽協会、ザ・ニュー・ストレイツ・タイムズ(マレーシア最大の新聞を有する会社)の4団体の予定……
 香港
 第九回世界青年平和文化祭に出席の予定
 この世界青年平和文化祭は、SGIが1981年6月、アメリカ・シカゴで第一回目を行って以来、第二回、東京……と毎年各地で関催しているもの……
 香港大学図書贈呈式に出席の予定
 1月29日、日本学科の充実を目指している香港大学に対し、日本図書986冊、及び日本の港湾関係の図書80冊を寄贈します。
 香港大学より日本語研究及び日本文化研究の日本語図書の寄贈依頼があり、1985年5月にSGIより960冊の図書贈呈を行いました……」(要請文から抜粋)。
 一見して、凄まじい書籍のプレゼントである。それよりもこの文書の中で問題にされたのは、マレーシアで行った「菊の会」であった。芸術性の高いイベントとはいえ、主として宗教団体、創価学会(SGI)が主催して行う公演に、なぜ、日本のマレーシア大使館が名を連ねているのか。見方によっては、一宗数団体の布教宣伝に国が手を貸していることになる。その証しの一つとして、当時の聖教新聞(一九八八年二月八日付け)には、「日本・マレーシア合同の親善文化の舞台」という特大の見出しのもと、マハティール首相と池田が並んで公演を鑑賞している写真や、日本大使も出席したことが報じられた。
 憲法八九条には、宗教上の組織もしくは団体の慈善、教育、博愛の事業に対し、国の財政支出を禁じているのだ。もし、日本大使が公務の時間に公用車を利用し、SGIという宗教団体のイベントに出席したとすれば、これも憲法八九条に抵触しないのだろうか。似たようなことがもしも日本で行われたとしたら、それこそ大問題にされていたことであろう。
 宗教団体が海外進出の戦略として、その国の要人を味方に加え、一般市民が喜びそうなイベントを行う。当然考えられる宗教戦略であるが、そうしたイベントに大使館という政府機関が利用されるとは、いかがなものか。
 それにしても、先の文書でさらに驚くのは、SGI会長は海外で実に派手な「民間外交」を行っていることである。宿泊ホテルも列記されているが、香港「ペニンシュラホテル」、タイ・バンコック「ヒルトンホテル」、タイ・チェンマイ「チェンマイ・オーキッドホテル」、マレーシア・クアラルンプール 「シャングリラホテル」、シンガポール 「シャングリラホテル」と、いずれも超一流。そのうえ、海外各大学への図書の寄贈ぶりもまたすごい。
 各大学から池田が、名誉教授号などを頻繁に受賞する一端が理解できるような気がする。
 また、外務省官僚の熱心な学会員とSGIの関わりでは、次のような事例もある。
 「前略 池田先生
 大鳳会のYと申します。先日は『吉川英治 人と世界』をお送り下さり大変ありがとうございます。……昨年一〇月、S副会長(本文は実名)から手紙をいただき、その中でヴァチカンについて私なりの実感を教えてほしい旨書いてありました。その返事はKさん(イタリア日蓮正宗創価学会幹部)を通じ、S副会長に出しました」
 との書き出しで始まる一通の手紙も、外務省とSGIの付き合いの深さを証明するものである。
 イタリア・ミラノ領事館に勤める外務省「大鳳会」(前述)所属のYという人物が、一九九〇年一月三日、池田SGI会長に手紙で、ヴァチカンの現状を分析し、報告に及んだものである。外務省の官僚が、なぜ池田に外交に関する私信を送ったのか。この背景を分析してみよう。
 あらゆる手段を駆使して池田は、これまで世界中の政府要人や有識者と会見、あるいは会談を行ってきた。ところが、面会をこよなく望んでも、果たせぬ要人が世界に少なくとも2人ほどいる。アメリカ合衆国大統領とイタリアのローマ法王である。
 自称、“世界の指導者”あるいは“世界の宗教家”として、より箔を付けるためには、この二人の会見を欠かすことはできない。しかし、かなわぬ相手なのである。
 イタリアの首都ローマにある、わずか国土面積〇・四四キロ平方メートルの「ヴァチカン市国」は、四世紀に初代ローマ法王・ペトロ(またはピエトロ)の墓所として、ローマ市内のヴァチカン丘に寺院を建立。一四世紀から、法王が常住するカトリック教会の総本山になった。
