この夏一番暑かった場所 (後編)
さて、半月以上間が空いてしまったが、コミケレポの後編、夏コミ編である。冬の時はまだ学生だったので三日間フルに参加する事ができたが、社会人となるとそう簡単にも行かない。っていうか実は休みは簡単に取れたのだけど、夏の予定がコレしかない状態でこれのために休みを取っている自分がなんか悲しいので休みはとらなかった。よって、コミケは8/11金曜〜8/13日曜の三日間開催であったが、私が参加したのは土曜日からの二日間だけである。
8/12日・・・ついにその日はやって来た。今回も関口(仮名)先生のご指示通り、始発で新橋からゆりかもめでビッグサイトへ向かう。冬の時と違い、今回はだいぶ勝手が分っているので余裕である。と思ったが、ぜんぜん余裕じゃなかった。暑い。否、熱すぎる!!まだ早朝だと言うのに、なんだこの熱気はッ!何千人、いや何万人にも昇ろうかと言う人が集まっているのだから当然と言えば当然だが、ここまで熱い・・・いや、暑苦しいとは・・・(自分も暑苦しくしている一人だが)。あんまり熱いので、先生に並ばせて自分はトイレに行く。行った事ある人はご存知と思うが、この近辺のトイレはビッグサンダーマウンテンより混んでいる。ので、私はいつも隣駅まで歩いてそこのトイレを利用している。もちろん時間稼ぎの意味もあるので、帰ると先生が不機嫌なのがちょっと辛かったりする。
さて、いよいよ開場である。人の流れに流されるままに、まずは東館へ。コミケと言えば東館であろう(たぶん)!ちょっとうろうろして、すぐ飽きる。やはり目的もなくブラつくのは良くない様だ。で、去年の例にならいコスプレ広場へ。が、やっぱここもスグ疲れて帰りたくなってしまう。半年前はあんなに楽しかったのに・・・俺ももう年なのか。っていうか暑さのせいだと思うが。そういえば、この日は会社の元同僚が売り子をしているはずであった。さっそく彼に会う事にし、東館へと戻る。
友人はヴァルキリープロファイルのコピー本を売っていた。彼は別にこの本の作者ではなく、ただ手伝いで売っていると言う。私も売り子の席に座らせてもらった。と、その時ッ!うおおおおおお!この感覚はッ!今までのこの会場で感じていたものとは違うッ!これがサークルスペースというヤツかッ!!あてもなく会場内をさまよっていた自分が、あたかも会場にフィットするような幻覚すら感じさせる。やはり、コミケは売ってこそ!と感じさせる出来事であった。
ちなみに、この本いくら?
「10円」
なんと!資本主義に毒され利潤のみを追求する商業誌では想像もできない値段である!まさに同人界の何者にも縛られぬ自由な販売活動の一端と未来の希望を見る想いであった。
で、感動したのは良いけどもう疲れてしまった。電話がかかってきてその辺で落ち合うはずであった銀竜たちとも会えず、気力もないのでもう帰る事にした。帰り際に先生に電話をかけ、明日は来ない、との趣旨を告げる。「マジっすか!?」と狼狽されるが、だってもう充分すぎるほど疲れる場所だって事が分ったし。明日も朝イチに起きるのたるい。というなんとも消極的な理由で私の夏コミライフはたった半日で幕を閉じた・・・かに見えた。
その晩、バルカンから電話がかかってくる。なんと、明日だんげろうずが店を出すと言う!だから是非来てくれ、じゃなくてスミダさんの電話番号を教えてくれ、との電話だったのであるが、人の電話番号を勝手に教えるわけにはいかないので代わりに私が連絡する事でまとまる。で、その日は寝る。次の日・・・九時過ぎにのんびり起きた私は、今日はのんびり過ごそうと思って適当にネットなどをしていた。あ、そういやスミダさんやバルカンに電話しなきゃ。さっそくTEL。・・・なんか楽しそう。やっぱ行こう。
と言うわけで、夏コミ三日目、現地到着は11時と言う、今までにない遅発であった。先生のお話しだと、「そんな昼近くに来ても意味ないッス!」との事であったが、なんかすげえ楽に入れて感動する。オイオイ、早朝のあの行列はなんだったんだ!?普通に入れるやんけ!!さて、さっそくバルカンに会いに行こう。って、彼らは何を売っているのかな?近辺のリサイクルボックスより入手したカタログにより、「コンビニの裏側」とかいう内容である事が判明した。・・・地味だ。こりゃ、売れてないに違いねえ。友人のよしみで、売れ残りを2冊くらいは買ってやらねばなるまい。
