アイツにギルテイ
さて、私は漫画が好きである。だから、「好きな漫画は?」と聞かれたりしようものなら、それこそ三日三晩でも語ってしまうくらい、たくさんの漫画を読んでいる。今思いつくままにザッとのべるだけでも、まず「ジョジョの奇妙な冒険」や「ナニワ金融道」あたりははずせないだろうし、ギャグ漫画なら「神聖モテモテ王国」や「行け!稲中卓球部」、作家別で言うなら島本和彦、桜玉吉、あさりよしとおあたりは当然として、福本伸行や西原理恵子、吉田戦車や片山まさゆきなどは必須であろう。少々マイナーなタイトルだと「おやすみなさい」や「コミックマスターJ」、「内閣総理大臣織田信長」なんかも気に入っているし、手塚治虫や横山光輝と言った昔の漫画家の漫画も集めている。
・・・などと、漫画談義を始めるとキリがない。で、それだけたくさん漫画を読んでいる中から、「一番好きな作品を選べ」と言われたりするとかなり困ってしまうものがある。あの漫画も捨てがたいし、この漫画も捨てがたい・・・あの漫画も面白いしこの漫画もオススメだ・・・。だがしかし!!「アナタが今まで読んできた漫画で、一番スゴイ漫画は?」と聞かれるならば,私は迷わずこう答える事であろう!!「ゴルゴ13」と!
ゴルゴはすごい。ハンパなくスゴイ。間違い無く、自分が今まで読んできた数多の漫画の中でもブッちぎりにスゴイ漫画である。コミックスが117巻まで続いているところもスゴイが(2000年7月現在)、そのクオリティを下げる事も無く、同じパターンで続いてるところもスゴイ。「こち亀」なども長く続いているが、漫画の雰囲気はかなり変わっているし、パターンも疲弊している。とても1巻から同じ読者が読みつづけられるものではない(今のこち亀しか知らなければ楽しめるかも知れないけど)。が、ゴルゴは1巻から117巻まで読んでも問題なし!常に読者の期待を裏切らない面白さを維持し続けている。その間で変わった事と言えばゴルゴが無口になった事くらいであるし(昔のゴルゴはけっこう喋っていた)、それもコミックス20巻前くらいで定着しているので、その後の100巻は同じキャラで続いていると言う事になる。これはスゴイ。山岡士郎など、登場したときは「ウダウダ抜かすと海の中にたたっこむぞ!」などとヤクザの様であったのに、いつのまにか女子社員にボコボコにされて「助けてくれえ」などと言っていたので、少しは見習って欲しいものである。
読んだことの無い人でもゴルゴのパターンくらいは知っていると思うが、ゴルゴの仕事は狙撃である。そしてその狙撃料はベラボーに高いかわりに、成功率はほぼ100%、彼に狙われて生き残ったターゲットはいないというスゴ腕である。一度だけ狙撃に失敗した事があったが、それも狙撃で外したわけではなく不発弾だっただけであり、似たようなキャラのブラックジャックなど助けられなかった患者が何人もいる事を考えると、117巻続いていて常に完璧にこなしているというのは凄まじい。人間を超えている。
そして、その狙撃の難度というものがイチイチとんでもなく高いのである。例えば、ある飛行機がハイジャックされた話があった。その犯人は死を覚悟しており、体に爆弾を巻きつけていて、少しでも怪しいそぶり見せたら乗客と共に自爆する気でいる。なんとか空港に着陸し足止めをしてはいるが、この給油やらなんやらをしているうちになんとかしてしまわなければならない。しかし、なにせかなりイッちゃってる犯人で、いつ爆弾を爆発させてもおかしくない状況である。犯人の狙撃を計画するが、なにせただっ広い空港であるから容易に近づく事もままならない。一番近い狙撃ポイントで1020メートル。1キロ以上も離れている。ここまで距離があると、ただ狙えば良いというものではない。風向きや風力のみならず、気温や湿度のように短距離では気にしないで良いような事まで絡んでくる。たとえば、気温が違えばそれだけ空気の密度が変わり、空気抵抗が変わってくるのだ。ただでさえ、こちらで0.1ミリずれていただけでも何メートルも着弾地点が変わってくるこの狙撃で、犯人の頭以外に当ててはいけない。チャンスはたったの一度である。乗客の命がかかってくるから、狙撃手にかかるプレッシャーもハンパではない。どう考えても不可能であろう。が、ゴルゴはこれを引き受ける。そして空港につき、狙いを定める。そして・・・
ズキュゥゥゥゥゥゥン・・・ ・・・・ビシッ
弾は見事犯人のコメカミに命中。うそおおお!!まさに神か悪魔かゴルゴ13!