 終身制である法王は、現在、ポーランド出身で一九七八に就任した二六四代目のヨハネ・パウロニ世。八九年、民主化が進んだポーランド、ハンガリーとの関係を回復し、旧ソ連のゴルバチョフ議長(当時)と会談し歴史的和解をするなどして、「非キリスト教との対話」を進める一方、世界平和を訴えて諸国を訪ね、積極的な平和外交を行ってきている。
 全世界に点在するキリスト教信者の大半を占めるローマ・カトリック教(約十億四千万人)の頂点に立つ法王は、まさに世界中の国家も認めている宗教界のりーダーである。そのローマ法王に、かの法の華三法行の代表である福永法源(現在、収監中)も会っているが、なぜか池田はいまだ叶(かな)わない。かつて創価学会は、カトリックといったキリスト教を邪教呼ばわりし、“外道”と批判してきた。そう会員に指導してきた張本人の池田が一九九三年五月三日、「創価大学記念講堂」で開催された「五・三記念勤行会」(五月三日は、池田の会長就任記念日)で、こう語っている。
 「日本を代表する宗教学者の方は、過日、山崎尚見副会長らと懇談の折、次のように語られたという。同副会長からの報告をそのまま紹介させていただく。
 『名誉会長と初めてお会いした時のことは、いまだに忘れることができません。そのとき、名誉会長は言われました。『カトリックの人々は、苦難の歴史、苦闘の道を歩まれた。そうした行動の次元においてカトリックは、私たちの“兄”といっても過言ではありません』と。私はまず、その謙虚な言葉に驚きました』……教えの浅深は別として、世界への“行動”という観点から私(池田)は(カトリックを)兄と申し上げたのである」
 ちなみに、こう語ったとされる「宗教学者の方」とは、上智大学・宗教社会学の故・A教授のことだ。
 池田が“兄”とまでリップサービスをするカトリック教会の法王に、どうしても会いたいが、面会にたどり着くまでのルートがない。一部週刊誌で、一九九四年五月、創価学会の意を受けた時の総理大臣が、訪欧外遊のおり、ヴァチカン側に、「池田親書」を手渡したと報じられた。親書の中身は「池田と会ってほしい」という内容だったというが、果たしてどこまで真意かは定かではない。(週刊誌上ではこの点につき、総理側や学会サイドも否定的コメントを寄せている)。
 ただ、実際に同年五月、先の総理に一足遅れて、池田もイタリアを訪問していた。ここに、先のミラノ総領事館職員の手紙が結び付いてくるのだ。学会の副会長が、「大鳳会」所属のミラノ領事館員に、「ヴァチカンの実情」について報告を要請したのは、池田がイタリアを訪ねる前年である。要するに、推察の枠を出ないが、学会本部は、池田とローマ法王との会見を実現すべく、確かなヴァチカン情報を入手分析し、会見実現のヒントを得たかったのではなかったのか。
 ミラノ領事館員、Wが副会長に提出したレポートは、「ヴァチカンの方針」というタイトルがついており、全部で九枚。中身はヴァチカンの歴史をさかのぼって、ヴァチカンの現状を分析している。これも週刊誌報道で話題になったが、興味が寄せられたのは、むしろ池田に当てた私信の方だ。最後にこう書かれていた。
 「彼らは(ヴァチカン)は、五十年、一〇〇年単位で長期的な世界戦略を立てている模様であり、帽価学会の世界広宣流布上の最強かつ、増々勢力を増してくる狡猾な敵と思います」
 2000年の苛酷な歴史を費やし、ようやく世界三大宗教の地位を築いたそのひとつの宗教を敵と想定する外務省官僚の学会員。信仰する宗教を持つと、ここまで助長するものであろうか。
 ちなみに目本の学会世帯数は八百万、学会員公称一千七百万人。SGI会員数は約百数十万人。対して現在、…世界の宗教人口勢力は十億人を超えるキリスト教(カトリック)に次いで、イスラム教九億五千万人(スンニ派)、ヒンズー教七億五千万人、儒教・道教三億七千万人、キリスト教〔プロテスタント)三億六千万人、キリスト教(東方正教会)二他二千三百万人、大乗仏教一億九千八百万人、イスラム教(シーア派) 一億八千四百万人……である。(了)