などと失礼な事を考えながら、だんげろうずのブースへと到着する。なんと、完売しているではないかッ!!マジ!?「いや〜TAKEXさん!どうもどうも!」とバルカンも上機嫌である。しかも、同時発売の「アトランティスの謎 攻略ビデオ」まで完売している。すげえ!しかも、彼らは私のために本を一冊取っておいてくれていた!友人の情けをかけるつもりが逆にかけられる事になるとは。奥が深い。
さて、せっかく会ったのだから、この後また会おう、と言う話しになる。まあ、彼らも完売したとは言えもう帰る気もしないので、2:30に待ち合わせ、という事になった。私は「バルカンたちに会う」という目的は達成したのでとっとと帰ろうとしていたところであるが、せっかくなので時間を潰す事にする。が、時間を潰すったって、どうすりゃいいのか・・・ま、しゃーない。ちょっとハジからハジまでどんなもん売ってるのか見て歩いてみるか・・・
はい、目からウロコが落ちました。私、コミケ、ナメてました。すごいです。すごすぎます。マジで、ありとあらゆる本が売ってます。だんげろうず曰く、「評論本でスペースが取れてちゃんと売れるのはコミケだけ」だそうですが、確かに、おそらくコミケぐらいでしか売らないであろう本が山ほどあります。って、なぜか敬語になってしまったが、いや、でも、このすごさは見てみないと分らないのではないだろうか(ただ単に文章力がないだけである)。あるスペースは、「宇宙食レストラン」の本を出していた。SFではなく、マジで宇宙食はどんなものか調べ、それのヴァーチャルレストランの本である。只者ではない。またあるスペースは、ヨーロッパのある小国(どこだか忘れたけど、ルクセンブルクとかそのへん)の歴史をメチャメチャ詳しく一冊のブ厚い本にまとめていた。やはりその国のマニアが買っていくのだろうか!?また、私は政治のパロディ本かなんかないかな、と探していたら見事に見つけた。しかもけっこう面白かったし、安かった。うーん、探すのは大変だが、確かに探せばなんでも出てきそうだぞコミックマーケット!
この後、「成人・男性向け」と括られたエリアにも当然足を運んだのだが、まあそれはおいといて、やはりコミケは侮れない。知識では知っていたが、ホントーになんでもアリなのである。「何でもアリ」と口では言っても、実際に何でもアリにするのは並大抵の事ではない。それこそ政治的な思惑も絡んでくるし、コミケにとって望ましくない内容のものもあろう。しかし、規制というヤツは一度してしまうと必ずジワジワ成長していくものである。コミケが30年たってもこの自由な風潮を守り抜いている事実が、コミケの「何でもアリ」のポリシーを証明していると思う。
私は、もっと身近に「何でもアリ」な世界を知っていた。ネットである。このインターネットという世界はマジで何でもアリである。規制がある意味、意味をなさない世界である。何でもアリだからこそ、ネットは急成長を遂げてきたのである。が、それはボーダレスなネットの世界だからこそ可能であり、現実世界でそれができていると言う事実に(しかもネットが普及するより遥かに前に)、私は驚愕の色を隠せなかった。「何でもアリ」。どんな人間でも、好きな事を話していられる世界。それは限りなくユートピア(どこにもない世界)に近い。が、それに限りなく近いのが、ネットであり、コミケなのだろう。