ちなみに、上の風向きや温度などの計算を彼は一瞬でやってしまっている。他にも、飛行機で空中戦を繰り広げた話もあったが、その時も位置角や交角(俺もよく分らん)などの複雑な計算を0.2秒で行い相手の飛行機の動きを見えないところから予測し、撃墜している。ちなみにスーパーコンピュータよりゴルゴの計算スピードは速いそうである。そんなバカな。東京大学物語の村上を超えている。
他にもビルから飛び降りながら窓の中の人間を撃ったり、時速110キロで走る列車の中のターゲットを撃ったり、しかもほとんど眉間やコメカミを一発で撃ちぬいているのである。また、ゴルゴのターゲットは人間にとどまらない。「バイオリンの弦を演奏中に狙撃して欲しい。ただし演奏者は傷つけないように」とか、「ある人物が胸にいつもつけているペンダントを狙撃して欲しい。でもその人物は殺しちゃイヤ」と言った、「無理です」と言いたくなるような依頼ばかりゴルゴの元には来るのである。そしてゴルゴは見事一発でケリをつける。世界一大きなダイヤモンドを狙撃してくれ、と言われれば、ダイヤモンドのもっとも衝撃に弱い角度を調べてその角度を狙って撃ち、ある絵画を狙ってくれ、と言われればその絵画の前に人が来た時にその人ごと絵画を撃ち、絵を血まみれにする。なぜかと言えば、最近の絵画修復技術といえば凄まじく、一発や二発穴をあけたところですぐ修復してしまうのだが、人間の血だけは容易に落とせないからである。その絵画の弱点をゴルゴはついたのだ!!っていうか、なんでそんな事知ってんだ!ゴルゴ!!
ゴルゴは知識も凄まじいのである。あらゆる言語を話し、あらゆる技術や学問に精通しているだけでなく、ただの豆知識みたいな事まで知っている。ある時、ゴルゴは敵に監禁される。その建物には今回のターゲットもおり、もし彼を狙撃するとしたらここから脱出する時しかチャンスは無い。そして、ターゲットは毎日決まった時間にある狙撃可能なポイントを通ることも分っている。しかし、時計が無いため時間がわからず、脱出のタイミングがつかめない。が、ゴルゴは見事狙撃を成功させて脱出してくる。一体彼はどうやって正確な時間を知ったのだろうか?答えは、「猫の目」である。猫の瞳というものは、時間によって正確に大きさを変える為、それを観察していれば正確な時間が分るのである。さすがゴルゴ!!猫の目で時間を調べる時の事まで考えているとは!っていうかそんなバカなァァア!!そんなシチュエーション、一生に一回どころか十回輪廻転生してもめぐり合わないと思うんですけど!!たまたま「どうぶつ奇想天外」でも見ていたのか!?恐るべしゴルゴ!!
また、ゴルゴには仲間がいない。っていうか、117巻も続いているのにレギュラーキャラがまったくいないのだ。恋人も親友もライバルも友人も完全にいない。常に一人で戦い続けているのである。ゴルゴがいつも銃を頼むガン職人や、ゴルゴに仕事を頼むルートである囚人などは何度か登場しているが、それでもたった数回である。普通、漫画が長く続いていれば新キャラを出したりするものだが・・・新キャラもクソもゴルゴ一人なのだから増やしようがない。たった一人で合衆国すら恐れさせる男、ゴルゴ・・・まさに世界最強の男である。まったく一人も仲間がいないのだから、すげこまくんよりすごい。
ゴルゴは年齢も謎である。この漫画は実在の人物や事件がよく登場するのであるが、ケネディからクリントン大統領まで登場し、CIAの室長は何代も変わり、「そういえば、私の四代前の室長が何十年も前に狙撃の契約をした事があったらしいが・・・今になって遂行するとは、ゴルゴらしい」みたいな事を言ったりする。ちょっと待ておまえら!ゴルゴって年いくつなんじゃい!まずそれを疑問に思え!周りの人間が年を取って死んでいくのに、ゴルゴはいつも同じ容姿である。火の鳥の生き血でも飲んだのか!?
そうそう、今回のタイトルについても説明せねばなるまい。ゴルゴへの依頼へのパターンとして、ゴルゴに撃つか撃たないかの判断を委ねる事がある。たとえば、ある人物に復讐がしたい。しかし、その人物が犯人かどうか、確証がない・・・十中八九間違いは無いのだが、ゴルゴ、あなたが判断して、犯人であれば撃ってください!などと、てめえで調べてから依頼しろ、と言いたくなる依頼が来るのである。そして、いろいろゴルゴなりにワナを張ったりして、様々な行動を取らせて、犯人である事が決定的になると、銃を構え、ゴルゴはこう言う。
「・・・ギルテイ(有罪)」 ・・・・ズキュゥゥゥゥン・・・・
最高裁判所より的確な審判をくだす男、ゴルゴ!!ある人物など、裁判で無罪を勝ち取って、裁判所から出てきたところを撃たれたりしている(ゴルゴ判断で有罪だったから)。神に近いゴルゴが裁くのだからしょうがあるまい。
長くなってしまったが、ゴルゴを語る上では女性の事を語らぬわけにはいくまい。ゴルゴはベッドでもスゴ腕なのである。ゴルゴの体内から凄まじいフェロモンが出ているのか、なぜかゴルゴと接する女性はことごとく服を脱ぎゴルゴを誘惑する。117巻も続いているのに、毎っ回である。ここまでくると、パソコンのエロゲー以上のご都合主義と言わざるを得ないが、ゴルゴなのでしょうがない。中にはゴルゴをだまし討ちにするために来た女スパイなどもいるのだが、ゴルゴに抱かれるとどんな女もよがり狂ってしまうのである。どう見てもおっぱいしゃぶってるだけなのだが、女性は「オオッ!すごい〜」などと喜んでいる。しつこいようだが、117巻で100人近くとベッドインしてるはずなのに、毎ッ回である。そして、その最中もゴルゴは常に無表情。次のターゲットの狙撃方法なんかを考えていたりする。どーでも言いが、普通、そんな事考えてたら萎えるだろ!それともゴルゴは殺人計画を考えていると興奮するのか!?恐るべしゴルゴ。
さて、いい加減読むほうも疲れて来たと思うのでこの辺でやめておくが、まだまだ語り足りないくらいである。とにかくゴルゴ13はすごい。さいとうたかをはもっとすごい。まさに、世界最強の漫画と言っても問題はないだろう。もし、ゴルゴ13よりスゴイ漫画があったら是非教えていただきたい。ただ、その前にゴルゴ13を117冊読んでね。が、実は、かく言う私も、まだ全巻揃えてはいないのである。もう100冊近く集めたのであるが・・・まだ20冊もあるとは・・・この集めても集めても揃わないのもまた、ゴルゴの魅力!!その魅力が少しでも伝わったならば、幸いである。