最近、2ちゃんねるというサイトがよく話題に昇る。ここはなんでもアリなネットの本質をそのまんま表現したようなところで、おそらく私が知る限りもっとも「何でもアリ」なところである。ここでご法度なのは本名や電話番号と言ったプライベートな情報だけで、それ以外であれば完全規制ナシの世界である。ハッキリ言って、荒れている。もう、ルールがないに等しいので好きほーだいなのである。が、一向に廃れる気配は見せない。何せ1日30万ヒットとか40万ヒットとかいうバケモノサイトなのである。なぜそのように荒れながらも訪れる人が絶えないのか?それはそこが「何でもアリ」が限りなく保証されているからであろう。人は本来ルールを好かない。しかし、人だけで集まりを維持するのはホネが折れる為に、ルールに頼る。しかし、ルールは必ずやがてその想像主である人を縛りだす。「何でもアリ」は無法地帯と紙一重だが、もっとも人の本質に近い状態であるのだ。コミケの帰りのゆりかもめの中で、フトそんな事を考えてみるのであった。
注釈:
※学生・・・学ぶために生きる、と書くが(違うかもしれんが)、学ばないでも生きれる。が、ここで学んだかどうかで将来に差がつくので注意注意。
※夏の予定がこれしかない状態・・・結局これしかなかった。
※ゆりかもめ・・・新橋〜有明間を走るモノレール。かなりタルい。どうも無駄な場所まで走っている気がして混んでる時はキレそうになる。
※余裕・・・人生において最も大切なものの一つ。これがないと色々なものを失う。最も入手が難しいものの一つでもある。
※ビッグサンダーマウンテン・・・東京ディズニーランドの名物ジェットコースター。これに何度も乗ってるだけで十分楽しめると思うが、同行者に嫌がられる事うけあい。
※目的も無くブラつく・・・これがイベント会場ならまだいいが、人生でこれになるとピンチ。でも、けっこうこうなりやすいので気をつけよう。
※売り子・・・「売り子」と言うと女の子を想像してしまうが、むさいあんちゃんでも売り子である。要注意。
※コピー本・・・最初聞いたとき、コピーバンドみたいに既成のモノをそのまんまやってる本の事かと思った。ようは、コピー機で作成した本。コンビニが印刷所である。
※この感覚はッ!・・・久々に座れたから感動した、ってのもある。
※銀竜・・・アニカの画伯。彼女のマウス絵はハンパではない。ギャラリーにあるので是非見てみるとよい。
※バルカン・・・TAKEXの前からの知り合いをのぞくと、アニカで最初の常連。当時のアニカは今以上になんにもなく、24時間ヒマを持て余しているご隠居ですら見ないだろう、というレベルであったのになぜ彼がここの常連になったのかはアニカ7不思議の一つ。
※だんげろうず・・・バルカンが連れて来てくれた、アニカの常連の一人。何でもランキングはほとんど彼がトップを取っている事実からも分るとおり、彼のセンスはハンパではない。バルカンとセットで覚えると便利。
※スミダ・・・なんだかんだと一年以上お付き合い頂いている、「スミダのお部屋」の管理人。友達が多いようで、TAKEXとは正反対とみた。
※リサイクルボックス・・・これは私が勝手に命名した。世間ではゴミ箱と呼んでいる。
※アトランティスの謎 攻略ビデオ・・・ファミコンの名作「アトランティスの謎」を10分程でクリアーしている。アホだけど、すごい。
※時間を潰す・・・無駄な時間を適当に過ごす事。が、以外とこの時間に有意義な発見をする事は多い。逆に、有意義に過ごそうとした時間が無駄に終わったりするので、私の人生、泣き笑い。
※マジで・・・・とりあえず、「マジで」というと真剣味がある。「マジで怖い」とか「マジでヤバイ」とか。でも、字でよく見るとマヌケ。「本気」と書いてもあまりマジとは読まない。
※宇宙食・・・昔、科学万博で食った記憶がある。けっこうまずい。
※マニア・・・それがどんな世界であっても、マニアというものは存在する。恐るべしマニア。良いよねマニア。
※成人・男性向け・・・熱い漢の魂を描いた作品があっても、それはある意味成人男性向けだと思うが、このエリアで見る事はおそらく生涯無い。
※ユートピア・・・ひらたが首を吊っている世界だったらイヤだな。って、それはポートピアやねん!・・・ごめんなさい。
※2ちゃんねる・・・超有名サイト。ここの管理人はここの広告収入だけで月に40万くらいいってるらしい。確か俺とタメか一個違い。松井と比べられるより辛いものがある。
※ルール・・・「ルール無用の悪党に 正義のパンチをぶちかませ」ってタイガーマスクの歌があるけど、プロレスでパンチって反則ではないのか。